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PBシステムズ Research Memo(7):「6つの戦略」推進を通じて成長をさらに加速
配信日時:2022/06/14 15:38
配信元:FISCO
■今後の見通し
2. 注力施策
ピー・ビーシステムズ<4447>は、セキュアクラウドシステム(SCL)事業のリード拡大戦略及びエモーショナルシステム(EMO)事業の新市場適応戦略を各3つ、合計6つの戦略として示している。いずれも重要な戦略となっており、その進捗を注視する必要があるものの、ここまでのレポートの中であまり言及していない、エモーショナルシステム(EMO)事業関連に焦点を絞りたい。
同事業がコストのみを計画に織り込んでいることは既に述べたが、それは事業成長が見込めないことを示すわけでは一切なく、むしろ中長期的に言えば、事業展開次第で大きな成長可能性を秘めていることを理解しておく必要があるだろう。目先的にはコロナ禍で停滞していた商談の再開とその刈り取りに注力することになると推察されるが、例えば足元で急激に社会の関心が高まっている「メタバース」を1つのきっかけとして、事業展開の方向性が広がる可能性もある。
実は、メタバース自体は2021年に入ってにわかに生まれたような最新の概念ではない。しかし、旧Facebookがメタバースへの注力姿勢を示すため、社名を「Meta」に変更したことが大きく影響しているとはいえ、このタイミングで改めてこの概念が注目されているのは、近年「5G」「AI」「NFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)」をはじめとする様々な技術革新もあって、これまで以上にメタバースの可能性が拡張していることが背景にある。実際、経済産業省も「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」の報告書を2021年7月に公表して、市場の拡大に備えて課題点等の洗い出しを行っている。
さて、任天堂<7974>の「あつまれ どうぶつの森」や米Epic Gamesの「 Fortnite(フォートナイト)」等がメタバースのイメージの具体例としてメディアをはじめとして、巷では多々取り上げられている。これ自体は特に間違っていないが、あくまで既存のメタバースのレベルから、現段階では多くの人々のイメージが及ばないレベルの仮想空間を実現できる可能性が高まっていることが重要なのだ。
従来は「VR(仮想現実)」と「AR(拡張現実)」は、個別具体的に語られてきた。しかし、メタバースという大きな枠組みの中で構想が打ち立てられ、様々に立ちふさがる政治的、経済的、社会的、技術的な諸問題の解決を図りながら、実現に向かっていくことになる。そうした中で、エモーショナルシステム(EMO)事業を通じてVRへの知見と実績を積み上げてきた同社が、メタバースという巨大な波に対して、中長期的にどのように自社を変革し、関わっていくのかという点は見過ごせないポイントであると弊社では考えている。なお、現在同社は、業務システム系のシステム仮想化やクラウド基盤の構築に強みを持っている企業であり、一足飛びでビジネス領域に加えるということは難しいが、メタバースを考えた際には主力事業も絡んで展開する可能性がある。メタバース自体もまだまだこれからという成長領域であることもあって、あくまで現段階では、会社側の動向を見守るほかない状況だが、そういった意味でも2022年9月期は重要な位置付けとなりそうだ。
なお、同社は2022年1月1日付で「メタバース推進部」を新たに設置した。同部署は、今後需要が拡大すると想定される「企業向けメタバース」の構築要望に応えるため、有力なパートナー企業との協業体制確立のもと、仮想空間構築用のクラウド基盤設計からVRコンテンツ制作、システム運用までを一貫してサポートする新サービスの立ち上げを目的としている。メタバース推進部長には、「4DOH」シリーズのシステム設計者で、3D映像/音響プログラミング、知覚心理学などのVR技術に精通した技術者が就任した。また、その後も(株)デイ・ソフトウェアと、企業向けのメタバース空間において、既存のNFTのように特定の仮想通貨やブロックチェーンには依存しない、自由度の高い真正性保証システムの実証実験を共同で実施することに合意したと発表している。具体的には、同社が構築する企業向けメタバース空間のプロトタイプを、デイ・ソフトウェアの取引真正性保証ソフトウェア「Pedy」に連携し、企業向けメタバース内で発行されたデジタル商品引換券等を利用した取引や譲渡(=所有権の移転)、その結果に基づく現実世界での実際の商品への引き換えなど、一連の流通経路における真正性の保証機能や実用性などを検証する予定で、既にプロトタイプ構築を開始している。
さらに、ANAP<3189>と企業向けのプライベートメタバース空間構築サービスの共同事業開発を開始すると発表した。講演会等のバーチャルイベントからバーチャルオフィスといった企業活動の様々なシーンに対応可能なバーチャル空間を構築し、企業が来訪者に向けて各種サービスを提供できるようサポートする。具体的には、ANAPのもつ店舗設計ノウハウ、ファッション性の高いディスプレイノウハウと、「Meta connect by ANAP」を利用したメタバース向けアイテム生成技術に、同社の感動共有型VRシアター「4DOH」の「実写(360°VR)+CG」による、映像コンテンツの作成、デジタル映像生成テクノロジーを応用することで、企業に適した専用メタバース空間を構築していくことになる。ANAPとの取り組みが爆発的に拡大していくことに期待というよりも、メタバース人材の交流等も含めて共同事業開発を通じて、同社のメタバース事業に対する知見が多角的に蓄積される点が最もポジティブなポイントであると弊社では考えている。
上期の決算説明会でも不動産、新聞、観光、旅行、大手(BIG4)コンサルティング会社等、同社のメタバース事業に関する問い合わせが多数届いていることを明かし、会社側も事業展開加速のため、さらなる協業の可能性を探る方針を示しており、本格的な動向はこれからといったところであろう。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2. 注力施策
