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タナベ経営 Research Memo(2):高品質なチームコンサルティングサービスを強みに成長を続ける
配信日時:2022/02/04 15:22
配信元:FISCO
■事業概要
1. 会社概要
タナベ経営<9644>は1957年に京都で創業した日本の総合経営コンサルティングのパイオニアであり、業界大手の一角を占める。「グループC&C戦略」(コンサルティング領域の多角化)を推進し、全国のすべての顧客へ高品質のコンサルティング価値を提供することにより、顧客の持続的成長を支援している。「ファーストコールカンパニー100年先も一番に選ばれる会社へ、決断を。」を経営ミッションとしている。
同社は経営者に寄り添う「ビジネスドクター」として、主に全国の上場企業を含む大企業から中堅企業に対して、経営理念・経営ミッションや経営戦略の策定から組織・人事、財務、BPR、DX、M&Aや事業承継などの経営全般にわたるコンサルティングに加えて、働き方改革を実現する人事制度構築・運用や「FCCアカデミー(企業内大学)の設立」、オーダーメイド教育(研修)、経営者・後継者から新入社員までを育成するHR(人的資源)コンサルティングを提供している。また、大企業から中堅企業を対象に、ブランド戦略の立案からプロモーション戦略の実行・推進、企業のオリジナルグッズの企画・デザイン・制作まで支援するブランド&デザインコンサルティングを提供している。顧客企業ごとの経営課題に合わせて、「ドメイン(業種別・事業領域別)×ファンクション(経営機能)×リージョン(地域)」の3つの視点で最適な専門コンサルタントを複数名選定し、「チームコンサルティング」としてサービス提供していることが特徴となっている。
事業所については、北海道から沖縄までの全国主要10都市に長年展開している。同業のなかで、地域に根付いたファーム形式で全国展開しているのは同社だけであり、地域密着型のコンサルティングサービスを提供できることも同社の特色であり強みとなっている。また、各種コンサルティングサービスの企画・プロデュースや、コンサルティング現場等から収集した経営情報を分析・情報発信していく機能を果たす戦略総合研究所や、IR・SR・PR、人材採用、M&A・アライアンス(提携)等の機能を大阪・東京の両本社に設置することで、全国へのサポート機能の充実を図っている。
2019年10月にBtoB領域におけるデジタルマーケティングに関するKPO(Knowledge Process Outsourcing)業務※及びWebサイト構築業務を行う(株)リーディング・ソリューションをグループ会社化(出資比率60.0%)しており、2020年3月期より連結決算を開始している。グループ会社化の背景と目的は、BtoBビジネスにおけるデジタルマーケティング支援の市場拡大が見込まれ、また企業のDXに関わるコンサルティングニーズが増加するなかで、デジタルマーケティング支援をメニュー化し、さらなるコンサルティングサービスの付加価値向上と競争力の強化を図ることにある。具体的な取り組みとして、両社のサービスを組み合わせた新たなコンサルティングサービスの開発・提供を2021年3月期より開始しているほか、既存顧客に対する共同コンサルティングや人材交流を通じて、双方の顧客へ提供するサービスの価値向上に取り組んでいる。また、同社から(株)リーディング・ソリューションにマネジメント人材を派遣し、経営体制の強化や営業活動、管理業務等の支援を行っているほか、人材採用・育成における相互協力体制を構築し、双方のデジタルマーケティング分野における事業基盤の強化を図っている。
※デジタルマーケティングにおける戦略策定から施策の企画・実施、PDCAまでを一括代行するサービス。
2021年1月にはグローウィン・パートナーズ(株)をグループ会社化(出資比率50.1%)した。グローウィン・パートナーズ(株)は、M&A全般の支援(クロスボーダーを含む)や上場企業グループを対象としたデジタル技術(ERP、RPA等)の導入・活用による経理・財務部門等のバックオフィス業務のDX・生産性向上支援を主要事業としている。開示資料によれば、2020年6月期の業績は売上高で1,075百万円、営業利益で99百万円となっており、M&Aやバックオフィス業務に対するDX支援のニーズ拡大を背景に業績を伸ばしている。経営陣には監査法人出身者が多く、従業員数81名(2021年11月時点、うち公認会計士13名、税理士1名)のうちコンサルタントが半分弱を占めている。クライアントは上場企業が中心となるが、M&AやDX分野のノウハウを生かして、今後は同社が保有する顧客基盤(全国の中堅企業)や金融機関等のアライアンス基盤を通じて、事業承継や事業再生支援、バックオフィスのDXソシューション案件なども取り込み、事業拡大を図っていく戦略となっている。既に、事業承継や海外事業等の案件を同社と共同で受注するなどシナジー効果も生まれている。
