注目トピックス 市況・概況
国内株式市場見通し:一変した株高基調を強めるか、メジャーSQに注目
配信日時:2021/09/04 14:30
配信元:FISCO
■日経平均は急騰で29000円回復
今週の日経平均は大幅に続伸。週初は、前の週末に開催された米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」での講演で、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が年内の量的緩和縮小(テーパリング)開始が適切と言及したものの、利上げには程遠いとタカ派色を強めなかったことが安心感を誘い、低金利長期化への期待から日経平均は148.15円高と上昇。
翌8月31日は月末最終営業日の株安アノマリーが意識され、前場こそ上値は重かったものの、後場からムードが一変した。午前の相場が想定以上に底堅く推移していたことや、昼頃に伝わった政局を巡る報道への思惑から、売り方の買い戻しが一気に入ると、大引けまで上げ幅を拡げる展開となり、日経平均は300.25円高と心理的な節目の28000円を超えた。
週後半も日経平均の続伸劇は続いた。衆議院議員選挙が近づくなか大胆な経済対策への期待、総選挙にまつわる株高アノマリーへの思惑などから海外勢の先物主導での買い戻しが断続的に入り上昇基調を強めた。そのほか、4-6月期法人企業統計で設備投資が5四半期ぶりのプラスとなったことも支援材料となった。9月1~2日の日経平均の上げ幅は450円を超えた。
週末も、前日までの急ピッチの上昇から短期的な過熱感が漂うなかではあったが、日経平均は28500円を上回る水準で底堅くプラス圏での推移を続けた。昼頃に菅首相が自民党総裁選に不出馬との報道が伝わると、自民党の求心力回復、新首相による新たな経済対策などへの期待が高まり、後場からはギャップアップでのスタートとなった。日経平均は一気に上げ幅を拡げると29000円を回復。その後も高値圏での推移が続き、584.60円高の29128.11円で週を終えた。
■政局流動化による株高基調継続
来週の日経平均は上値を試す展開か。注目の8月米雇用統計での雇用者数の伸びは前月比23.5万人増と市場予想の72.5万人を大幅に下回った。労働市場の回復懸念から景気敏感株が売られたもののNYダウの下落は限られた。ポジション調整の債券買い戻しから米長期金利はむしろ上昇したが、依然低水準でハイテク株人気は根強く、ナスダック総合指数は史上最高値を更新した。
米雇用統計の結果は想定外も、米株市場の反応は薄く、相場の基調に変化はないようだ。何より、日本では政局流動化に伴う政策期待が高まるなど、独自要因で株価急伸中であり、この流れに変化はなさそうだ。今週一週間だけで日経平均は1500円近くも上昇しており短期的な過熱感は否めないが、週末の先物・オプション取引に係る特別清算指数算出(メジャーSQ)に向け売り方の買い戻しが進めば、一段高もありそうだ。
また、日本株の上値を抑えてきた各種要因も解消されてきた。大きな要因としては、新型コロナウイルスの感染動向、政局不透明感、景気減速懸念などが挙げられる。一つ目のコロナ感染動向については、依然として水準は高いものの、全国の中でも先行性の高い東京都の新規感染者数に明確な鈍化が見られている。8月第3週の5000人台、第4週の4000人台の推移と比べて、8月末から9月上旬にかけては3000人前後での推移が多く、8月30日には一時2000人を下回った。前週比減少傾向が続いており、ピークアウト感が見られてきている。
2つ目の政局不透明感については、10月21日の衆院議員任期満了が近づくなか、「解散・総選挙に向けては買い」という株高アノマリーの存在が大きい。過去の経験則として、衆院解散日から投票日にかけては日経平均が上昇するというパターンが多く観測されている。また、今回のように与党の支持率が大きく低下している際には、求心力回復のために大胆な経済対策が打たれるのではとの期待が高まる。
景気減速懸念については、米サプライマネジメント協会(ISM)発表の製造景況指数、中国製造業購買担当者景気指数(PMI)のモメンタム鈍化、日本株と連動性の高い米長期金利の低下などが挙げられてきた。ただ、日経平均が2月の30714.52円から8月の26954.81円まで半年以上かけて調整した値幅を考慮すると、指標のモメンタム鈍化などは一旦十分に織り込まれたといえそうだ。
衆院選は、9月29日に予定されている自民党総裁選の投開票日以降になるだろうが、それまではアノマリーを意識した動きや政策期待などで株高基調が支えられそうだ。
■国策銘柄、大型株が優位
