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propetec Research Memo(4):「リアル×テクノロジー」で顧客へ住まい・サービスを提供(2)
配信日時:2023/11/16 15:54
配信元:FISCO
*15:54JST propetec Research Memo(4):「リアル×テクノロジー」で顧客へ住まい・サービスを提供(2)
■property technologies<5527>の事業概要
(2) 業務支援SaaS事業
もともとは社内外で有効であった「KAITRYプラットフォーム」の一部を、要望により開放したことから始まった事業である。価格査定や価格の元となる不動産情報を整理・提供することを可能にし、顧客の業務の効率化を支援するサービスを提供している。有償利用についてはサブスクリプション(月額制)で提供しているため、安定した収益を得ることができる。利用できる端末デバイスは多く、外出していても利用が可能である。ユーザーから見れば、ソフトウェアを自前で導入した場合には多額の設備投資が必要となるが、SaaSであれば少額での利用が可能で、柔軟性とコスト削減のメリットがあり、経営課題としての業務効率化・DXに速やかに対応できる。
同社グループは「AI査定」を基に算出する“成約価格”を武器に物件の買取価格を速やかに提供することで「マンション買取再販」における仕入強化を進めてきた。この「速やかな買取価格提示」は、査定価格を提供する仲介会社にとって物件保有者から媒介契約を獲得するための武器となるため、この仕組みを開放してほしいという要望が増加した。査定された物件価格の情報をいち早く取り扱うことで、他社よりも先に商談ができる可能性が上がるためだ。データベースとAI査定の仕組みは、価格査定の裏にある査定根拠となる情報整理を容易にする。これを書面にして提供する機能(仲介会社は自社提案書としてエンド顧客への営業に活用できる)を加え、仲介会社向けSaaSサービスとしてリリースしたのが「HOMENET Pro」である。
同事業の特長は、物件仕入に貢献している点である。たとえば、ある不動産会社(仲介会社)の営業員がマンションの査定にSaaSサービスを通して「AI査定」を使用すると同社でその情報を瞬時に捕捉できる。査定したマンションが、同社が得意とするエリアや価格帯の物件であれば、不動産会社からの打診を待つことなく同社から直接仕入に向けた働きかけを開始できる。このようなアプローチで「マンション買取再販」を進めている業者は同社だけであり、同社の仕入力に大きく寄与している。
a) 不動産取引の業務支援ツール「HOMENET Pro」
前述のとおり社内の業務効率化を図る目的でデータベースとAIの組み合わせを高度化するなかで、仲介会社からの要請を受けてパッケージ化し、不動産取引の業務支援ツールとして提供し始めたものが「HOMENET Pro」である。2023年8月末時点の有料契約導入件数は85拠点にのぼる。価格査定の利用は進んでおり1,772件(2023年8月末時点)の査定を行っている。このシステムも仕入に寄与している。
仲介事業者向けの「HOMENET Pro」のアカウント数(有料+無料)については、2022年11月のサービス提供以降は上昇傾向にあり、2023年8月末時点で5,755件となっている。同社グループのシステムに登録されている取引仲介会社8,100拠点のうち、相当割合が小規模な仲介会社であるため、有料アカウントを伸ばすためにはさらなる有用な機能追加が必要である。同社は、まず無料アカウントを伸ばしつつ、新たなサービス機能の開発に取り組む予定である。これにより有料アカウントを増やし、利用料収入を得るとともに、「HOMENET Pro」経由の査定を仕入につなげていく。
b) 金融機関向け「KAITRY finance」
金融機関は、金融サービスを提案する際に融資先企業や提案先法個人の保有資産背景を理解することが必要である。不動産資産に関しては価格を調査するためにネット情報や路線価、不動産会社の情報を活用している。しかし、これには個々の情報を収集する手間や時間がかかっていた。そうした課題を受けて、同社は「HOMENET Pro」をカスタマイズした金融機関向けSaaSサービス「KAITRY finance」を2023年7月にリリースした。AI価格査定と不動産価格調査書の作成機能を提供するもので、金融機関の融資関連業務や個人向けコンサルティング業務のDXが進展するほか、総合的なコンサルティング提供に寄与する。
「KAITRY finance」リリースの背景には、みずほ銀行から寄せられた課題を同社システムで解決したことが元となっている。2023年8月にはみずほ信託銀行が導入に向けた運用を開始し、同年9月には北海道銀行が導入を開始した。
業務効率化は金融機関共通の課題である。しかし業務フローは様々で、特に情報セキュリティが重視されることから金融機関ごとにカスタマイズしたシステムを納入する形となる。金融機関に導入されれば長期間の活用が期待できることに加え、新機能の開発によりサービスの幅が広がることが期待される。同社はサービス拡張を視野に入れ「HOMENET Pro」リリース以降開発インフラ整備を進めている。
