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ファンペップ Research Memo(9):抗体誘導ペプチドの開発対象である抗体医薬品の市場規模は500億米ドル以上
配信日時:2025/03/28 16:19
配信元:FISCO
*16:19JST ファンペップ Research Memo(9):抗体誘導ペプチドの開発対象である抗体医薬品の市場規模は500億米ドル以上
■今後の成長戦略
ファンペップ<4881>は今後も独自技術である抗体誘導ペプチドの優位性を生かして、抗体医薬品が既に発売されている「炎症領域」を中心に幅広い慢性疾患のなかから開発意義の高い疾患を対象に開発パイプラインを拡充する方針だ。標的タンパク質は既に上市されている抗体医薬品と同一のため、リード化合物を特定する時間が通常よりも大幅に短縮できるほか、安全性や有効性についても抗体医薬品で確認されているため、開発リスクも小さい。さらには、第1相臨床試験の結果で開発成功確率がある程度読めることもメリットと言える。抗体誘導ペプチドの投与により、体内で抗体価がどの程度上昇するか、産生した抗体が標的タンパク質の動きをどの程度阻害する能力があるかを調べることで、薬効についてある程度推測したうえでその後の開発方針を立てられるためだ。
こうした点を総合的に勘案すると、抗体誘導ペプチド技術を用いた創薬は一般の創薬に対して研究開発効率が高いと言える。塩野義製薬が前臨床試験段階という早期段階で「FPP004X」のオプション契約を締結したことも、こうした点が評価されたものと弊社では見ており、今後の新規研究テーマも前臨床試験の結果が良好であればオプション契約を締結するケースが出てくるものと考えられる。抗体誘導ペプチドを用いた治療用ワクチンの開発については、スイスのACイミューンがアルツハイマー症を適応症とした第2相臨床試験を実施しており、2024年5月に武田薬品工業<4502>と独占的オプション及びライセンス契約を締結※1するなど、再び市場での注目度も上がってきている。このため、同社では新規パイプラインを2年に1本のペースで追加しながら、ライセンス契約につなげる考えだ。新規パイプラインについては、直近6年間で3本の抗体誘導ペプチドを開発パイプラインに加えた実績から、十分に実現可能なペースと言える。人材投資については、基礎研究分野の人材だけでなく、今後は開発パイプラインの増加に伴ってCMC※2関連の専門知識を持つ人材の採用についても進める方針だ。
※1 契約一時金で1億米ドル、開発や商業化の進捗に応じて支払うマイルストーンで最大21億米ドルの契約を締結した。
※2 CMC(Chemistry, Manufacturing and Control)は、Chemistryは化学、Manufacturingは製造、Controlはそれらの品質管理を意味する。医薬品製造の承認を申請する際には非臨床試験から臨床試験さらに市販後に向けて、評価される製造物を定義付けることが求められる。製造物の処方や規格及びそれらの評価方法や設定根拠、包材を含めた原材料の管理、原料や製造物の製造プロセスを検討し、製造物の品質評価を統合して行う概念である。
子会社のファンペップヘルスケアでは化粧品分野など非医薬品事業を育成し、創薬にかかわる開発費の一部を賄う戦略となっている。従来も機能性ペプチドの特性を生かした化粧品や除菌スプレーなどが発売されており、今後もメーカーとの共同開発を進めながら事業拡大を目指す。
また、2022年2月に共同開発契約を締結したサイエンスがファインバブル技術を用いた生体用洗浄器を開発し、2024年10月にクラス1(一般医療機器)として製造販売承認を取得したことを発表した。今後、感染症対策や治療部位への洗浄などの効果を高めるために、単なる水の噴霧だけでなく同社の抗菌作用を持つ機能性ペプチドを組み合わせた次世代創傷用洗浄器の開発も進める意向だ。このほか2022年12月にASメディカルサポート及びN3と幹細胞化粧品※1の共同開発契約を、2023年2月にはサンルイ・インターナショナルと抗菌作用を持つ機能性ペプチドを配合したフェムテック化粧品の共同開発契約をそれぞれ締結している※2。原材料の販売となるため当該商品がヒットしたとしても売上規模は年間数千万円が現実的な水準と考えられるが、ヒット商品が生まれれば機能性ペプチドに対する関心度も高まり新たな商談につながる可能性がある。このため、今後も化粧品分野を中心に抗菌作用やアンチエイジング機能などの特性を生かした機能性商品の開発を進める企業との提携を積極的に進め、同事業の拡大と収益化を目指す。
