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ココナラ Research Memo(3):「ココナラ」は、リカーリング型のビジネスモデル
配信日時:2021/10/08 16:03
配信元:FISCO
■会社概要
2. ビジネスモデルと強み
(1) ビジネスモデル
「ココナラ」とは、個人が知識・スキル・経験を商品化し、「ECのように売り買いできる」マッチング型プラットフォームのことである。その特徴は、納品まで「オンライン」(非対面)で完結すること、EC型で簡単に購入/出品ができること、400種類以上のカテゴリーの商品(サービス)を揃えていることの3点となる。サービスの流れは、出品者(個人)が自身の知識・スキルやプロフィール、サービス情報などを「ココナラ」に出品(掲載)し、これらの情報をもとに、購入者は依頼したい内容に応じて購入前に条件等についてメッセージ機能を使って確認、問題がなければ購入し、サービス提供(制作物の場合は納品)後に、サービスのレビュー(評価)を行う流れとなる。購入代金についてはサービス提供の確認があるまでココナラ<4176>で預かる格好となっており、サービス提供が何らかの事由によりされなかったなど、キャンセルされた場合には代金は購入者に返金されることになる。
なお、同社は手数料として販売額の20%を出品者から、5%を購入者からそれぞれ徴収している※。出品者の手数料率について20%の水準が高いかどうかだが、例えば、企業で働くデザイナーが同じ案件を受注した場合、企業の取り分が約70%でデザイナーの収入は残り30%というのが相場と言われている。一方、「ココナラ」では自身で販売額を設定できることもあり、20%という手数料率に割高感はない。購入者側から見ても5%という手数料を払うことになるが、制作会社あるいは広告代理店などを通じて同一案件を発注した場合は中抜きされるため、「ココナラ」で購入するよりも数倍から10倍以上になるケースもあり、手数料負担は感じないものと思われる。こうしたコストメリットが認知されたことで、ここ数年でビジネス目的の購入比率が上昇しており、現在はユーザーの約半数程度がビジネス目的との同社推計結果になっている。
※2021年4月11日までは販売額が5万円以下の部分については25%、5万円超~10万円の部分は20%、10万円超~50万円の部分は15%、50万円超の部分は10%(税抜)とし、出品者から手数料を徴収していたが、同年4月12日に変更した。なお電話相談サービスについては、出品者から約50%の手数料を徴収している。
「ココナラ」を利用するためには会員登録が必要となるため、いかに会員数を増やしていくことができるかが、流通高を拡大していくための鍵を握ることになる。会員属性は男女比に偏りがなく、20~40代を中心に幅広い年齢層が利用している。商品を購入した会員が継続的にサービスを購入することで、全体としての収益が層のように積み上がる傾向にあり、こうした会員数を獲得することで流通高が伸びるリカーリング型のビジネスモデルとなっている。
また重要KPIとしては、会員数に加えて、流通高を構成する「購入UU数※1」と「1人当たり購入額※2」を挙げている。それぞれを引き上げていく施策を行うことで、流通高の拡大を図っていく戦略となっている。また、出品者側から見れば「販売UU数」と「1人当たり販売額」で流通高を構成されることになる。ここ数年はいずれのKPIも右肩上がりとなっており、これが流通高の高成長につながっている。この流通高に手数料率を掛け合わせたものが営業収益となる。営業費用の主なものは、人件費・採用費を中心に広告宣伝費、業務委託費(管理部門の業務委託、「ココナラ法律相談」の顧客開拓のための業務委託)、地代家賃のほか、変動費となる支払手数料(クレジット会社の決済手数料)やシステム・通信費などが挙げられる。営業収益に占める変動費率は20%台前半の水準となっており、限界利益率の高いビジネスモデルとなっていることが特徴となっている。
※1 購入UU数:各期間内に有料サービスを購入したユニークユーザー数
※2 1人当たり購入額:各期間内の購入UU×1人当たりの購入金額
「ココナラ」以外のサービスとして、「ココナラ法律相談」「ココナラミーツ」がある。「ココナラ法律相談」は、法律トラブルを抱えるユーザーがインターネット上で弁護士に無料相談できる法律Q&Aと、依頼を検討するユーザーが弁護士検索・問い合わせができる2つの機能をもったプラットフォームである。ビジネスモデルは広告掲載課金型モデルで、登録弁護士からの広告料を営業収益として計上している(同社が開示している流通高には含まれていない)。全体の営業収益に占める構成比は10%未満とまだ小さいが、2021年8月期は前期比2倍増と大きく伸びているようである。
競合としては、業界最大手となる「弁護士ドットコム」のほか、複数のサービスがある。法律Q&A機能について「弁護士ドットコム」は有料課金ユーザーでないと部分的にしか閲覧・投稿ができないが、「ココナラ法律相談」では無料ユーザー登録ですべて閲覧・投稿できるようになっている。また、弁護士広告ページについて、競合にはない独自取材の弁護士インタビュー記事を充実させている。これらの特長を生かして、Google検索において幅広い検索キーワードで表示されるようSEO対策を強化しており、「ココナラ」からの流入もあって訪問ユーザー数は順調に増加している。営業収益の規模は「弁護士ドットコム」とは大きな差があるが、今後の成長が期待できるサービスとなっている。
また、「ココナラミーツ」は対面型サービスのECマッチング型プラットフォームとなる。主なカテゴリーとしては、暮らし・ハウスクリーニング、出張サービス、レッスンなどがある。ビジネスモデルは「ココナラ」と基本的に変わりないが、手数料は出品者に対して販売額の20%(暮らし・ハウスクリーニング)または25%(それ以外のサービス)となっており、購入者の負担はない。2020年にスタートしたが、コロナ禍という市場環境もあり、現在は積極的なプロモーションは控えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2. ビジネスモデルと強み
