注目トピックス 日本株
ギックス Research Memo(4):2024年6月期第3四半期は増収減益(1)
配信日時:2024/06/28 13:34
配信元:FISCO
*13:34JST ギックス Research Memo(4):2024年6月期第3四半期は増収減益(1)
■業績動向
1. 2024年6月期第3四半期の業績概要
ギックス<9219>の2024年6月期第3四半期の連結業績は、売上高が前年同期比27.7%増の1,628百万円、営業利益が同45.1%減の186百万円、経常利益が同45.1%減の185百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同48.0%減の120百万円となった。2024年6月期より連結決算に移行しているため、前年同期比は参考値であるが、単体決算での比較においても売上高は順調に拡大している。前期に引き続き、特に大手クライアント企業において、既取引部門や取り組み中の領域におけるDIサービスの利用継続・拡大(縦)と、既存クライアント内の新規領域へのDIサービスの提供(横)の2方向からなる縦横展開が奏功し、さらにトヨタモビリティパーツと共同開発した「AI整備見積りシステム」といった新たな取り組みを開始するなど、DIコンサルティング及びDIプラットフォームの取扱高が増加した。DIプロダクトにおいては、JR東海グループの駅商業施設で使える共通ポイントサービス「TOKAI STATION POINT」と「マイグル」の連携開始などもあり、好調に進捗した。一方で、前期の突発的な高利益率案件が発生しなかったことや、成長投資・人員増に伴う費用、イベント出展による広告宣伝費の増加などにより、前年同期比で減益となったが、後述する取り組みにより売上高は順調に拡大しており、通期目標達成の蓋然性は高いと弊社では見ている。
売上成長を実現した要因として、縦横展開を加速するための人材育成やアセット活用の継続的な強化がある。前期に引き続き、プロジェクト推進で培った同社独自のノウハウをマニュアル、ツール、プログラムなどの形式でアセット化し再利用性を高めたほか、当該ノウハウをもとにした人材育成に関しても、日々ブラッシュアップを重ね効率向上につなげた。また、データサイエンティスト及びエンジニアの採用活動の強化も順調に進捗した。第3四半期末時点の従業員数は64名であり、2023年6月期末の42名から22名の増員となった。期初想定では通期で20名弱の採用を予定したことから、想定以上に採用活動が進捗していることが窺える。従業員の賃金についても、市場水準を鑑みながら処遇改善に取り組んでおり、離職率の低さからも相応のエンゲージメントが得られていると弊社では考える。
また、協業を核としたDI思想の啓発活動、営業体制・デリバリー体制の強化にも注力した。2023年9月には、西日本旅客鉄道〈9021〉との合弁会社設立を発表し、同年10月2日にTRAILBLAZERを設立した。将来的に不足が懸念されている高度デジタル人材を確保・育成し、JR西日本グループの業務プロセス改革及びビジネスモデル変革を一層強化する。
DIプロダクトでは、順調に拡大している「マイグル」の拡販と機能強化に努めた。2023年8月には、サービス価値の向上を目的としてブランディング/クリエイティブデザイン事業を行う完全子会社として、ギディアを設立した。また、2024年1月には「SCビジネスフェア2024」に出展するなど、積極的な拡販施策に取り組んでいる。加えて、「マイグル」を活用したスマートシティ向けサービスを共同開発することを目的に、同年3月には、三井不動産〈8801〉、(一社)UDCKタウンマネジメントと業務提携契約を締結した。
(1) 個別課題解決
「個別課題解決」のサービス領域では、「ゾクセイ研究所」及び「ゾクセイサービス」の立ち上げ準備が進行中である。「世界をゾクセイ(属性)で理解する」を掲げ、ユーザーを理解し表現するためにゾクセイを活用する。2016年には「2次属性(R)」の商標を取得しているが、これは各種データを用いて、ヒト、モノ、出来事の特徴を抽象化・概念化して付与したものである。活用データは、主に、行動履歴、移動履歴、使用履歴、修理履歴などの時系列データであり、ゾクセイを用いることで抽象度の高い分析や解像度の高いユーザー理解が可能となり、ユーザー理解の質を劇的に上げる新たなコンサルサービスを幅広い業界に提供できる。ゾクセイサービスは、同社の各サービスに幅広く適用・展開が可能であり、ユーザー理解に基づいた「行動変容」へと誘うことができる。また同時に、「リアルタイム1to1マーケティング基盤」の開発も進行中である。これは、リアルタイムに収集されたユーザーの行動データから各ユーザーの置かれた状況・状態を把握するデータ処理基盤である。ゾクセイ研究所やDIコンサルティングを用いて、ユーザーの行動から導出した2次属性に基づいてユーザーを理解するとともに、リアルタイム1to1マーケティング基盤を用いて、リアルタイムに収集されたユーザーの状況データ(GPS情報や決済情報)から各ユーザーの置かれた状況・状態を理解する。これら得られた内容に基づき、ひとりひとりのユーザーに、その瞬間に最も適切な「ミッション」を提案することで、「理想的な顧客行動」へとガイドする。
