注目トピックス 日本株
藤商事 Research Memo(5):期待の大型タイトル「Pとある科学の超電磁砲」を投入、通期で大幅増収増益を見込む
配信日時:2022/01/17 15:25
配信元:FISCO
■今後の見通し
2. 2022年3月期の業績見通し
藤商事<6257>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比28.5%増の34,600百万円、営業利益で同421.3%増の2,000百万円、経常利益で同311.0%増の2,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で11.4倍の1,400百万円と期初計画を据え置いた。営業利益率では4期ぶりに5%を上回る見通しだ。コロナ禍が長引くなかで、パチンコ業界の市場環境は依然として逆風が続いているものの、前述したように旧規則機からの入替需要を取り込むべく、主力タイトルの新機種を順次投入し、販売台数の拡大により増収増益を目指す。パチンコ遊技機の販売台数は前期比27.7%増の90千台、パチスロ遊技機は5千台の販売を計画している。
パチンコ遊技機では第3四半期に「P地獄少女 華」(2021年11月導入)を投入、計画を上回る販売台数となったほか、2022年1月には前期に26千台を超えるヒットを記録した「Pとある魔術の禁書目録」の後継機種「Pとある科学の超電磁砲」を投入する予定となっている。「とある魔術の禁書目録」はライトノベル作品として大ヒットし、その後アニメ化やゲーム化もされた人気コンテンツである。パチンコ遊技機としても2020年11月に同社が発売し、追加増産を行うほどのヒット機種となった。今回投入する「Pとある科学の超電磁砲(レールガン)」はそのスピンオフ作品となるが、ライトノベル史上最も人気を博した女性キャラクターを主人公とした作品で、「とあるシリーズ」のなかでも最大ヒットを記録したことから期待度は大きい。機種のスペックは前作が大当たり確立1/319のミドル機であったのに対して、今回は1/239とライトミドル機に寄せたスペックとなっているが、そのなかでも出玉を最大限獲得しやすい作りとなっている。同社は前作同様、SNSなどを活用したプロモーションを積極展開しており、前作を上回るヒットが期待される。また、「Pとある魔術の禁書目録」でも異なるスペックの機種を第4四半期に投入する予定としている。一方、パチスロ遊技機では「Sリング 運命の秒刻」(2021年12月導入)を投入した。パチスロ遊技機に関しては新規則機になって射幸性が低下し、客足の戻りが鈍い状態が続いているため、どの程度販売できるか未知数だが、2020年3月期に投入した「リング」シリーズでは3.8千台の販売実績であった。
売上総利益率は50.5%と前期から2.3ポイント上昇する見通しである。パチンコ遊技機におけるパネル販売比率の上昇が主因だ。半導体等の部材不足が懸念されるものの、リユース品を活用するなどしており、現時点では生産面での影響は出ていないようだ。一方、販管費率は増収効果で44.7%と前期から2.1ポイント低下する。金額ベースでは前期比22.9%増の15,484百万円となり、主な内訳を見ると新機種の開発プロジェクトの増加により研究開発費が同1,822百万円増加するほか、広告宣伝費が同475百万円増と2倍強の増加を見込んでいる。新機種の拡販に向けてYouTubeやTwitterなどSNSを活用したプロモーション施策を積極的に展開していく予定にしている。その他販管費についても同811百万円の増加を見込んでいる。ただ同社は例年、販管費について保守的に予算を組む傾向があり、実際には計画をやや下回る可能性がある。
人員体制については、前期末比で3名増の468名を計画している。営業や管理・製造については前期比横ばいで、開発スタッフを3名増員する。今後も基本的に人員体制については横ばい水準が続く見込みで、開発体制についても工数削減等による効率化を推進していく方針となっている。
2023年3月期以降導入が見込まれるスマートパチンコ、スマートパチスロの開発を推進
3. 重点課題
2022年3月期の最重点課題として「稼働力向上」を掲げており、稼働力の高い機種を継続的に市場投入することを目指している。前期と同様、徹底した遊技者目線と、市場ニーズの変化を的確に捉えながら、斬新なアイデアによる魅力的な機種を開発することで、稼働力の向上を図っていく。
同社は2019年より全国のパチンコホールを訪問して、稼働力が低迷する原因を徹底調査し、競合メーカーの機種との比較も含めて綿密な分析を行い、開発部門にフィードバックして新機種の開発を一から見直すなどの開発体制を刷新した。改善項目は、音や映像の表現方法から玉の出方、ハンドルの形状に至るまですべて洗い出し、新機種の開発に反映させている。こうした取り組みの成果が、2021年3月期から投入した新機種に反映されており、「Pとある魔術の禁書目録」のロングヒットにもつながったと弊社では見ている。第2四半期までに投入した2機種については、やや稼働力が想定を下回る結果となったが、下期以降に販売される主力タイトルの新機種で稼働力を向上できるかどうかが注目される。
