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クリアル Research Memo(6):2024年3月期は「CREAL」の利益率が大幅に良化し増収増益に
配信日時:2024/06/24 19:26
配信元:FISCO
*19:26JST クリアル Research Memo(6):2024年3月期は「CREAL」の利益率が大幅に良化し増収増益に
■クリアル<2998>の業績動向
1. 2024年3月期の業績動向
2024年3月期の連結業績は、売上高21,044百万円(前期比28.0%増)、売上総利益3,562百万円(同61.4%増)、営業利益980百万円(同79.1%増)、経常利益941百万円(同89.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益647百万円(同92.6%増)と、売上高は前期比3割弱の増収を見せ、各利益も大幅な増益を達成した。特にクリアル<2998>がKPIのなかでも最重要視している売上総利益は売上高の増加率を超える前期比6割強と大幅な利益伸長を見せた。これは、「CREAL」において一括バルク売却から個別売却へ転換し、利益率が大幅に向上したことが最大の要因であるほか、「CREAL PRO」の取引規模が2倍近くまで伸びたことによる。この結果、広告宣伝費や人件費といった積極的な成長投資を吸収し、各利益においても大幅な増益となった。KPIについても、累計投資家数は63,879人(同56.3%増)、累計GMVは476.2億円(同72.8%増)と順調な進捗を見せた。
2. サービス別業績動向
「CREAL」は、売上高10,974百万円(前期比7.3%増)、売上総利益1,437百万円(同48.9%増)となった。これまでは機関投資家が投資する不動産ファンド償還時に発生する複数の物件を一括売却(バルク売却)することを前提に事業計画を設定していたが、主に外資系の不動産ファンドの活動が総じて低調だったことから、売却計画を見直し、個別に売却する方針に変えた。その結果、売上総利益率が13.1%(同3.7ポイント増)に上昇し、売上総利益は売上高の増加率を上回る大幅な増益で着地した。
「CREAL PRO」は、売上高2,582百万円(前期比87.0%増)、売上総利益1,272百万円(同82.8%増)となった。海外機関投資家を対象に国内レジデンスを複数組み入れたファンドを組成したことによるAUM(運用資産残高)の増加に伴うアセットマネジメントフィーや、富裕層投資家に対する物件の仲介手数料のほか、同社が保有していた物件の売却が大きく貢献し、大幅な増収増益となった。「CREAL PRO」は、「CREAL」がニュースサイトや機関誌で取り上げられて知名度が上ったことで大型物件の取引にもつながり、成長を加速している。
「CREAL PB」は、売上高7,163百万円(前期比56.5%増)、売上総利益637百万円(同50.7%増)となった。DXを有効に活用した販売方法で、都心中心の中古ワンルームマンション(区分レジデンス)の販売戸数を伸ばし、大幅な増収増益を達成した。実物不動産投資ニーズの高さを示す結果となったものの、「CREAL PB」の売上総利益率は9.2%から8.9%とやや低下したことから、競争激化により都心一等地での良質物件の仕入れが難しくなってきていると弊社ではみている。
3. KPIの動向
前述のとおり、「CREAL」の売上総利益はGMV×Take Rateから成る。このうちTake Rateは、案件組成手数料、ファンド運用手数料、償還手数料からなる確定フィーと、ファンドの外部売却時のキャピタルゲインのプロフィット・シェアである変動フィーで構成され、これまでの実績から8~10%としている。GMVは調達時点(ファンド成約時点)の数値で集計・公表される一方で、「CREAL」の売上高及び売上総利益への計上は取引決済時点(物件売却時点)で行われることから、GMVの成約から売上総利益の計上までに多くのファンドでおおむね1年前後のタイムラグが生じる。このため、GMVは「CREAL」のサービスの規模を示すとともに、売上総利益の先行指標となるため、KPIのなかでも重要なものである。一方で、「CREAL PB」の売上総利益は売上高×利益率で算出される。また、「CREAL PRO」はフィービジネスが主体であることから、売上の大部分が売上総利益となる。主力の「CREAL」の売上総利益は全体の40.3%を占め、同社の利益成長に大きく貢献することから、同社はGMVと投資家数を特に重要視しているほか、リピート投資率、売上総利益等もKPIとして設定している。
同社が特に重要視しているKPIであるGMVは累計476.2億円(前期比72.8%増)と大きく成長した(2024年3月期の獲得GMVは200.7億円)。GMVの基盤となる重要な要素である累計投資家数も63,879人(前期比56.3%増)と大きく伸長した。
GMVに関する重要指標の1つである「CREAL」投資家のリピート投資率※は88.5%と前年同四半期比1.3ポイントの低下となったが、依然として高い水準を保っている。リピート投資率は新規投資家の投資割合にもよるため、新規投資家の獲得施策等の状況等によっては減少する場合があることを考慮すると、既存投資家による投資割合は引き続き高水準であり、新規投資家の獲得も順調と言えるだろう。
※ 過去1年間に投資実績がある投資家の投資金額が該当四半期のGMVに占める割合。
なお「CREAL」は、ファンド運営終了後も償還された金額と同水準、もしくはそれ以上の金額を新ファンドへ再投資するロイヤリティの高いユーザー層の獲得に成功していることから、SaaSに近い安定積み上げ型モデルの収益構造となっていることがうかがえる。今後はSBIホールディングスとの提携強化によって、さらにGMV及び累計投資家数の成長が想定され、再投資プラス新規投資のループも大きく拡大するものと予想される。「CREAL」は成長性と安定性を内包し、同社事業全体の成長ドライバーとして、さらなる高い成長ポテンシャルを有するサービスになると弊社ではみている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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1. 2024年3月期の業績動向
