注目トピックス 日本株
ブリッジ Research Memo(7):M&A効果で売上高は2ケタ成長
配信日時:2025/04/21 13:07
配信元:FISCO
*13:07JST ブリッジ Research Memo(7):M&A効果で売上高は2ケタ成長
■ブリッジインターナショナル<7039>の業績動向
1. 2024年12月期の業績概要
2024年12月期の業績は、売上高8,615百万円(前期比22.7%増)、営業利益950百万円(同4.0%増)、経常利益998百万円(同8.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益661百万円(同2.7%増)となった。2024年12月期はトータルサポートを連結子会社化したこともあって売上高、営業利益とも高成長を記録したが、その要因を除いても売上高は同7.8%増、営業利益は8.2%増と順調な成長ぶりを示している。なお2024年12月期第3四半期決算において下方修正した業績予想に対する達成率は、売上高100.1%、営業利益106.0%、経常利益111.3%、親会社株主に帰属する当期純利益112.9%と、いずれも達成した。売上面ではストックビジネスとして安定した収益を獲得しているインサイドセールスアウトソーシング事業が前期比5.4%増と堅調に推移したほか、プロセス・テクノロジー事業は2BCのM&A効果で同219.9%増と大きく伸びた。研修事業は同5.9%増と堅調だった。第1四半期の営業強化策の遅れが業績下方修正の一因とはなったものの、その後は新人研修の伸びなどにより盛り返しを見せた。利益面は、インサイドセールスアウトソーシング事業が増益をけん引したが、プロセス・テクノロジー事業では2BCのM&A効果による利益増の一方でトータルサポートの会計処理の統一やPMIに伴う諸費用の影響があり損失計上となった。研修事業は増収に伴い利益面でも堅調だった。その他、親会社株主に帰属する当期純利益は非連結グループ会社であるBRIDGE International Asiaの株式評価損を特別損失として計上したことなどもあって、他の利益と比較し増益幅が縮小している。
2. セグメント別業績
セグメント別売上構成率は、2023年12月期においてはインサイドセールスアウトソーシング事業が61.2%、プロセス・テクノロジー事業が8.0%、研修事業が30.8%であったのに対し、2024年12月期はインサイドセールスアウトソーシング事業が52.5%、プロセス・テクノロジー事業が20.9%、研修事業が26.6%となった。プロセス・テクノロジー事業がM&A等によって事業規模を拡大し、研修事業に並ぶまでに成長した。
(1) インサイドセールスアウトソーシング事業
売上高は4,526百万円(前期比5.4%増)、セグメント利益は674百万円(同4.5%増)と、いずれも前期を上回った。通期業績予想に対する達成率は、売上高は100.8%、セグメント利益は107.5%とどちらも達成した。特に中期経営計画KPIで売上高拡大に注力する、外資IT/国内IT/金融の各業界は、雇用の流動化や人手不足を背景とする採用難を受けて営業部門のリソース確保が困難となっており、営業部門のアウトソーシングサービスに対する需要は増加傾向にある。同社はこれを好機と捉え、既存顧客の取引拡大や新規顧客開拓に努めた。その結果既存顧客との取引額は順調に成長し、2024年12月期においては売上高の58%(前期比7ポイント増)を既存顧客のTOP10が占めた。注力する3業界に対する売上高も堅調に推移し、中期経営計画KPIをほぼ達成する水準となった。ストック型サービスのため、安定した収益を継続的に獲得し、業績寄与が大変大きいことから、同社はニーズを持つ潜在顧客に対し、サービスをスモールスタートして成果創出を重ねることで、スタッフの増員やリピートを勝ち取り、高い継続率につなげる施策を進めている。顧客にとってもサービスの受け入れやすさが導入のポイントの1つと考えられる。さらにサービス内容を高度化することで競合他社と差別化を図り、スイッチングコストとして機能すれば継続率がより向上するほか、新規顧客獲得により収益基盤を拡大し、成長を加速できる。利益面では、インサイドセールス要員の能力開発や従業員の評価制度及び報酬制度の見直しといった人材投資のほか、AIによるインサイドセールス活動支援など最新テクノロジーへの投資を積極的に進めたものの、営業利益率は前期比0.1ポイント減の14.9%と同水準を保った。
同社はインサイドセールス要員の離職率(事業年度退職者数を事業年度開始時点の従業員数で割ったもの)改善に取り組んできた。2024年12月期に開発した能力開発プログラムではキャリアコース制度を設け、従業員が希望するキャリアを選択できるようにし、早期にキャリアアップを実現できる。2024年12月期から試行を始め、予想以上に多くの従業員がエントリーを希望しており、モチベーション向上に寄与している。その結果、2024年12月期の離職率は6.5%と2023年12月期の13%から半減し、早速効果が現れた。
(2) プロセス・テクノロジー事業