商品戦略としては従来の「ホラー」「時代劇」「萌え」ジャンルに加えて、「アニメ」ジャンルを新たに確立できたことでラインナップの幅が広がり、販売台数の増加につながるものと期待される。特に、パチンコホールでは若年層の取り込みが課題となっており、キラーコンテンツとして「アニメ」ジャンルで主力の機種を複数育てることができれば、シェアの拡大にもつながる。遊技機業界全体は逆風が続いているものの、同社のパチンコ遊技機の市場シェアはまだ数%台と低く、シェアの拡大による成長余地は大きい。当面の目標として市場シェア10%の達成を掲げている。
また、2023年3月期以降、新規格としてスマートパチンコ、スマートパチスロが導入される見込みとなっており、これらの開発も推進中だ。スマートパチンコとは出玉を排出しないよう循環式に変えたもので、アミューズメント施設等でよく見かけるタイプに近いものと想定される。また、スマートパチスロも同様で、完全デジタル式にしたメダルレスタイプの機種となる模様だ。遊技客は物理的に出玉やメダルに接触することが無くなるため、コロナ禍での感染防止対策になり、現在、規制当局と業界団体で細かい仕様などを固めている状況にある。遊技機業界ではプリペイドカード方式が導入された1992年以来の大きな変革となり、パチンコホールにとっては新たな投資が必要となるため、集客力が回復するような仕組みが導入される可能性がある。また、スマートパチンコでもゲーム性の幅を広げるほか、外枠や内部機構を共通化することで部材コストの低減が進むと言われている。長く縮小トレンドが続いた遊技機業界にとって、起爆剤となる可能性もあるだけに、その動向が注目される。
そのほか、従前から取り組んでいる部材の見直し、リユース品の活用による原価の低減に取り組んでいく。リユース品を多く使用できるかどうかは、旧機種をどれだけ下取り回収できるかにかかっているが、現状、下取り回収率についてはまだ改善の余地があると見ている。また、販管費についても研究開発部門の生産性向上や広告宣伝費の効率化、業務効率の向上を図ることによって抑制していく方針で、利益体質の強化に取り組んでいく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SI>
2. 2022年3月期の業績見通し
藤商事<6257>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比28.5%増の34,600百万円、営業利益で同421.3%増の2,000百万円、経常利益で同311.0%増の2,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で11.4倍の1,400百万円と期初計画を据え置いた。営業利益率では4期ぶりに5%を上回る見通しだ。コロナ禍が長引くなかで、パチンコ業界の市場環境は依然として逆風が続いているものの、前述したように旧規則機からの入替需要を取り込むべく、主力タイトルの新機種を順次投入し、販売台数の拡大により増収増益を目指す。パチンコ遊技機の販売台数は前期比27.7%増の90千台、パチスロ遊技機は5千台の販売を計画している。
パチンコ遊技機では第3四半期に「P地獄少女 華」(2021年11月導入)を投入、計画を上回る販売台数となったほか、2022年1月には前期に26千台を超えるヒットを記録した「Pとある魔術の禁書目録」の後継機種「Pとある科学の超電磁砲」を投入する予定となっている。「とある魔術の禁書目録」はライトノベル作品として大ヒットし、その後アニメ化やゲーム化もされた人気コンテンツである。パチンコ遊技機としても2020年11月に同社が発売し、追加増産を行うほどのヒット機種となった。今回投入する「Pとある科学の超電磁砲(レールガン)」はそのスピンオフ作品となるが、ライトノベル史上最も人気を博した女性キャラクターを主人公とした作品で、「とあるシリーズ」のなかでも最大ヒットを記録したことから期待度は大きい。機種のスペックは前作が大当たり確立1/319のミドル機であったのに対して、今回は1/239とライトミドル機に寄せたスペックとなっているが、そのなかでも出玉を最大限獲得しやすい作りとなっている。同社は前作同様、SNSなどを活用したプロモーションを積極展開しており、前作を上回るヒットが期待される。また、「Pとある魔術の禁書目録」でも異なるスペックの機種を第4四半期に投入する予定としている。一方、パチスロ遊技機では「Sリング 運命の秒刻」(2021年12月導入)を投入した。パチスロ遊技機に関しては新規則機になって射幸性が低下し、客足の戻りが鈍い状態が続いているため、どの程度販売できるか未知数だが、2020年3月期に投入した「リング」シリーズでは3.8千台の販売実績であった。
