注目トピックス 日本株
昭和産業 Research Memo(1):2025年3月期第3四半期は減収・営業減益も、通期計画に対する進捗率は順調
配信日時:2025/03/14 12:01
配信元:FISCO
*12:01JST 昭和産業 Research Memo(1):2025年3月期第3四半期は減収・営業減益も、通期計画に対する進捗率は順調
■業績動向
1. 2025年3月期第3四半期の連結業績
昭和産業<2004>の2025年3月期第3四半期の連結業績は、売上高255,669百万円(前年同期比3.7%減)、営業利益9,745百万円(同13.9%減)、経常利益12,046百万円(同14.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益10,397百万円(同0.3%増)となった。2025年3月期の計画に対する進捗は、売上高73.9%、営業利益81.2%、経常利益92.7%、親会社株主に帰属する当期純利益94.5%と、売上・利益面とも順調に推移している。
2. セグメント別業績
食品事業の売上高は209,922百万円(前年同期比3.3%減)、営業利益は9,631百万円(同14.1%減)となった。各カテゴリとも、需要の増加を背景に販売数量の積み上げを図ることで売上高は堅調に推移したが、利益面では主原料価格下落による販売価格の低下や物流コストの増加の影響から減益となった。
製粉カテゴリは、売上高81,472百万円(前年同期比2.8%減)となった。業務用の小麦粉が海外での需要増加により販売数量を増やしたほか、パスタが外食関連の需要が堅調で販売数量を伸ばした。海外向け販売は現中期経営計画でも強化対象となっており、積極的な取引先開拓が奏功した。同社によれば輸出国数も増加しており、今後の業績面での注目分野の1つとなりそうだ。家庭向けはパスタの販売数量が前年同期を上回った。パスタは2024年夏以降の米価高騰を受けて、米に代わる代替品としての需要が高まっており、営業面でもこれを踏まえた販売活動の強化が奏功した。製油カテゴリは、売上高71,975百万円(同4.9%減)となった。販売数量は堅調であったが、販売価格が前年同期をやや下回った。業務用では長寿命オイルや油染みの少ないベーカリー用オイルといった高機能商品を中心に販売数量を増やした。家庭用は汎用油やこめ油の販売数量が前年同期を上回った。糖質カテゴリは売上高50,632百万円(同3.6%減)となった。低分解水あめや粉あめ等の独自性のある商品の拡販を進めたことで糖化品の販売数量が増加し、ビール用途等のコーンスターチも販売数量を伸ばしたが、全体として販売価格が低下した。
飼料事業の売上高は42,183百万円(前年同期比6.3%減)、営業利益は331百万円(同4.8%増)となった。2022年秋の鳥インフルエンザ発生農場での鶏卵生産が回復し、鶏卵や配合飼料とも販売数量が増加したが、原料価格の下落や鶏卵需給の緩和により販売価格が低下したことで減収となった。
不動産業、保険代理業、自動車等リース業、運輸・倉庫業、植物工場などを合わせたその他の売上高は、3,563百万円(前年同期比2.8%増)、営業利益は1,082百万円(同6.9%増)となった。倉庫業については、商社や主要顧客との間で構築したネットワークを活用しながら取扱量増加に向けた取り組みを強化し、荷役量の増加に努めたことにより、貨物取扱量が前年同期を上回った。
■今後の見通し
2025年3月期はソリューション型営業の推進により業績予想達成を図る
1. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期は売上高346,000百万円(前期比0.1%減)、営業利益12,000百万円(同8.7%減)、経常利益13,000百万円(同21.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益11,000百万円(同11.0%減)としている。原材料価格や物流コスト、為替動向等といったコスト環境は期初想定の範囲内で推移しており、通期業績予想への影響はないとしている。同社としては引き続きコストを踏まえた適正価格の商品販売や、ソリューション型の営業推進により業績予想達成を図る考えだ。売上・利益面とも業績予想に対する進捗率は順調であり、達成の確度は高いだろう。
今後注目したい点は、食品事業については海外事業の進捗動向及び米価の動向である。製粉カテゴリにおいては海外の取引先開拓を進めているが、通期でどの程度業績に寄与するかが注目される。飼料事業については、2024年10月からの鳥インフルエンザの感染拡大が懸念材料である。鶏卵需給の動向に対してタイムリーな対応を図り、業績面でのマイナスを回避する考えだ。また、同社はグループのネットワーク強化によって事業間のシナジーを高めるため、連結子会社である昭産商事(株)が同社の特約店である兵庫飼料(株)を子会社化することを2025年1月に発表した。
