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ラクトJPN Research Memo(10):乳製品専門商社から複合型食品企業への進化を目指す(2)
配信日時:2025/02/20 18:10
配信元:FISCO
*18:10JST ラクトJPN Research Memo(10):乳製品専門商社から複合型食品企業への進化を目指す(2)
■ラクト・ジャパン<3139>の中長期の成長戦略
2. 中期経営計画「NEXT-LJ 2025」の進捗状況
(1) 基本方針と主要施策
2023年11月期~2025年11月期の3ヶ年は、長期ビジョン達成のためのファーストステップとして成長に向けた基盤固めに注力する計画である。事業成長に向けて「Base 既存ビジネスの『進化』」「Growth アジア事業の拡大」「Challenge 次世代ビジネスの構築」の3つの基本方針と、各基本方針において事業成長を実現する施策とそれを支える経営基盤の強化策を掲げた。
既存ビジネスの「進化」においては、「サプライソースの多様化による安定供給」「ベストマッチングを生み出すコンサルティング営業」「日本産食材の輸出」によって事業成長を実現する方針だ。ポイントとなる重点施策は「サプライソースの多様化による安定供給」だ。気候変動による世界各地域での酪農・畜産品の生産量の変動やウイルス、地政学的な供給リスクを避けるために、乳原料・チーズ部門はもちろんのこと、食肉食材部門においてもグローバルな調達ネットワークをさらに拡充し安定供給を図る。乳原料においては、新規サプライヤーの開拓及び既存サプライヤーとの連携強化が進んでいる。日本産食材の輸出については、国産脱脂粉乳の輸出の実績をベースに乳製品や健康食品などの輸出を検討している。
アジア事業の拡大については、「チーズ製造販売事業の拡大」「現地営業体制の強化、販売エリアの拡充」「宗教や多様な食文化に対応した高付加価値製品の開発」によって事業成長を実現する方針だ。ポイントとなる重点施策はアジアでの「チーズ製造販売事業の拡大」だ。2026年度に稼働予定のシンガポール新工場は、工場・設備の増設余地を残す予定であり、シンガポール新工場を起点として、将来はアジアの3工場の合計で現在の3倍近い15千トンの製造販売を目指す。新工場完成までは、現工場だけに負荷がかからないように、タイ工場の機能強化・生産性向上を図り、両工場のバランスをとりながら需要が拡大するアジアでの供給体制を維持することが課題だ。2025年11月期は6,300トンまで販売数量を拡大する計画であり、商品アイテムの見直しなど製造効率の改善が必須となろう。需要が高まっているシュレッドチーズなどのナチュラルチーズ加工品の販売も拡大する。プロセスチーズは原料となるナチュラルチーズに熱を加えて加工製造するため、プロセスチーズ製造ラインとナチュラルチーズ加工ラインが併設されている強みを活かせる。また、宗教上の問題をクリアし、多様な顧客ニーズに対応するためにビーガンチーズなどの高付加価値商品や小売向け商品など新商品を開発・製造する計画だ。
次世代ビジネスの構築については、「機能性食品をはじめとした新たな商材の開発」「製造・加工の川下分野の拡充」「酪農などの川上分野への関与」によって事業成長を実現する方針である。ポイントとなる重点施策は「機能性食品をはじめとした新たな商材の開発」だ。機能性食品原料事業は、スポーツニュートリションや健康志向の機能性食品として需要が拡大するプロテイン食品市場において、原料となるホエイプロテインの販売をさらに拡大する計画である。商材の開発に当たっては、ホエイプロテインと様々な機能を持つ食品原料との組み合わせを提案して差別化を図る戦略だ。事業展開に当たっては、主にECサイトで販売するブランドオーナーやスポーツジムに対して、OEM生産を行う協力企業と提携・協業して製品を企画・開発・提案していくビジネスモデルを既に構築している。今後は、市場に参入してくる一般の食品メーカーとも提携・協業して事業領域を拡大する方針だ。アジアにおいても、日本の機能性食品は注目されており、今後はアジア向けの輸出など、三国間貿易も視野に入れている。2024年11月期より機能性食品原料の輸出販売に着手し、2025年11月期は輸出販売を開始する計画だ。酪農などの川上分野への関与については、海外のサプライヤーと連携した飼料原料の開発・製造や、日本とアジアの酪農家の人的交流などにより持続可能な酪農・畜産業への貢献を果たしていく方針である。
これら3つの基本方針の下、事業成長を実現するために、事業提携などM&Aを活用することも視野に入れ、幅広く施策を検討している。また、経営基盤強化に向けては、サステナビリティへの取り組みも強化している。サステナビリティ活動を担うサステナビリティ推進タスクチームを全社横断的なメンバーに再編成し、6つのマテリアリティの推進進捗管理を進めながら、2024年9月には「環境ポリシー」「持続可能な調達ポリシー」「情報セキュリティポリシー」「労働安全衛生ポリシー」の4つのポリシーを制定した。また、同年10月にはサステナビリティ推進部を新たに設置し、推進タスクチームとともに、長期的な事業リスク及び機会と対応について検討し、経営会議に提案していく体制を整えた。また、気候変動への適応及び環境負荷の軽減への取り組みとしてTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく気候変動関連の情報、Scope1,2,3排出量の算定、削減目標の設定を進め、継続的に公表していく。そのほか、人材開発の強化、ガバナンスの高度化、情報システムの整備を進める方針で、既に新人事制度の本格運用と本社の基幹システムの刷新準備が進捗している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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2. 中期経営計画「NEXT-LJ 2025」の進捗状況
