注目トピックス 日本株
テクマト Research Memo(9):2022年3月期業績は期初計画を据え置くも、上振れする可能性あり
配信日時:2021/12/27 15:49
配信元:FISCO
■今後の見通し
1. 2022年3月期の業績見通し
テクマトリックス<3762>の2022年3月期の連結業績は、売上収益で前期比6.7%増の33,000百万円、営業利益で同3.3%増の3,700百万円、税引前利益で同8.6%増の3,700百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で同4.3%増の2,400百万円と過去最高業績を更新する見通しだ。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上収益で48.9%、営業利益で43.3%と50%を下回っているものの、同社の業績は従来から下期偏重型であるほか、ストック型サービスの新規案件の増加により右肩上がりの売上成長が見込まれることから、十分達成可能な数字と考えられる。特に、情報基盤事業については足元もクラウド型セキュリティサービスを中心に好調な受注が続いており、業績上振れ要因となる可能性がある。なお、人員体制については2021年3月期と同様のペースで増員を進めていく計画となっている。
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業の売上収益は前期比9.8%増の23,000百万円、営業利益は同9.4%増の3,000百万円を見込んでいる。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上収益で49.1%、営業利益で46.0%と前期実績(売上収益46.9%、営業利益44.7%)を上回るペースとなっている。前述したように、足元もクラウド型セキュリティサービスに対する需要は旺盛で繁忙状況が続いていることから、会社計画は上回る可能性が高い。
今後の需要拡大が期待できる製品としては、ゼロトラスト・ネットワークアクセスモデルによる次世代セキュアアクセスソリューション「Appgate SDP」が挙げられる。リモートワークの普及に伴いVPN機器へのサイバー攻撃が急増するなかで、これら攻撃を防ぐためのツールとして注目されている。そのほか、ランサムウェア被害の増加に伴ってこれらを防御・検知するセキュリティ製品だけでなく、運用・監視サービス「TPS」や被害にあった場合に早急に必要なデータのバックアップ、改ざん防止を行うための次世代型セカンダリストレージ「COHESITY(コヒシティ)」などが挙げられる。
(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上収益は前期比0.1%増の10,000百万円、営業利益は同16.8%減の700百万円と増収減益を見込んでいる。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上収益で48.6%、営業利益で31.6%となっており、前期実績(売上収益48.1%、営業利益51.6%)と比較すると営業利益の進捗率が低くなっている。医療分野やソフトウェア品質保証分野は順調に推移しているものの、CRM分野が低調だったことや、ビジネスソリューション分野で不採算案件が発生したことが要因となっている。
下期についても医療分野やソフトウェア品質保証分野については好調が続く見通しだが、CRM分野については上期の受注遅れが響いて通期でも利益は計画を下回る可能性がある。ビジネスソリューション分野については、不採算案件の影響がなくなり、下期の利益は回復に向かうが、全体の営業利益はやや下振れする可能性があると弊社では見ている。
2024年3月期に売上高400億円、営業利益50億円を目指す中期経営計画が順調に滑り出す
2. 中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」
(1) 基本方針と戦略テーマ
2022年3月期からスタートした中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」では、デジタル化への急激なシフトと産業構造の劇的な変化を新たな成長機会と捉え、社会にとって必要不可欠な領域に向けた事業を加速し、社会課題を解決するためのサービス提供を通じて、持続可能な社会の創造に貢献していくことを基本方針に掲げた。
現在の事業環境に置き換えて説明すると、企業のDXシフトが進むことで需要家側にIT人材が集まり、従来型のシステム受託開発型のビジネスは先細っていく可能性がある。一方で社会インフラとして安心・安全を確保するセキュリティソリューションの重要性は一層増してくるものと予想され、同領域を引き続き伸ばしていく。また、IT開発の内製化を支援するための各種開発支援ツールの提供やベストプラクティスを組み込んだ業務特化型のクラウド型サービスの提供によって、持続可能な社会の創造に貢献していくというものだ。
