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前沢給装 Research Memo(5):持続的な成長の実現とより一層の企業価値の向上を目指す
配信日時:2022/01/27 15:05
配信元:FISCO
■今後の見通し
1. 2022年3月期の見通し
前澤給装工業<6485>の2022年3月期の連結業績予想については期初予想を据え置き、売上高は27,600百万円(前期比0.3%増)、営業利益は2,090百万円(同19.6%減)、経常利益は2,160百万円(同19.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,460百万円(同21.8%減)とした。新設住宅着工戸数は回復傾向であり、第2四半期時点で期初計画を上回って推移しているものの、主要原材料の銅価格が歴史的な高価水準であり、今後も上伸が見込まれることから、期初計画を据え置いた。
主要原材料である銅の建値については、2021年4月に102万円/トンで始まり5月には119万円/トンを記録するなど、前年同期を大幅に上回る水準で推移している(2021年3月期4~9月平均67.4万円/トンに対し、2022年3月期4~9月平均109.2万円/トン)。材料価格の急騰に伴い、同社では2021年10月1日出荷分より製品全般10%以上の販売価格改定を実施した。
投資計画については、2022年3月期下期に基幹システム・サーバー(販売・生産)の統合・更新のほか、生産設備の更新投資(NC施盤ほか)を計画している。2022年3月期の設備投資は780百万円(前期は325百万円)、減価償却費は653百万円(同687百万円)、研究開発費は330百万円(同264百万円)を予定しており、2022年3月期第2四半期末時点で順調に進行している。
2. 2022年3月期の方針
2022年3月期について同社は、給水装置分野における老朽管の更新や災害に備えた製品の需要は底堅く推移するものと見込んでいるものの、全般的にコロナ禍の長期化や雇用情勢の悪化等により、大きな伸びが期待できない状況にあるとしている。また、同社の主要原材料である銅価格が2021年より急騰し、現在2011年以来の高値水準で推移していることから、収益に影響が出ることが見込まれる。このような状況のなかで同社は、収益基盤のさらなる拡大やコロナ禍に進んだ業務効率化などを継続することにより、持続的な成長の実現とより一層の企業価値の向上を目指すとしている。
2022年3月期の方針としては、前澤リビング・ソリューションズとのシナジーが挙げられる。全国展開している同社ネットワークを生かし、販売地域を拡大するほか、同社の製造技術と融合させることでコストダウンを目指す。なお、これまでの取り組みとしては、グループ内の営業効率化のほか、暖房設備店に対する給水・給湯部材の拡販、西日本地区ガス会社への温水マットの拡販、東北地区ヒートポンプメーカー向け温水マットの販売体制強化などを行っている。
また、(1) 給水装置事業の積極的展開及び(2) 住宅設備事業の拡大を事業方針としている。
(1) 給水装置事業の積極的展開
低層アパート向け製品及び配水ポリエチレン管用製品など、顧客ニーズに合わせた新製品の開発を推進する。低層アパート向け製品の開発については、2階建ての低層階アパートの構成比が住宅着工数の10%で安定推移していることが背景にある。メータ廻りの省スペース化ニーズが高まっていることから、複数の水道メータを一体化した複式メータセット「まとメータ2連・3連」を発売したほか、「まとメータ4連」を開発、製品化した。また、配水ポリエチレン管用製品の開発については、止水栓関連製品の各事業体に応じた要望が高まっていることが背景にある。
(2) 住宅設備事業の拡大
これまでの管材商社を通じた営業に加え、ハウスメーカー、パワービルダー、工事店向けの販売活動を強化する。また、同社及び子会社の技術を生かし、新たに進出した非住宅物件への販路拡大を目指し、空調設備用製品やロードヒーティング用製品の販売を強化する方針である。
「新水道ビジョン」の基本理念と共有し、売上高経常利益率10%以上を目標に取り組む
3. 中長期の成長戦略
同社の事業内容は、景気変動の影響を受けやすい新設住宅着工、公共工事関連に依拠する部分が多く見通しが大きく変動しやすいため、中期経営計画の公表は行っていない。しかし従来より、「効率的な生産体制の構築」「物流効率化による配送コストの削減」「成長分野への営業強化と開発投資」を中心に中長期の施策を行ってきており、今後も「売上高経常利益率10%以上」を目標として、その確実な実現に向けて取り組んでいく方針である。M&Aや業務・資本提携も視野に入れつつ、さらに企業価値を向上させる諸施策を実施していくとしている。
なお、日本の総人口の減少と東日本大震災の経験という、水道をとりまく状況の大きな変化をうけ、2013年3月に厚生労働省より公表された「新水道ビジョン」では、50年後、100年後の将来を見据えた水道の理想像が明示されている。同社では、この「新水道ビジョン」の基本理念と共有し、水道の理想像具現化の一翼を担うべく、時代や環境の変化に的確に対応した企業価値向上のための取り組みを推進する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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1. 2022年3月期の見通し
