注目トピックス 日本株
ウイルプラスH Research Memo(3):加速するEV化に積極的に対応することで、先行者利得を追求(1)
配信日時:2022/04/04 15:03
配信元:FISCO
■ウイルプラスホールディングス<3538>の事業戦略
1. 国内の輸入車市場
少子高齢化により、日本の総人口は2008年に1億2,808万人でピークを打ち、2022年2月の概算値では1億2,534万人へ減少した。一方、(一社)日本自動車工業会の統計によると2021年3月末の普通車、小型車、軽自動車を合わせた乗用車保有台数は、6,192万台と過去最高を更新し続けている。乗用車保有台数は10年間で378万台増加したが、その内訳は普通車が314万台増、小型車が409万台減、軽乗用車が473万台増となり、構成比は普通車が29.0%から32.3%へ、小型車が40.1%から31.0%へ、軽乗用車が31.0%から36.7%へと変化した。この結果から、消費者の購買行動が二極化したことで、小型車がシェアを落としたと言える。軽自動車のエンジン排気量とボディサイズの規格が拡大されたことで、実用本位の消費者は軽自動車に流れ、趣味性やライフスタイル、価値観を重視する人は普通車に向かったと弊社では見ている。
弊社の調べによると、輸入乗用車(外国メーカー)の新規登録台数は、2000年の26.8万台からリーマンショック後の2009年に16.8万台まで縮小したが、その後は回復に転じ、2021年は31.5万台(前年比5.9%増)となった。日本の独自規格である軽自動車を含まない、登録車(普通車及び小型車の乗用車)に対する輸入乗用車のシェアは、2000年が9.0%、2009年が6.4%まで下がったが、2018年に11.8%、2021年に13.1%とおおむね回復基調が続く。
一方、海外における輸入車シェアは高く、世界最大規模の自動車メーカーであるVWや高級車ブランドのMercedes-Benz、日本でも人気ブランドのBMWを擁するドイツでも39.5%、イタリアが76.1、米国が24.7%(いずれも2020年)であった。このことから、日本の輸入車シェアの拡大余地は大きいと同社では見ている。ちなみに同社によると、日本の輸入車新車マーケット規模は14,100億円(2021年)であり、市場では中小規模ディーラーの集約化が進んでいる。同社のシェアは約3%であることから、今後もM&Aでシェア拡大を目指すとしている。
2. 同社の成長戦略
同社の成長戦略は、(1) マルチブランド戦略、(2) ドミナント戦略、(3) M&A戦略である。
(1) マルチブランド戦略
同社は、10ブランドを扱うマルチブランド戦略を採っている。自動車のモデルチェンジのパターンは、国産車のフルモデルチェンジがおおむね5~7年間隔であるのに対し、欧米車はおおむね7~8年間隔と長い。一方、販売量の波は小さくなっているものの、モデル末期の販売低下や競合車種の新モデル投入には影響を受ける。同社はマルチブランド戦略により、モデルチェンジによる販売サイクルの波をブランド間の新型モデル投入時期の差異により打ち消し、平準化を図っている。
2021年(暦年)の外国メーカー車新規登録台数のランキングにおいて、同社が取扱う10ブランドはいずれもトップ20に入っている。同社のブランドの選択基準は、1)ブランド内において主要なディーラーとなる可能性と2)ブランド力が強くコンスタントな販売が見込まれることとし、これに基づき同社は未取扱いブランドの9以上をターゲットブランドとしている。一般的には、海外メーカーの日本子会社であるインポーターが、ディーラー契約に基づくエリアごとの販売権をディーラーに付与し販売させるが、エリアは既に埋まっていることが多いため、既存のディーラーを買収もしくは事業譲受するM&A戦略が重要になる。
2018年12月に、ウイルプラスアインスが「ポルシェセンター仙台」を事業譲受し、新たに「PORSCHE」ブランドを獲得した。高級スポーツカーの代名詞となるPORSCHEは安定的な販売実績を上げており、外国メーカー車新規登録台数ではトップ10に位置することなどから、戦略的に新ブランドの獲得を図ったと言える。
(2) ドミナント戦略
ドミナント戦略とは、特定の地域に店舗を集中的に出店することを言う。商圏とするエリア内に、新車販売店やショールームだけでなく、アプルーブドカー(認定中古車)を扱う中古車店や整備・点検を行うサービスセンターを併設することで、購入者の選択肢を広げるとともに購入後のアフターサービスなどを提供する。同社にとっては、自社で販売した車輌であれば履歴が把握しやすく適切な下取り価格を提示できるほか、取扱いブランドの車種の買取を通して中古車の仕入れを行うことができるというメリットがある。