2024年3月期の連結業績は、売上高21,044百万円(前期比28.0%増)、売上総利益3,562百万円(同61.4%増)、営業利益980百万円(同79.1%増)、経常利益941百万円(同89.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益647百万円(同92.6%増)と、売上高は前期比3割弱の増収を見せ、各利益も大幅な増益を達成した。特にクリアル<2998>がKPIのなかでも最重要視している売上総利益は売上高の増加率を超える前期比6割強と大幅な利益伸長を見せた。これは、「CREAL」において一括バルク売却から個別売却へ転換し、利益率が大幅に向上したことが最大の要因であるほか、「CREAL PRO」の取引規模が2倍近くまで伸びたことによる。この結果、広告宣伝費や人件費といった積極的な成長投資を吸収し、各利益においても大幅な増益となった。KPIについても、累計投資家数は63,879人(同56.3%増)、累計GMVは476.2億円(同72.8%増)と順調な進捗を見せた。
2. サービス別業績動向
「CREAL」は、売上高10,974百万円(前期比7.3%増)、売上総利益1,437百万円(同48.9%増)となった。これまでは機関投資家が投資する不動産ファンド償還時に発生する複数の物件を一括売却(バルク売却)することを前提に事業計画を設定していたが、主に外資系の不動産ファンドの活動が総じて低調だったことから、売却計画を見直し、個別に売却する方針に変えた。その結果、売上総利益率が13.1%(同3.7ポイント増)に上昇し、売上総利益は売上高の増加率を上回る大幅な増益で着地した。
「CREAL PRO」は、売上高2,582百万円(前期比87.0%増)、売上総利益1,272百万円(同82.8%増)となった。海外機関投資家を対象に国内レジデンスを複数組み入れたファンドを組成したことによるAUM(運用資産残高)の増加に伴うアセットマネジメントフィーや、富裕層投資家に対する物件の仲介手数料のほか、同社が保有していた物件の売却が大きく貢献し、大幅な増収増益となった。「CREAL PRO」は、「CREAL」がニュースサイトや機関誌で取り上げられて知名度が上ったことで大型物件の取引にもつながり、成長を加速している。
「CREAL PB」は、売上高7,163百万円(前期比56.5%増)、売上総利益637百万円(同50.7%増)となった。DXを有効に活用した販売方法で、都心中心の中古ワンルームマンション(区分レジデンス)の販売戸数を伸ばし、大幅な増収増益を達成した。実物不動産投資ニーズの高さを示す結果となったものの、「CREAL PB」の売上総利益率は9.2%から8.9%とやや低下したことから、競争激化により都心一等地での良質物件の仕入れが難しくなってきていると弊社ではみている。
3. KPIの動向
前述のとおり、「CREAL」の売上総利益はGMV×Take Rateから成る。このうちTake Rateは、案件組成手数料、ファンド運用手数料、償還手数料からなる確定フィーと、ファンドの外部売却時のキャピタルゲインのプロフィット・シェアである変動フィーで構成され、これまでの実績から8~10%としている。GMVは調達時点(ファンド成約時点)の数値で集計・公表される一方で、「CREAL」の売上高及び売上総利益への計上は取引決済時点(物件売却時点)で行われることから、GMVの成約から売上総利益の計上までに多くのファンドでおおむね1年前後のタイムラグが生じる。このため、GMVは「CREAL」のサービスの規模を示すとともに、売上総利益の先行指標となるため、KPIのなかでも重要なものである。一方で、「CREAL PB」の売上総利益は売上高×利益率で算出される。また、「CREAL PRO」はフィービジネスが主体であることから、売上の大部分が売上総利益となる。主力の「CREAL」の売上総利益は全体の40.3%を占め、同社の利益成長に大きく貢献することから、同社はGMVと投資家数を特に重要視しているほか、リピート投資率、売上総利益等もKPIとして設定している。
同社が特に重要視しているKPIであるGMVは累計476.2億円(前期比72.8%増)と大きく成長した(2024年3月期の獲得GMVは200.7億円)。GMVの基盤となる重要な要素である累計投資家数も63,879人(前期比56.3%増)と大きく伸長した。
GMVに関する重要指標の1つである「CREAL」投資家のリピート投資率※は88.5%と前年同四半期比1.3ポイントの低下となったが、依然として高い水準を保っている。リピート投資率は新規投資家の投資割合にもよるため、新規投資家の獲得施策等の状況等によっては減少する場合があることを考慮すると、既存投資家による投資割合は引き続き高水準であり、新規投資家の獲得も順調と言えるだろう。
※ 過去1年間に投資実績がある投資家の投資金額が該当四半期のGMVに占める割合。
なお「CREAL」は、ファンド運営終了後も償還された金額と同水準、もしくはそれ以上の金額を新ファンドへ再投資するロイヤリティの高いユーザー層の獲得に成功していることから、SaaSに近い安定積み上げ型モデルの収益構造となっていることがうかがえる。今後はSBIホールディングスとの提携強化によって、さらにGMV及び累計投資家数の成長が想定され、再投資プラス新規投資のループも大きく拡大するものと予想される。「CREAL」は成長性と安定性を内包し、同社事業全体の成長ドライバーとして、さらなる高い成長ポテンシャルを有するサービスになると弊社ではみている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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