さらに、2021年12月27日付で(株)ジェイスリーの株式を96.2%取得し、資本業務提携を締結するとともにグループ会社化することを発表した。(株)ジェイスリーは、ディレクターやクリエイター、デザイナー等のプロフェッショナル人材を30名程度擁しており、大企業から中堅企業のブランド構築やCXデザイン、マーケティングDX、ブランド価値の向上、そして新たな価値の創造を強みとしている。同社が長年培ってきた経営コンサルティングの知見・ノウハウと(株)ジェイスリーが1986年の事業開始以来、500社以上に提供してきたブランディング、CXデザイン、マーケティングDXに関する知見・ノウハウを融合することにより、ブランド&デザインコンサルティングおよびマーケティングDX機能をより一層強化し、両社で全国の企業の成長・発展に貢献して更なる成長を目指していく戦略となる。
具体的な業務提携内容は以下の4点となる。
a) 同社が有する経営コンサルティングの知見・ノウハウとジェイスリーが有するブランディング、CXデザイン、マーケティングDXに関する知見・ノウハウを融合し、既存サービス機能の強化や新規サービスの立ち上げに取り組む。
b) 既存顧客に対する共同コンサルティングや人材交流を通じて、双方の顧客企業へ提供するサービスの価値を高めていく。
c) 同社からジェイスリーへ役員として人員を派遣することにより、経営体制の強化を図る。
d) 同社がジェイスリーの顧客創造活動を支援すると共に、人材採用・育成面にて相互の協力体制を構築し、両社の事業基盤の強化を図ることにより、全国のブランドコンサルティング、デザインコンサルティングおよびマーケティングDXマーケットを攻略していく。
これら3社をグループ化したことによって、TCGとしてのコンサルティングサービスは、上流工程となる経営戦略等の策定から、中流・下流工程となる現場における実装・実行支援までワンストップで提供できるバリューチェーンが強化されたと言え、同業他社にない強みとなる。今後加速が予想される全国の事業承継や業態転換・事業再構築、DX・生産性向上、CXデザイン等のニーズをグループとして取り込むことが可能となり、また、顧客ターゲットも中堅企業(売上高50~1,000億円規模)という独自マーケットから大企業にまで広がったことで、成長ポテンシャルが一気に高まったと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 会社概要
タナベ経営<9644>は1957年に京都で創業した日本の総合経営コンサルティングのパイオニアであり、業界大手の一角を占める。「グループC&C戦略」(コンサルティング領域の多角化)を推進し、全国のすべての顧客へ高品質のコンサルティング価値を提供することにより、顧客の持続的成長を支援している。「ファーストコールカンパニー100年先も一番に選ばれる会社へ、決断を。」を経営ミッションとしている。
同社は経営者に寄り添う「ビジネスドクター」として、主に全国の上場企業を含む大企業から中堅企業に対して、経営理念・経営ミッションや経営戦略の策定から組織・人事、財務、BPR、DX、M&Aや事業承継などの経営全般にわたるコンサルティングに加えて、働き方改革を実現する人事制度構築・運用や「FCCアカデミー(企業内大学)の設立」、オーダーメイド教育(研修)、経営者・後継者から新入社員までを育成するHR(人的資源)コンサルティングを提供している。また、大企業から中堅企業を対象に、ブランド戦略の立案からプロモーション戦略の実行・推進、企業のオリジナルグッズの企画・デザイン・制作まで支援するブランド&デザインコンサルティングを提供している。顧客企業ごとの経営課題に合わせて、「ドメイン(業種別・事業領域別)×ファンクション(経営機能)×リージョン(地域)」の3つの視点で最適な専門コンサルタントを複数名選定し、「チームコンサルティング」としてサービス提供していることが特徴となっている。
事業所については、北海道から沖縄までの全国主要10都市に長年展開している。同業のなかで、地域に根付いたファーム形式で全国展開しているのは同社だけであり、地域密着型のコンサルティングサービスを提供できることも同社の特色であり強みとなっている。また、各種コンサルティングサービスの企画・プロデュースや、コンサルティング現場等から収集した経営情報を分析・情報発信していく機能を果たす戦略総合研究所や、IR・SR・PR、人材採用、M&A・アライアンス(提携)等の機能を大阪・東京の両本社に設置することで、全国へのサポート機能の充実を図っている。