また、同社ではマルチブランド戦略を活用したドミナント戦略を行っている。その狙いは、顧客に複数の選択肢を提供することによる囲い込みと、グループ内での人材の流動化・最適配置による効率性にある。顧客のモデルサイクルの谷間における他ブランドへの乗り換えや、他ブランドの別車種を試したいなどのニーズに対応する。
ドミナント戦略の点から地域別拠点数の推移を見ると、グループの総店舗数は2007年6月末に3店舗、2010年6月末に19店舗、2021年6月末に34店舗となっていることに対し、地域別拠点数の推移は福岡県で2→7→15店舗、東京都・神奈川県で1→12→15店舗、新たに山口県に2店舗及び宮城県・福島県に各1店舗となっており、ドミナント戦略を柱に店舗展開していることが窺える。
ドミナント戦略の具体例として、神奈川エリアと北九州エリアのディーラーネットワークが挙げられる。神奈川エリアでは6店舗を展開しており、その内訳はジャガー・ランドローバー湘南(アプルーブド湘南/サービスセンター)、ジャガー・ランドローバー湘南(湘南ショールーム・新車販売)、ジープ藤沢湘南、アルファロメオ藤沢湘南、フィアット・アバルト平塚、ジャガー・ランドローバー相模原となる。北九州エリアでは、ボルボ・カー北九州、ジープ北九州、BMW小倉、BMW八幡、MINI小倉、ジャガー・ランドローバー北九州、MINI NEXT 福岡東の7店舗に加え、マルチブランドの正規輸入中古車専門店としてチェッカーモータース アプルーブド宗像(福岡県宗像市)を展開している。
ブランド別では、MINIに積極投資をしている。2019年11月に「MINI博多/MINI NEXT博多」をリニューアルオープンして、最新のCI(コーポレート・アイデンティティ)に準拠した。2020年1月には、「MINI山口/MINI NEXT山口」をより好立地なロケーションに移転し、最新のCIに準拠した新築店舗をオープンした。さらに2021年2月には、最新のCIに準拠したMINI認定中古車専売店「MINI NEXT 福岡東」を新規出店した。また、2019年3月に中国エリアへ初進出を果たしたが、既存の九州エリアの福岡県と比較的近いロケーションの山口県が選ばれた。2021年12月末時点でMINI店舗は、山口県に2ヶ所、福岡県に5ヶ所あり、同エリアでは同ブランドのメジャーな正規ディーラーとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<YM>
1. 国内の輸入車市場
少子高齢化により、日本の総人口は2008年に1億2,808万人でピークを打ち、2022年2月の概算値では1億2,534万人へ減少した。一方、(一社)日本自動車工業会の統計によると2021年3月末の普通車、小型車、軽自動車を合わせた乗用車保有台数は、6,192万台と過去最高を更新し続けている。乗用車保有台数は10年間で378万台増加したが、その内訳は普通車が314万台増、小型車が409万台減、軽乗用車が473万台増となり、構成比は普通車が29.0%から32.3%へ、小型車が40.1%から31.0%へ、軽乗用車が31.0%から36.7%へと変化した。この結果から、消費者の購買行動が二極化したことで、小型車がシェアを落としたと言える。軽自動車のエンジン排気量とボディサイズの規格が拡大されたことで、実用本位の消費者は軽自動車に流れ、趣味性やライフスタイル、価値観を重視する人は普通車に向かったと弊社では見ている。
弊社の調べによると、輸入乗用車(外国メーカー)の新規登録台数は、2000年の26.8万台からリーマンショック後の2009年に16.8万台まで縮小したが、その後は回復に転じ、2021年は31.5万台(前年比5.9%増)となった。日本の独自規格である軽自動車を含まない、登録車(普通車及び小型車の乗用車)に対する輸入乗用車のシェアは、2000年が9.0%、2009年が6.4%まで下がったが、2018年に11.8%、2021年に13.1%とおおむね回復基調が続く。
一方、海外における輸入車シェアは高く、世界最大規模の自動車メーカーであるVWや高級車ブランドのMercedes-Benz、日本でも人気ブランドのBMWを擁するドイツでも39.5%、イタリアが76.1、米国が24.7%(いずれも2020年)であった。このことから、日本の輸入車シェアの拡大余地は大きいと同社では見ている。ちなみに同社によると、日本の輸入車新車マーケット規模は14,100億円(2021年)であり、市場では中小規模ディーラーの集約化が進んでいる。同社のシェアは約3%であることから、今後もM&Aでシェア拡大を目指すとしている。
2. 同社の成長戦略
同社の成長戦略は、(1) マルチブランド戦略、(2) ドミナント戦略、(3) M&A戦略である。
