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ピクスタ Research Memo(7):PIXTA事業で創出した利益をfotowa事業に積極投資する戦略を推進
配信日時:2021/09/10 15:07
配信元:FISCO
■中長期の成長戦略・トピックス
1. 中長期の成長戦略イメージ
ピクスタ<3416>は、10年後の2030年までに取扱高200億円以上の事業規模を目指している。成長戦略の骨格はポストコロナ時代においても変更はなく、中核の「PIXTA事業の深耕」と「新規事業展開」になる。「PIXTA事業の深耕」では、定額制売上の強化を軸に取り組んでおり、順調かつ高い伸びが続いている。今後は、素材販売や周辺市場への展開などを行うことで、安定成長及び収益基盤の強化を目指す方針だ。これにより、10年後の取扱高100億円規模を目指す。「新規事業展開」では、特にfotowa事業の成長がけん引役として期待される。fotowa事業では、10年後の年間撮影件数で30万件~40万件、取扱高はPIXTA事業に並ぶ100億円規模を目指す。なお、2020年12月期の取扱高が340百万円であるため、今後の急成長を見込んでいると言える。そのためにも、PIXTA事業で創出した利益をfotowa事業に積極投資する戦略をとる。もう1つの新規事業であるSnapmart事業も、SNS広告市場の拡大に伴い、今後のさらなる飛躍が期待されることから、10年後の取扱高30億円規模を目指す。
PIXTA事業では定額制の拡充が基本戦略。動画素材の定額制プランも揃う
2. PIXTA事業の成長戦略
PIXTA事業に対する同社の期待は高い。売上構成比の高さから言っても『PIXTA』の成長率が全社ベースのそれを決定する形になる。同社はPIXTA事業について、年率10~15%の成長を安定的に実現することを目指している。
それに向けた取り組みの筆頭が、定額制プランの拡充だ。創業当初は単品販売からスタートしたものの、2014年12月期から定額制を開始し、その育成に注力している。定額制強化の狙いは収益の安定化だ。単品はいわゆるフロー型モデルであるのに対して、定額制はストック型モデルの性格を有する。また利益率の点でも定額制の方が高いという面もある。コロナ禍においても定額制売上は順調に成長し、定額制事業モデルの安定感は十分に証明されたと言えるだろう。
同社は、2020年12月期に「定額制プラン」をリニューアルし、成果を上げた。これまでの少量プラン(月10点まで)、大量プラン(月最大750点まで)の間を埋める2つのプランを増やしたほか、すべてのプランに繰り越し機能を追加した。これまでは2種類のプランしかなかったため、利用者からは少量プランと大量プランの中間のプランを希望する声が根強かった。これを受けて、新たに月3点、月100点、月350点までダウンロードできるプランを追加した。さらに、これまで少量プランにしかついていなかった、規定のダウンロード点数に達しなかった場合に余ったダウンロード点数を翌月以降に繰り越せる「繰り越し機能」を、すべてのプランに適用した。
また、同社は、2020年11月から動画素材の定額制プランも開始している。『PIXTA』で販売中の動画素材400万点以上の中から、どのサイズ(Web広告サイズから高品質な4Kサイズまで)でもダウンロードすることができるもので、プランは、月3点プラン、月10点プラン、月20点プラン、大容量プランの4つから選ぶことができる。また、規定のダウンロード点数に達しなかった場合に余ったダウンロード点数を翌月以降に繰り越せる「繰り越し機能」も、すべてのプランに適用されている。
fotowa事業では認知度向上に向けた投資を本格的に開始
3. fotowa事業の成長戦略
fotowa事業では、2024年に取扱高20億円規模、2030年には取扱高100億円規模を目指している。成長に向けた今後の取り組みとしては、認知度・知名度の向上を優先する。同社では、2021年12月期の全社広告宣伝費504百万円のうち約3.3億円をfotowa事業に投入する計画である。結果としてfotowa事業の2021年12月期の営業損失は371百万円(前期は179百万円の損失)と拡大する見込みだ。向こう数年は先行投資フェーズと位置付け、PIXTA事業で創出した利益をfotowa事業に投資する戦略である。具体策としては、認知度向上を目的に、認知系広告、各種媒体露出、SNS運用への投資を約1.8億円の予算規模で進めている。
そのほかのトピックスとしては、家族写真を通して家族そのものの価値やあり方を研究する「fotowa 家族フォト総研」を2021年5月に設立したことにも注目したい。具体的には、全国の子どもを持つ20代~50代を対象とした実態調査を実施し、結果を公開している。一例を挙げると、7月に公表した「コロナ禍の帰省と家族イベントに関する調査」では、1年以上帰省できていない人は約6割おり、帰省できない間に孫の成長や家族の様子を伝えるために写真を贈りたいと回答した人が88.6%に達するという結果になったことを公表している。また、コロナ禍で「子どもの思い出になる家族イベントが足りない」と回答した人が77.1%に上ったことから、プロのフォトグラファーを自宅や近くの公園に招き撮影する出張撮影が、コロナ禍で「家族のおでかけイベント」がしづらい状況で、日常を特別な日に変えられる「家族イベント」として受け入れられると、fotowa 家族フォト総研では考えている。なお、これらの調査結果は25件以上の各種メディアにも取り上げられていることから、これら一連の活動が『fotowa』及び同社のブランド認知にもつながると弊社では見ている。
Snapmart事業ではオンデマンド撮影の営業強化を推進
4. Snapmart事業の成長戦略
Snapmart事業の成長戦略は、PIXTA事業の課題と類似する。既にほぼ黒字化した事業だが、さらなる収益の拡大を図るためにも、オンデマンド撮影の成長やマーケットプレイスの定額制契約者の増加が目標となる。2021年12月期はオンデマンド撮影の営業強化及びマーケットプレイス定額制契約数増加に向けたSEO対策強化が重点施策となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. 中長期の成長戦略イメージ