c) 士業向け「KAITRY professional」
「KAITRYプラットフォーム」の機能を、課題を抱える弁護士・司法書士・税理士等の士業にも活用できるように転用した「KAITRY professional」のサービス提供を2023年8月に開始した。弁護士・司法書士・税理士等の士業は、相続や離婚などの相談が持ち込まれた際に不動産をはじめとする財産処分価格の目安の算出が必要になることがある。この価格には客観性が求められ、不動産の場合は複数の不動産会社に調査を依頼する必要があるなど手間と時間がかかることが課題であった。「KAITRY professional」により不動産関連の業務効率化が進むことから、士業向けの導入が期待される。「KAITRY professional」は同社グループ会社による不動産買取価格(現在は区分所有マンションのみ提供)も提示できるため、不動産の処分が必要になった際の早期解決にも寄与し、延いては同社グループの新たな仕入ルートとなることも期待される。
(3) iBuyerビジネス「KAITRY」
同社は2021年7月から個人向けオンライン買取再販用ポータルサイト「KAITRY」の運用を行っている。利用者数は月間340人ほどである。このサイトにマンション名を入力すると個人の顧客に「AI査定」が提示した金額が示される。エンドユーザーが直ちにマンションの売却価格を知ることができるほか、工夫したマンション売却方法が提案され、また短期間で売却を完了できることから、手軽な売却や住み替えを求める顧客ニーズに対応している。サービス開始からの2年間で使い勝手の改良に取り組んだことで、現在では月5件程度の安定した仕入取引を行っている。これはホームネットが新たに開設する店舗の2年目の仕入数に匹敵する。2023年8月には、全国7,511,500戸の区分マンションのうち6,837,202戸(約91%)が査定対応可能となった。2023年10月には、物件販売ページに全面リニューアルを実施し、直接販売への新たな動きも本格的に進んでいる。SNSによるマーケティング展開、テレビCMによる認知度拡大等の調査を進めていること、テレビ東京の経済ニュース番組『WBS(ワールドビジネスサテライト)』にサービスが取り上げられた際に多くの反響があったこと(2日間で査定依頼が約500件)などから、ビジネスの本格展開に向けた今後の取り組みが期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清野克純)
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(2) 業務支援SaaS事業
もともとは社内外で有効であった「KAITRYプラットフォーム」の一部を、要望により開放したことから始まった事業である。価格査定や価格の元となる不動産情報を整理・提供することを可能にし、顧客の業務の効率化を支援するサービスを提供している。有償利用についてはサブスクリプション(月額制)で提供しているため、安定した収益を得ることができる。利用できる端末デバイスは多く、外出していても利用が可能である。ユーザーから見れば、ソフトウェアを自前で導入した場合には多額の設備投資が必要となるが、SaaSであれば少額での利用が可能で、柔軟性とコスト削減のメリットがあり、経営課題としての業務効率化・DXに速やかに対応できる。
同社グループは「AI査定」を基に算出する“成約価格”を武器に物件の買取価格を速やかに提供することで「マンション買取再販」における仕入強化を進めてきた。この「速やかな買取価格提示」は、査定価格を提供する仲介会社にとって物件保有者から媒介契約を獲得するための武器となるため、この仕組みを開放してほしいという要望が増加した。査定された物件価格の情報をいち早く取り扱うことで、他社よりも先に商談ができる可能性が上がるためだ。データベースとAI査定の仕組みは、価格査定の裏にある査定根拠となる情報整理を容易にする。これを書面にして提供する機能(仲介会社は自社提案書としてエンド顧客への営業に活用できる)を加え、仲介会社向けSaaSサービスとしてリリースしたのが「HOMENET Pro」である。
同事業の特長は、物件仕入に貢献している点である。たとえば、ある不動産会社(仲介会社)の営業員がマンションの査定にSaaSサービスを通して「AI査定」を使用すると同社でその情報を瞬時に捕捉できる。査定したマンションが、同社が得意とするエリアや価格帯の物件であれば、不動産会社からの打診を待つことなく同社から直接仕入に向けた働きかけを開始できる。このようなアプローチで「マンション買取再販」を進めている業者は同社だけであり、同社の仕入力に大きく寄与している。
a) 不動産取引の業務支援ツール「HOMENET Pro」
