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カラダノート Research Memo(4):2023年7月期はストック型ビジネスへの転換に注力(1)
配信日時:2023/11/16 17:14
配信元:FISCO
*17:14JST カラダノート Research Memo(4):2023年7月期はストック型ビジネスへの転換に注力(1)
■業績推移
1. 2023年7月期の業績概要
カラダノート<4014>の2023年7月期の決算は、売上高2,056百万円(前期比57.4%増)、営業損失137百万円(前期は 205百万円の損失)、経常損失131百万円(同202百万円の損失)、当期純損失272百万円(同271百万円の損失)となった。2023年6月に公表した修正予想に対して、売上高、営業損失、経常損失はほぼ予想どおりに着地したが、当期純損失は減損損失など特別損失141百万円を計上したため予想を114百万円下回った。
フロー型ビジネスからストック型ビジネスへのビジネスモデル転換を進めるべく注力し、家族サポート事業(保険代理事業「かぞくの保険」、宅配水事業「カラダノートウォーター」)の契約数が、2023年7月期末で、前期末比5,596人増の8,707人となり、売上高は伸長した。フロー型ビジネスのライフイベントマーケティング事業においては、ヘアケア・衛生用品関連商材への送客が前期に続き好調な推移を見せた。家族パートナーシップ事業においては、大手企業に対する顧客獲得のためのマーケティング支援案件、データ活用のためのDX支援案件、各種PoC案件の受注・完了が好調に推移した。その結果、各事業の売上高合計は前期比1.5倍超の増収となった。利益面では、収益性の高いストック型ビジネスやPoC案件の売上構成比率が高まったことから、売上総利益率が73.7%と同3.5ポイント上昇した。その一方で、広告宣伝費やインサイドセールス体制強化のための外注費など、ビジネスモデル転換に向けた先行投資を進めたため、販管費が同47.4%増加し、前期に続いて営業損失となった。ただし、第4四半期会計期間では、大手企業とのPoC案件や子育て領域の改善などのPoC案件がいくつか完了したため、8四半期ぶりに営業黒字10百万円を計上した。
家族サポート事業の契約者数は、期初計画11,500人に対して進捗が大きく遅れた。そのため、CAC※が高止まりしていた宅配水事業のインサイドセールス部隊への業務委託を一律削減したほか、クロスセルの強化を図るため事業別となっていたインサイドセールス体制を統合した。これにより、業務委託の契約解約損47百万円を特別損失に計上した。さらに、2期連続の損失により将来キャッシュフローに基づく使用価値がマイナスとなる、業務委託先に支払っていた前払費用(事業用資産計上)77百万円や他の事業用資産17百万円も、減損損失として特別損失に計上した。この損失はサンクコストであるため、償却負担がない。今後は、インサイドセールス体制の生産性向上、法人顧客の獲得や取次代理店といった代替ルートなど従前よりも効率的な契約獲得施策を展開することで、収益向上を目指すものと弊社では判断している。
※CAC:Customer Acquisition Costの略=顧客獲得単価
2. 事業別業績
家族サポート事業への経営資源の集中投入、並びに家族パートナーシップ事業における大手企業に対するマーケティング支援案件、各種PoC案件の受注・完了が好調に推移したため、両事業の売上高合計は前期比で約4.3倍となった。一方、ライフイベントマーケティング事業においても、住宅関連企業を含めて積極的に提携企業の拡大を図ったことで送客手数料を積み上げ、売上高は前期比20.7%増と好調に推移した。
(1) 家族サポート事業
家族サポート事業の2023年7月期末契約者数は、8,707人と前期末比5,596人増加したが、期初計画の約11,500人には及ばなかった。契約者数は、保険代理事業と宅配水事業の合算で開示されており、保険代理事業は商品となる生命保険の特性上、契約までのリードタイムが長いため、新規契約者数の積み上がりは宅配水事業が中心となっているようだ。しかし宅配水事業では、前期第4四半期に電気製品など大きなインセンティブを付与したWeb獲得施策を実施したため短期解約者が急増したこと、第3四半期にインサイドセールスの体制が逼迫し出荷前キャンセルや解約が増加したことなどにより、期初計画に対する進捗に大幅に遅れが発生した。期初よりインサイドセールスの外注人員を増やしインサイドセールス体制拡充を優先してきたが、結果として獲得効率が計画には及ばなかった。これを受けて、第4四半期にCACが高止まりしていた業務委託インサイドセールス部隊を一律削減した。
