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連載コラム:日本のペイパル・マフィア(第2回)DXによって維新を起こす「千葉道場」【実業之日本フォーラム】
配信日時:2021/10/15 13:37
配信元:FISCO
私が「日本版ペイパル・マフィア」と位置づける人々について紹介していく本連載、1人目にご紹介するのは、スタートアップ起業家が切磋琢磨する「千葉道場」主宰・千葉功太郎さんです。
千葉道場は、北辰一刀流を創始した千葉周作がつくり坂本龍馬も剣術を磨いた、あの幕末の剣道場「千葉道場」の現代版ともいうべきコミュニティです。半年に一度、スタートアップの幹部たちが集まる合宿を実施し、そこでは参加者どうしが「起業家が明日からすぐ使える活きた濃い内容」の議論を交わします。その場で話された内容については、完全秘密厳守。このほか、毎月個別に起業家のメンタリングも行われています。
千葉道場の軸となっている合宿では、全員が先生であり生徒でもあるということを徹底し、千葉さん自身は「毎回、ただひたすらミッションとビジョンを語るだけの役で、何かを教えているわけではない」と言います。起業家たちが強い結束力のもとでお互いに助け合いながら成長を目指していく、まさに「道場」なのです。
「今の起業家は、当時の幕末の剣士のように維新を起こそうとしているんです。維新を起こすのが力ではなくてDX(デジタルトランスフォーメーション)だという違いはありますが、千葉道場はDXによって社会に維新を起こそうとしている集団だともいえますね。勉強は全員が互いに教え合うというのも、坂本龍馬の剣道場とまったく一緒です。そこに集まった人がお互いにカンカンカンとやり合うことで剣術が磨かれるし、コミュニティそのものが力になって、突破口につながっていく。こうしたスタイルであれば自然に大きくなれると思っています」(千葉さん)
私は、千葉道場はまさに「日本版ペイパル・マフィア」だという印象を持っていますし、千葉さん自身も「心がつながっているという意味で、マフィアという言葉はかなりニュアンスが近い気がする」と言っています。読者の皆さんには、ぜひ千葉道場のサイトでどんな起業家の方々がメンバーになっているのかを見てみてください(https://chiba-dojo.jp/member.html)。顔ぶれを見れば、ここに明るい日本の未来があるということを強く感じられるのではないかと思います。
私が投資家としての千葉さんのお話を聞いていて感じるのは、千葉さんが「人」を見て投資をしているということです。シード段階だけでなくミドル、レイターのステージではもちろん、マザーズに上場する段階の企業であってもまだ仕組みで稼ぐほど会社が成熟しているとは考えておらず、創業社長や経営メンバーといった「人」を重視するのが千葉さんの基本的なスタンスです。
「会社の成長は創業者の底力や胆力、夢といったものに強く引っ張られるものであり、上場後の企業の将来は、それらをいかに仕組み化したり組織化したりしていくかにかかっていると思っています。マザーズ上場レベルでもそうですから、未上場のスタートアップを見るときは、もちろん事業計画や数字などいろいろなものは見ますけれども、それ以上に『人』を見ています」(千葉さん)
私は、この「人」をみて投資をするという点で千葉さんに強く共感しています。人間を追いかけることは勝率が高い投資の1つのあり方であり、それが投資の王道だと思うのです。
次回後編では、千葉さんが日本のスタートアップ環境についてどう見ているのかについて紹介します。
【千葉功太郎さんプロフィール】
千葉道場ファンド ジェネラル・パートナー/Drone Fund代表パートナー/慶應義塾大学SFC特別招聘教授/航空パイロット
1974年5月11日、東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、株式会社リクルート(現リクルートホールディングス)入社。株式会社サイバード、株式会社ケイ・ラボラトリーを経て、2009年株式会社コロプラに参画し同年12月に取締役副社長。2012年東証マザーズIPO、2014年東証一部上場を果たし2016年7月に退任。その後、国内外のインターネットやリアルテック業界でのエンジェル投資家(スタートアップ60社以上、ベンチャーキャピタル40ファンド以上に個人投資)として活動。2017年6月にDRONE FUNDを設立。個人投資先、DRONE FUND投資先の起業家コミュニティ「千葉道場」を運営。2019年4月、慶應義塾大学SFC の特別招聘教授に就任。2018年12月に、堀江貴文氏らと共に国産旅客機「HondaJet Elite」の国内1号機を共同購入。2020年6月1日、自家用操縦士のパイロットライセンス取得を発表。
レオス・キャピタルワークス株式会社
代表取締役 会長兼社長 最高投資責任者(CIO)
藤野 英人(ふじの・ひでと)
国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークス創業。「ひふみ」シリーズ最高投資責任者(CIO)。投資啓発活動にも注力し、JPXアカデミーフェロー、東京理科大学上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、叡啓大学客員教授を務める。一般社団法人投資信託協会理事。近著に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)。
■実業之日本フォーラムの3大特色
実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。
1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム
・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する
・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う
2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア
・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く
・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える