事業戦略としては前中期経営計画において推進した「クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進」「セキュリティ&セイフティ(安心と安全)の追求」を継続していく。また、基本戦略としては「取扱い製品の拡大・新規サービスの立ち上げ」「サービス化の加速(サービス比率の拡大)」「データの利活用(AIの利用含む)」「多様なアライアンス・M&A(既存事業の拡充と新規事業の創出)」「海外市場での事業拡大」「グループ間連携の強化によるシナジー創出」「人材育成/組織開発(ダイバーシティの推進含む)」の7つのテーマに取り組んでいく。まだ、スタートして8ヶ月余りだが、それぞれのテーマについて順調に進んでいるものと思われる。
(2) 経営数値目標
経営数値目標として、2024年3月期に連結売上収益40,000百万円、営業利益5,000百万円を掲げている。3年間の年平均成長率は売上高で9.0%、営業利益で11.7%となる。最初の2年間は教育事業や海外事業拡大のための先行投資を積極化していくこと、一部製品のサブスクリプションモデルへの移行による一時的な収益の落込みなどが影響して、利益の伸びが緩やかなものにとどまるが、2024年3月期には先行投資の効果なども出始め、利益成長も加速する格好となっている。
2024年3月期の事業セグメント別業績目標は、情報基盤事業が売上収益で28,000百万円、営業利益で3,600百万円となる。年率10.2%の増収と9.5%の増益を見込む。売上収益については情報セキュリティシステムのクラウドシフトの流れが始まったばかりであり、今後も多くの企業や官公庁でクラウドシフトが進むと予想されることから、達成の可能性は十分あると言える。2023年3月期に営業利益率が12.4%と若干低下するが、これは大型案件の比率が高まることで利益率が一時的に低下することが要因だ。ただ、足元は想定以上に受注や受注残高が拡大しており、利益率の低下があったとしても増収効果により営業利益の水準は計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。また、運用・監視サービスである「TPS」の売上比率が高まってくれば利益率の上昇に寄与することになる。
一方、アプリケーション・サービス事業は売上収益で12,000百万円、営業利益で1,400百万円を目標とし、年率6.3%の増収と18.5%の増益を見込んでいる。2022年3月期は利益ベースでやや下回る可能性があるものの、2023年3月期以降はCRM分野の売上収益が国内外で拡大していく見通しとなっているほか、医療分野やソフトウェア品質保証分野も増収増益が続く見通しとなっており、キャッチアップしていくことは可能と弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
1. 2022年3月期の業績見通し
テクマトリックス<3762>の2022年3月期の連結業績は、売上収益で前期比6.7%増の33,000百万円、営業利益で同3.3%増の3,700百万円、税引前利益で同8.6%増の3,700百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で同4.3%増の2,400百万円と過去最高業績を更新する見通しだ。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上収益で48.9%、営業利益で43.3%と50%を下回っているものの、同社の業績は従来から下期偏重型であるほか、ストック型サービスの新規案件の増加により右肩上がりの売上成長が見込まれることから、十分達成可能な数字と考えられる。特に、情報基盤事業については足元もクラウド型セキュリティサービスを中心に好調な受注が続いており、業績上振れ要因となる可能性がある。なお、人員体制については2021年3月期と同様のペースで増員を進めていく計画となっている。
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業の売上収益は前期比9.8%増の23,000百万円、営業利益は同9.4%増の3,000百万円を見込んでいる。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上収益で49.1%、営業利益で46.0%と前期実績(売上収益46.9%、営業利益44.7%)を上回るペースとなっている。前述したように、足元もクラウド型セキュリティサービスに対する需要は旺盛で繁忙状況が続いていることから、会社計画は上回る可能性が高い。
今後の需要拡大が期待できる製品としては、ゼロトラスト・ネットワークアクセスモデルによる次世代セキュアアクセスソリューション「Appgate SDP」が挙げられる。リモートワークの普及に伴いVPN機器へのサイバー攻撃が急増するなかで、これら攻撃を防ぐためのツールとして注目されている。そのほか、ランサムウェア被害の増加に伴ってこれらを防御・検知するセキュリティ製品だけでなく、運用・監視サービス「TPS」や被害にあった場合に早急に必要なデータのバックアップ、改ざん防止を行うための次世代型セカンダリストレージ「COHESITY(コヒシティ)」などが挙げられる。
