注目トピックス 日本株
TDCソフト Research Memo(5):2022年3月期は次世代SI事業など重点戦略分野を中心に拡大
配信日時:2022/07/01 15:25
配信元:FISCO
■業績動向
1. 2022年3月期通期の業績概要
情報サービス産業を取り巻く環境は、テレワーク環境の整備・強化に向けた需要が一巡した。一方で、クラウドコンピューティング、AI、IoT、RPA、ブロックチェーン、マイクロサービス等の技術革新によるDXの潮流が、企業の競争力強化に向けた戦略的な投資需要を高め、IT投資抑制の流れをストップさせた。足元では顧客企業のIT投資の意欲が高まっており、今後もIT投資は増加基調で推移していくことが見込まれている。また、コロナ禍において、TDCソフト<4687>にも金融ITソリューション分野で一部案件の延伸・中断のほか、対面営業の制限といった形で受注活動への影響が発生していたが、2022年3月期通期においては、上期の時点でこれらの影響は解消された。企業のIT投資が活性化している一例として、以前は数億円程度のIT投資にとどまっていたが、ここ数年の間に数百億円の大規模投資に踏み切る顧客が増えているという。これも、2022年3月期の業績拡大の要因の1つになっている。
2. 2022年3月期通期の業績
2022年3月期通期の売上高は、30,925百万円(前期比13.3%増)、営業利益2,967百万円(同25.8%増)、経常利益3,082百万円(同20.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,069百万円(同20.9%増)となった。コロナ禍によって2021年度に発生した一部案件の延伸または一時中断の影響については、感染症対策の徹底やリモートワークの積極的な活用によって悪影響は軽微で済んだ。それに加え、2022年4月以降は取引先企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)への意識が高まったことでIT投資が回復。それによって、前期に引き続きITコンサルティング&サービス分野の急成長が続いたほか、公共法人ITソリューション分野も好調に推移した。高付加価値SIサービスは、同社の計画を上回る進捗で高収益化を実現できている。企業側においてもDXの推進をこれ以上止める訳にはいかず、経済活動正常化の動きが進むなか、銀行や保険など金融セクターではシステム投資の動きが再開されたほか、その他のセクターでもDXに向けたIT投資加速の動きが表面化しつつあると弊社では考えている。
同社は前中期経営計画の3ヶ年において、主要戦略の1つである「高付加価値SIの追求」と「次世代型SI」を推進した。この分野の売上高は、前中期経営計画の策定以前は6、7億円程度にとどまっていたが、前中期経営計画では売上高50億円を目標に掲げ、高付加価値SIを推進させるという明確な意思のもと拡大に注力。これによって、計画の最終年度である2022年3月期には売上高53.9億円まで成長させることに成功し、売上高構成比は前期比5.1%増の17.4%まで拡大した。高付加価値SIを実現させるための必須条件である技術者の確保や人材育成への投資を行ってきた結果、中期経営計画を若干上回る売上高を達成できたことについては評価したい。
3. 事業分野別の業績
(1) ITコンサルティング&サービス
顧客のDX推進に向けたIT戦略やシステム化構想の立案、技術コンサルティング、最新の技術や開発手法の教育サービスの提供や、自社開発のクラウドアプリケーションサービスの提供、BI/DWH、ERP/CRMに関連するソリューションサービスの提供を行っている。2022年3月期通期においては、顧客企業のDX推進に向けたIT需要の高まりを背景に、ITサービス管理、クラウドマネージドサービス関連の案件が好調に推移。売上高は前期比57.7%増の3,877百万円となった。ITコンサルティング部門は上期に引き続き下期もアジャイルの活況が続いたほか、ソリューション部門ではセールスコンサルティングやマネージド管理、IT危機管理などを中心に伸びが顕著となった。今後も意欲的な企業のIT投資を背景に、ITサービス管理、クラウドマネージドサービス関連などが同社の成長をけん引する格好になると弊社では考えている。
(2) 金融ITソリューション
金融業向けにシステム化構想・設計・開発・保守などの統合的なITソリューションの提供を行っており、2022年3月期においては、コロナ禍で中断していたプロジェクトの影響が解消した。保険やクレジット関連のシステム開発案件などが堅調に推移したことにより、売上高は前期比8.4%増の14,393百万円だった。金融業のIT投資再開によってアプリケーションなどの需要が復活したことから、DXの加速とともに需要が拡大に向かうと弊社では考えており、先行きに対しても強気の見方を持っている。
(3) 公共法人ITソリューション
流通業、製造業、サービス業や公共向けにシステム化構想・設計・開発・保守などの統合的なITソリューションの提供を行っており、2022年3月期においては運輸業や通信業のほか、エネルギー業向けの開発案件等が堅調に推移。売上高は前期比10.7%増収の8,795百万円と、ITコンサルティング&サービスに次いで業績拡大に寄与した。なお、運輸業はDX向けの上流案件が増加していることから、今後も拡大が期待されている。
(4) プラットフォームソリューション
ITインフラの環境設計、構築、運用支援、ネットワーク製品開発、ネットワークインテグレーション等の提供を行っている。2022年3月期は、クラウド関連のインフラ構築案件が堅調に推移しており、売上高は前期比6.8%増の3,858百万円だった。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<SI>