前澤給装工業<6485>の2022年3月期の連結業績予想については期初予想を据え置き、売上高は27,600百万円(前期比0.3%増)、営業利益は2,090百万円(同19.6%減)、経常利益は2,160百万円(同19.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,460百万円(同21.8%減)とした。新設住宅着工戸数は回復傾向であり、第2四半期時点で期初計画を上回って推移しているものの、主要原材料の銅価格が歴史的な高価水準であり、今後も上伸が見込まれることから、期初計画を据え置いた。
主要原材料である銅の建値については、2021年4月に102万円/トンで始まり5月には119万円/トンを記録するなど、前年同期を大幅に上回る水準で推移している(2021年3月期4~9月平均67.4万円/トンに対し、2022年3月期4~9月平均109.2万円/トン)。材料価格の急騰に伴い、同社では2021年10月1日出荷分より製品全般10%以上の販売価格改定を実施した。
投資計画については、2022年3月期下期に基幹システム・サーバー(販売・生産)の統合・更新のほか、生産設備の更新投資(NC施盤ほか)を計画している。2022年3月期の設備投資は780百万円(前期は325百万円)、減価償却費は653百万円(同687百万円)、研究開発費は330百万円(同264百万円)を予定しており、2022年3月期第2四半期末時点で順調に進行している。
2. 2022年3月期の方針
2022年3月期について同社は、給水装置分野における老朽管の更新や災害に備えた製品の需要は底堅く推移するものと見込んでいるものの、全般的にコロナ禍の長期化や雇用情勢の悪化等により、大きな伸びが期待できない状況にあるとしている。また、同社の主要原材料である銅価格が2021年より急騰し、現在2011年以来の高値水準で推移していることから、収益に影響が出ることが見込まれる。このような状況のなかで同社は、収益基盤のさらなる拡大やコロナ禍に進んだ業務効率化などを継続することにより、持続的な成長の実現とより一層の企業価値の向上を目指すとしている。
2022年3月期の方針としては、前澤リビング・ソリューションズとのシナジーが挙げられる。全国展開している同社ネットワークを生かし、販売地域を拡大するほか、同社の製造技術と融合させることでコストダウンを目指す。なお、これまでの取り組みとしては、グループ内の営業効率化のほか、暖房設備店に対する給水・給湯部材の拡販、西日本地区ガス会社への温水マットの拡販、東北地区ヒートポンプメーカー向け温水マットの販売体制強化などを行っている。
また、(1) 給水装置事業の積極的展開及び(2) 住宅設備事業の拡大を事業方針としている。
(1) 給水装置事業の積極的展開
低層アパート向け製品及び配水ポリエチレン管用製品など、顧客ニーズに合わせた新製品の開発を推進する。低層アパート向け製品の開発については、2階建ての低層階アパートの構成比が住宅着工数の10%で安定推移していることが背景にある。メータ廻りの省スペース化ニーズが高まっていることから、複数の水道メータを一体化した複式メータセット「まとメータ2連・3連」を発売したほか、「まとメータ4連」を開発、製品化した。また、配水ポリエチレン管用製品の開発については、止水栓関連製品の各事業体に応じた要望が高まっていることが背景にある。
(2) 住宅設備事業の拡大
これまでの管材商社を通じた営業に加え、ハウスメーカー、パワービルダー、工事店向けの販売活動を強化する。また、同社及び子会社の技術を生かし、新たに進出した非住宅物件への販路拡大を目指し、空調設備用製品やロードヒーティング用製品の販売を強化する方針である。
「新水道ビジョン」の基本理念と共有し、売上高経常利益率10%以上を目標に取り組む
3. 中長期の成長戦略
同社の事業内容は、景気変動の影響を受けやすい新設住宅着工、公共工事関連に依拠する部分が多く見通しが大きく変動しやすいため、中期経営計画の公表は行っていない。しかし従来より、「効率的な生産体制の構築」「物流効率化による配送コストの削減」「成長分野への営業強化と開発投資」を中心に中長期の施策を行ってきており、今後も「売上高経常利益率10%以上」を目標として、その確実な実現に向けて取り組んでいく方針である。M&Aや業務・資本提携も視野に入れつつ、さらに企業価値を向上させる諸施策を実施していくとしている。
なお、日本の総人口の減少と東日本大震災の経験という、水道をとりまく状況の大きな変化をうけ、2013年3月に厚生労働省より公表された「新水道ビジョン」では、50年後、100年後の将来を見据えた水道の理想像が明示されている。同社では、この「新水道ビジョン」の基本理念と共有し、水道の理想像具現化の一翼を担うべく、時代や環境の変化に的確に対応した企業価値向上のための取り組みを推進する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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