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帝国電機製作所:脱炭素社会を支えるキャンドモータポンプ世界シェアNo.1企業
配信日時:2025/09/11 10:09
配信元:FISCO
*10:09JST 帝国電機製作所:脱炭素社会を支えるキャンドモータポンプ世界シェアNo.1企業
帝国電機製作所<6333>は、ポンプとモータを一体化したキャンドモータポンプで世界トップシェアを誇る産業用ポンプのリーディングカンパニーである。同社の製品は、社会のあらゆる場面で利用され、産業と生活の基盤を支えている。近年では、世界的な脱炭素化の流れを大きな追い風として、その成長性が注目されている企業だ。
事業の中核を成すのは、製品売上高の9割以上を占めるキャンドモータポンプの製造・販売である。キャンドモータポンプは、ポンプと駆動部であるモータを一体化し、取り扱う液が完全密閉された構造により、軸封部(シール)からの液漏れリスクを根本的に排除する製品だ。この「完全無漏洩」という特性は、人体に有害な液体、引火性の高い危険物、高価な液体、純度が求められる液体などを扱う上で極めて重要であり、石油化学プラントやファインケミカル工場をはじめ、冷凍・空調機器、JR新幹線の全車両に搭載されている変圧器冷却向けなど、多くの分野で利用されている。また、環境規制が世界的に強化される中、アンモニア燃料船、持続可能な航空燃料(SAF)、バイオ燃料といった再生可能燃料の製造設備や、国内外のCCS/CCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)の実証実験、そして同社としては新市場となるメタノール燃料船の燃料供給用途などにおいて、環境負荷低減と安全操業の両面から同社のキャンドモータポンプの採用が進んでいる。さらに、安定した収益と高い利益率を確保できるメンテナンスサービスの成長も著しい。売上の3割弱を占める同サービスの成長を加速するため、同社は世界各地におけるサービス体制の強化も進めている。
同社のビジネスモデルの基本は、各国の防爆規格や顧客の多種多様な要求仕様に応える「完全受注生産」だ。世界各地の製造・販売・サービス拠点からなるグローバルネットワークを活用し、世界中の顧客ニーズに迅速に対応できる体制が構築されており、成長著しいアジア市場や、規格対応が重要な米国市場でのプレゼンスを確固たるものにしている。キャンドモータポンプ市場における主要企業は、同社に加え日機装<6376>およびドイツのHERMETIC社の3社。各国の防爆規格への対応や顧客ごとのフルカスタマイズが求められるため、多くの設計・製造ノウハウの蓄積が必要となる参入障壁の高い市場である。原材料価格が上昇しても価格転嫁が比較的容易であり、1999年の上場以来継続して黒字決算を維持している。
2026年3月期第1四半期の売上高は6,232百万円(前年同期比10.2%減)、営業利益は1,158百万円(前年同期比10.2%減)となった。減収減益の主な要因は、前年同期の大型案件の反動減、中国の景気低迷の影響、2024年12月末の電子部品事業停止などである。2026年3月期通期の連結業績予想は、中国市場の停滞継続や想定為替レートの円高方向への見直しなどにより、売上高27,520百万円(前期比9.9%減)、営業利益5,000百円(前期比17.4%減)としている。中国市場については、短期的には景気減速の影響を受けるものの、中長期的には経済発展や環境規制強化などを背景としたキャンドモータポンプ市場の拡大を見込む。
中期経営計画「環境と共生する成長」においては、最終年度の2027年3月期の目標値として売上高320億円、営業利益57億円、ROE14.0%を掲げている。成長戦略の第一の柱は、「キャンドモータポンプ事業の推進と基盤整備」である。これは脱炭素などの新市場開拓を加速させるとともに、需要増加に対応するための生産・調達体制を強化するものだ。具体的には米国市場攻略のための現地規格対応製品の生産体制構築や、今後の成長が見込まれる中国・インドにおける生産能力増強への投資を進めている。もう一つの柱は「人的資本尊重・強化」であり、持続的な成長を支える組織基盤を強化するため、人財への投資を増強し、働きやすい職場環境を整備していく方針である。さらに、グループビジョンとして「2035年までに連結売上高700億円」という長期目標を掲げ、キャンドモータポンプの圧倒的No.1企業としてさらなる飛躍を目指す姿勢を明確にしている。
株主還元については、2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画期間において、基本方針として「3ヵ年累計の総還元性向100%」および「配当性向50%」を掲げる。安定的・継続的な配当に加え、自己株式取得も機動的に実施する方針である。2026年3月期の1株当たりの年間配当金は、前期と同額の110円(中間配当55円、期末配当55円)を予定している。
