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ステップ Research Memo(6):2022年9月期も会計基準の影響を除けば2ケタ増益が続く見通し
配信日時:2021/12/20 16:06
配信元:FISCO
■今後の見通し
1. 2022年9月期の業績見通し
ステップ<9795>の2022年9月期の業績は売上高で13,644百万円、営業利益で3,644百万円、経常利益で3,692百万円、当期純利益で2,501百万円を計画している。前期からの伸び率では売上高で4.7%増、営業利益で3.8%増と大幅に鈍化するが、これは新たに「収益認識に関する会計基準」を適用することで、売上高、営業利益、経常利益でそれぞれ316百万円、当期純利益で246百万円の減額要因となるためだ。2021年9月期も同一の会計基準を適用したと仮定した場合の増減率で見ると、売上高で7.1%増、営業利益で13.6%増、経常利益で12.2%増、当期純利益で10.5%増となり、2ケタ増益が続く見通しとなっている。同様に旧会計基準を2022年9月期も適用したと仮定した場合でも増収率は同じで、増益率もほぼ同様の水準となる。
従来基準では、諸費用(教材費等)による売上高について、各学期の初月(1月、4月、9月)に一括して売上計上してきたが、新基準では1月計上分を1~3月、4月分を4~7月、9月分を9~12月の各月に按分計上する方法に変更となった(8月は夏期講習のため諸費用売上無し)。これにより、従来基準で9月に計上していた諸費用売上高のうち、10~12月の3ヶ月分の売上計上時期が翌期にずれ込むこととなり、その影響額が316百万円と同社では試算している。2022年9月期には諸費用売上高は8ヶ月分のみ計上することとなる。逆に2023年9月期においては諸費用売上高が11ヶ月分計上されるため、業績面でほぼ同額分の増額要因となる。なお、第2四半期累計業績については会計基準変更の影響は受けない。
営業利益率についても見かけは前期の26.9%から26.7%と若干低下するが、実質ベースでは1.5ポイント程度の上昇となる。利益率の上昇要因は、増収効果と校舎当たり生徒数の増加による固定費率の低下、並びに広告宣伝費率の低下による。
(1) 生徒数及び新規スクールの計画
会社計画における生徒数伸び率の見通しについては、第2四半期累計が前年同期比10%弱、下期が同4%台の伸びを前提としている。2021年10月末の生徒数は前年同期比10%増でスタートしている。2020年は冬期講習前後に生徒数の増加の動きが鮮明となってきたことを考慮すると、第2四半期に伸び率が鈍化する可能性はあるものの、第2四半期累計で8.7%増収という会社計画は達成可能と弊社では見ている。また、下期の4%台の伸び率は過去平均を参考にしたものとなっている。下期の生徒動向については2022年の合格実績が影響を与えると考えられるが、「翠嵐プロジェクト」「横浜プロジェクト」を4年連続で達成し、さらに進学塾としてのブランド力が揺るぎないものとなる可能性が高いことを考えると、4%台の伸びは確保できるものと思われる。2021年10月末の中学3年生の生徒数は前年同期比5.3%増の8,024人と過去最高水準であり、2022年は両プロジェクトにおいてどの程度合格者数を増やすことができるか、また、競合塾に対して差を広げることができるかが注目される。
2022年9月期の新規出校は高校受験の3スクール(武蔵新城スクール、武蔵中原スクール、向ヶ丘遊園スクール)を予定している。2スクールは川崎市中原区のJR南武線沿線に位置し、1スクールは川崎市多摩区の小田急線沿線に位置し、いずれも駅から徒歩3分の好立地となる。近隣には神奈川県で最大の生徒数(約1,300人)の公立中学校があり、今後の生徒獲得状況が注目される。なお、新規開校を例年に比べて抑制したのは、2022年度より男性社員の育児休業取得に関する対応が法的に義務付けられ、男性教師が育児休業を取得した際に授業の質を落とさない代わりの教師を一定程度確保しておく必要があると考え、2022年9月期はこうした教師の確保・育成を優先する方針としたためだ。
なお、既存スクールの増床・移転計画については、今後も良い不動産物件が見つかれば積極的に進めていく考えだ。このため、設備投資計画は約4億円と前期から若干減少する見込みだが、追加で増床・移転等の設備投資を行う可能性がある。
(2) 学童保育の状況について
学童保育部門については、2020年に新規開設した2教室を含めて、現在3教室を運営している。2021年10月末時点の生徒数は前年同期比53名増の272名と当初の想定に対して若干下回ったようだ。コロナ禍で在宅勤務の保護者が増加した影響と見られる。ただ、2022年度の予約申し込みは順調に進んでいるもようで、2022年4月には350名程度でスタートできる見通しとなっている。損益状況については、2016年に開校した「湘南教室」が既に黒字化しているものの残り2教室の損失が続いており、全体でもまだ若干の損失となっているが、「辻堂教室」については2023年9月期、「茅ヶ崎教室」は2024年9月期に黒字化する見込みとなっている。
(3) 採用計画
2022年春の新卒採用数は、前期比でほぼ倍増の60名となる見込みで、新卒採用数では過去最高水準となる。オンラインでの会社説明会や面接を実施したほか、SNSを活用した認知度向上に取り組んだことにより、神奈川県外からの応募者が増加し、採用増につながった。また、リファラル採用(社員紹介入社)も継続して進めていく。前述したように、2022年9月期は教師の質と量を強化していくことを経営の優先課題として取り組んでいく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2022年9月期の業績見通し