2019年10月にBtoB領域におけるデジタルマーケティングに関するKPO(Knowledge Process Outsourcing)業務※及びWebサイト構築業務を行う(株)リーディング・ソリューションをグループ会社化(出資比率60.0%)しており、2020年3月期より連結決算を開始している。グループ会社化の背景と目的は、BtoBビジネスにおけるデジタルマーケティング支援の市場拡大が見込まれ、また企業のDXに関わるコンサルティングニーズが増加するなかで、デジタルマーケティング支援をメニュー化し、さらなるコンサルティングサービスの付加価値向上と競争力の強化を図ることにある。具体的な取り組みとして、両社のサービスを組み合わせた新たなコンサルティングサービスの開発・提供を2021年3月期より開始しているほか、既存顧客に対する共同コンサルティングや人材交流を通じて、双方の顧客へ提供するサービスの価値向上に取り組んでいる。また、同社から(株)リーディング・ソリューションにマネジメント人材を派遣し、経営体制の強化や営業活動、管理業務等の支援を行っているほか、人材採用・育成における相互協力体制を構築し、双方のデジタルマーケティング分野における事業基盤の強化を図っている。
※デジタルマーケティングにおける戦略策定から施策の企画・実施、PDCAまでを一括代行するサービス。
2021年1月にはグローウィン・パートナーズ(株)をグループ会社化(出資比率50.1%)した。グローウィン・パートナーズ(株)は、M&A全般の支援(クロスボーダーを含む)や上場企業グループを対象としたデジタル技術(ERP、RPA等)の導入・活用による経理・財務部門等のバックオフィス業務のDX・生産性向上支援を主要事業としている。開示資料によれば、2020年6月期の業績は売上高で1,075百万円、営業利益で99百万円となっており、M&Aやバックオフィス業務に対するDX支援のニーズ拡大を背景に業績を伸ばしている。経営陣には監査法人出身者が多く、従業員数81名(2021年11月時点、うち公認会計士13名、税理士1名)のうちコンサルタントが半分弱を占めている。クライアントは上場企業が中心となるが、M&AやDX分野のノウハウを生かして、今後は同社が保有する顧客基盤(全国の中堅企業)や金融機関等のアライアンス基盤を通じて、事業承継や事業再生支援、バックオフィスのDXソシューション案件なども取り込み、事業拡大を図っていく戦略となっている。既に、事業承継や海外事業等の案件を同社と共同で受注するなどシナジー効果も生まれている。
さらに、2021年12月27日付で(株)ジェイスリーの株式を96.2%取得し、資本業務提携を締結するとともにグループ会社化することを発表した。(株)ジェイスリーは、ディレクターやクリエイター、デザイナー等のプロフェッショナル人材を30名程度擁しており、大企業から中堅企業のブランド構築やCXデザイン、マーケティングDX、ブランド価値の向上、そして新たな価値の創造を強みとしている。同社が長年培ってきた経営コンサルティングの知見・ノウハウと(株)ジェイスリーが1986年の事業開始以来、500社以上に提供してきたブランディング、CXデザイン、マーケティングDXに関する知見・ノウハウを融合することにより、ブランド&デザインコンサルティングおよびマーケティングDX機能をより一層強化し、両社で全国の企業の成長・発展に貢献して更なる成長を目指していく戦略となる。
具体的な業務提携内容は以下の4点となる。
a) 同社が有する経営コンサルティングの知見・ノウハウとジェイスリーが有するブランディング、CXデザイン、マーケティングDXに関する知見・ノウハウを融合し、既存サービス機能の強化や新規サービスの立ち上げに取り組む。
b) 既存顧客に対する共同コンサルティングや人材交流を通じて、双方の顧客企業へ提供するサービスの価値を高めていく。
c) 同社からジェイスリーへ役員として人員を派遣することにより、経営体制の強化を図る。
d) 同社がジェイスリーの顧客創造活動を支援すると共に、人材採用・育成面にて相互の協力体制を構築し、両社の事業基盤の強化を図ることにより、全国のブランドコンサルティング、デザインコンサルティングおよびマーケティングDXマーケットを攻略していく。
これら3社をグループ化したことによって、TCGとしてのコンサルティングサービスは、上流工程となる経営戦略等の策定から、中流・下流工程となる現場における実装・実行支援までワンストップで提供できるバリューチェーンが強化されたと言え、同業他社にない強みとなる。今後加速が予想される全国の事業承継や業態転換・事業再構築、DX・生産性向上、CXデザイン等のニーズをグループとして取り込むことが可能となり、また、顧客ターゲットも中堅企業(売上高50~1,000億円規模)という独自マーケットから大企業にまで広がったことで、成長ポテンシャルが一気に高まったと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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