帝国電機製作所は、キャンドモータポンプという参入障壁の高い製品で世界トップシェアを握る、典型的な「グローバル・ニッチ・トップ」企業である。足元の業績は市況の影響を受けるものの、脱炭素化という中長期的な成長機会は極めて大きい。世界が環境問題への取り組みを加速させる中、同社の技術が社会に貢献する場面はますます増えていくであろう。中長期的な視点を持つ投資家にとって魅力的な投資対象の1つとして、同社の今後の展開には注目しておきたい。
<HM>
事業の中核を成すのは、製品売上高の9割以上を占めるキャンドモータポンプの製造・販売である。キャンドモータポンプは、ポンプと駆動部であるモータを一体化し、取り扱う液が完全密閉された構造により、軸封部(シール)からの液漏れリスクを根本的に排除する製品だ。この「完全無漏洩」という特性は、人体に有害な液体、引火性の高い危険物、高価な液体、純度が求められる液体などを扱う上で極めて重要であり、石油化学プラントやファインケミカル工場をはじめ、冷凍・空調機器、JR新幹線の全車両に搭載されている変圧器冷却向けなど、多くの分野で利用されている。また、環境規制が世界的に強化される中、アンモニア燃料船、持続可能な航空燃料(SAF)、バイオ燃料といった再生可能燃料の製造設備や、国内外のCCS/CCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)の実証実験、そして同社としては新市場となるメタノール燃料船の燃料供給用途などにおいて、環境負荷低減と安全操業の両面から同社のキャンドモータポンプの採用が進んでいる。さらに、安定した収益と高い利益率を確保できるメンテナンスサービスの成長も著しい。売上の3割弱を占める同サービスの成長を加速するため、同社は世界各地におけるサービス体制の強化も進めている。
同社のビジネスモデルの基本は、各国の防爆規格や顧客の多種多様な要求仕様に応える「完全受注生産」だ。世界各地の製造・販売・サービス拠点からなるグローバルネットワークを活用し、世界中の顧客ニーズに迅速に対応できる体制が構築されており、成長著しいアジア市場や、規格対応が重要な米国市場でのプレゼンスを確固たるものにしている。キャンドモータポンプ市場における主要企業は、同社に加え日機装<6376>およびドイツのHERMETIC社の3社。各国の防爆規格への対応や顧客ごとのフルカスタマイズが求められるため、多くの設計・製造ノウハウの蓄積が必要となる参入障壁の高い市場である。原材料価格が上昇しても価格転嫁が比較的容易であり、1999年の上場以来継続して黒字決算を維持している。
2026年3月期第1四半期の売上高は6,232百万円(前年同期比10.2%減)、営業利益は1,158百万円(前年同期比10.2%減)となった。減収減益の主な要因は、前年同期の大型案件の反動減、中国の景気低迷の影響、2024年12月末の電子部品事業停止などである。2026年3月期通期の連結業績予想は、中国市場の停滞継続や想定為替レートの円高方向への見直しなどにより、売上高27,520百万円(前期比9.9%減)、営業利益5,000百円(前期比17.4%減)としている。中国市場については、短期的には景気減速の影響を受けるものの、中長期的には経済発展や環境規制強化などを背景としたキャンドモータポンプ市場の拡大を見込む。
中期経営計画「環境と共生する成長」においては、最終年度の2027年3月期の目標値として売上高320億円、営業利益57億円、ROE14.0%を掲げている。成長戦略の第一の柱は、「キャンドモータポンプ事業の推進と基盤整備」である。これは脱炭素などの新市場開拓を加速させるとともに、需要増加に対応するための生産・調達体制を強化するものだ。具体的には米国市場攻略のための現地規格対応製品の生産体制構築や、今後の成長が見込まれる中国・インドにおける生産能力増強への投資を進めている。もう一つの柱は「人的資本尊重・強化」であり、持続的な成長を支える組織基盤を強化するため、人財への投資を増強し、働きやすい職場環境を整備していく方針である。さらに、グループビジョンとして「2035年までに連結売上高700億円」という長期目標を掲げ、キャンドモータポンプの圧倒的No.1企業としてさらなる飛躍を目指す姿勢を明確にしている。
株主還元については、2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画期間において、基本方針として「3ヵ年累計の総還元性向100%」および「配当性向50%」を掲げる。安定的・継続的な配当に加え、自己株式取得も機動的に実施する方針である。2026年3月期の1株当たりの年間配当金は、前期と同額の110円(中間配当55円、期末配当55円)を予定している。
帝国電機製作所は、キャンドモータポンプという参入障壁の高い製品で世界トップシェアを握る、典型的な「グローバル・ニッチ・トップ」企業である。足元の業績は市況の影響を受けるものの、脱炭素化という中長期的な成長機会は極めて大きい。世界が環境問題への取り組みを加速させる中、同社の技術が社会に貢献する場面はますます増えていくであろう。中長期的な視点を持つ投資家にとって魅力的な投資対象の1つとして、同社の今後の展開には注目しておきたい。
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