売上総利益率は50.5%と前期から2.3ポイント上昇する見通しである。パチンコ遊技機におけるパネル販売比率の上昇が主因だ。半導体等の部材不足が懸念されるものの、リユース品を活用するなどしており、現時点では生産面での影響は出ていないようだ。一方、販管費率は増収効果で44.7%と前期から2.1ポイント低下する。金額ベースでは前期比22.9%増の15,484百万円となり、主な内訳を見ると新機種の開発プロジェクトの増加により研究開発費が同1,822百万円増加するほか、広告宣伝費が同475百万円増と2倍強の増加を見込んでいる。新機種の拡販に向けてYouTubeやTwitterなどSNSを活用したプロモーション施策を積極的に展開していく予定にしている。その他販管費についても同811百万円の増加を見込んでいる。ただ同社は例年、販管費について保守的に予算を組む傾向があり、実際には計画をやや下回る可能性がある。
人員体制については、前期末比で3名増の468名を計画している。営業や管理・製造については前期比横ばいで、開発スタッフを3名増員する。今後も基本的に人員体制については横ばい水準が続く見込みで、開発体制についても工数削減等による効率化を推進していく方針となっている。
2023年3月期以降導入が見込まれるスマートパチンコ、スマートパチスロの開発を推進
3. 重点課題
2022年3月期の最重点課題として「稼働力向上」を掲げており、稼働力の高い機種を継続的に市場投入することを目指している。前期と同様、徹底した遊技者目線と、市場ニーズの変化を的確に捉えながら、斬新なアイデアによる魅力的な機種を開発することで、稼働力の向上を図っていく。
同社は2019年より全国のパチンコホールを訪問して、稼働力が低迷する原因を徹底調査し、競合メーカーの機種との比較も含めて綿密な分析を行い、開発部門にフィードバックして新機種の開発を一から見直すなどの開発体制を刷新した。改善項目は、音や映像の表現方法から玉の出方、ハンドルの形状に至るまですべて洗い出し、新機種の開発に反映させている。こうした取り組みの成果が、2021年3月期から投入した新機種に反映されており、「Pとある魔術の禁書目録」のロングヒットにもつながったと弊社では見ている。第2四半期までに投入した2機種については、やや稼働力が想定を下回る結果となったが、下期以降に販売される主力タイトルの新機種で稼働力を向上できるかどうかが注目される。
商品戦略としては従来の「ホラー」「時代劇」「萌え」ジャンルに加えて、「アニメ」ジャンルを新たに確立できたことでラインナップの幅が広がり、販売台数の増加につながるものと期待される。特に、パチンコホールでは若年層の取り込みが課題となっており、キラーコンテンツとして「アニメ」ジャンルで主力の機種を複数育てることができれば、シェアの拡大にもつながる。遊技機業界全体は逆風が続いているものの、同社のパチンコ遊技機の市場シェアはまだ数%台と低く、シェアの拡大による成長余地は大きい。当面の目標として市場シェア10%の達成を掲げている。
また、2023年3月期以降、新規格としてスマートパチンコ、スマートパチスロが導入される見込みとなっており、これらの開発も推進中だ。スマートパチンコとは出玉を排出しないよう循環式に変えたもので、アミューズメント施設等でよく見かけるタイプに近いものと想定される。また、スマートパチスロも同様で、完全デジタル式にしたメダルレスタイプの機種となる模様だ。遊技客は物理的に出玉やメダルに接触することが無くなるため、コロナ禍での感染防止対策になり、現在、規制当局と業界団体で細かい仕様などを固めている状況にある。遊技機業界ではプリペイドカード方式が導入された1992年以来の大きな変革となり、パチンコホールにとっては新たな投資が必要となるため、集客力が回復するような仕組みが導入される可能性がある。また、スマートパチンコでもゲーム性の幅を広げるほか、外枠や内部機構を共通化することで部材コストの低減が進むと言われている。長く縮小トレンドが続いた遊技機業界にとって、起爆剤となる可能性もあるだけに、その動向が注目される。
そのほか、従前から取り組んでいる部材の見直し、リユース品の活用による原価の低減に取り組んでいく。リユース品を多く使用できるかどうかは、旧機種をどれだけ下取り回収できるかにかかっているが、現状、下取り回収率についてはまだ改善の余地があると見ている。また、販管費についても研究開発部門の生産性向上や広告宣伝費の効率化、業務効率の向上を図ることによって抑制していく方針で、利益体質の強化に取り組んでいく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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