また、トヨタモビリティパーツとの共同開発による、「AI整備見積りシステム」のサービス提供を開始した。「AI整備見積りシステム」とは、自動車ディーラー・自動車整備工場向けに提供される、AIによる車の部品交換・整備予測を支援するシステムである。車両情報をシステムに入力するだけで、AIが約80項目の整備内容を診断し、整備の必要有無について推奨度を算出した「AI診断書」を作成する。約21万台・約135万の点検における車種、年式、走行距離などの車両情報や整備履歴のデータをAIで解析し、実店舗での実証実験も実施しており、現在はトヨタモビリティパーツと共同で特許を出願中である。自動車整備業界では、先進安全技術を搭載した車両の普及に伴い、自動車整備の高度化が求められている。一方で、自動車整備要員の有効求人倍率は全職種平均の1.05倍に対して4.55倍まで上昇し、整備業界の人材不足が大きな課題となっている。そこで、安全性を最優先としながら作業効率を上げる「AI整備見積りシステム」を、約4年かけて開発した。入庫前段階の顧客に対しては、データに裏付けられた整備内容の提案・見積もりが可能となり、また、入庫後の整備作業においてもAIの診断結果をもとに作業計画の改善を図ることで、エンジニアの作業負荷削減を実現する。トヨタモビリティ新大阪(株)では2024年3月1日より順次導入を開始し、2024年6月からの本格稼働を目指している。また、2025年より全国のトヨタ車両販売店に対して、要望に合わせて順次サービス提供を開始する予定である。
その他に、AIが観光モデルコースを提案する「おでかけレイクラインAIプランナーin松江」が開始された。AIプランナーとは、ユーザーの趣味嗜好、滞在時間などのニーズと観光スポットをマッチングさせたモデルコースを提案するサービスである。倉敷(岡山)、白浜(和歌山)に続き、3ヶ所目の取り組みとなり、交通機関の時刻表と連携したサービス提供は今回が初めてである。松江の観光地を巡るループバス「ぐるっと松江レイクライン」でアクセスできる観光・グルメ・ショッピングスポットの中から、ユーザーへのおすすめルートをバス時刻と合わせて提案する。また、「おでかけ条件の設定」で基本条件(出発日・出発時刻・到着時刻)、こだわり条件(周遊テーマ・楽しみ方・巡り方)で、さらに細かい条件を設定することも可能である。ユーザーはAIプランナーを活用することで、本数が限られているバスを有効に利用し、効率的に観光地を巡ることができる。今後は、国内観光の活性化とインバウンド需要の拡大に対応した観光業界向けサービスとして、採用拡大が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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1. 2024年6月期第3四半期の業績概要
ギックス<9219>の2024年6月期第3四半期の連結業績は、売上高が前年同期比27.7%増の1,628百万円、営業利益が同45.1%減の186百万円、経常利益が同45.1%減の185百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同48.0%減の120百万円となった。2024年6月期より連結決算に移行しているため、前年同期比は参考値であるが、単体決算での比較においても売上高は順調に拡大している。前期に引き続き、特に大手クライアント企業において、既取引部門や取り組み中の領域におけるDIサービスの利用継続・拡大(縦)と、既存クライアント内の新規領域へのDIサービスの提供(横)の2方向からなる縦横展開が奏功し、さらにトヨタモビリティパーツと共同開発した「AI整備見積りシステム」といった新たな取り組みを開始するなど、DIコンサルティング及びDIプラットフォームの取扱高が増加した。DIプロダクトにおいては、JR東海グループの駅商業施設で使える共通ポイントサービス「TOKAI STATION POINT」と「マイグル」の連携開始などもあり、好調に進捗した。一方で、前期の突発的な高利益率案件が発生しなかったことや、成長投資・人員増に伴う費用、イベント出展による広告宣伝費の増加などにより、前年同期比で減益となったが、後述する取り組みにより売上高は順調に拡大しており、通期目標達成の蓋然性は高いと弊社では見ている。
売上成長を実現した要因として、縦横展開を加速するための人材育成やアセット活用の継続的な強化がある。前期に引き続き、プロジェクト推進で培った同社独自のノウハウをマニュアル、ツール、プログラムなどの形式でアセット化し再利用性を高めたほか、当該ノウハウをもとにした人材育成に関しても、日々ブラッシュアップを重ね効率向上につなげた。また、データサイエンティスト及びエンジニアの採用活動の強化も順調に進捗した。第3四半期末時点の従業員数は64名であり、2023年6月期末の42名から22名の増員となった。期初想定では通期で20名弱の採用を予定したことから、想定以上に採用活動が進捗していることが窺える。従業員の賃金についても、市場水準を鑑みながら処遇改善に取り組んでおり、離職率の低さからも相応のエンゲージメントが得られていると弊社では考える。