3)「ほめる」メディア
・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
<RS>
千葉道場は、北辰一刀流を創始した千葉周作がつくり坂本龍馬も剣術を磨いた、あの幕末の剣道場「千葉道場」の現代版ともいうべきコミュニティです。半年に一度、スタートアップの幹部たちが集まる合宿を実施し、そこでは参加者どうしが「起業家が明日からすぐ使える活きた濃い内容」の議論を交わします。その場で話された内容については、完全秘密厳守。このほか、毎月個別に起業家のメンタリングも行われています。
千葉道場の軸となっている合宿では、全員が先生であり生徒でもあるということを徹底し、千葉さん自身は「毎回、ただひたすらミッションとビジョンを語るだけの役で、何かを教えているわけではない」と言います。起業家たちが強い結束力のもとでお互いに助け合いながら成長を目指していく、まさに「道場」なのです。
「今の起業家は、当時の幕末の剣士のように維新を起こそうとしているんです。維新を起こすのが力ではなくてDX(デジタルトランスフォーメーション)だという違いはありますが、千葉道場はDXによって社会に維新を起こそうとしている集団だともいえますね。勉強は全員が互いに教え合うというのも、坂本龍馬の剣道場とまったく一緒です。そこに集まった人がお互いにカンカンカンとやり合うことで剣術が磨かれるし、コミュニティそのものが力になって、突破口につながっていく。こうしたスタイルであれば自然に大きくなれると思っています」(千葉さん)
私は、千葉道場はまさに「日本版ペイパル・マフィア」だという印象を持っていますし、千葉さん自身も「心がつながっているという意味で、マフィアという言葉はかなりニュアンスが近い気がする」と言っています。読者の皆さんには、ぜひ千葉道場のサイトでどんな起業家の方々がメンバーになっているのかを見てみてください(https://chiba-dojo.jp/member.html)。顔ぶれを見れば、ここに明るい日本の未来があるということを強く感じられるのではないかと思います。
私が投資家としての千葉さんのお話を聞いていて感じるのは、千葉さんが「人」を見て投資をしているということです。シード段階だけでなくミドル、レイターのステージではもちろん、マザーズに上場する段階の企業であってもまだ仕組みで稼ぐほど会社が成熟しているとは考えておらず、創業社長や経営メンバーといった「人」を重視するのが千葉さんの基本的なスタンスです。
「会社の成長は創業者の底力や胆力、夢といったものに強く引っ張られるものであり、上場後の企業の将来は、それらをいかに仕組み化したり組織化したりしていくかにかかっていると思っています。マザーズ上場レベルでもそうですから、未上場のスタートアップを見るときは、もちろん事業計画や数字などいろいろなものは見ますけれども、それ以上に『人』を見ています」(千葉さん)
私は、この「人」をみて投資をするという点で千葉さんに強く共感しています。人間を追いかけることは勝率が高い投資の1つのあり方であり、それが投資の王道だと思うのです。
次回後編では、千葉さんが日本のスタートアップ環境についてどう見ているのかについて紹介します。
【千葉功太郎さんプロフィール】
千葉道場ファンド ジェネラル・パートナー/Drone Fund代表パートナー/慶應義塾大学SFC特別招聘教授/航空パイロット
1974年5月11日、東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、株式会社リクルート(現リクルートホールディングス)入社。株式会社サイバード、株式会社ケイ・ラボラトリーを経て、2009年株式会社コロプラに参画し同年12月に取締役副社長。2012年東証マザーズIPO、2014年東証一部上場を果たし2016年7月に退任。その後、国内外のインターネットやリアルテック業界でのエンジェル投資家(スタートアップ60社以上、ベンチャーキャピタル40ファンド以上に個人投資)として活動。2017年6月にDRONE FUNDを設立。個人投資先、DRONE FUND投資先の起業家コミュニティ「千葉道場」を運営。2019年4月、慶應義塾大学SFC の特別招聘教授に就任。2018年12月に、堀江貴文氏らと共に国産旅客機「HondaJet Elite」の国内1号機を共同購入。2020年6月1日、自家用操縦士のパイロットライセンス取得を発表。
レオス・キャピタルワークス株式会社
代表取締役 会長兼社長 最高投資責任者(CIO)
藤野 英人(ふじの・ひでと)
国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークス創業。「ひふみ」シリーズ最高投資責任者(CIO)。投資啓発活動にも注力し、JPXアカデミーフェロー、東京理科大学上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、叡啓大学客員教授を務める。一般社団法人投資信託協会理事。近著に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)。
■実業之日本フォーラムの3大特色
実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。
1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム
・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する
・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う
2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア
・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く
・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える
3)「ほめる」メディア
・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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