(1) ビジネスモデル
「ココナラ」とは、個人が知識・スキル・経験を商品化し、「ECのように売り買いできる」マッチング型プラットフォームのことである。その特徴は、納品まで「オンライン」(非対面)で完結すること、EC型で簡単に購入/出品ができること、400種類以上のカテゴリーの商品(サービス)を揃えていることの3点となる。サービスの流れは、出品者(個人)が自身の知識・スキルやプロフィール、サービス情報などを「ココナラ」に出品(掲載)し、これらの情報をもとに、購入者は依頼したい内容に応じて購入前に条件等についてメッセージ機能を使って確認、問題がなければ購入し、サービス提供(制作物の場合は納品)後に、サービスのレビュー(評価)を行う流れとなる。購入代金についてはサービス提供の確認があるまでココナラ<4176>で預かる格好となっており、サービス提供が何らかの事由によりされなかったなど、キャンセルされた場合には代金は購入者に返金されることになる。
なお、同社は手数料として販売額の20%を出品者から、5%を購入者からそれぞれ徴収している※。出品者の手数料率について20%の水準が高いかどうかだが、例えば、企業で働くデザイナーが同じ案件を受注した場合、企業の取り分が約70%でデザイナーの収入は残り30%というのが相場と言われている。一方、「ココナラ」では自身で販売額を設定できることもあり、20%という手数料率に割高感はない。購入者側から見ても5%という手数料を払うことになるが、制作会社あるいは広告代理店などを通じて同一案件を発注した場合は中抜きされるため、「ココナラ」で購入するよりも数倍から10倍以上になるケースもあり、手数料負担は感じないものと思われる。こうしたコストメリットが認知されたことで、ここ数年でビジネス目的の購入比率が上昇しており、現在はユーザーの約半数程度がビジネス目的との同社推計結果になっている。
※2021年4月11日までは販売額が5万円以下の部分については25%、5万円超~10万円の部分は20%、10万円超~50万円の部分は15%、50万円超の部分は10%(税抜)とし、出品者から手数料を徴収していたが、同年4月12日に変更した。なお電話相談サービスについては、出品者から約50%の手数料を徴収している。
「ココナラ」を利用するためには会員登録が必要となるため、いかに会員数を増やしていくことができるかが、流通高を拡大していくための鍵を握ることになる。会員属性は男女比に偏りがなく、20~40代を中心に幅広い年齢層が利用している。商品を購入した会員が継続的にサービスを購入することで、全体としての収益が層のように積み上がる傾向にあり、こうした会員数を獲得することで流通高が伸びるリカーリング型のビジネスモデルとなっている。
また重要KPIとしては、会員数に加えて、流通高を構成する「購入UU数※1」と「1人当たり購入額※2」を挙げている。それぞれを引き上げていく施策を行うことで、流通高の拡大を図っていく戦略となっている。また、出品者側から見れば「販売UU数」と「1人当たり販売額」で流通高を構成されることになる。ここ数年はいずれのKPIも右肩上がりとなっており、これが流通高の高成長につながっている。この流通高に手数料率を掛け合わせたものが営業収益となる。営業費用の主なものは、人件費・採用費を中心に広告宣伝費、業務委託費(管理部門の業務委託、「ココナラ法律相談」の顧客開拓のための業務委託)、地代家賃のほか、変動費となる支払手数料(クレジット会社の決済手数料)やシステム・通信費などが挙げられる。営業収益に占める変動費率は20%台前半の水準となっており、限界利益率の高いビジネスモデルとなっていることが特徴となっている。
※1 購入UU数:各期間内に有料サービスを購入したユニークユーザー数
※2 1人当たり購入額:各期間内の購入UU×1人当たりの購入金額
「ココナラ」以外のサービスとして、「ココナラ法律相談」「ココナラミーツ」がある。「ココナラ法律相談」は、法律トラブルを抱えるユーザーがインターネット上で弁護士に無料相談できる法律Q&Aと、依頼を検討するユーザーが弁護士検索・問い合わせができる2つの機能をもったプラットフォームである。ビジネスモデルは広告掲載課金型モデルで、登録弁護士からの広告料を営業収益として計上している(同社が開示している流通高には含まれていない)。全体の営業収益に占める構成比は10%未満とまだ小さいが、2021年8月期は前期比2倍増と大きく伸びているようである。
競合としては、業界最大手となる「弁護士ドットコム」のほか、複数のサービスがある。法律Q&A機能について「弁護士ドットコム」は有料課金ユーザーでないと部分的にしか閲覧・投稿ができないが、「ココナラ法律相談」では無料ユーザー登録ですべて閲覧・投稿できるようになっている。また、弁護士広告ページについて、競合にはない独自取材の弁護士インタビュー記事を充実させている。これらの特長を生かして、Google検索において幅広い検索キーワードで表示されるようSEO対策を強化しており、「ココナラ」からの流入もあって訪問ユーザー数は順調に増加している。営業収益の規模は「弁護士ドットコム」とは大きな差があるが、今後の成長が期待できるサービスとなっている。
また、「ココナラミーツ」は対面型サービスのECマッチング型プラットフォームとなる。主なカテゴリーとしては、暮らし・ハウスクリーニング、出張サービス、レッスンなどがある。ビジネスモデルは「ココナラ」と基本的に変わりないが、手数料は出品者に対して販売額の20%(暮らし・ハウスクリーニング)または25%(それ以外のサービス)となっており、購入者の負担はない。2020年にスタートしたが、コロナ禍という市場環境もあり、現在は積極的なプロモーションは控えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
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