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ベルトラ Research Memo(2):現地体験型オプショナルツアー専門のオンライン予約サイト「VELTRA」を運営
配信日時:2025/03/25 14:02
配信元:FISCO
*14:02JST ベルトラ Research Memo(2):現地体験型オプショナルツアー専門のオンライン予約サイト「VELTRA」を運営
■会社概要
1. 沿革
ベルトラ<7048>は、日産自動車<7201>海外事業部のメンバーだった3人が1991年に立ち上げた会社であり、創業時は主に自動車関連のマーケティングを展開していた。当時は海外の自動車メーカーが日本展開を模索していた時期であり、海外からの受注を受けて、東京モーターショーのイベント開催に関わる調査などを行っていた。元々一事業にフォーカスするのではなく多角的に事業を展開しており、それらの事業のうち、2000年にスタートしたゴルフのオンライン予約(GORA)ビジネスが急成長し楽天(現 楽天グループ)<4755>に売却、この売却益を元手に2004年から現在の事業を開始した。旅行業界では宿泊や航空券などの販売は既にオンライン化が進んでおり、旅先の体験だけオンライン化が進んでいなかった。また、現地での体験ツアーやアクティビティは無数にあり、eコマースのスケールメリットを確実に生かせると考え、ゼロから事業をスタートする意味があると判断した。
2004年の事業開始当初は旅行業としてのノウハウもアクティビティ事業会社とのコネクションもなかったものの、同年、オーストラリア、バリ島、ハワイにてオフラインを中心にアクティビティ販売を行っていた会社を買収した。なお、現 代表取締役社長兼CEOの二木渉(ふたぎわたる)氏は創業から4代目の社長であり、2015年に代表取締役社長に就任した。加速するテクノロジーの進化への対応、IPO、そしてさらなる成長を目指すため、創業者から経営を引き継いだ。
ただし、事業開始当初はグローバルなオンライン市場がなかったほか、現地の事業会社がオンラインで予約を受けて顧客と直接接点を持つこと自体がなかった。さらに、各国の文化の違い、言葉の違い、価値観の違い、時差など、旅行者と事業者の間に障壁が多く、事業を見直す必要があった。顧客が現地体験ツアーに参加する手段をオンラインでどう実現できるかを改めて検討したうえで、経営資源を集中させた。その後は事業を拡大し、ビーチリゾート周辺だけではなく、アジア、ヨーロッパ、アメリカなどへと拡大していった。
グローバル展開を進めるなか、2012年には英語サイトを開設し、訪日旅行事業を開始した。また、システム開発についても体制を強化し、国内でのエンジニア採用を開始したほか、マレーシアに開発拠点を置き、システム会社を完全に内製化した。2015年には中国語サイト(繁体字・簡体字)を開設、2016年にはCity Discovery SASの全株式を取得、2017年には韓国12CM Inc.(ワンツーシーエム)との事業提携により韓国語サイトを開設するなどグローバル展開を推進した(現在、経営資源を日本市場に選択・集中させており、多言語展開は休止中)。
なお、同社とシナジーが見込めるとして、2020年12月に、旅行比較サイト「トラベルコ」の運営など旅行関連事業を展開するオープンドア<3926>と資本業務提携を締結した。2021年12月には、子会社のリンクティビティ(株)が西日本電信電話(株)(NTT西日本)に対して第三者割当増資を実施し、資本・業務提携を行った。また、新株予約権行使による資金調達を実施しており、2022年12月期で955百万円を調達した。コロナ禍の影響により厳しい事業環境だったものの、コロナ禍収束後(アフターコロナ)を見据えて事業面・財務面で積極的な展開を見せ、攻めと守りの経営を両立させてきた格好だ。さらに、足元では(株)JTB、東京地下鉄〈9023〉(以下、東京メトロ)との資本業務提携(東京メトロとはリンクティビティが実施)も実施している。持続的成長に向けて協業を推進することにより、日本人観光客向け海外アクティビティ事業とチケットプラットフォーム事業をさらに伸ばしていく構えだ。
2. 事業概要
同社は、既存の旅行会社の枠組みを超え、国内から海外、旅行前から旅行後、オンラインからオフラインまで、「心ゆさぶる体験」※に出会うためのソリューションを提供している。事業区分は、旅行関連事業を収益区分別に分類し、「OTA事業」と「観光IT事業」より構成される。
※ 同社では「心ゆさぶる体験」を、世界中の文化や自然、それを伝える人々の素晴らしさについて、心の底から実感できるような本物の体験としている。
(1) OTA事業
現地体験ツアーオンライン予約サイト(「VELTRA」及び「HawaiiActivities」)、オンライン体験サービス「VELTRA Online Academy(オンライン・アカデミー)」、同社商品を法人サイトで販売する「法人サービス」を展開している。圧倒的な会員基盤に加え、旅行商品だけにとどまらない「心ゆさぶる体験」ができる商品ラインナップとサービスの質を誇っている。