海外事業や新規事業が進捗
2. 中期経営計画の進捗状況
2024年3月期よりスタートした「中期経営計画23-25」では「基盤事業の強化」「事業領域の拡大」「環境負荷の低減」「プラットフォームの再構築」「ステークホルダーエンゲージメントの強化」の5つを基本戦略として掲げ、各戦略において定めた重点施策を推進している。
このうち「事業領域の拡大」では新たな事業展開による海外事業の拡大のほか、輸出事業の強化や新規事業の創出等を進めている。海外事業として、関連会社である台湾の中一食品股フン有限公司において高品質な鶏卵の販売に注力している。海外での日本食ブームを背景に、生食が可能なほど上質の鶏卵としてCM等の大規模な販売促進を行っている。同社は売れ行きは上々としており、今後の業績面での寄与が期待される。またベトナムにおけるプレミックスの生産拠点となる新工場建設は、2025年度の稼働に向けて順調に進捗している。
新規事業の創出としては大豆たん白「SOIA SOIYA」ブランドの育成に注力している。2025年2月には第2弾の商品として、プラントベースチャーシュー「HMSP(High moisture solution protein)チャーシュー風 醤油味」の発売を発表した。個人経営のラーメン店や町中華でも利用しやすい商品性を備えており、販売促進に取り組む。
■トピック
「もう揚げないシリーズ」の新商品の売上目標は当面2億円程度
同社は2025年2月、少ない油で調理が可能な「もう揚げないシリーズ」の第2弾として、「もう揚げない!! 焼きからあげの素」を3月より発売することを発表した。第1弾として「もう揚げない!! 焼き天ぷらの素」を2022年9月より発売しているが、気軽に天ぷらの調理ができる点が「タイパ」や「簡便な調理」を好む消費者のニーズを捉え、累計で250万個を販売した。今回の商品の特長は、レンジで加熱した後にフライパンで焼くだけで揚げたような食感を味わえるから揚げの調理が可能な点である。同社によれば鶏肉以外の食材への応用も可能で、発売にあたって様々なレシピを消費者に提案することで販売促進が可能になるものと考えられる。当面2億円程度の売上を目標としている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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1. 2025年3月期第3四半期の連結業績
昭和産業<2004>の2025年3月期第3四半期の連結業績は、売上高255,669百万円(前年同期比3.7%減)、営業利益9,745百万円(同13.9%減)、経常利益12,046百万円(同14.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益10,397百万円(同0.3%増)となった。2025年3月期の計画に対する進捗は、売上高73.9%、営業利益81.2%、経常利益92.7%、親会社株主に帰属する当期純利益94.5%と、売上・利益面とも順調に推移している。
2. セグメント別業績
食品事業の売上高は209,922百万円(前年同期比3.3%減)、営業利益は9,631百万円(同14.1%減)となった。各カテゴリとも、需要の増加を背景に販売数量の積み上げを図ることで売上高は堅調に推移したが、利益面では主原料価格下落による販売価格の低下や物流コストの増加の影響から減益となった。
製粉カテゴリは、売上高81,472百万円(前年同期比2.8%減)となった。業務用の小麦粉が海外での需要増加により販売数量を増やしたほか、パスタが外食関連の需要が堅調で販売数量を伸ばした。海外向け販売は現中期経営計画でも強化対象となっており、積極的な取引先開拓が奏功した。同社によれば輸出国数も増加しており、今後の業績面での注目分野の1つとなりそうだ。家庭向けはパスタの販売数量が前年同期を上回った。パスタは2024年夏以降の米価高騰を受けて、米に代わる代替品としての需要が高まっており、営業面でもこれを踏まえた販売活動の強化が奏功した。製油カテゴリは、売上高71,975百万円(同4.9%減)となった。販売数量は堅調であったが、販売価格が前年同期をやや下回った。業務用では長寿命オイルや油染みの少ないベーカリー用オイルといった高機能商品を中心に販売数量を増やした。家庭用は汎用油やこめ油の販売数量が前年同期を上回った。糖質カテゴリは売上高50,632百万円(同3.6%減)となった。低分解水あめや粉あめ等の独自性のある商品の拡販を進めたことで糖化品の販売数量が増加し、ビール用途等のコーンスターチも販売数量を伸ばしたが、全体として販売価格が低下した。