今後は、事業別のインサイドセールス体制を統合し、保険などとのクロスセルを行うとともに、法人顧客の獲得や成果型の取次店ルートに注力する方針である。また、保険代理事業での契約者数も期初計画を下回った。ライフプラン相談のアポ数は月1,000件~1,500件と多く、期初から自社人員の増強、共同募集先の拡大を進めてきた。しかし、共同募集先の拡大は人材面での問題などから、逆に獲得効率を低下させる結果となり、2023年4月より自社での単独募集も開始した。ただ、単独募集だけではアポを捌き切れないため、今はまだ共同募集先との併走が必要な状況にある。今後は、自社FPの増員・強化により単独募集体制を強化する方針である。
なお、2023年6月には、様々な化粧品・生活用品をお得に試せる定期配送ボックス「カゾトク!-かぞくにおトクなお試しボックス-」の販売も開始した。2ヶ月に1回、同社の提携企業から提供された最大13,000円相当の化粧品・生活用品の詰め合わせを自宅に配送するサブスクリプションサービスであり、新たな販路開拓の機会を探している企業と同社の家族ユーザーをマッチングさせている。
保険代理事業、宅配水事業を合算したARPU※は、第4四半期で7,150円と前年同期比33.8%低下しており、期初計画約8,000円を下回った。これは、保険代理事業のビジネスモデルに起因している。保険代理店手数料は、契約初年度の成約手数料が高く次年度以降は少額となるL字型であるため、次年度の契約者が増加することにより、ARPUが低下する。また、宅配水事業のARPUが月4,000円前後と保険代理事業に対して安価であり、保険の獲得が遅延し宅配水事業の構成比が高まったことによって全体のARPUが低下した。
※ARPU:Average Revenue Per Userの略。顧客1人当たりの平均売上高。
解約率については、第4四半期で1.28%と前年同期より0.22pt高くなっているものの、同社では想定の範囲内と考えている。第1四半期に4.29%と悪化しているが、これは宅配水事業において、前期第4四半期に実施した、家電製品をインセンティブとしたウェブ獲得施策によって早期解約が増加したためである。同施策は第2四半期に停止し、早期解約は収束した。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<AS>
1. 2023年7月期の業績概要
カラダノート<4014>の2023年7月期の決算は、売上高2,056百万円(前期比57.4%増)、営業損失137百万円(前期は 205百万円の損失)、経常損失131百万円(同202百万円の損失)、当期純損失272百万円(同271百万円の損失)となった。2023年6月に公表した修正予想に対して、売上高、営業損失、経常損失はほぼ予想どおりに着地したが、当期純損失は減損損失など特別損失141百万円を計上したため予想を114百万円下回った。
フロー型ビジネスからストック型ビジネスへのビジネスモデル転換を進めるべく注力し、家族サポート事業(保険代理事業「かぞくの保険」、宅配水事業「カラダノートウォーター」)の契約数が、2023年7月期末で、前期末比5,596人増の8,707人となり、売上高は伸長した。フロー型ビジネスのライフイベントマーケティング事業においては、ヘアケア・衛生用品関連商材への送客が前期に続き好調な推移を見せた。家族パートナーシップ事業においては、大手企業に対する顧客獲得のためのマーケティング支援案件、データ活用のためのDX支援案件、各種PoC案件の受注・完了が好調に推移した。その結果、各事業の売上高合計は前期比1.5倍超の増収となった。利益面では、収益性の高いストック型ビジネスやPoC案件の売上構成比率が高まったことから、売上総利益率が73.7%と同3.5ポイント上昇した。その一方で、広告宣伝費やインサイドセールス体制強化のための外注費など、ビジネスモデル転換に向けた先行投資を進めたため、販管費が同47.4%増加し、前期に続いて営業損失となった。ただし、第4四半期会計期間では、大手企業とのPoC案件や子育て領域の改善などのPoC案件がいくつか完了したため、8四半期ぶりに営業黒字10百万円を計上した。