※1 共同契約先で開発している幹細胞化粧品に、同社グループのヒアルロン酸産生増加作用や幹細胞誘導作用を持つ機能性ペプチドを配合することで、皮膚再生効果のある化粧品の開発を進めている。
※2 サンルイ・インターナショナルとは、2023年12月に高齢者向け介護ケア商品(口腔ケア、抗菌液及び消臭ケア)の共同開発も開始している。
今後の業績見通しについては、創薬事業において研究開発ステージが数年間は続きそうなことから、大型契約の締結がない限りは営業損失がしばらく続く見込みだ。ただ、抗体誘導ペプチドの開発対象である領域での抗体医薬品の世界市場規模は主要製品だけでも500億米ドルを超えており、開発に成功した場合の成長ポテンシャルは極めて大きい。同社は今後も抗体誘導ペプチドの自社開発に注力する方針だが、将来的には抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術である「STEP UP」を他社に提供して収益を獲得することも選択肢の1つとして視野に入れている。
■株主還元策
当面は無配を継続するも、企業価値の向上と株主優待により還元
同社は株主への利益還元について重要な経営課題と認識しているものの、現在は開発ステージの段階にあるため配当は実施しておらず、手元資金を研究開発活動に優先的に充当し、早期に収益化を実現して企業価値の向上を図ることが最大の株主還元になると考えている。
こうしたなか、同社は多くの株主に同社株式を中長期的に保有してもらうことを目的に、株主優待制度を導入している。優待内容としては、毎年6月末及び12月末現在の株主(100株以上保有)を対象に、機能性ペプチドを配合した除菌スプレーや化粧品シリーズを株主優待割引価格(40~50%割引)で販売している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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ファンペップ<4881>は今後も独自技術である抗体誘導ペプチドの優位性を生かして、抗体医薬品が既に発売されている「炎症領域」を中心に幅広い慢性疾患のなかから開発意義の高い疾患を対象に開発パイプラインを拡充する方針だ。標的タンパク質は既に上市されている抗体医薬品と同一のため、リード化合物を特定する時間が通常よりも大幅に短縮できるほか、安全性や有効性についても抗体医薬品で確認されているため、開発リスクも小さい。さらには、第1相臨床試験の結果で開発成功確率がある程度読めることもメリットと言える。抗体誘導ペプチドの投与により、体内で抗体価がどの程度上昇するか、産生した抗体が標的タンパク質の動きをどの程度阻害する能力があるかを調べることで、薬効についてある程度推測したうえでその後の開発方針を立てられるためだ。
こうした点を総合的に勘案すると、抗体誘導ペプチド技術を用いた創薬は一般の創薬に対して研究開発効率が高いと言える。塩野義製薬が前臨床試験段階という早期段階で「FPP004X」のオプション契約を締結したことも、こうした点が評価されたものと弊社では見ており、今後の新規研究テーマも前臨床試験の結果が良好であればオプション契約を締結するケースが出てくるものと考えられる。抗体誘導ペプチドを用いた治療用ワクチンの開発については、スイスのACイミューンがアルツハイマー症を適応症とした第2相臨床試験を実施しており、2024年5月に武田薬品工業<4502>と独占的オプション及びライセンス契約を締結※1するなど、再び市場での注目度も上がってきている。このため、同社では新規パイプラインを2年に1本のペースで追加しながら、ライセンス契約につなげる考えだ。新規パイプラインについては、直近6年間で3本の抗体誘導ペプチドを開発パイプラインに加えた実績から、十分に実現可能なペースと言える。人材投資については、基礎研究分野の人材だけでなく、今後は開発パイプラインの増加に伴ってCMC※2関連の専門知識を持つ人材の採用についても進める方針だ。