飼料事業の売上高は42,183百万円(前年同期比6.3%減)、営業利益は331百万円(同4.8%増)となった。2022年秋の鳥インフルエンザ発生農場での鶏卵生産が回復し、鶏卵や配合飼料とも販売数量が増加したが、原料価格の下落や鶏卵需給の緩和により販売価格が低下したことで減収となった。
不動産業、保険代理業、自動車等リース業、運輸・倉庫業、植物工場などを合わせたその他の売上高は、3,563百万円(前年同期比2.8%増)、営業利益は1,082百万円(同6.9%増)となった。倉庫業については、商社や主要顧客との間で構築したネットワークを活用しながら取扱量増加に向けた取り組みを強化し、荷役量の増加に努めたことにより、貨物取扱量が前年同期を上回った。
■今後の見通し
2025年3月期はソリューション型営業の推進により業績予想達成を図る
1. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期は売上高346,000百万円(前期比0.1%減)、営業利益12,000百万円(同8.7%減)、経常利益13,000百万円(同21.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益11,000百万円(同11.0%減)としている。原材料価格や物流コスト、為替動向等といったコスト環境は期初想定の範囲内で推移しており、通期業績予想への影響はないとしている。同社としては引き続きコストを踏まえた適正価格の商品販売や、ソリューション型の営業推進により業績予想達成を図る考えだ。売上・利益面とも業績予想に対する進捗率は順調であり、達成の確度は高いだろう。
今後注目したい点は、食品事業については海外事業の進捗動向及び米価の動向である。製粉カテゴリにおいては海外の取引先開拓を進めているが、通期でどの程度業績に寄与するかが注目される。飼料事業については、2024年10月からの鳥インフルエンザの感染拡大が懸念材料である。鶏卵需給の動向に対してタイムリーな対応を図り、業績面でのマイナスを回避する考えだ。また、同社はグループのネットワーク強化によって事業間のシナジーを高めるため、連結子会社である昭産商事(株)が同社の特約店である兵庫飼料(株)を子会社化することを2025年1月に発表した。
海外事業や新規事業が進捗
2. 中期経営計画の進捗状況
2024年3月期よりスタートした「中期経営計画23-25」では「基盤事業の強化」「事業領域の拡大」「環境負荷の低減」「プラットフォームの再構築」「ステークホルダーエンゲージメントの強化」の5つを基本戦略として掲げ、各戦略において定めた重点施策を推進している。
このうち「事業領域の拡大」では新たな事業展開による海外事業の拡大のほか、輸出事業の強化や新規事業の創出等を進めている。海外事業として、関連会社である台湾の中一食品股フン有限公司において高品質な鶏卵の販売に注力している。海外での日本食ブームを背景に、生食が可能なほど上質の鶏卵としてCM等の大規模な販売促進を行っている。同社は売れ行きは上々としており、今後の業績面での寄与が期待される。またベトナムにおけるプレミックスの生産拠点となる新工場建設は、2025年度の稼働に向けて順調に進捗している。
新規事業の創出としては大豆たん白「SOIA SOIYA」ブランドの育成に注力している。2025年2月には第2弾の商品として、プラントベースチャーシュー「HMSP(High moisture solution protein)チャーシュー風 醤油味」の発売を発表した。個人経営のラーメン店や町中華でも利用しやすい商品性を備えており、販売促進に取り組む。
■トピック
「もう揚げないシリーズ」の新商品の売上目標は当面2億円程度
同社は2025年2月、少ない油で調理が可能な「もう揚げないシリーズ」の第2弾として、「もう揚げない!! 焼きからあげの素」を3月より発売することを発表した。第1弾として「もう揚げない!! 焼き天ぷらの素」を2022年9月より発売しているが、気軽に天ぷらの調理ができる点が「タイパ」や「簡便な調理」を好む消費者のニーズを捉え、累計で250万個を販売した。今回の商品の特長は、レンジで加熱した後にフライパンで焼くだけで揚げたような食感を味わえるから揚げの調理が可能な点である。同社によれば鶏肉以外の食材への応用も可能で、発売にあたって様々なレシピを消費者に提案することで販売促進が可能になるものと考えられる。当面2億円程度の売上を目標としている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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