2024年12月期は2024年3月に吸収合併した2BC、及び同年2月に子会社化したトータルサポートのM&A効果により、売上高は1,798百万円(前期比219.9%増)と大幅増収となった。一方、利益面については、トータルサポート子会社化時の会計処理で税込会計から税抜会計に変更したために発生した費用(23.3百万円)の影響や、期末の在庫評価損計上(15百万円)、及びPMIに伴う内部統制や営業部門強化等の費用計上により、営業損失は19百万円(前期は23百万円の損失)となった。売上高の達成率は98.8%、セグメント損失は予想の31百万円に対して19百万円と改善を見せた。売上面は、コンサルティング&システムソリューション部門はCRM、SFAといった顧客ニーズの高い分野を中心に予想比97.1%の749百万円とほぼ予想どおりの実績となったが、トータルサポートが担うネットワーク部門は予想比88.7%の1,048百万円と未達で着地した。トータルサポートに対するPMIではビジネス手法を改め、従来のネットワーク機器販売からソリューションビジネス中心へと変革している。そのため外資系IT企業出身者を営業責任者に迎え、営業組織の効率化や効果的な営業活動を支援するセールスイネーブルメントの構築を進めている。2024年12月期は構築期間となり予想比未達だったが、2025年12月期は成果が徐々に業績面に現れることが期待される。利益面はトータルサポートのM&Aに伴う諸費用の影響で損失計上となったものの一時的要因であり、2025年12月期以降は回復が見込めると弊社では見ている。
(3) 研修事業
売上高は2,290百万円(前期比5.9%増)、セグメント利益は294百万円(同1.2%増)となった。達成率は売上高が99.9%、セグメント利益は98.0%となった。顧客からの要件に応じる形で提供するカスタマイズ研修のうち、新人研修の売上が同10.2%増と順調に伸び、初の9億円を突破した。コロナ禍収束後の企業の人材採用積極化を背景に、充実した研修サービスの重要性を認識する企業からの引き合いの増加に伴う受講者数の増加に応え、同社は体制やマーケティングの強化を図り奏功した。また、新人研修以外のカスタマイズ研修の売上も同13.5%増と好調だった。中期経営計画で年間3テーマ以上の受講企業数をKPIに掲げ、新人研修を基本メニューとしてビジネス研修やIT、セキュリティ等のビジネス系・技術系研修をクロスセルし増収に寄与した。一方で公開研修の売上は同6.2%減となった。中核コースの顧客への一巡が要因の1つではあるが、研修市場では動画視聴により受講可能なセルフラーニング形式が増えるなどサービスが多様化し、顧客の選択肢が増加したのも一因だ。同社は新たなサービス形態や顧客開拓手法等を検討し、対抗策を準備している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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1. 2024年12月期の業績概要
2024年12月期の業績は、売上高8,615百万円(前期比22.7%増)、営業利益950百万円(同4.0%増)、経常利益998百万円(同8.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益661百万円(同2.7%増)となった。2024年12月期はトータルサポートを連結子会社化したこともあって売上高、営業利益とも高成長を記録したが、その要因を除いても売上高は同7.8%増、営業利益は8.2%増と順調な成長ぶりを示している。なお2024年12月期第3四半期決算において下方修正した業績予想に対する達成率は、売上高100.1%、営業利益106.0%、経常利益111.3%、親会社株主に帰属する当期純利益112.9%と、いずれも達成した。売上面ではストックビジネスとして安定した収益を獲得しているインサイドセールスアウトソーシング事業が前期比5.4%増と堅調に推移したほか、プロセス・テクノロジー事業は2BCのM&A効果で同219.9%増と大きく伸びた。研修事業は同5.9%増と堅調だった。第1四半期の営業強化策の遅れが業績下方修正の一因とはなったものの、その後は新人研修の伸びなどにより盛り返しを見せた。利益面は、インサイドセールスアウトソーシング事業が増益をけん引したが、プロセス・テクノロジー事業では2BCのM&A効果による利益増の一方でトータルサポートの会計処理の統一やPMIに伴う諸費用の影響があり損失計上となった。研修事業は増収に伴い利益面でも堅調だった。その他、親会社株主に帰属する当期純利益は非連結グループ会社であるBRIDGE International Asiaの株式評価損を特別損失として計上したことなどもあって、他の利益と比較し増益幅が縮小している。
2. セグメント別業績
セグメント別売上構成率は、2023年12月期においてはインサイドセールスアウトソーシング事業が61.2%、プロセス・テクノロジー事業が8.0%、研修事業が30.8%であったのに対し、2024年12月期はインサイドセールスアウトソーシング事業が52.5%、プロセス・テクノロジー事業が20.9%、研修事業が26.6%となった。プロセス・テクノロジー事業がM&A等によって事業規模を拡大し、研修事業に並ぶまでに成長した。
(1) インサイドセールスアウトソーシング事業
