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明日の株式相場に向けて=朝令暮改のトランプ政権「真の狙い」
配信日時:2025/04/10 17:30
配信元:MINKABU
きょう(10日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比2894円高の3万4609円と急反騰。歴代2位の上げ幅となった。まさに一夜にして風景は激変した。リスクオフの怒涛の巻き戻しで、日経平均の上げ幅は朝方取引開始後わずか15分で2850円あまりに達し、3万4000円台後半まで駆け上がった。その後は伸びが止まったものの3万4000円台を下回ることなく、高値圏で綿が水を吸うように売り物をこなし続け、満を持して引け際に上げ足を強めた。
前週末4日にトランプ米大統領は自身の政策は決して変わらないとSNSで宣言したのだが、その舌の根も乾かぬうちにと言うべきか、相互関税の上乗せ分を日本を含む一部の国と地域で90日間停止すると表明し、世界の耳目を驚かせた。前日の米株市場はこれを受け、午後の取引でNYダウ、ナスダック指数、S&P500指数いずれも火柱高の形容がふさわしい急騰劇を演じた。結局ダウは史上最高の上げ幅でフシ目の4万ドル大台を回復。ナスダック指数はそのダウを上昇率で大幅に上回る12%超のハイパフォーマンスで大台を一気に2つ替え、1万7000ラインを突破して着地している。
この相互関税90日間の停止については決して寝耳に水ということではない。今週7日に「(トランプ米政権は)中国を除く国や地域に対する関税について90日間停止することを検討している」という報道が巡った。この時、ホワイトハウスは「フェイクニュース」であると真向否定し、米国株が乱高下した経緯がある。ところが、このフェイクニュースの否定こそがフェイクであった。結果として著名投資家のビル・アックマン氏の提示案をトランプ大統領は丸のみした形で、その情報が事前に横に漏れたというのが真実である。
これまでマーケットは、トランプ政権が発する強行的な関税政策のアナウンスについて、ブラフを仕掛けているという見方も根強く、相互関税が発動される9日までには何かしら譲歩姿勢を示すのではないかという思惑がくすぶっていた。しかし、それが完全スルーされ実際に発動されたことで、世界的に失望売りのスコールに見舞われる状況に陥った。だが、そこから前言撤回するところが、何でもありのトランプ流である。これに世界株市場は翻弄される形となったわけだが、とりわけCTAによるAI先物トレードでボラティリティが極大化しやすい東京市場は激震を余儀なくされた。
前週末時点で日本株(東京・名古屋2市場)の信用評価損益率はマイナス15%台という冷え込んだ状態にあり、週初の日経平均2600円あまりの暴落で遂にマイナス20%を突破、追い証発生(追加保証金の差し入れ義務)のトリガーが引かれる格好となった。「こうした場合、大口客については1日半のモラトリアムで翌々日の後場に、強制的なロスカット(追加で担保が入らない場合)の運びとなるケースが多い」(ネット証券マーケットアナリスト)という。前日の下げは機械的なインデックス売りの影響はあったが、やむなく投げさせられた個人投資家の無念の売りも被せられた。トランプ大統領の二枚舌にしてやられたというところである。ただ、今回の件で株式市場の崩壊はとりあえず回避されたが、米国という世界の頂点に立つ大国としての信頼は瓦解した。米国の発言力は絶大で、トランプ氏は“無敵の狼少年”と化しているが、これでは「米国に投資させる」という氏の思惑とは裏腹に、米国からの資金退避の動きが日を追うごとに高まっていく公算が大きい。
トランプ政権が一部相互関税の90日間停止を発表したことは、世界経済にプラス材料であることに変わりはないが、一律10%の基本税率は継続するほか、自動車や鉄鋼などへの25%の追加関税もそのままである。半導体や医薬品も分野別関税の対象となることも明言している。そして何より、“宿敵”中国に対する関税は、104%から更に125%に引き上げた。他国に対し「報復関税を打ち出せばこうなる」という脅しをかけている。高圧的な姿勢を前面に押し出すことで「米国第一主義」を貫く構えだが、しかし、それはトランプ氏が狙う本丸ではない印象も受ける。何よりも中国にだけは覇権を奪われてはいけないという使命感にも似た思いが政策の原点にある。この部分では唯一バイデン政権時代と軌を一にする。株式市場は、この米中対立をどう織り込むかということも大きな課題となっていく。
あすは株価指数オプション4月物の特別清算指数(オプションSQ)算出日にあたる。このほか、3月のマネーストック、3カ月国庫短期証券の入札、日銀の生活意識に関するアンケート調査、3月の投信概況など。海外では3月の米生産者物価指数(PPI)のほか、4月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)などに市場の関心が高い。また、ウィリアムズ・NY連銀総裁が講演を行う予定でその内容にも耳目が集まる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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