前述のとおり社内の業務効率化を図る目的でデータベースとAIの組み合わせを高度化するなかで、仲介会社からの要請を受けてパッケージ化し、不動産取引の業務支援ツールとして提供し始めたものが「HOMENET Pro」である。2023年8月末時点の有料契約導入件数は85拠点にのぼる。価格査定の利用は進んでおり1,772件(2023年8月末時点)の査定を行っている。このシステムも仕入に寄与している。
仲介事業者向けの「HOMENET Pro」のアカウント数(有料+無料)については、2022年11月のサービス提供以降は上昇傾向にあり、2023年8月末時点で5,755件となっている。同社グループのシステムに登録されている取引仲介会社8,100拠点のうち、相当割合が小規模な仲介会社であるため、有料アカウントを伸ばすためにはさらなる有用な機能追加が必要である。同社は、まず無料アカウントを伸ばしつつ、新たなサービス機能の開発に取り組む予定である。これにより有料アカウントを増やし、利用料収入を得るとともに、「HOMENET Pro」経由の査定を仕入につなげていく。
b) 金融機関向け「KAITRY finance」
金融機関は、金融サービスを提案する際に融資先企業や提案先法個人の保有資産背景を理解することが必要である。不動産資産に関しては価格を調査するためにネット情報や路線価、不動産会社の情報を活用している。しかし、これには個々の情報を収集する手間や時間がかかっていた。そうした課題を受けて、同社は「HOMENET Pro」をカスタマイズした金融機関向けSaaSサービス「KAITRY finance」を2023年7月にリリースした。AI価格査定と不動産価格調査書の作成機能を提供するもので、金融機関の融資関連業務や個人向けコンサルティング業務のDXが進展するほか、総合的なコンサルティング提供に寄与する。
「KAITRY finance」リリースの背景には、みずほ銀行から寄せられた課題を同社システムで解決したことが元となっている。2023年8月にはみずほ信託銀行が導入に向けた運用を開始し、同年9月には北海道銀行が導入を開始した。
業務効率化は金融機関共通の課題である。しかし業務フローは様々で、特に情報セキュリティが重視されることから金融機関ごとにカスタマイズしたシステムを納入する形となる。金融機関に導入されれば長期間の活用が期待できることに加え、新機能の開発によりサービスの幅が広がることが期待される。同社はサービス拡張を視野に入れ「HOMENET Pro」リリース以降開発インフラ整備を進めている。
c) 士業向け「KAITRY professional」
「KAITRYプラットフォーム」の機能を、課題を抱える弁護士・司法書士・税理士等の士業にも活用できるように転用した「KAITRY professional」のサービス提供を2023年8月に開始した。弁護士・司法書士・税理士等の士業は、相続や離婚などの相談が持ち込まれた際に不動産をはじめとする財産処分価格の目安の算出が必要になることがある。この価格には客観性が求められ、不動産の場合は複数の不動産会社に調査を依頼する必要があるなど手間と時間がかかることが課題であった。「KAITRY professional」により不動産関連の業務効率化が進むことから、士業向けの導入が期待される。「KAITRY professional」は同社グループ会社による不動産買取価格(現在は区分所有マンションのみ提供)も提示できるため、不動産の処分が必要になった際の早期解決にも寄与し、延いては同社グループの新たな仕入ルートとなることも期待される。
(3) iBuyerビジネス「KAITRY」
同社は2021年7月から個人向けオンライン買取再販用ポータルサイト「KAITRY」の運用を行っている。利用者数は月間340人ほどである。このサイトにマンション名を入力すると個人の顧客に「AI査定」が提示した金額が示される。エンドユーザーが直ちにマンションの売却価格を知ることができるほか、工夫したマンション売却方法が提案され、また短期間で売却を完了できることから、手軽な売却や住み替えを求める顧客ニーズに対応している。サービス開始からの2年間で使い勝手の改良に取り組んだことで、現在では月5件程度の安定した仕入取引を行っている。これはホームネットが新たに開設する店舗の2年目の仕入数に匹敵する。2023年8月には、全国7,511,500戸の区分マンションのうち6,837,202戸(約91%)が査定対応可能となった。2023年10月には、物件販売ページに全面リニューアルを実施し、直接販売への新たな動きも本格的に進んでいる。SNSによるマーケティング展開、テレビCMによる認知度拡大等の調査を進めていること、テレビ東京の経済ニュース番組『WBS(ワールドビジネスサテライト)』にサービスが取り上げられた際に多くの反響があったこと(2日間で査定依頼が約500件)などから、ビジネスの本格展開に向けた今後の取り組みが期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清野克純)
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