(1) マルチブランド戦略
同社は、10ブランドを扱うマルチブランド戦略を採っている。自動車のモデルチェンジのパターンは、国産車のフルモデルチェンジがおおむね5~7年間隔であるのに対し、欧米車はおおむね7~8年間隔と長い。一方、販売量の波は小さくなっているものの、モデル末期の販売低下や競合車種の新モデル投入には影響を受ける。同社はマルチブランド戦略により、モデルチェンジによる販売サイクルの波をブランド間の新型モデル投入時期の差異により打ち消し、平準化を図っている。
2021年(暦年)の外国メーカー車新規登録台数のランキングにおいて、同社が取扱う10ブランドはいずれもトップ20に入っている。同社のブランドの選択基準は、1)ブランド内において主要なディーラーとなる可能性と2)ブランド力が強くコンスタントな販売が見込まれることとし、これに基づき同社は未取扱いブランドの9以上をターゲットブランドとしている。一般的には、海外メーカーの日本子会社であるインポーターが、ディーラー契約に基づくエリアごとの販売権をディーラーに付与し販売させるが、エリアは既に埋まっていることが多いため、既存のディーラーを買収もしくは事業譲受するM&A戦略が重要になる。
2018年12月に、ウイルプラスアインスが「ポルシェセンター仙台」を事業譲受し、新たに「PORSCHE」ブランドを獲得した。高級スポーツカーの代名詞となるPORSCHEは安定的な販売実績を上げており、外国メーカー車新規登録台数ではトップ10に位置することなどから、戦略的に新ブランドの獲得を図ったと言える。
(2) ドミナント戦略
ドミナント戦略とは、特定の地域に店舗を集中的に出店することを言う。商圏とするエリア内に、新車販売店やショールームだけでなく、アプルーブドカー(認定中古車)を扱う中古車店や整備・点検を行うサービスセンターを併設することで、購入者の選択肢を広げるとともに購入後のアフターサービスなどを提供する。同社にとっては、自社で販売した車輌であれば履歴が把握しやすく適切な下取り価格を提示できるほか、取扱いブランドの車種の買取を通して中古車の仕入れを行うことができるというメリットがある。
また、同社ではマルチブランド戦略を活用したドミナント戦略を行っている。その狙いは、顧客に複数の選択肢を提供することによる囲い込みと、グループ内での人材の流動化・最適配置による効率性にある。顧客のモデルサイクルの谷間における他ブランドへの乗り換えや、他ブランドの別車種を試したいなどのニーズに対応する。
ドミナント戦略の点から地域別拠点数の推移を見ると、グループの総店舗数は2007年6月末に3店舗、2010年6月末に19店舗、2021年6月末に34店舗となっていることに対し、地域別拠点数の推移は福岡県で2→7→15店舗、東京都・神奈川県で1→12→15店舗、新たに山口県に2店舗及び宮城県・福島県に各1店舗となっており、ドミナント戦略を柱に店舗展開していることが窺える。
ドミナント戦略の具体例として、神奈川エリアと北九州エリアのディーラーネットワークが挙げられる。神奈川エリアでは6店舗を展開しており、その内訳はジャガー・ランドローバー湘南(アプルーブド湘南/サービスセンター)、ジャガー・ランドローバー湘南(湘南ショールーム・新車販売)、ジープ藤沢湘南、アルファロメオ藤沢湘南、フィアット・アバルト平塚、ジャガー・ランドローバー相模原となる。北九州エリアでは、ボルボ・カー北九州、ジープ北九州、BMW小倉、BMW八幡、MINI小倉、ジャガー・ランドローバー北九州、MINI NEXT 福岡東の7店舗に加え、マルチブランドの正規輸入中古車専門店としてチェッカーモータース アプルーブド宗像(福岡県宗像市)を展開している。
ブランド別では、MINIに積極投資をしている。2019年11月に「MINI博多/MINI NEXT博多」をリニューアルオープンして、最新のCI(コーポレート・アイデンティティ)に準拠した。2020年1月には、「MINI山口/MINI NEXT山口」をより好立地なロケーションに移転し、最新のCIに準拠した新築店舗をオープンした。さらに2021年2月には、最新のCIに準拠したMINI認定中古車専売店「MINI NEXT 福岡東」を新規出店した。また、2019年3月に中国エリアへ初進出を果たしたが、既存の九州エリアの福岡県と比較的近いロケーションの山口県が選ばれた。2021年12月末時点でMINI店舗は、山口県に2ヶ所、福岡県に5ヶ所あり、同エリアでは同ブランドのメジャーな正規ディーラーとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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