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Solvvy Research Memo(6):保証会社からストックビジネスコンサルティング事業への転換・進化を目指す
配信日時:2025/03/14 14:06
配信元:FISCO
*14:06JST Solvvy Research Memo(6):保証会社からストックビジネスコンサルティング事業への転換・進化を目指す
■成長戦略
1. 新・中期経営計画(2025年6月期~2027年6月期)
Solvvy<7320>は2024年8月に新・中期経営計画(2025年6月期~2027年6月期)を策定し、保証会社からストックビジネスコンサルティング事業への転換・進化を目指す方針を掲げた。また、アフターサービスを基点とした「ストックビジネスコンサルティング」を強みとして、企業におけるストックビジネスの成長を包括的にサポートするため、独自のSAaaS(Smart Assurance as a Serviceの頭文字)メソッドを掲げた。保証をはじめとした各種ソリューションを組み合わせ、ストックビジネス創出に必要な仕組化に加え、顧客アプローチを通じた活性化及び収益化を支援する。目標値には最終年度2027年6月期の売上高11,100百万円、営業利益2,500百万円を掲げている。売上高は経営統合シナジーにより2024年6月期比約2倍増、営業利益も人財投資を継続しつつ約2倍増を目指す。
売上高目標の内訳はHWT事業が6,500百万円、EXT事業が2,710百万円、LFT事業が1,230百万円、FNT事業が660百万円としている。HWT事業はサービスラインナップ拡充により、建物保証獲得件数の大幅増加や前受収益の損益貢献度向上を計画している。EXT事業は「収益認識に関する会計基準」の適用による売上計上方針の見直し(分割計上比率の変更)の影響や、2025年6月期に予定していた案件が2024年6月期へ前倒しで計上した反動などにより、2025年6月期については保守的な計画としている。ただし2026年6月期以降は再生可能エネルギー分野の需要拡大、GIGAスクール構想による教育ICT機器の入替時期の到来などで高成長を見込んでいる。LFT事業は経営統合によるシステム開発リソース拡充で、システムコンサルティング及びSaaS販売の大幅な増加を見込むほか、新規領域へのSAaaSメソッドの展開により第3の事業としての本格化を見込んでいる。FNT事業は、2024年8月に提供開始したSaas×Fintechの新サービス「KROX」によるリフォームローンの売上貢献を見込み、領域横断的な事業展開を推進する。営業利益については、人財採用強化や組織基盤拡充に向けた投資のほか、経営統合に伴うシステム開発コストの発生(エンジニア人件費を原価に計上)が一時的な利益圧迫要因となるが、増収効果やサービスの高付加価値化などで吸収する。
メディアシークとの経営統合によるシナジーとしては、社内ITエンジニア100名体制が実現し、ITシステム開発体制が強化されることにより、既存顧客へのSIサービスの強化やSaaS・FinTech事業の拡大早期化による収益拡大、社内ITサービス開発の内製化によるコスト削減を見込んでいる。具体的には、同社の営業力を生かした既存クライアントへのSIサービス提供、メディアシークのIT開発力を生かしたSaaSプロダクトの競争力強化やFinTechプロダクトの早期ローンチ、メディアシークの既存プロダクトを生かしたマーケティング強化、同社の金融ノウハウや営業力を生かしたブレインテックサービスのマーケティング・販売強化、同社の資金力を生かしたスタートアップインキュベーションやM&Aの活用などを挙げている。
成長戦略の2025年6月期中間期時点の進捗状況の一例として、SIサービス提供では同社の既存顧客である大手住宅事業者からメディアシークがシステムコンサルティング案件を獲得した。またメディアシークが展開するスクール管理システム「マイクラス」について、同社が強みとするインサイドセールスをはじめとするBtoBマーケティング機能の活用を通じて、2024年12月に有名私立大学との大型契約の受注が決定した。FinTechプロダクトでは、住宅リフォーム工事向けSaas×Fintechの新サービス「KROX」(2024年8月に提供開始)で、メディアシークの開発リソースを活用し、リフォーム工事代金分割払い決済機能の提供を開始した。また同社の潤沢な資金力、幅広いソリューション力、メディアシークのベンチャーインキュベーション実績に基づいたノウハウを活用し、新たにCVCを設立することも予定している。