(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上収益は前期比0.1%増の10,000百万円、営業利益は同16.8%減の700百万円と増収減益を見込んでいる。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上収益で48.6%、営業利益で31.6%となっており、前期実績(売上収益48.1%、営業利益51.6%)と比較すると営業利益の進捗率が低くなっている。医療分野やソフトウェア品質保証分野は順調に推移しているものの、CRM分野が低調だったことや、ビジネスソリューション分野で不採算案件が発生したことが要因となっている。
下期についても医療分野やソフトウェア品質保証分野については好調が続く見通しだが、CRM分野については上期の受注遅れが響いて通期でも利益は計画を下回る可能性がある。ビジネスソリューション分野については、不採算案件の影響がなくなり、下期の利益は回復に向かうが、全体の営業利益はやや下振れする可能性があると弊社では見ている。
2024年3月期に売上高400億円、営業利益50億円を目指す中期経営計画が順調に滑り出す
2. 中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」
(1) 基本方針と戦略テーマ
2022年3月期からスタートした中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」では、デジタル化への急激なシフトと産業構造の劇的な変化を新たな成長機会と捉え、社会にとって必要不可欠な領域に向けた事業を加速し、社会課題を解決するためのサービス提供を通じて、持続可能な社会の創造に貢献していくことを基本方針に掲げた。
現在の事業環境に置き換えて説明すると、企業のDXシフトが進むことで需要家側にIT人材が集まり、従来型のシステム受託開発型のビジネスは先細っていく可能性がある。一方で社会インフラとして安心・安全を確保するセキュリティソリューションの重要性は一層増してくるものと予想され、同領域を引き続き伸ばしていく。また、IT開発の内製化を支援するための各種開発支援ツールの提供やベストプラクティスを組み込んだ業務特化型のクラウド型サービスの提供によって、持続可能な社会の創造に貢献していくというものだ。
事業戦略としては前中期経営計画において推進した「クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進」「セキュリティ&セイフティ(安心と安全)の追求」を継続していく。また、基本戦略としては「取扱い製品の拡大・新規サービスの立ち上げ」「サービス化の加速(サービス比率の拡大)」「データの利活用(AIの利用含む)」「多様なアライアンス・M&A(既存事業の拡充と新規事業の創出)」「海外市場での事業拡大」「グループ間連携の強化によるシナジー創出」「人材育成/組織開発(ダイバーシティの推進含む)」の7つのテーマに取り組んでいく。まだ、スタートして8ヶ月余りだが、それぞれのテーマについて順調に進んでいるものと思われる。
(2) 経営数値目標
経営数値目標として、2024年3月期に連結売上収益40,000百万円、営業利益5,000百万円を掲げている。3年間の年平均成長率は売上高で9.0%、営業利益で11.7%となる。最初の2年間は教育事業や海外事業拡大のための先行投資を積極化していくこと、一部製品のサブスクリプションモデルへの移行による一時的な収益の落込みなどが影響して、利益の伸びが緩やかなものにとどまるが、2024年3月期には先行投資の効果なども出始め、利益成長も加速する格好となっている。
2024年3月期の事業セグメント別業績目標は、情報基盤事業が売上収益で28,000百万円、営業利益で3,600百万円となる。年率10.2%の増収と9.5%の増益を見込む。売上収益については情報セキュリティシステムのクラウドシフトの流れが始まったばかりであり、今後も多くの企業や官公庁でクラウドシフトが進むと予想されることから、達成の可能性は十分あると言える。2023年3月期に営業利益率が12.4%と若干低下するが、これは大型案件の比率が高まることで利益率が一時的に低下することが要因だ。ただ、足元は想定以上に受注や受注残高が拡大しており、利益率の低下があったとしても増収効果により営業利益の水準は計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。また、運用・監視サービスである「TPS」の売上比率が高まってくれば利益率の上昇に寄与することになる。
一方、アプリケーション・サービス事業は売上収益で12,000百万円、営業利益で1,400百万円を目標とし、年率6.3%の増収と18.5%の増益を見込んでいる。2022年3月期は利益ベースでやや下回る可能性があるものの、2023年3月期以降はCRM分野の売上収益が国内外で拡大していく見通しとなっているほか、医療分野やソフトウェア品質保証分野も増収増益が続く見通しとなっており、キャッチアップしていくことは可能と弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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