ステップ<9795>の2022年9月期の業績は売上高で13,644百万円、営業利益で3,644百万円、経常利益で3,692百万円、当期純利益で2,501百万円を計画している。前期からの伸び率では売上高で4.7%増、営業利益で3.8%増と大幅に鈍化するが、これは新たに「収益認識に関する会計基準」を適用することで、売上高、営業利益、経常利益でそれぞれ316百万円、当期純利益で246百万円の減額要因となるためだ。2021年9月期も同一の会計基準を適用したと仮定した場合の増減率で見ると、売上高で7.1%増、営業利益で13.6%増、経常利益で12.2%増、当期純利益で10.5%増となり、2ケタ増益が続く見通しとなっている。同様に旧会計基準を2022年9月期も適用したと仮定した場合でも増収率は同じで、増益率もほぼ同様の水準となる。
従来基準では、諸費用(教材費等)による売上高について、各学期の初月(1月、4月、9月)に一括して売上計上してきたが、新基準では1月計上分を1~3月、4月分を4~7月、9月分を9~12月の各月に按分計上する方法に変更となった(8月は夏期講習のため諸費用売上無し)。これにより、従来基準で9月に計上していた諸費用売上高のうち、10~12月の3ヶ月分の売上計上時期が翌期にずれ込むこととなり、その影響額が316百万円と同社では試算している。2022年9月期には諸費用売上高は8ヶ月分のみ計上することとなる。逆に2023年9月期においては諸費用売上高が11ヶ月分計上されるため、業績面でほぼ同額分の増額要因となる。なお、第2四半期累計業績については会計基準変更の影響は受けない。
営業利益率についても見かけは前期の26.9%から26.7%と若干低下するが、実質ベースでは1.5ポイント程度の上昇となる。利益率の上昇要因は、増収効果と校舎当たり生徒数の増加による固定費率の低下、並びに広告宣伝費率の低下による。
(1) 生徒数及び新規スクールの計画
会社計画における生徒数伸び率の見通しについては、第2四半期累計が前年同期比10%弱、下期が同4%台の伸びを前提としている。2021年10月末の生徒数は前年同期比10%増でスタートしている。2020年は冬期講習前後に生徒数の増加の動きが鮮明となってきたことを考慮すると、第2四半期に伸び率が鈍化する可能性はあるものの、第2四半期累計で8.7%増収という会社計画は達成可能と弊社では見ている。また、下期の4%台の伸び率は過去平均を参考にしたものとなっている。下期の生徒動向については2022年の合格実績が影響を与えると考えられるが、「翠嵐プロジェクト」「横浜プロジェクト」を4年連続で達成し、さらに進学塾としてのブランド力が揺るぎないものとなる可能性が高いことを考えると、4%台の伸びは確保できるものと思われる。2021年10月末の中学3年生の生徒数は前年同期比5.3%増の8,024人と過去最高水準であり、2022年は両プロジェクトにおいてどの程度合格者数を増やすことができるか、また、競合塾に対して差を広げることができるかが注目される。
2022年9月期の新規出校は高校受験の3スクール(武蔵新城スクール、武蔵中原スクール、向ヶ丘遊園スクール)を予定している。2スクールは川崎市中原区のJR南武線沿線に位置し、1スクールは川崎市多摩区の小田急線沿線に位置し、いずれも駅から徒歩3分の好立地となる。近隣には神奈川県で最大の生徒数(約1,300人)の公立中学校があり、今後の生徒獲得状況が注目される。なお、新規開校を例年に比べて抑制したのは、2022年度より男性社員の育児休業取得に関する対応が法的に義務付けられ、男性教師が育児休業を取得した際に授業の質を落とさない代わりの教師を一定程度確保しておく必要があると考え、2022年9月期はこうした教師の確保・育成を優先する方針としたためだ。
なお、既存スクールの増床・移転計画については、今後も良い不動産物件が見つかれば積極的に進めていく考えだ。このため、設備投資計画は約4億円と前期から若干減少する見込みだが、追加で増床・移転等の設備投資を行う可能性がある。
(2) 学童保育の状況について
学童保育部門については、2020年に新規開設した2教室を含めて、現在3教室を運営している。2021年10月末時点の生徒数は前年同期比53名増の272名と当初の想定に対して若干下回ったようだ。コロナ禍で在宅勤務の保護者が増加した影響と見られる。ただ、2022年度の予約申し込みは順調に進んでいるもようで、2022年4月には350名程度でスタートできる見通しとなっている。損益状況については、2016年に開校した「湘南教室」が既に黒字化しているものの残り2教室の損失が続いており、全体でもまだ若干の損失となっているが、「辻堂教室」については2023年9月期、「茅ヶ崎教室」は2024年9月期に黒字化する見込みとなっている。
(3) 採用計画
2022年春の新卒採用数は、前期比でほぼ倍増の60名となる見込みで、新卒採用数では過去最高水準となる。オンラインでの会社説明会や面接を実施したほか、SNSを活用した認知度向上に取り組んだことにより、神奈川県外からの応募者が増加し、採用増につながった。また、リファラル採用(社員紹介入社)も継続して進めていく。前述したように、2022年9月期は教師の質と量を強化していくことを経営の優先課題として取り組んでいく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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