売上高は4,526百万円(前期比5.4%増)、セグメント利益は674百万円(同4.5%増)と、いずれも前期を上回った。通期業績予想に対する達成率は、売上高は100.8%、セグメント利益は107.5%とどちらも達成した。特に中期経営計画KPIで売上高拡大に注力する、外資IT/国内IT/金融の各業界は、雇用の流動化や人手不足を背景とする採用難を受けて営業部門のリソース確保が困難となっており、営業部門のアウトソーシングサービスに対する需要は増加傾向にある。同社はこれを好機と捉え、既存顧客の取引拡大や新規顧客開拓に努めた。その結果既存顧客との取引額は順調に成長し、2024年12月期においては売上高の58%(前期比7ポイント増)を既存顧客のTOP10が占めた。注力する3業界に対する売上高も堅調に推移し、中期経営計画KPIをほぼ達成する水準となった。ストック型サービスのため、安定した収益を継続的に獲得し、業績寄与が大変大きいことから、同社はニーズを持つ潜在顧客に対し、サービスをスモールスタートして成果創出を重ねることで、スタッフの増員やリピートを勝ち取り、高い継続率につなげる施策を進めている。顧客にとってもサービスの受け入れやすさが導入のポイントの1つと考えられる。さらにサービス内容を高度化することで競合他社と差別化を図り、スイッチングコストとして機能すれば継続率がより向上するほか、新規顧客獲得により収益基盤を拡大し、成長を加速できる。利益面では、インサイドセールス要員の能力開発や従業員の評価制度及び報酬制度の見直しといった人材投資のほか、AIによるインサイドセールス活動支援など最新テクノロジーへの投資を積極的に進めたものの、営業利益率は前期比0.1ポイント減の14.9%と同水準を保った。
同社はインサイドセールス要員の離職率(事業年度退職者数を事業年度開始時点の従業員数で割ったもの)改善に取り組んできた。2024年12月期に開発した能力開発プログラムではキャリアコース制度を設け、従業員が希望するキャリアを選択できるようにし、早期にキャリアアップを実現できる。2024年12月期から試行を始め、予想以上に多くの従業員がエントリーを希望しており、モチベーション向上に寄与している。その結果、2024年12月期の離職率は6.5%と2023年12月期の13%から半減し、早速効果が現れた。
(2) プロセス・テクノロジー事業
2024年12月期は2024年3月に吸収合併した2BC、及び同年2月に子会社化したトータルサポートのM&A効果により、売上高は1,798百万円(前期比219.9%増)と大幅増収となった。一方、利益面については、トータルサポート子会社化時の会計処理で税込会計から税抜会計に変更したために発生した費用(23.3百万円)の影響や、期末の在庫評価損計上(15百万円)、及びPMIに伴う内部統制や営業部門強化等の費用計上により、営業損失は19百万円(前期は23百万円の損失)となった。売上高の達成率は98.8%、セグメント損失は予想の31百万円に対して19百万円と改善を見せた。売上面は、コンサルティング&システムソリューション部門はCRM、SFAといった顧客ニーズの高い分野を中心に予想比97.1%の749百万円とほぼ予想どおりの実績となったが、トータルサポートが担うネットワーク部門は予想比88.7%の1,048百万円と未達で着地した。トータルサポートに対するPMIではビジネス手法を改め、従来のネットワーク機器販売からソリューションビジネス中心へと変革している。そのため外資系IT企業出身者を営業責任者に迎え、営業組織の効率化や効果的な営業活動を支援するセールスイネーブルメントの構築を進めている。2024年12月期は構築期間となり予想比未達だったが、2025年12月期は成果が徐々に業績面に現れることが期待される。利益面はトータルサポートのM&Aに伴う諸費用の影響で損失計上となったものの一時的要因であり、2025年12月期以降は回復が見込めると弊社では見ている。
(3) 研修事業
売上高は2,290百万円(前期比5.9%増)、セグメント利益は294百万円(同1.2%増)となった。達成率は売上高が99.9%、セグメント利益は98.0%となった。顧客からの要件に応じる形で提供するカスタマイズ研修のうち、新人研修の売上が同10.2%増と順調に伸び、初の9億円を突破した。コロナ禍収束後の企業の人材採用積極化を背景に、充実した研修サービスの重要性を認識する企業からの引き合いの増加に伴う受講者数の増加に応え、同社は体制やマーケティングの強化を図り奏功した。また、新人研修以外のカスタマイズ研修の売上も同13.5%増と好調だった。中期経営計画で年間3テーマ以上の受講企業数をKPIに掲げ、新人研修を基本メニューとしてビジネス研修やIT、セキュリティ等のビジネス系・技術系研修をクロスセルし増収に寄与した。一方で公開研修の売上は同6.2%減となった。中核コースの顧客への一巡が要因の1つではあるが、研修市場では動画視聴により受講可能なセルフラーニング形式が増えるなどサービスが多様化し、顧客の選択肢が増加したのも一因だ。同社は新たなサービス形態や顧客開拓手法等を検討し、対抗策を準備している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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