家族サポート事業の契約者数は、期初計画11,500人に対して進捗が大きく遅れた。そのため、CAC※が高止まりしていた宅配水事業のインサイドセールス部隊への業務委託を一律削減したほか、クロスセルの強化を図るため事業別となっていたインサイドセールス体制を統合した。これにより、業務委託の契約解約損47百万円を特別損失に計上した。さらに、2期連続の損失により将来キャッシュフローに基づく使用価値がマイナスとなる、業務委託先に支払っていた前払費用(事業用資産計上)77百万円や他の事業用資産17百万円も、減損損失として特別損失に計上した。この損失はサンクコストであるため、償却負担がない。今後は、インサイドセールス体制の生産性向上、法人顧客の獲得や取次代理店といった代替ルートなど従前よりも効率的な契約獲得施策を展開することで、収益向上を目指すものと弊社では判断している。
※CAC:Customer Acquisition Costの略=顧客獲得単価
2. 事業別業績
家族サポート事業への経営資源の集中投入、並びに家族パートナーシップ事業における大手企業に対するマーケティング支援案件、各種PoC案件の受注・完了が好調に推移したため、両事業の売上高合計は前期比で約4.3倍となった。一方、ライフイベントマーケティング事業においても、住宅関連企業を含めて積極的に提携企業の拡大を図ったことで送客手数料を積み上げ、売上高は前期比20.7%増と好調に推移した。
(1) 家族サポート事業
家族サポート事業の2023年7月期末契約者数は、8,707人と前期末比5,596人増加したが、期初計画の約11,500人には及ばなかった。契約者数は、保険代理事業と宅配水事業の合算で開示されており、保険代理事業は商品となる生命保険の特性上、契約までのリードタイムが長いため、新規契約者数の積み上がりは宅配水事業が中心となっているようだ。しかし宅配水事業では、前期第4四半期に電気製品など大きなインセンティブを付与したWeb獲得施策を実施したため短期解約者が急増したこと、第3四半期にインサイドセールスの体制が逼迫し出荷前キャンセルや解約が増加したことなどにより、期初計画に対する進捗に大幅に遅れが発生した。期初よりインサイドセールスの外注人員を増やしインサイドセールス体制拡充を優先してきたが、結果として獲得効率が計画には及ばなかった。これを受けて、第4四半期にCACが高止まりしていた業務委託インサイドセールス部隊を一律削減した。
今後は、事業別のインサイドセールス体制を統合し、保険などとのクロスセルを行うとともに、法人顧客の獲得や成果型の取次店ルートに注力する方針である。また、保険代理事業での契約者数も期初計画を下回った。ライフプラン相談のアポ数は月1,000件~1,500件と多く、期初から自社人員の増強、共同募集先の拡大を進めてきた。しかし、共同募集先の拡大は人材面での問題などから、逆に獲得効率を低下させる結果となり、2023年4月より自社での単独募集も開始した。ただ、単独募集だけではアポを捌き切れないため、今はまだ共同募集先との併走が必要な状況にある。今後は、自社FPの増員・強化により単独募集体制を強化する方針である。
なお、2023年6月には、様々な化粧品・生活用品をお得に試せる定期配送ボックス「カゾトク!-かぞくにおトクなお試しボックス-」の販売も開始した。2ヶ月に1回、同社の提携企業から提供された最大13,000円相当の化粧品・生活用品の詰め合わせを自宅に配送するサブスクリプションサービスであり、新たな販路開拓の機会を探している企業と同社の家族ユーザーをマッチングさせている。
保険代理事業、宅配水事業を合算したARPU※は、第4四半期で7,150円と前年同期比33.8%低下しており、期初計画約8,000円を下回った。これは、保険代理事業のビジネスモデルに起因している。保険代理店手数料は、契約初年度の成約手数料が高く次年度以降は少額となるL字型であるため、次年度の契約者が増加することにより、ARPUが低下する。また、宅配水事業のARPUが月4,000円前後と保険代理事業に対して安価であり、保険の獲得が遅延し宅配水事業の構成比が高まったことによって全体のARPUが低下した。
※ARPU:Average Revenue Per Userの略。顧客1人当たりの平均売上高。
解約率については、第4四半期で1.28%と前年同期より0.22pt高くなっているものの、同社では想定の範囲内と考えている。第1四半期に4.29%と悪化しているが、これは宅配水事業において、前期第4四半期に実施した、家電製品をインセンティブとしたウェブ獲得施策によって早期解約が増加したためである。同施策は第2四半期に停止し、早期解約は収束した。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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