また、協業を核としたDI思想の啓発活動、営業体制・デリバリー体制の強化にも注力した。2023年9月には、西日本旅客鉄道〈9021〉との合弁会社設立を発表し、同年10月2日にTRAILBLAZERを設立した。将来的に不足が懸念されている高度デジタル人材を確保・育成し、JR西日本グループの業務プロセス改革及びビジネスモデル変革を一層強化する。
DIプロダクトでは、順調に拡大している「マイグル」の拡販と機能強化に努めた。2023年8月には、サービス価値の向上を目的としてブランディング/クリエイティブデザイン事業を行う完全子会社として、ギディアを設立した。また、2024年1月には「SCビジネスフェア2024」に出展するなど、積極的な拡販施策に取り組んでいる。加えて、「マイグル」を活用したスマートシティ向けサービスを共同開発することを目的に、同年3月には、三井不動産〈8801〉、(一社)UDCKタウンマネジメントと業務提携契約を締結した。
(1) 個別課題解決
「個別課題解決」のサービス領域では、「ゾクセイ研究所」及び「ゾクセイサービス」の立ち上げ準備が進行中である。「世界をゾクセイ(属性)で理解する」を掲げ、ユーザーを理解し表現するためにゾクセイを活用する。2016年には「2次属性(R)」の商標を取得しているが、これは各種データを用いて、ヒト、モノ、出来事の特徴を抽象化・概念化して付与したものである。活用データは、主に、行動履歴、移動履歴、使用履歴、修理履歴などの時系列データであり、ゾクセイを用いることで抽象度の高い分析や解像度の高いユーザー理解が可能となり、ユーザー理解の質を劇的に上げる新たなコンサルサービスを幅広い業界に提供できる。ゾクセイサービスは、同社の各サービスに幅広く適用・展開が可能であり、ユーザー理解に基づいた「行動変容」へと誘うことができる。また同時に、「リアルタイム1to1マーケティング基盤」の開発も進行中である。これは、リアルタイムに収集されたユーザーの行動データから各ユーザーの置かれた状況・状態を把握するデータ処理基盤である。ゾクセイ研究所やDIコンサルティングを用いて、ユーザーの行動から導出した2次属性に基づいてユーザーを理解するとともに、リアルタイム1to1マーケティング基盤を用いて、リアルタイムに収集されたユーザーの状況データ(GPS情報や決済情報)から各ユーザーの置かれた状況・状態を理解する。これら得られた内容に基づき、ひとりひとりのユーザーに、その瞬間に最も適切な「ミッション」を提案することで、「理想的な顧客行動」へとガイドする。
また、トヨタモビリティパーツとの共同開発による、「AI整備見積りシステム」のサービス提供を開始した。「AI整備見積りシステム」とは、自動車ディーラー・自動車整備工場向けに提供される、AIによる車の部品交換・整備予測を支援するシステムである。車両情報をシステムに入力するだけで、AIが約80項目の整備内容を診断し、整備の必要有無について推奨度を算出した「AI診断書」を作成する。約21万台・約135万の点検における車種、年式、走行距離などの車両情報や整備履歴のデータをAIで解析し、実店舗での実証実験も実施しており、現在はトヨタモビリティパーツと共同で特許を出願中である。自動車整備業界では、先進安全技術を搭載した車両の普及に伴い、自動車整備の高度化が求められている。一方で、自動車整備要員の有効求人倍率は全職種平均の1.05倍に対して4.55倍まで上昇し、整備業界の人材不足が大きな課題となっている。そこで、安全性を最優先としながら作業効率を上げる「AI整備見積りシステム」を、約4年かけて開発した。入庫前段階の顧客に対しては、データに裏付けられた整備内容の提案・見積もりが可能となり、また、入庫後の整備作業においてもAIの診断結果をもとに作業計画の改善を図ることで、エンジニアの作業負荷削減を実現する。トヨタモビリティ新大阪(株)では2024年3月1日より順次導入を開始し、2024年6月からの本格稼働を目指している。また、2025年より全国のトヨタ車両販売店に対して、要望に合わせて順次サービス提供を開始する予定である。
その他に、AIが観光モデルコースを提案する「おでかけレイクラインAIプランナーin松江」が開始された。AIプランナーとは、ユーザーの趣味嗜好、滞在時間などのニーズと観光スポットをマッチングさせたモデルコースを提案するサービスである。倉敷(岡山)、白浜(和歌山)に続き、3ヶ所目の取り組みとなり、交通機関の時刻表と連携したサービス提供は今回が初めてである。松江の観光地を巡るループバス「ぐるっと松江レイクライン」でアクセスできる観光・グルメ・ショッピングスポットの中から、ユーザーへのおすすめルートをバス時刻と合わせて提案する。また、「おでかけ条件の設定」で基本条件(出発日・出発時刻・到着時刻)、こだわり条件(周遊テーマ・楽しみ方・巡り方)で、さらに細かい条件を設定することも可能である。ユーザーはAIプランナーを活用することで、本数が限られているバスを有効に利用し、効率的に観光地を巡ることができる。今後は、国内観光の活性化とインバウンド需要の拡大に対応した観光業界向けサービスとして、採用拡大が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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