ピクスタ<3416>は、10年後の2030年までに取扱高200億円以上の事業規模を目指している。成長戦略の骨格はポストコロナ時代においても変更はなく、中核の「PIXTA事業の深耕」と「新規事業展開」になる。「PIXTA事業の深耕」では、定額制売上の強化を軸に取り組んでおり、順調かつ高い伸びが続いている。今後は、素材販売や周辺市場への展開などを行うことで、安定成長及び収益基盤の強化を目指す方針だ。これにより、10年後の取扱高100億円規模を目指す。「新規事業展開」では、特にfotowa事業の成長がけん引役として期待される。fotowa事業では、10年後の年間撮影件数で30万件~40万件、取扱高はPIXTA事業に並ぶ100億円規模を目指す。なお、2020年12月期の取扱高が340百万円であるため、今後の急成長を見込んでいると言える。そのためにも、PIXTA事業で創出した利益をfotowa事業に積極投資する戦略をとる。もう1つの新規事業であるSnapmart事業も、SNS広告市場の拡大に伴い、今後のさらなる飛躍が期待されることから、10年後の取扱高30億円規模を目指す。
PIXTA事業では定額制の拡充が基本戦略。動画素材の定額制プランも揃う
2. PIXTA事業の成長戦略
PIXTA事業に対する同社の期待は高い。売上構成比の高さから言っても『PIXTA』の成長率が全社ベースのそれを決定する形になる。同社はPIXTA事業について、年率10~15%の成長を安定的に実現することを目指している。
それに向けた取り組みの筆頭が、定額制プランの拡充だ。創業当初は単品販売からスタートしたものの、2014年12月期から定額制を開始し、その育成に注力している。定額制強化の狙いは収益の安定化だ。単品はいわゆるフロー型モデルであるのに対して、定額制はストック型モデルの性格を有する。また利益率の点でも定額制の方が高いという面もある。コロナ禍においても定額制売上は順調に成長し、定額制事業モデルの安定感は十分に証明されたと言えるだろう。
同社は、2020年12月期に「定額制プラン」をリニューアルし、成果を上げた。これまでの少量プラン(月10点まで)、大量プラン(月最大750点まで)の間を埋める2つのプランを増やしたほか、すべてのプランに繰り越し機能を追加した。これまでは2種類のプランしかなかったため、利用者からは少量プランと大量プランの中間のプランを希望する声が根強かった。これを受けて、新たに月3点、月100点、月350点までダウンロードできるプランを追加した。さらに、これまで少量プランにしかついていなかった、規定のダウンロード点数に達しなかった場合に余ったダウンロード点数を翌月以降に繰り越せる「繰り越し機能」を、すべてのプランに適用した。
また、同社は、2020年11月から動画素材の定額制プランも開始している。『PIXTA』で販売中の動画素材400万点以上の中から、どのサイズ(Web広告サイズから高品質な4Kサイズまで)でもダウンロードすることができるもので、プランは、月3点プラン、月10点プラン、月20点プラン、大容量プランの4つから選ぶことができる。また、規定のダウンロード点数に達しなかった場合に余ったダウンロード点数を翌月以降に繰り越せる「繰り越し機能」も、すべてのプランに適用されている。
fotowa事業では認知度向上に向けた投資を本格的に開始
3. fotowa事業の成長戦略
fotowa事業では、2024年に取扱高20億円規模、2030年には取扱高100億円規模を目指している。成長に向けた今後の取り組みとしては、認知度・知名度の向上を優先する。同社では、2021年12月期の全社広告宣伝費504百万円のうち約3.3億円をfotowa事業に投入する計画である。結果としてfotowa事業の2021年12月期の営業損失は371百万円(前期は179百万円の損失)と拡大する見込みだ。向こう数年は先行投資フェーズと位置付け、PIXTA事業で創出した利益をfotowa事業に投資する戦略である。具体策としては、認知度向上を目的に、認知系広告、各種媒体露出、SNS運用への投資を約1.8億円の予算規模で進めている。
そのほかのトピックスとしては、家族写真を通して家族そのものの価値やあり方を研究する「fotowa 家族フォト総研」を2021年5月に設立したことにも注目したい。具体的には、全国の子どもを持つ20代~50代を対象とした実態調査を実施し、結果を公開している。一例を挙げると、7月に公表した「コロナ禍の帰省と家族イベントに関する調査」では、1年以上帰省できていない人は約6割おり、帰省できない間に孫の成長や家族の様子を伝えるために写真を贈りたいと回答した人が88.6%に達するという結果になったことを公表している。また、コロナ禍で「子どもの思い出になる家族イベントが足りない」と回答した人が77.1%に上ったことから、プロのフォトグラファーを自宅や近くの公園に招き撮影する出張撮影が、コロナ禍で「家族のおでかけイベント」がしづらい状況で、日常を特別な日に変えられる「家族イベント」として受け入れられると、fotowa 家族フォト総研では考えている。なお、これらの調査結果は25件以上の各種メディアにも取り上げられていることから、これら一連の活動が『fotowa』及び同社のブランド認知にもつながると弊社では見ている。
Snapmart事業ではオンデマンド撮影の営業強化を推進
4. Snapmart事業の成長戦略
Snapmart事業の成長戦略は、PIXTA事業の課題と類似する。既にほぼ黒字化した事業だが、さらなる収益の拡大を図るためにも、オンデマンド撮影の成長やマーケットプレイスの定額制契約者の増加が目標となる。2021年12月期はオンデマンド撮影の営業強化及びマーケットプレイス定額制契約数増加に向けたSEO対策強化が重点施策となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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