注目トピックス 日本株
ブリッジ Research Memo(9):ストックモデルへのビジネス転換から成長フェーズへ突入
配信日時:2021/09/24 15:09
配信元:FISCO
■成長戦略
コロナ禍については収束に想定以上の時間がかかっているものの、各社はコロナ禍への対応重視から、ようやくAfterコロナを見据えた事業見通しを示してきている。ブリッジインターナショナル<7039>も新たな成長戦略を示しているほか、徐々に成長の方向性が具体化してきていることもあり、改めて把握しておく必要があろう。なお、基本絵図となる主要3サービスの成長モデルについては、同社が以前から示しているものと大きく変わらないため、次頁に最新のものを再掲しておきたい。
(1) インサイドセールスアウトソーシングサービスの安定拡大と成長ポテンシャル
欧米では地域特性(広大な国土、プロフェッショナル気質、雇用の流動化)から既にインサイドセールスの活用が一般的となっている一方、相対的に活用が進んでいない日本国内でも、就業人口の減少、働き方改革の流れに加え、コロナ禍による働き方の変化なども追い風に、インサイドセールスを活用した新しい営業モデルが注目されつつある。こうした環境のなかで、外資系IT、国内IT(通信)、国内IT(SIer・ソフトウェア)を中心とする現在の顧客ポートフォリオから、金融や製造、サービス、コンサル企業等に顧客層を拡大していく方針だ。なお、実際に金融領域では、2020年6月より国内大手リース企業、2020年7月より国内最大手生命保険会社、2020年9月より企業向けIoTソリューション・オフィスサプライサービス、2021年5月よりヘルスケア製品/医療機器のグローバルカンパニーにそれぞれサービス提供を開始するなど、着実に成果を見せはじめている。加えて、同社の特徴として契約年数の増加に伴い取引規模が拡大していく傾向があるため、新規顧客獲得を進めるとともに、既存顧客との取引深化による取引規模の拡大による成長が見込まれると弊社では考えている。
(2) ClieXitoによるDX需要の取り込み
CXに基づいて顧客の営業活動のDXを支援するコンサルティング新会社ClieXitoを2020年4月1日付で設立した。BtoBの営業&マーケティングプロセスにおいてエンドユーザーとの接点も様々な手段が増えCXの重要性が高まっているなかで、インサイドセールスに限らず全般的なCXの見直しに関するコンサルティングの依頼が増加。同社のコンサルティング事業として、インサイドセールスの議論に加えて、CXに基づくCRM戦略の実現、DXによる営業改革など、顧客の上流工程へのコンサルティングサービスの提供を目的にClieXitoを設立した。同社を通じて、CX目線でのDXコンサルティングを提供することで、顧客接点におけるデジタルチャネルの活用、社内業務プロセスの高度化、省力化、そして、カスタマージャーニー全般の顧客データの一元管理と顧客理解の深化の実現や、システムソリューションサービスやインサイドセールスアウトソーシングサービスへのクロスセルを目指していくことになる。インサイドセールスコンサルティングサービスの売上高は2020年12月期が前期比32.2%増の112百万円だったのに対して、2021年12月期は同65.2%増の185百万円を計画。中長期的には成長ドライバーの1つとして意識されてくることになりそうだ。
(3) 内製化支援パッケージ「ANSWERS」によるコンサルティング・システムソリューションサービスの拡大
内製化支援パッケージ「ANSWERS」の提供により、インサイドセールス支援サービスの対象顧客の裾野が拡大。また、前述のClieXitoとは異なり、人的リソースを抑えた事業規模拡大が可能なことから、別途注目度が高い製品となっている。ちなみに、「ANSWERS」は製品性質上、インサイドセールスコンサルティングサービス及びシステムソリューションサービスの売上高に寄与することになる。2020年12月期では、コンサルティングサービス及びシステムソリューションサービスの売上高合計の15.8%を占めるまでに拡大しており、今後も動向に注目しておきたい。
(4) 高成長ソリューションを中心としたシステムソリューションサービスの成長加速
システムソリューションサービスは、フローからストックビジネスへの転換が進み、高成長ソリューションを中心とした成長加速フェーズへ突入した。インサイドセールス業務支援AI 「SAIN」を中心とした安定的な収益基盤の構築を引き続き進めつつ、既存ソリューションと親和性が高く、需要が見込めるソリューションを投入し、同サービスラインの拡大を図る方針だ。なお、ストック売上高構成比は2020年12月期で約50%まで到達しているが、2021年12月期はさらに比率を高めていく公算である。なお、高成長領域としては、受託開発収入区分において、Googleクラウドプラットフォームや自社開発ソリューション、ライセンスサブスクリプション区分では、インサイドセールス支援顧客管理ツールのライセンス料、SFA・CRMのライセンス料となり、SAIN開発/サブスクリプション区分においては、AI支援サービス「SAIN」導入の開発報酬及び月額利用料となる。
(5) 旺盛なインサイドセールス導入需要に対応した研修サービスでの収益基盤確立
従来インサイドセールス内製化支援の1つであった研修サービスは、国内企業がコロナ禍という前代未聞の状況に直面するなか、引き合いが非常に強まった。アイ・ラーニングを中心とした研修サービスは研修市場の変化を捉え、注力領域のコンテンツ強化とリソースの提供による新たな収益基盤の構築を進めていく計画である。長期的には、注力領域を中心とした収益構造の転換が進むことで利益成長の加速を計画している。なお、2021年10月より、新たに青山学院大学が実施する文部科学省の委託事業「女性のためのITリカレント教育プログラム」プロジェクトに参画し、必修科目として位置付けられる「IT基礎科目群」を担当する。
■トピックス
株式の立会外分売実施
同社は8月25日に112,800株、2,248円で株式の立会外分売を実施している。株式の分布状況の改善及び流動性の向上を図るためである。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<AS>