中核事業の「VELTRA」は日本人をターゲットとする国内最大級のアクティビティ予約サイトで、世界150ヶ国・19,000種類以上の海外オプショナルツアーを予約できる。また、「HawaiiActivities」は催行地をハワイに特化した英語サイトで、在米旅行者を中心にサービスを提供している。これらは旅行中のフェーズに限定して事業展開しており、観光ツアー、ショー・エンターテインメント、世界遺産、スパ・エステ、文化体験、テーマパーク、クルーズ、ネイチャーツアー、グルメツアー、マリーンスポーツ、空港送迎をはじめとした旅のツールなど、「旅ナカ」と呼ばれる現地での体験やアクティビティをバラエティ豊かに取り揃えている。そのなかでも同社の体験価値提供領域は、これまで観光ツアーやクルーズなどの観光・体験領域が大きなウエイトを占めてきた。海外旅行市場の回復が想定よりも長引いているなかで、今後は旅行中の体験価値を再定義し、観光・体験以外の旅行消費活動領域においても価値の提供を強化する方針だ。食や移動・宿泊などのフェーズにおいて体験を主眼としたサービスの拡充を推進し、価値提供領域を広げることで業績の拡大に結び付けていく構えだ。
また、同社はこれらの現地体験ツアーを現地の価格のままで提供している。旅先で予約しても出発前に予約しても現地と同価格で予約することができるため、需要が高まっている。
(2) 観光IT事業
観光関連事業者のITインフラを提供するほか、子会社のリンクティビティがチケットプラットフォーム事業を展開している。
チケットプラットフォーム事業では、交通機関・公共施設チケットプラットフォームによってあらゆる交通機関や観光施設がシームレスにつながることを目指している。様々なサービスを連携するMaaSや電子チケット化を推進する動きが高まるなか、インバウンド需要だけでなく、国内向けの販売チャネルも強化しており、国内の鉄道会社や各都道府県施設などをベースとした販売元は579社(2024年12月末時点。2020年12月末は24社)、販売先は世界579社(同、2020年12月末は112社)と順調に拡大している。
チャネルマネジャーとしてのLINKTIVITYは、顧客の様々な課題に対して、販売サイトの構築や運営・マーケティングを支援する直販ソリューション、企画商品を造成しパッケージ・バンドル販売を可能にする企画商品、クラウドによりローコストで入退場関連の機器を提供する入退場ソリューションなどのサービスを提供している。なお、チャネルマネジャーとは「海外・国内OTA、旅行会社、ホテルなど、複数の販売先に対する契約や精算などの一括管理を可能にするシステム」を指す。インバウンド市場が盛り上がるなか、同サービスの有用性やコスト面などが顧客から評価され、導入が加速している状況だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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1. 沿革
ベルトラ<7048>は、日産自動車<7201>海外事業部のメンバーだった3人が1991年に立ち上げた会社であり、創業時は主に自動車関連のマーケティングを展開していた。当時は海外の自動車メーカーが日本展開を模索していた時期であり、海外からの受注を受けて、東京モーターショーのイベント開催に関わる調査などを行っていた。元々一事業にフォーカスするのではなく多角的に事業を展開しており、それらの事業のうち、2000年にスタートしたゴルフのオンライン予約(GORA)ビジネスが急成長し楽天(現 楽天グループ)<4755>に売却、この売却益を元手に2004年から現在の事業を開始した。旅行業界では宿泊や航空券などの販売は既にオンライン化が進んでおり、旅先の体験だけオンライン化が進んでいなかった。また、現地での体験ツアーやアクティビティは無数にあり、eコマースのスケールメリットを確実に生かせると考え、ゼロから事業をスタートする意味があると判断した。
2004年の事業開始当初は旅行業としてのノウハウもアクティビティ事業会社とのコネクションもなかったものの、同年、オーストラリア、バリ島、ハワイにてオフラインを中心にアクティビティ販売を行っていた会社を買収した。なお、現 代表取締役社長兼CEOの二木渉(ふたぎわたる)氏は創業から4代目の社長であり、2015年に代表取締役社長に就任した。加速するテクノロジーの進化への対応、IPO、そしてさらなる成長を目指すため、創業者から経営を引き継いだ。
ただし、事業開始当初はグローバルなオンライン市場がなかったほか、現地の事業会社がオンラインで予約を受けて顧客と直接接点を持つこと自体がなかった。さらに、各国の文化の違い、言葉の違い、価値観の違い、時差など、旅行者と事業者の間に障壁が多く、事業を見直す必要があった。顧客が現地体験ツアーに参加する手段をオンラインでどう実現できるかを改めて検討したうえで、経営資源を集中させた。その後は事業を拡大し、ビーチリゾート周辺だけではなく、アジア、ヨーロッパ、アメリカなどへと拡大していった。