※1 契約一時金で1億米ドル、開発や商業化の進捗に応じて支払うマイルストーンで最大21億米ドルの契約を締結した。
※2 CMC(Chemistry, Manufacturing and Control)は、Chemistryは化学、Manufacturingは製造、Controlはそれらの品質管理を意味する。医薬品製造の承認を申請する際には非臨床試験から臨床試験さらに市販後に向けて、評価される製造物を定義付けることが求められる。製造物の処方や規格及びそれらの評価方法や設定根拠、包材を含めた原材料の管理、原料や製造物の製造プロセスを検討し、製造物の品質評価を統合して行う概念である。
子会社のファンペップヘルスケアでは化粧品分野など非医薬品事業を育成し、創薬にかかわる開発費の一部を賄う戦略となっている。従来も機能性ペプチドの特性を生かした化粧品や除菌スプレーなどが発売されており、今後もメーカーとの共同開発を進めながら事業拡大を目指す。
また、2022年2月に共同開発契約を締結したサイエンスがファインバブル技術を用いた生体用洗浄器を開発し、2024年10月にクラス1(一般医療機器)として製造販売承認を取得したことを発表した。今後、感染症対策や治療部位への洗浄などの効果を高めるために、単なる水の噴霧だけでなく同社の抗菌作用を持つ機能性ペプチドを組み合わせた次世代創傷用洗浄器の開発も進める意向だ。このほか2022年12月にASメディカルサポート及びN3と幹細胞化粧品※1の共同開発契約を、2023年2月にはサンルイ・インターナショナルと抗菌作用を持つ機能性ペプチドを配合したフェムテック化粧品の共同開発契約をそれぞれ締結している※2。原材料の販売となるため当該商品がヒットしたとしても売上規模は年間数千万円が現実的な水準と考えられるが、ヒット商品が生まれれば機能性ペプチドに対する関心度も高まり新たな商談につながる可能性がある。このため、今後も化粧品分野を中心に抗菌作用やアンチエイジング機能などの特性を生かした機能性商品の開発を進める企業との提携を積極的に進め、同事業の拡大と収益化を目指す。
※1 共同契約先で開発している幹細胞化粧品に、同社グループのヒアルロン酸産生増加作用や幹細胞誘導作用を持つ機能性ペプチドを配合することで、皮膚再生効果のある化粧品の開発を進めている。
※2 サンルイ・インターナショナルとは、2023年12月に高齢者向け介護ケア商品(口腔ケア、抗菌液及び消臭ケア)の共同開発も開始している。
今後の業績見通しについては、創薬事業において研究開発ステージが数年間は続きそうなことから、大型契約の締結がない限りは営業損失がしばらく続く見込みだ。ただ、抗体誘導ペプチドの開発対象である領域での抗体医薬品の世界市場規模は主要製品だけでも500億米ドルを超えており、開発に成功した場合の成長ポテンシャルは極めて大きい。同社は今後も抗体誘導ペプチドの自社開発に注力する方針だが、将来的には抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術である「STEP UP」を他社に提供して収益を獲得することも選択肢の1つとして視野に入れている。
■株主還元策
当面は無配を継続するも、企業価値の向上と株主優待により還元
同社は株主への利益還元について重要な経営課題と認識しているものの、現在は開発ステージの段階にあるため配当は実施しておらず、手元資金を研究開発活動に優先的に充当し、早期に収益化を実現して企業価値の向上を図ることが最大の株主還元になると考えている。
こうしたなか、同社は多くの株主に同社株式を中長期的に保有してもらうことを目的に、株主優待制度を導入している。優待内容としては、毎年6月末及び12月末現在の株主(100株以上保有)を対象に、機能性ペプチドを配合した除菌スプレーや化粧品シリーズを株主優待割引価格(40~50%割引)で販売している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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