コロナ禍については収束に想定以上の時間がかかっているものの、各社はコロナ禍への対応重視から、ようやくAfterコロナを見据えた事業見通しを示してきている。ブリッジインターナショナル<7039>も新たな成長戦略を示しているほか、徐々に成長の方向性が具体化してきていることもあり、改めて把握しておく必要があろう。なお、基本絵図となる主要3サービスの成長モデルについては、同社が以前から示しているものと大きく変わらないため、次頁に最新のものを再掲しておきたい。
(1) インサイドセールスアウトソーシングサービスの安定拡大と成長ポテンシャル
欧米では地域特性(広大な国土、プロフェッショナル気質、雇用の流動化)から既にインサイドセールスの活用が一般的となっている一方、相対的に活用が進んでいない日本国内でも、就業人口の減少、働き方改革の流れに加え、コロナ禍による働き方の変化なども追い風に、インサイドセールスを活用した新しい営業モデルが注目されつつある。こうした環境のなかで、外資系IT、国内IT(通信)、国内IT(SIer・ソフトウェア)を中心とする現在の顧客ポートフォリオから、金融や製造、サービス、コンサル企業等に顧客層を拡大していく方針だ。なお、実際に金融領域では、2020年6月より国内大手リース企業、2020年7月より国内最大手生命保険会社、2020年9月より企業向けIoTソリューション・オフィスサプライサービス、2021年5月よりヘルスケア製品/医療機器のグローバルカンパニーにそれぞれサービス提供を開始するなど、着実に成果を見せはじめている。加えて、同社の特徴として契約年数の増加に伴い取引規模が拡大していく傾向があるため、新規顧客獲得を進めるとともに、既存顧客との取引深化による取引規模の拡大による成長が見込まれると弊社では考えている。
(2) ClieXitoによるDX需要の取り込み
CXに基づいて顧客の営業活動のDXを支援するコンサルティング新会社ClieXitoを2020年4月1日付で設立した。BtoBの営業&マーケティングプロセスにおいてエンドユーザーとの接点も様々な手段が増えCXの重要性が高まっているなかで、インサイドセールスに限らず全般的なCXの見直しに関するコンサルティングの依頼が増加。同社のコンサルティング事業として、インサイドセールスの議論に加えて、CXに基づくCRM戦略の実現、DXによる営業改革など、顧客の上流工程へのコンサルティングサービスの提供を目的にClieXitoを設立した。同社を通じて、CX目線でのDXコンサルティングを提供することで、顧客接点におけるデジタルチャネルの活用、社内業務プロセスの高度化、省力化、そして、カスタマージャーニー全般の顧客データの一元管理と顧客理解の深化の実現や、システムソリューションサービスやインサイドセールスアウトソーシングサービスへのクロスセルを目指していくことになる。インサイドセールスコンサルティングサービスの売上高は2020年12月期が前期比32.2%増の112百万円だったのに対して、2021年12月期は同65.2%増の185百万円を計画。中長期的には成長ドライバーの1つとして意識されてくることになりそうだ。
(3) 内製化支援パッケージ「ANSWERS」によるコンサルティング・システムソリューションサービスの拡大
内製化支援パッケージ「ANSWERS」の提供により、インサイドセールス支援サービスの対象顧客の裾野が拡大。また、前述のClieXitoとは異なり、人的リソースを抑えた事業規模拡大が可能なことから、別途注目度が高い製品となっている。ちなみに、「ANSWERS」は製品性質上、インサイドセールスコンサルティングサービス及びシステムソリューションサービスの売上高に寄与することになる。2020年12月期では、コンサルティングサービス及びシステムソリューションサービスの売上高合計の15.8%を占めるまでに拡大しており、今後も動向に注目しておきたい。
(4) 高成長ソリューションを中心としたシステムソリューションサービスの成長加速
システムソリューションサービスは、フローからストックビジネスへの転換が進み、高成長ソリューションを中心とした成長加速フェーズへ突入した。インサイドセールス業務支援AI 「SAIN」を中心とした安定的な収益基盤の構築を引き続き進めつつ、既存ソリューションと親和性が高く、需要が見込めるソリューションを投入し、同サービスラインの拡大を図る方針だ。なお、ストック売上高構成比は2020年12月期で約50%まで到達しているが、2021年12月期はさらに比率を高めていく公算である。なお、高成長領域としては、受託開発収入区分において、Googleクラウドプラットフォームや自社開発ソリューション、ライセンスサブスクリプション区分では、インサイドセールス支援顧客管理ツールのライセンス料、SFA・CRMのライセンス料となり、SAIN開発/サブスクリプション区分においては、AI支援サービス「SAIN」導入の開発報酬及び月額利用料となる。
(5) 旺盛なインサイドセールス導入需要に対応した研修サービスでの収益基盤確立
従来インサイドセールス内製化支援の1つであった研修サービスは、国内企業がコロナ禍という前代未聞の状況に直面するなか、引き合いが非常に強まった。アイ・ラーニングを中心とした研修サービスは研修市場の変化を捉え、注力領域のコンテンツ強化とリソースの提供による新たな収益基盤の構築を進めていく計画である。長期的には、注力領域を中心とした収益構造の転換が進むことで利益成長の加速を計画している。なお、2021年10月より、新たに青山学院大学が実施する文部科学省の委託事業「女性のためのITリカレント教育プログラム」プロジェクトに参画し、必修科目として位置付けられる「IT基礎科目群」を担当する。
■トピックス
株式の立会外分売実施
同社は8月25日に112,800株、2,248円で株式の立会外分売を実施している。株式の分布状況の改善及び流動性の向上を図るためである。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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