グローバル展開を進めるなか、2012年には英語サイトを開設し、訪日旅行事業を開始した。また、システム開発についても体制を強化し、国内でのエンジニア採用を開始したほか、マレーシアに開発拠点を置き、システム会社を完全に内製化した。2015年には中国語サイト(繁体字・簡体字)を開設、2016年にはCity Discovery SASの全株式を取得、2017年には韓国12CM Inc.(ワンツーシーエム)との事業提携により韓国語サイトを開設するなどグローバル展開を推進した(現在、経営資源を日本市場に選択・集中させており、多言語展開は休止中)。
なお、同社とシナジーが見込めるとして、2020年12月に、旅行比較サイト「トラベルコ」の運営など旅行関連事業を展開するオープンドア<3926>と資本業務提携を締結した。2021年12月には、子会社のリンクティビティ(株)が西日本電信電話(株)(NTT西日本)に対して第三者割当増資を実施し、資本・業務提携を行った。また、新株予約権行使による資金調達を実施しており、2022年12月期で955百万円を調達した。コロナ禍の影響により厳しい事業環境だったものの、コロナ禍収束後(アフターコロナ)を見据えて事業面・財務面で積極的な展開を見せ、攻めと守りの経営を両立させてきた格好だ。さらに、足元では(株)JTB、東京地下鉄〈9023〉(以下、東京メトロ)との資本業務提携(東京メトロとはリンクティビティが実施)も実施している。持続的成長に向けて協業を推進することにより、日本人観光客向け海外アクティビティ事業とチケットプラットフォーム事業をさらに伸ばしていく構えだ。
2. 事業概要
同社は、既存の旅行会社の枠組みを超え、国内から海外、旅行前から旅行後、オンラインからオフラインまで、「心ゆさぶる体験」※に出会うためのソリューションを提供している。事業区分は、旅行関連事業を収益区分別に分類し、「OTA事業」と「観光IT事業」より構成される。
※ 同社では「心ゆさぶる体験」を、世界中の文化や自然、それを伝える人々の素晴らしさについて、心の底から実感できるような本物の体験としている。
(1) OTA事業
現地体験ツアーオンライン予約サイト(「VELTRA」及び「HawaiiActivities」)、オンライン体験サービス「VELTRA Online Academy(オンライン・アカデミー)」、同社商品を法人サイトで販売する「法人サービス」を展開している。圧倒的な会員基盤に加え、旅行商品だけにとどまらない「心ゆさぶる体験」ができる商品ラインナップとサービスの質を誇っている。
中核事業の「VELTRA」は日本人をターゲットとする国内最大級のアクティビティ予約サイトで、世界150ヶ国・19,000種類以上の海外オプショナルツアーを予約できる。また、「HawaiiActivities」は催行地をハワイに特化した英語サイトで、在米旅行者を中心にサービスを提供している。これらは旅行中のフェーズに限定して事業展開しており、観光ツアー、ショー・エンターテインメント、世界遺産、スパ・エステ、文化体験、テーマパーク、クルーズ、ネイチャーツアー、グルメツアー、マリーンスポーツ、空港送迎をはじめとした旅のツールなど、「旅ナカ」と呼ばれる現地での体験やアクティビティをバラエティ豊かに取り揃えている。そのなかでも同社の体験価値提供領域は、これまで観光ツアーやクルーズなどの観光・体験領域が大きなウエイトを占めてきた。海外旅行市場の回復が想定よりも長引いているなかで、今後は旅行中の体験価値を再定義し、観光・体験以外の旅行消費活動領域においても価値の提供を強化する方針だ。食や移動・宿泊などのフェーズにおいて体験を主眼としたサービスの拡充を推進し、価値提供領域を広げることで業績の拡大に結び付けていく構えだ。
また、同社はこれらの現地体験ツアーを現地の価格のままで提供している。旅先で予約しても出発前に予約しても現地と同価格で予約することができるため、需要が高まっている。
(2) 観光IT事業
観光関連事業者のITインフラを提供するほか、子会社のリンクティビティがチケットプラットフォーム事業を展開している。
チケットプラットフォーム事業では、交通機関・公共施設チケットプラットフォームによってあらゆる交通機関や観光施設がシームレスにつながることを目指している。様々なサービスを連携するMaaSや電子チケット化を推進する動きが高まるなか、インバウンド需要だけでなく、国内向けの販売チャネルも強化しており、国内の鉄道会社や各都道府県施設などをベースとした販売元は579社(2024年12月末時点。2020年12月末は24社)、販売先は世界579社(同、2020年12月末は112社)と順調に拡大している。
チャネルマネジャーとしてのLINKTIVITYは、顧客の様々な課題に対して、販売サイトの構築や運営・マーケティングを支援する直販ソリューション、企画商品を造成しパッケージ・バンドル販売を可能にする企画商品、クラウドによりローコストで入退場関連の機器を提供する入退場ソリューションなどのサービスを提供している。なお、チャネルマネジャーとは「海外・国内OTA、旅行会社、ホテルなど、複数の販売先に対する契約や精算などの一括管理を可能にするシステム」を指す。インバウンド市場が盛り上がるなか、同サービスの有用性やコスト面などが顧客から評価され、導入が加速している状況だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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