なお同社は現在東証グロース市場に上場しているが、メディアシークとの経営統合に伴い、東証プライム市場に上場するために必要な要件の多くにおいて充足の見通しが立つため、東証プライム市場上場を目指す方針としている。
株主還元は安定した配当を継続、2025年6月期は増配予想
2. 株主還元策
株主への利益還元については、経営環境の変化に対応した経営基盤の強化と将来の事業展開のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続することを基本方針としている。この基本方針に基づいて、2025年6月期の配当予想については2024年6月期比5.0円増配の20.0円(期末一括)としている。予想配当性向は9.4%となる。今後は業績の拡大に伴って配当金の増加や配当性向の引き上げも期待できるだろうと弊社では考えている。
SDGs推進室を中心にサステナビリティ経営への取り組みを強化
3. サステナビリティ経営
同社は、サステナビリティに関する事項について、現時点では「指標と目標」を設定していないが、今後はSDGs推進室を中心にサステナビリティ経営への取り組みを強化する方針としている。人的資本に関する事項については、女性管理職比率、有給休暇の平均取得率、育休からの復職率といった項目について、厚生労働省による全国の企業平均を上回ることを目標として環境整備を進めている。
経営統合シナジーの進捗状況に注目
4. 弊社の視点
同社は資財価値最大化ソリューションを提供し、幅広いサービスバリエーションとDXによる業務支援などを強みとして収益を大幅に拡大させている。利益率の高さも特徴であり、付加価値の高いソリューションというビジネスモデルによって独自のポジションを確立している点を弊社では高く評価している。さらに新・中期経営計画では、保証会社からストックビジネスコンサルティング事業への転換・進化を目指す方針を打ち出し、さらに売上高、営業利益とも倍増計画という意欲的な目標を掲げている。メディアシークとの経営統合によって成長を加速させる方針だ。同社にとって中長期的に市場シェア拡大余地や事業領域拡大余地が大きいだけに、引き続き経営統合シナジーの進捗状況に注目したいと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. 新・中期経営計画(2025年6月期~2027年6月期)
Solvvy<7320>は2024年8月に新・中期経営計画(2025年6月期~2027年6月期)を策定し、保証会社からストックビジネスコンサルティング事業への転換・進化を目指す方針を掲げた。また、アフターサービスを基点とした「ストックビジネスコンサルティング」を強みとして、企業におけるストックビジネスの成長を包括的にサポートするため、独自のSAaaS(Smart Assurance as a Serviceの頭文字)メソッドを掲げた。保証をはじめとした各種ソリューションを組み合わせ、ストックビジネス創出に必要な仕組化に加え、顧客アプローチを通じた活性化及び収益化を支援する。目標値には最終年度2027年6月期の売上高11,100百万円、営業利益2,500百万円を掲げている。売上高は経営統合シナジーにより2024年6月期比約2倍増、営業利益も人財投資を継続しつつ約2倍増を目指す。
売上高目標の内訳はHWT事業が6,500百万円、EXT事業が2,710百万円、LFT事業が1,230百万円、FNT事業が660百万円としている。HWT事業はサービスラインナップ拡充により、建物保証獲得件数の大幅増加や前受収益の損益貢献度向上を計画している。EXT事業は「収益認識に関する会計基準」の適用による売上計上方針の見直し(分割計上比率の変更)の影響や、2025年6月期に予定していた案件が2024年6月期へ前倒しで計上した反動などにより、2025年6月期については保守的な計画としている。ただし2026年6月期以降は再生可能エネルギー分野の需要拡大、GIGAスクール構想による教育ICT機器の入替時期の到来などで高成長を見込んでいる。LFT事業は経営統合によるシステム開発リソース拡充で、システムコンサルティング及びSaaS販売の大幅な増加を見込むほか、新規領域へのSAaaSメソッドの展開により第3の事業としての本格化を見込んでいる。FNT事業は、2024年8月に提供開始したSaas×Fintechの新サービス「KROX」によるリフォームローンの売上貢献を見込み、領域横断的な事業展開を推進する。営業利益については、人財採用強化や組織基盤拡充に向けた投資のほか、経営統合に伴うシステム開発コストの発生(エンジニア人件費を原価に計上)が一時的な利益圧迫要因となるが、増収効果やサービスの高付加価値化などで吸収する。
