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MDNT Research Memo(1):細胞加工業の安定的事業収益体質を確立し、売上拡大と早期黒字回復を目指す
配信日時:2022/07/06 16:01
配信元:FISCO
■要約
メディネット<2370>は、「がん免疫細胞治療」領域のパイオニアとして走り続けてきた、創業27年を迎えるバイオベンチャーである。創業者である木村佳司(きむらよしじ)氏(現 代表取締役会長)と東京大学医科学研究所において、がんと分子免疫学の研究者であった故 江川滉二(えがわこうじ)氏(東京大学名誉教授)が出会い、当時認知されていなかったがん免疫細胞治療に大きな可能性を見出した。“患者さんのため”に新しい治療法を提供すべく、「免疫細胞療法総合支援サービス」(当時)という新しいビジネスモデルをデザインし、事業化するに至った。
1. 細胞加工業ではがん免疫細胞加工の“1本足打法”から、事業環境に左右されないバランスのとれた事業構造を構築
2022年9月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比15.7%増の318百万円、営業損失が678百万円(前年同期は545百万円の損失)、経常損失が676百万円(同536百万円の損失)、四半期純損失が678百万円(同509百万円の損失)となった。「バリューチェーン事業」の拡大と「CDMO※事業」の立ち上げが細胞加工業の売上高の回復と拡大に寄与した。細胞加工業の事業構造は特定細胞加工物製造業(がん免疫細胞治療の細胞培養加工)の“1本足打法”であったため、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で大打撃を受けた。その教訓を生かし、環境変化に強い事業構造への転換・拡大を推進している。事業戦略は、1)非がん治療領域への領域拡大(細胞種と品目数の拡大)、2)バリューチェーン事業の拡大加速、3)CDMO事業の育成強化、4)国内外の企業とのアライアンス活動強化の4つとなる。CDMO事業の育成強化のため、細胞培養加工の環境・体制整備として専門人材の採用(細胞加工技術者等40名程度)、資金調達(第18回新株発行、調達985百万円)を実施した。また、事業目標については「売上拡大と黒字回復」を目指す。一時的な黒字化だけにとどめず医療インバウンド患者依存の事業体質を改め、同社のコア事業として持続的安定成長型事業構造を確立することに主眼を置く。
※ CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)とはバイオ医薬品の受託開発・製造企業を指す。
2. 再生医療等製品事業では「慢性心不全治療」と「自家細胞培養軟骨「NeoCart(R)」」が大きく前進
最も期待されているのは、「慢性心不全治療」である。九州大学医学部の筒井教授主導の下、第I/IIa相臨床試験を実施し、同社は治験製造面で支援してきた。2022年5月より有効性及び安全性を確認する医師主導第IIb相臨床試験験(以下、IIb試験)が、九州大学においてスタートした。IIb試験は2024年3月までの予定であるが、多施設共同治験(九州大学の他に4大学病院施設)として実施される計画で、被験者数30症例は早期に集まる可能性が高いことから治験期間を短縮できると見込んでいる。本開発テーマは同社の開発パイプラインの中で製造販売承認に最も近く、同社はIIb試験終了後には期限付き・条件付きで製造販売承認となることがベストシナリオと考えている。
また、米国での自家細胞培養軟骨「NeoCart(R)」は米国企業間の技術資産譲渡が難航し、開発を一時中断していたが、ここにきて歯車が回り出した。米国Ocugen, Inc.(旧 ヒストジェニックス)は米国での開発再開を目指し、FDA(アメリカ食品医薬品局)と第III相の追加試験プロトコルについての協議を開始していたが、2022年5月にFDAよりRMAT(Regenerative Medicine Advanced Therapy)※の指定を受けたことを発表した。今後、RMAT指定を受けることによって条件面で有利になり、Ocugenとしてもきちんと開発推進する土壌が整った。
※ RMAT は再生医療のうち、重篤な状態に対する治療で、予備的な臨床的エビデンスによりアンメット医療ニーズに寄与する可能性が示唆される品目が指定の対象。RMAT 指定品目は、優先審査と迅速承認の機会が与えられる。
3. 新しい経営体制のもと、自己変革とスピード経営の加速期待
同社は、2022年4月より創業者である木村佳司氏が会長に就任し、久布白兼直(くぶしろかねなお)氏が代表取締役社長に就任した。久布白新社長は田辺三菱製薬※を経て2020年12月に同社取締役に就任し、前職の医薬品マーケティング・営業実務の経験を生かし、同社のNo.2として営業・開発・製造現場を取りまとめてきた。同社の自己変革とスピード経営の加速が期待される。なお、次期中期経営計画は現在策定中としている。
※ 2020年2月、三菱ケミカルグループ<4188>は連結子会社の田辺三菱製薬を完全子会社化。
■Key Points
・細胞加工業ではがん免疫細胞加工の“1本足打法”から、事業環境に左右されないバランスのとれた事業構造を構築
・再生医療等製品事業では「慢性心不全治療薬」と「自家細胞培養軟骨「NeoCart(R)」」が大きく前進
