注目トピックス 日本株
RSテクノ Research Memo(9):中期経営計画は順調な滑り出し(2)
配信日時:2021/10/13 16:09
配信元:FISCO
■今後の見通し
(3) 第3の収益柱として半導体製造装置用消耗部材を育成
RS Technologies<3445>は、ウェーハ再生事業、プライムウェーハ事業に続く第3の収益柱を育成すべく、子会社のDG Technologiesで展開している半導体製造装置用消耗部材に注力していく方針を明らかにしている。具体的には、半導体製造装置でシリコンウェーハを固定するための石英リングやシリコン電極などの消耗部材の売上成長を目指している。
同消耗部材の年間市場規模は約1,500億円と同社では推計しており、当面の売上目標としてシェア10%(約150億円)を目指している。売上高は2020年12月期から2021年12月期に向けて拡大する見込みとなっており、今後は生産性の高い新工場で稼働率を高めていくことで、日本や台湾からの旺盛な需要に対応していく戦略となっている。
競合は国内、台湾、韓国、米国などに複数社あるが、同社は品質や技術力で強みを持つ。多品種少量生産となるため、従来は生産効率が低い点が課題であったが、自動化設備の導入や人員配置の最適化等によって生産効率の向上を図っていく。また、材料費についても2020年12月期からグループ会社のGRITEKよりシリコンを仕入れることでコスト低減を図っており、こうした取り組みにより競争力を強化し、また、ウェーハ再生事業の顧客に対してクロスセルを実施していくことで販売シェアを拡大していく戦略となっている。長期的な目標として世界シェアで約3割、売上高450億円を目指している。石英ガラスの競合であるテクノクオーツ<5217>は、2021年3月期の売上高は127億円、営業利益率は19%の水準となっており、DG Technologiesも売上規模が拡大すれば営業利益率で10%台後半の水準を狙えるものと弊社では見ている。
(4) 今後の事業領域及び販売地域の展開
長期的な成長戦略としては、事業領域と販売地域の拡大を進めていく方針となっている。現在、新規展開を予定しているものとして、中国で生産しているプライムウェーハの中国以外の地域への販売が挙げられる。当面は中国向けの需要だけで手一杯となるため長期的な戦略となるが、日米欧市場への輸出も視野に入れている。また、商社機能として半導体・電子部品、消耗材などの販売を日本、アジア、中国で展開しているが、今後は欧米市場での販売展開も進めていく予定にしている。そのほか、M&Aについても半導体ウェーハ周辺領域においてシナジーが見込める案件であれば、国内外問わず前向きに検討していく方針だ。
同社は12インチ再生ウェーハで世界シェア約33%(同社推計)とトップの地位を確立し、世界の大手半導体メーカーを顧客として既に持っていることから、クロスセルによるシナジーを創出しやすい立ち位置にあると思われる。半導体産業は好不況の波が大きいものの、同社の基盤事業となるウェーハ再生事業は不況の影響を受けにくく比較的安定した業績推移が見込まれる。中長期的な視点で見れば、高シェアを持つウェーハ再生事業を安定収益基盤とし、プライムウェーハ事業では中国半導体産業の成長を追い風に事業を拡大、半導体製造装置用消耗部材を第3の柱に育成することで、半導体市場の成長スピードを上回るペースで収益を拡大していくという同社の戦略の実現性は十分あると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
(3) 第3の収益柱として半導体製造装置用消耗部材を育成
RS Technologies<3445>は、ウェーハ再生事業、プライムウェーハ事業に続く第3の収益柱を育成すべく、子会社のDG Technologiesで展開している半導体製造装置用消耗部材に注力していく方針を明らかにしている。具体的には、半導体製造装置でシリコンウェーハを固定するための石英リングやシリコン電極などの消耗部材の売上成長を目指している。
同消耗部材の年間市場規模は約1,500億円と同社では推計しており、当面の売上目標としてシェア10%(約150億円)を目指している。売上高は2020年12月期から2021年12月期に向けて拡大する見込みとなっており、今後は生産性の高い新工場で稼働率を高めていくことで、日本や台湾からの旺盛な需要に対応していく戦略となっている。
競合は国内、台湾、韓国、米国などに複数社あるが、同社は品質や技術力で強みを持つ。多品種少量生産となるため、従来は生産効率が低い点が課題であったが、自動化設備の導入や人員配置の最適化等によって生産効率の向上を図っていく。また、材料費についても2020年12月期からグループ会社のGRITEKよりシリコンを仕入れることでコスト低減を図っており、こうした取り組みにより競争力を強化し、また、ウェーハ再生事業の顧客に対してクロスセルを実施していくことで販売シェアを拡大していく戦略となっている。長期的な目標として世界シェアで約3割、売上高450億円を目指している。石英ガラスの競合であるテクノクオーツ<5217>は、2021年3月期の売上高は127億円、営業利益率は19%の水準となっており、DG Technologiesも売上規模が拡大すれば営業利益率で10%台後半の水準を狙えるものと弊社では見ている。
(4) 今後の事業領域及び販売地域の展開
長期的な成長戦略としては、事業領域と販売地域の拡大を進めていく方針となっている。現在、新規展開を予定しているものとして、中国で生産しているプライムウェーハの中国以外の地域への販売が挙げられる。当面は中国向けの需要だけで手一杯となるため長期的な戦略となるが、日米欧市場への輸出も視野に入れている。また、商社機能として半導体・電子部品、消耗材などの販売を日本、アジア、中国で展開しているが、今後は欧米市場での販売展開も進めていく予定にしている。そのほか、M&Aについても半導体ウェーハ周辺領域においてシナジーが見込める案件であれば、国内外問わず前向きに検討していく方針だ。
同社は12インチ再生ウェーハで世界シェア約33%(同社推計)とトップの地位を確立し、世界の大手半導体メーカーを顧客として既に持っていることから、クロスセルによるシナジーを創出しやすい立ち位置にあると思われる。半導体産業は好不況の波が大きいものの、同社の基盤事業となるウェーハ再生事業は不況の影響を受けにくく比較的安定した業績推移が見込まれる。中長期的な視点で見れば、高シェアを持つウェーハ再生事業を安定収益基盤とし、プライムウェーハ事業では中国半導体産業の成長を追い風に事業を拡大、半導体製造装置用消耗部材を第3の柱に育成することで、半導体市場の成長スピードを上回るペースで収益を拡大していくという同社の戦略の実現性は十分あると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
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