1. 2022年3月期通期の業績概要
情報サービス産業を取り巻く環境は、テレワーク環境の整備・強化に向けた需要が一巡した。一方で、クラウドコンピューティング、AI、IoT、RPA、ブロックチェーン、マイクロサービス等の技術革新によるDXの潮流が、企業の競争力強化に向けた戦略的な投資需要を高め、IT投資抑制の流れをストップさせた。足元では顧客企業のIT投資の意欲が高まっており、今後もIT投資は増加基調で推移していくことが見込まれている。また、コロナ禍において、TDCソフト<4687>にも金融ITソリューション分野で一部案件の延伸・中断のほか、対面営業の制限といった形で受注活動への影響が発生していたが、2022年3月期通期においては、上期の時点でこれらの影響は解消された。企業のIT投資が活性化している一例として、以前は数億円程度のIT投資にとどまっていたが、ここ数年の間に数百億円の大規模投資に踏み切る顧客が増えているという。これも、2022年3月期の業績拡大の要因の1つになっている。
2. 2022年3月期通期の業績
2022年3月期通期の売上高は、30,925百万円(前期比13.3%増)、営業利益2,967百万円(同25.8%増)、経常利益3,082百万円(同20.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,069百万円(同20.9%増)となった。コロナ禍によって2021年度に発生した一部案件の延伸または一時中断の影響については、感染症対策の徹底やリモートワークの積極的な活用によって悪影響は軽微で済んだ。それに加え、2022年4月以降は取引先企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)への意識が高まったことでIT投資が回復。それによって、前期に引き続きITコンサルティング&サービス分野の急成長が続いたほか、公共法人ITソリューション分野も好調に推移した。高付加価値SIサービスは、同社の計画を上回る進捗で高収益化を実現できている。企業側においてもDXの推進をこれ以上止める訳にはいかず、経済活動正常化の動きが進むなか、銀行や保険など金融セクターではシステム投資の動きが再開されたほか、その他のセクターでもDXに向けたIT投資加速の動きが表面化しつつあると弊社では考えている。
同社は前中期経営計画の3ヶ年において、主要戦略の1つである「高付加価値SIの追求」と「次世代型SI」を推進した。この分野の売上高は、前中期経営計画の策定以前は6、7億円程度にとどまっていたが、前中期経営計画では売上高50億円を目標に掲げ、高付加価値SIを推進させるという明確な意思のもと拡大に注力。これによって、計画の最終年度である2022年3月期には売上高53.9億円まで成長させることに成功し、売上高構成比は前期比5.1%増の17.4%まで拡大した。高付加価値SIを実現させるための必須条件である技術者の確保や人材育成への投資を行ってきた結果、中期経営計画を若干上回る売上高を達成できたことについては評価したい。
3. 事業分野別の業績
(1) ITコンサルティング&サービス
顧客のDX推進に向けたIT戦略やシステム化構想の立案、技術コンサルティング、最新の技術や開発手法の教育サービスの提供や、自社開発のクラウドアプリケーションサービスの提供、BI/DWH、ERP/CRMに関連するソリューションサービスの提供を行っている。2022年3月期通期においては、顧客企業のDX推進に向けたIT需要の高まりを背景に、ITサービス管理、クラウドマネージドサービス関連の案件が好調に推移。売上高は前期比57.7%増の3,877百万円となった。ITコンサルティング部門は上期に引き続き下期もアジャイルの活況が続いたほか、ソリューション部門ではセールスコンサルティングやマネージド管理、IT危機管理などを中心に伸びが顕著となった。今後も意欲的な企業のIT投資を背景に、ITサービス管理、クラウドマネージドサービス関連などが同社の成長をけん引する格好になると弊社では考えている。
(2) 金融ITソリューション
金融業向けにシステム化構想・設計・開発・保守などの統合的なITソリューションの提供を行っており、2022年3月期においては、コロナ禍で中断していたプロジェクトの影響が解消した。保険やクレジット関連のシステム開発案件などが堅調に推移したことにより、売上高は前期比8.4%増の14,393百万円だった。金融業のIT投資再開によってアプリケーションなどの需要が復活したことから、DXの加速とともに需要が拡大に向かうと弊社では考えており、先行きに対しても強気の見方を持っている。
(3) 公共法人ITソリューション
流通業、製造業、サービス業や公共向けにシステム化構想・設計・開発・保守などの統合的なITソリューションの提供を行っており、2022年3月期においては運輸業や通信業のほか、エネルギー業向けの開発案件等が堅調に推移。売上高は前期比10.7%増収の8,795百万円と、ITコンサルティング&サービスに次いで業績拡大に寄与した。なお、運輸業はDX向けの上流案件が増加していることから、今後も拡大が期待されている。
(4) プラットフォームソリューション
ITインフラの環境設計、構築、運用支援、ネットワーク製品開発、ネットワークインテグレーション等の提供を行っている。2022年3月期は、クラウド関連のインフラ構築案件が堅調に推移しており、売上高は前期比6.8%増の3,858百万円だった。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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