・新しい経営体制のもと、自己変革とスピード経営の加速期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
<EY>
メディネット<2370>は、「がん免疫細胞治療」領域のパイオニアとして走り続けてきた、創業27年を迎えるバイオベンチャーである。創業者である木村佳司(きむらよしじ)氏(現 代表取締役会長)と東京大学医科学研究所において、がんと分子免疫学の研究者であった故 江川滉二(えがわこうじ)氏(東京大学名誉教授)が出会い、当時認知されていなかったがん免疫細胞治療に大きな可能性を見出した。“患者さんのため”に新しい治療法を提供すべく、「免疫細胞療法総合支援サービス」(当時)という新しいビジネスモデルをデザインし、事業化するに至った。
1. 細胞加工業ではがん免疫細胞加工の“1本足打法”から、事業環境に左右されないバランスのとれた事業構造を構築
2022年9月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比15.7%増の318百万円、営業損失が678百万円(前年同期は545百万円の損失)、経常損失が676百万円(同536百万円の損失)、四半期純損失が678百万円(同509百万円の損失)となった。「バリューチェーン事業」の拡大と「CDMO※事業」の立ち上げが細胞加工業の売上高の回復と拡大に寄与した。細胞加工業の事業構造は特定細胞加工物製造業(がん免疫細胞治療の細胞培養加工)の“1本足打法”であったため、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で大打撃を受けた。その教訓を生かし、環境変化に強い事業構造への転換・拡大を推進している。事業戦略は、1)非がん治療領域への領域拡大(細胞種と品目数の拡大)、2)バリューチェーン事業の拡大加速、3)CDMO事業の育成強化、4)国内外の企業とのアライアンス活動強化の4つとなる。CDMO事業の育成強化のため、細胞培養加工の環境・体制整備として専門人材の採用(細胞加工技術者等40名程度)、資金調達(第18回新株発行、調達985百万円)を実施した。また、事業目標については「売上拡大と黒字回復」を目指す。一時的な黒字化だけにとどめず医療インバウンド患者依存の事業体質を改め、同社のコア事業として持続的安定成長型事業構造を確立することに主眼を置く。
※ CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)とはバイオ医薬品の受託開発・製造企業を指す。
2. 再生医療等製品事業では「慢性心不全治療」と「自家細胞培養軟骨「NeoCart(R)」」が大きく前進
最も期待されているのは、「慢性心不全治療」である。九州大学医学部の筒井教授主導の下、第I/IIa相臨床試験を実施し、同社は治験製造面で支援してきた。2022年5月より有効性及び安全性を確認する医師主導第IIb相臨床試験験(以下、IIb試験)が、九州大学においてスタートした。IIb試験は2024年3月までの予定であるが、多施設共同治験(九州大学の他に4大学病院施設)として実施される計画で、被験者数30症例は早期に集まる可能性が高いことから治験期間を短縮できると見込んでいる。本開発テーマは同社の開発パイプラインの中で製造販売承認に最も近く、同社はIIb試験終了後には期限付き・条件付きで製造販売承認となることがベストシナリオと考えている。
また、米国での自家細胞培養軟骨「NeoCart(R)」は米国企業間の技術資産譲渡が難航し、開発を一時中断していたが、ここにきて歯車が回り出した。米国Ocugen, Inc.(旧 ヒストジェニックス)は米国での開発再開を目指し、FDA(アメリカ食品医薬品局)と第III相の追加試験プロトコルについての協議を開始していたが、2022年5月にFDAよりRMAT(Regenerative Medicine Advanced Therapy)※の指定を受けたことを発表した。今後、RMAT指定を受けることによって条件面で有利になり、Ocugenとしてもきちんと開発推進する土壌が整った。
※ RMAT は再生医療のうち、重篤な状態に対する治療で、予備的な臨床的エビデンスによりアンメット医療ニーズに寄与する可能性が示唆される品目が指定の対象。RMAT 指定品目は、優先審査と迅速承認の機会が与えられる。
3. 新しい経営体制のもと、自己変革とスピード経営の加速期待
同社は、2022年4月より創業者である木村佳司氏が会長に就任し、久布白兼直(くぶしろかねなお)氏が代表取締役社長に就任した。久布白新社長は田辺三菱製薬※を経て2020年12月に同社取締役に就任し、前職の医薬品マーケティング・営業実務の経験を生かし、同社のNo.2として営業・開発・製造現場を取りまとめてきた。同社の自己変革とスピード経営の加速が期待される。なお、次期中期経営計画は現在策定中としている。
※ 2020年2月、三菱ケミカルグループ<4188>は連結子会社の田辺三菱製薬を完全子会社化。
■Key Points
・細胞加工業ではがん免疫細胞加工の“1本足打法”から、事業環境に左右されないバランスのとれた事業構造を構築
・再生医療等製品事業では「慢性心不全治療薬」と「自家細胞培養軟骨「NeoCart(R)」」が大きく前進
・新しい経営体制のもと、自己変革とスピード経営の加速期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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