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USENNEX Research Memo(11):早くもベースケースを達成見込み。次期の中期経営計画が視野に
配信日時:2023/12/11 15:11
配信元:FISCO
*15:11JST USENNEX Research Memo(11):早くもベースケースを達成見込み。次期の中期経営計画が視野に
■USEN-NEXT HOLDINGS<9418>の中期経営計画
1. 中期経営計画の進捗
2025年8月期を目標に2022年2月に策定された中期経営計画「Road to 2025」であったが、2023年8月期に早くも一部の指標でベースケースを達成してしまった。ここまで述べてきたように各セグメントで業績が好調だったことから、これまでの成長戦略の大きな成果と言えよう。このため、2024年8月期はアップサイドケースの達成に尽くしたうえ、2025年8月期の予算を組む過程で次期の中期経営計画を策定することになりそうだ。
次期の中期経営計画の発表は、早くて2024年8月期本決算あたりということになろう。内容は、コンテンツ配信事業の成長などこれまでの成長戦略を継続しつつ、金融など新規事業の拡大もターゲットに入ってくると想定される。その際、M&Aなど投資を強めると予想されるが、2023年8月期までの収益性・成長性・財務体質の改善を背景にしたシンジケートローンのリファイナンスにより、定性面・定量面ともに借入条件が緩和したことから、より柔軟な成長投資が可能になったと考えられる。以下で、経営統合以降の成長戦略も表象している「Road to 2025」について要約する。いずれも目下推進している戦略である。
店舗・施設やライフスタイルのDXを推進
2. 中期経営計画「Road to 2025」の要約
同社は、音楽配信で培った顧客基盤などの経営資源を生かし、価値創造プロセスをより高度化した店舗・施設やライフスタイルのDXを推進することを目標としている。また、既存事業の収益力・成長力の強化、M&Aなどを活用した非連続成長、規律を維持した柔軟な財務戦略、安定・継続的な株主還元の推進による企業価値の向上を目指している。各事業の市場特性や成長性が異なるため、セグメント別の戦略が重要なポイントとなる。
事業セグメントをキャッシュカウ事業、安定成長事業、高成長事業に分類して事業ポートフォリオマネジメントを行っており、キャッシュカウ事業から高成長事業へ成長資金を還流するという従来からの方針に変わりはない。なお、キャッシュカウ事業は店舗サービス事業の音楽配信で、安定成長事業は業務用システム事業と通信事業(うち法人向けICT)、高成長事業はコンテンツ配信事業と店舗DX(店舗サービス事業のうちPOSレジやWi-Fi、キャッシュレスなど)に分類し、セグメント別に成長戦略を組んでいる。
コンテンツ配信事業では、動画配信市場は成長市場であるがゆえに競争が激しいため、競争優位の源泉である「カバレッジ戦略」と「ONLY ON戦略」を一層強化して差別化を推進する。併せて音楽配信サービスで関係の深い音楽ライブや音楽コンテンツなど映像以外の独自配信を本格化し、漫画や小説などのオリジナル電子書籍で人気の出たIPを映像化などによってマネタイズしていく。こうした映像や書籍、音楽、ライブなど競争力が強い同社のコンテンツを、1つのアプリで楽しめるオールインワン・エンタテイメントを強化する。店舗サービス事業は、高成長を見込む店舗DXを中心に戦略を組んでおり、音楽配信は横ばいから微減となる想定である。最も注力するのはWi-Fiなど通信環境構築やPOSレジといったスマートデバイスで、店舗のフロントからバックオフィスまでの業務を引き続きワンストップで支援する。また、販売から保守まで一貫対応することでアップセルも推進する。
通信事業の法人向けICT/SaaSでは、複雑化するセキュリティ対策支援やBCP対策にもなるクラウド/データセンターの保守運用の受託に注力する。デジタルインフラにはラインアップの拡充で、オフィス環境の改善には新サービスの開発で対応する。営業面では、デジタルマーケティングを強化することで新たな見込み顧客を創出するとともに、オンライン商談やインサイドセールスなど時代に即した新たな営業手法を確立する。業務店向け光回線は取次から好採算の自社回線へのスイッチを一層促進するとともに、IoT/DX商材のアップセルを加速する。業務用システム事業では、既存顧客のホテルや総合病院に対して、非対面・非接触や省人化・効率化といったニーズを踏まえてDX支援を強化し、インバウンド回復やマイナカード、新紙幣対応などのニーズを着実に取り込み、あわせてゴルフ場などの隣接市場もターゲットとしていく。エネルギー事業では自社調達モデルで高収益の「U-POWER」を強化し、なかでも競争力の強いSDGs対応のグリーンエネルギーの供給拡大に注力する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SO>