メディアシークとの経営統合によるシナジーとしては、社内ITエンジニア100名体制が実現し、ITシステム開発体制が強化されることにより、既存顧客へのSIサービスの強化やSaaS・FinTech事業の拡大早期化による収益拡大、社内ITサービス開発の内製化によるコスト削減を見込んでいる。具体的には、同社の営業力を生かした既存クライアントへのSIサービス提供、メディアシークのIT開発力を生かしたSaaSプロダクトの競争力強化やFinTechプロダクトの早期ローンチ、メディアシークの既存プロダクトを生かしたマーケティング強化、同社の金融ノウハウや営業力を生かしたブレインテックサービスのマーケティング・販売強化、同社の資金力を生かしたスタートアップインキュベーションやM&Aの活用などを挙げている。
成長戦略の2025年6月期中間期時点の進捗状況の一例として、SIサービス提供では同社の既存顧客である大手住宅事業者からメディアシークがシステムコンサルティング案件を獲得した。またメディアシークが展開するスクール管理システム「マイクラス」について、同社が強みとするインサイドセールスをはじめとするBtoBマーケティング機能の活用を通じて、2024年12月に有名私立大学との大型契約の受注が決定した。FinTechプロダクトでは、住宅リフォーム工事向けSaas×Fintechの新サービス「KROX」(2024年8月に提供開始)で、メディアシークの開発リソースを活用し、リフォーム工事代金分割払い決済機能の提供を開始した。また同社の潤沢な資金力、幅広いソリューション力、メディアシークのベンチャーインキュベーション実績に基づいたノウハウを活用し、新たにCVCを設立することも予定している。
なお同社は現在東証グロース市場に上場しているが、メディアシークとの経営統合に伴い、東証プライム市場に上場するために必要な要件の多くにおいて充足の見通しが立つため、東証プライム市場上場を目指す方針としている。
株主還元は安定した配当を継続、2025年6月期は増配予想
2. 株主還元策
株主への利益還元については、経営環境の変化に対応した経営基盤の強化と将来の事業展開のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続することを基本方針としている。この基本方針に基づいて、2025年6月期の配当予想については2024年6月期比5.0円増配の20.0円(期末一括)としている。予想配当性向は9.4%となる。今後は業績の拡大に伴って配当金の増加や配当性向の引き上げも期待できるだろうと弊社では考えている。
SDGs推進室を中心にサステナビリティ経営への取り組みを強化
3. サステナビリティ経営
同社は、サステナビリティに関する事項について、現時点では「指標と目標」を設定していないが、今後はSDGs推進室を中心にサステナビリティ経営への取り組みを強化する方針としている。人的資本に関する事項については、女性管理職比率、有給休暇の平均取得率、育休からの復職率といった項目について、厚生労働省による全国の企業平均を上回ることを目標として環境整備を進めている。
経営統合シナジーの進捗状況に注目
4. 弊社の視点
同社は資財価値最大化ソリューションを提供し、幅広いサービスバリエーションとDXによる業務支援などを強みとして収益を大幅に拡大させている。利益率の高さも特徴であり、付加価値の高いソリューションというビジネスモデルによって独自のポジションを確立している点を弊社では高く評価している。さらに新・中期経営計画では、保証会社からストックビジネスコンサルティング事業への転換・進化を目指す方針を打ち出し、さらに売上高、営業利益とも倍増計画という意欲的な目標を掲げている。メディアシークとの経営統合によって成長を加速させる方針だ。同社にとって中長期的に市場シェア拡大余地や事業領域拡大余地が大きいだけに、引き続き経営統合シナジーの進捗状況に注目したいと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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