ピー・ビーシステムズ<4447>は、セキュアクラウドシステム(SCL)事業のリード拡大戦略及びエモーショナルシステム(EMO)事業の新市場適応戦略を各3つ、合計6つの戦略として示している。いずれも重要な戦略となっており、その進捗を注視する必要があるものの、ここまでのレポートの中であまり言及していない、エモーショナルシステム(EMO)事業関連に焦点を絞りたい。
同事業がコストのみを計画に織り込んでいることは既に述べたが、それは事業成長が見込めないことを示すわけでは一切なく、むしろ中長期的に言えば、事業展開次第で大きな成長可能性を秘めていることを理解しておく必要があるだろう。目先的にはコロナ禍で停滞していた商談の再開とその刈り取りに注力することになると推察されるが、例えば足元で急激に社会の関心が高まっている「メタバース」を1つのきっかけとして、事業展開の方向性が広がる可能性もある。
実は、メタバース自体は2021年に入ってにわかに生まれたような最新の概念ではない。しかし、旧Facebookがメタバースへの注力姿勢を示すため、社名を「Meta」に変更したことが大きく影響しているとはいえ、このタイミングで改めてこの概念が注目されているのは、近年「5G」「AI」「NFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)」をはじめとする様々な技術革新もあって、これまで以上にメタバースの可能性が拡張していることが背景にある。実際、経済産業省も「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」の報告書を2021年7月に公表して、市場の拡大に備えて課題点等の洗い出しを行っている。
さて、任天堂<7974>の「あつまれ どうぶつの森」や米Epic Gamesの「 Fortnite(フォートナイト)」等がメタバースのイメージの具体例としてメディアをはじめとして、巷では多々取り上げられている。これ自体は特に間違っていないが、あくまで既存のメタバースのレベルから、現段階では多くの人々のイメージが及ばないレベルの仮想空間を実現できる可能性が高まっていることが重要なのだ。
従来は「VR(仮想現実)」と「AR(拡張現実)」は、個別具体的に語られてきた。しかし、メタバースという大きな枠組みの中で構想が打ち立てられ、様々に立ちふさがる政治的、経済的、社会的、技術的な諸問題の解決を図りながら、実現に向かっていくことになる。そうした中で、エモーショナルシステム(EMO)事業を通じてVRへの知見と実績を積み上げてきた同社が、メタバースという巨大な波に対して、中長期的にどのように自社を変革し、関わっていくのかという点は見過ごせないポイントであると弊社では考えている。なお、現在同社は、業務システム系のシステム仮想化やクラウド基盤の構築に強みを持っている企業であり、一足飛びでビジネス領域に加えるということは難しいが、メタバースを考えた際には主力事業も絡んで展開する可能性がある。メタバース自体もまだまだこれからという成長領域であることもあって、あくまで現段階では、会社側の動向を見守るほかない状況だが、そういった意味でも2022年9月期は重要な位置付けとなりそうだ。
なお、同社は2022年1月1日付で「メタバース推進部」を新たに設置した。同部署は、今後需要が拡大すると想定される「企業向けメタバース」の構築要望に応えるため、有力なパートナー企業との協業体制確立のもと、仮想空間構築用のクラウド基盤設計からVRコンテンツ制作、システム運用までを一貫してサポートする新サービスの立ち上げを目的としている。メタバース推進部長には、「4DOH」シリーズのシステム設計者で、3D映像/音響プログラミング、知覚心理学などのVR技術に精通した技術者が就任した。また、その後も(株)デイ・ソフトウェアと、企業向けのメタバース空間において、既存のNFTのように特定の仮想通貨やブロックチェーンには依存しない、自由度の高い真正性保証システムの実証実験を共同で実施することに合意したと発表している。具体的には、同社が構築する企業向けメタバース空間のプロトタイプを、デイ・ソフトウェアの取引真正性保証ソフトウェア「Pedy」に連携し、企業向けメタバース内で発行されたデジタル商品引換券等を利用した取引や譲渡(=所有権の移転)、その結果に基づく現実世界での実際の商品への引き換えなど、一連の流通経路における真正性の保証機能や実用性などを検証する予定で、既にプロトタイプ構築を開始している。
さらに、ANAP<3189>と企業向けのプライベートメタバース空間構築サービスの共同事業開発を開始すると発表した。講演会等のバーチャルイベントからバーチャルオフィスといった企業活動の様々なシーンに対応可能なバーチャル空間を構築し、企業が来訪者に向けて各種サービスを提供できるようサポートする。具体的には、ANAPのもつ店舗設計ノウハウ、ファッション性の高いディスプレイノウハウと、「Meta connect by ANAP」を利用したメタバース向けアイテム生成技術に、同社の感動共有型VRシアター「4DOH」の「実写(360°VR)+CG」による、映像コンテンツの作成、デジタル映像生成テクノロジーを応用することで、企業に適した専用メタバース空間を構築していくことになる。ANAPとの取り組みが爆発的に拡大していくことに期待というよりも、メタバース人材の交流等も含めて共同事業開発を通じて、同社のメタバース事業に対する知見が多角的に蓄積される点が最もポジティブなポイントであると弊社では考えている。
上期の決算説明会でも不動産、新聞、観光、旅行、大手(BIG4)コンサルティング会社等、同社のメタバース事業に関する問い合わせが多数届いていることを明かし、会社側も事業展開加速のため、さらなる協業の可能性を探る方針を示しており、本格的な動向はこれからといったところであろう。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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