(1) 基本方針と主要施策
2023年11月期~2025年11月期の3ヶ年は、長期ビジョン達成のためのファーストステップとして成長に向けた基盤固めに注力する計画である。事業成長に向けて「Base 既存ビジネスの『進化』」「Growth アジア事業の拡大」「Challenge 次世代ビジネスの構築」の3つの基本方針と、各基本方針において事業成長を実現する施策とそれを支える経営基盤の強化策を掲げた。
既存ビジネスの「進化」においては、「サプライソースの多様化による安定供給」「ベストマッチングを生み出すコンサルティング営業」「日本産食材の輸出」によって事業成長を実現する方針だ。ポイントとなる重点施策は「サプライソースの多様化による安定供給」だ。気候変動による世界各地域での酪農・畜産品の生産量の変動やウイルス、地政学的な供給リスクを避けるために、乳原料・チーズ部門はもちろんのこと、食肉食材部門においてもグローバルな調達ネットワークをさらに拡充し安定供給を図る。乳原料においては、新規サプライヤーの開拓及び既存サプライヤーとの連携強化が進んでいる。日本産食材の輸出については、国産脱脂粉乳の輸出の実績をベースに乳製品や健康食品などの輸出を検討している。
アジア事業の拡大については、「チーズ製造販売事業の拡大」「現地営業体制の強化、販売エリアの拡充」「宗教や多様な食文化に対応した高付加価値製品の開発」によって事業成長を実現する方針だ。ポイントとなる重点施策はアジアでの「チーズ製造販売事業の拡大」だ。2026年度に稼働予定のシンガポール新工場は、工場・設備の増設余地を残す予定であり、シンガポール新工場を起点として、将来はアジアの3工場の合計で現在の3倍近い15千トンの製造販売を目指す。新工場完成までは、現工場だけに負荷がかからないように、タイ工場の機能強化・生産性向上を図り、両工場のバランスをとりながら需要が拡大するアジアでの供給体制を維持することが課題だ。2025年11月期は6,300トンまで販売数量を拡大する計画であり、商品アイテムの見直しなど製造効率の改善が必須となろう。需要が高まっているシュレッドチーズなどのナチュラルチーズ加工品の販売も拡大する。プロセスチーズは原料となるナチュラルチーズに熱を加えて加工製造するため、プロセスチーズ製造ラインとナチュラルチーズ加工ラインが併設されている強みを活かせる。また、宗教上の問題をクリアし、多様な顧客ニーズに対応するためにビーガンチーズなどの高付加価値商品や小売向け商品など新商品を開発・製造する計画だ。
次世代ビジネスの構築については、「機能性食品をはじめとした新たな商材の開発」「製造・加工の川下分野の拡充」「酪農などの川上分野への関与」によって事業成長を実現する方針である。ポイントとなる重点施策は「機能性食品をはじめとした新たな商材の開発」だ。機能性食品原料事業は、スポーツニュートリションや健康志向の機能性食品として需要が拡大するプロテイン食品市場において、原料となるホエイプロテインの販売をさらに拡大する計画である。商材の開発に当たっては、ホエイプロテインと様々な機能を持つ食品原料との組み合わせを提案して差別化を図る戦略だ。事業展開に当たっては、主にECサイトで販売するブランドオーナーやスポーツジムに対して、OEM生産を行う協力企業と提携・協業して製品を企画・開発・提案していくビジネスモデルを既に構築している。今後は、市場に参入してくる一般の食品メーカーとも提携・協業して事業領域を拡大する方針だ。アジアにおいても、日本の機能性食品は注目されており、今後はアジア向けの輸出など、三国間貿易も視野に入れている。2024年11月期より機能性食品原料の輸出販売に着手し、2025年11月期は輸出販売を開始する計画だ。酪農などの川上分野への関与については、海外のサプライヤーと連携した飼料原料の開発・製造や、日本とアジアの酪農家の人的交流などにより持続可能な酪農・畜産業への貢献を果たしていく方針である。
これら3つの基本方針の下、事業成長を実現するために、事業提携などM&Aを活用することも視野に入れ、幅広く施策を検討している。また、経営基盤強化に向けては、サステナビリティへの取り組みも強化している。サステナビリティ活動を担うサステナビリティ推進タスクチームを全社横断的なメンバーに再編成し、6つのマテリアリティの推進進捗管理を進めながら、2024年9月には「環境ポリシー」「持続可能な調達ポリシー」「情報セキュリティポリシー」「労働安全衛生ポリシー」の4つのポリシーを制定した。また、同年10月にはサステナビリティ推進部を新たに設置し、推進タスクチームとともに、長期的な事業リスク及び機会と対応について検討し、経営会議に提案していく体制を整えた。また、気候変動への適応及び環境負荷の軽減への取り組みとしてTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく気候変動関連の情報、Scope1,2,3排出量の算定、削減目標の設定を進め、継続的に公表していく。そのほか、人材開発の強化、ガバナンスの高度化、情報システムの整備を進める方針で、既に新人事制度の本格運用と本社の基幹システムの刷新準備が進捗している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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