1. 中期経営計画の進捗
2025年8月期を目標に2022年2月に策定された中期経営計画「Road to 2025」であったが、2023年8月期に早くも一部の指標でベースケースを達成してしまった。ここまで述べてきたように各セグメントで業績が好調だったことから、これまでの成長戦略の大きな成果と言えよう。このため、2024年8月期はアップサイドケースの達成に尽くしたうえ、2025年8月期の予算を組む過程で次期の中期経営計画を策定することになりそうだ。
次期の中期経営計画の発表は、早くて2024年8月期本決算あたりということになろう。内容は、コンテンツ配信事業の成長などこれまでの成長戦略を継続しつつ、金融など新規事業の拡大もターゲットに入ってくると想定される。その際、M&Aなど投資を強めると予想されるが、2023年8月期までの収益性・成長性・財務体質の改善を背景にしたシンジケートローンのリファイナンスにより、定性面・定量面ともに借入条件が緩和したことから、より柔軟な成長投資が可能になったと考えられる。以下で、経営統合以降の成長戦略も表象している「Road to 2025」について要約する。いずれも目下推進している戦略である。
店舗・施設やライフスタイルのDXを推進
2. 中期経営計画「Road to 2025」の要約
同社は、音楽配信で培った顧客基盤などの経営資源を生かし、価値創造プロセスをより高度化した店舗・施設やライフスタイルのDXを推進することを目標としている。また、既存事業の収益力・成長力の強化、M&Aなどを活用した非連続成長、規律を維持した柔軟な財務戦略、安定・継続的な株主還元の推進による企業価値の向上を目指している。各事業の市場特性や成長性が異なるため、セグメント別の戦略が重要なポイントとなる。
事業セグメントをキャッシュカウ事業、安定成長事業、高成長事業に分類して事業ポートフォリオマネジメントを行っており、キャッシュカウ事業から高成長事業へ成長資金を還流するという従来からの方針に変わりはない。なお、キャッシュカウ事業は店舗サービス事業の音楽配信で、安定成長事業は業務用システム事業と通信事業(うち法人向けICT)、高成長事業はコンテンツ配信事業と店舗DX(店舗サービス事業のうちPOSレジやWi-Fi、キャッシュレスなど)に分類し、セグメント別に成長戦略を組んでいる。
コンテンツ配信事業では、動画配信市場は成長市場であるがゆえに競争が激しいため、競争優位の源泉である「カバレッジ戦略」と「ONLY ON戦略」を一層強化して差別化を推進する。併せて音楽配信サービスで関係の深い音楽ライブや音楽コンテンツなど映像以外の独自配信を本格化し、漫画や小説などのオリジナル電子書籍で人気の出たIPを映像化などによってマネタイズしていく。こうした映像や書籍、音楽、ライブなど競争力が強い同社のコンテンツを、1つのアプリで楽しめるオールインワン・エンタテイメントを強化する。店舗サービス事業は、高成長を見込む店舗DXを中心に戦略を組んでおり、音楽配信は横ばいから微減となる想定である。最も注力するのはWi-Fiなど通信環境構築やPOSレジといったスマートデバイスで、店舗のフロントからバックオフィスまでの業務を引き続きワンストップで支援する。また、販売から保守まで一貫対応することでアップセルも推進する。
通信事業の法人向けICT/SaaSでは、複雑化するセキュリティ対策支援やBCP対策にもなるクラウド/データセンターの保守運用の受託に注力する。デジタルインフラにはラインアップの拡充で、オフィス環境の改善には新サービスの開発で対応する。営業面では、デジタルマーケティングを強化することで新たな見込み顧客を創出するとともに、オンライン商談やインサイドセールスなど時代に即した新たな営業手法を確立する。業務店向け光回線は取次から好採算の自社回線へのスイッチを一層促進するとともに、IoT/DX商材のアップセルを加速する。業務用システム事業では、既存顧客のホテルや総合病院に対して、非対面・非接触や省人化・効率化といったニーズを踏まえてDX支援を強化し、インバウンド回復やマイナカード、新紙幣対応などのニーズを着実に取り込み、あわせてゴルフ場などの隣接市場もターゲットとしていく。エネルギー事業では自社調達モデルで高収益の「U-POWER」を強化し、なかでも競争力の強いSDGs対応のグリーンエネルギーの供給拡大に注力する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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