自民党総裁選が近づくなか候補者による政策論議が深まりそうだ。ただ、誰が総裁になるにしろ、脱炭素やDX、子育てといった辺りは政策の柱となってきそうで、こうしたテーマ銘柄が改めて注目される可能性がある。また、海外勢の買いが強まってきているなか、指数が大きく上昇するような局面では主力大型株に資金が向かいやすい。テーマや時価総額を意識して選別することでパフォーマンスに差が出そうだ。
■7月景気ウォッチャー調査、ベージュブック、米8月PPIなど
来週は7日に7月家計調査、7月景気動向指数、中国8月貿易収支、独9月ZEW景況感指数、8日に4-6月期GDP確報値、8月景気ウォッチャー調査、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、9日に8月工作機械受注、中国8月生産者物価指数、中国8月消費者物価指数、ECB定例理事会、10日にメジャーSQ、米8月生産者物価指数(PPI)などが予定されている。
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今週の日経平均は大幅に続伸。週初は、前の週末に開催された米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」での講演で、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が年内の量的緩和縮小(テーパリング)開始が適切と言及したものの、利上げには程遠いとタカ派色を強めなかったことが安心感を誘い、低金利長期化への期待から日経平均は148.15円高と上昇。
翌8月31日は月末最終営業日の株安アノマリーが意識され、前場こそ上値は重かったものの、後場からムードが一変した。午前の相場が想定以上に底堅く推移していたことや、昼頃に伝わった政局を巡る報道への思惑から、売り方の買い戻しが一気に入ると、大引けまで上げ幅を拡げる展開となり、日経平均は300.25円高と心理的な節目の28000円を超えた。
週後半も日経平均の続伸劇は続いた。衆議院議員選挙が近づくなか大胆な経済対策への期待、総選挙にまつわる株高アノマリーへの思惑などから海外勢の先物主導での買い戻しが断続的に入り上昇基調を強めた。そのほか、4-6月期法人企業統計で設備投資が5四半期ぶりのプラスとなったことも支援材料となった。9月1~2日の日経平均の上げ幅は450円を超えた。
週末も、前日までの急ピッチの上昇から短期的な過熱感が漂うなかではあったが、日経平均は28500円を上回る水準で底堅くプラス圏での推移を続けた。昼頃に菅首相が自民党総裁選に不出馬との報道が伝わると、自民党の求心力回復、新首相による新たな経済対策などへの期待が高まり、後場からはギャップアップでのスタートとなった。日経平均は一気に上げ幅を拡げると29000円を回復。その後も高値圏での推移が続き、584.60円高の29128.11円で週を終えた。
■政局流動化による株高基調継続
来週の日経平均は上値を試す展開か。注目の8月米雇用統計での雇用者数の伸びは前月比23.5万人増と市場予想の72.5万人を大幅に下回った。労働市場の回復懸念から景気敏感株が売られたもののNYダウの下落は限られた。ポジション調整の債券買い戻しから米長期金利はむしろ上昇したが、依然低水準でハイテク株人気は根強く、ナスダック総合指数は史上最高値を更新した。
米雇用統計の結果は想定外も、米株市場の反応は薄く、相場の基調に変化はないようだ。何より、日本では政局流動化に伴う政策期待が高まるなど、独自要因で株価急伸中であり、この流れに変化はなさそうだ。今週一週間だけで日経平均は1500円近くも上昇しており短期的な過熱感は否めないが、週末の先物・オプション取引に係る特別清算指数算出(メジャーSQ)に向け売り方の買い戻しが進めば、一段高もありそうだ。
また、日本株の上値を抑えてきた各種要因も解消されてきた。大きな要因としては、新型コロナウイルスの感染動向、政局不透明感、景気減速懸念などが挙げられる。一つ目のコロナ感染動向については、依然として水準は高いものの、全国の中でも先行性の高い東京都の新規感染者数に明確な鈍化が見られている。8月第3週の5000人台、第4週の4000人台の推移と比べて、8月末から9月上旬にかけては3000人前後での推移が多く、8月30日には一時2000人を下回った。前週比減少傾向が続いており、ピークアウト感が見られてきている。
2つ目の政局不透明感については、10月21日の衆院議員任期満了が近づくなか、「解散・総選挙に向けては買い」という株高アノマリーの存在が大きい。過去の経験則として、衆院解散日から投票日にかけては日経平均が上昇するというパターンが多く観測されている。また、今回のように与党の支持率が大きく低下している際には、求心力回復のために大胆な経済対策が打たれるのではとの期待が高まる。
景気減速懸念については、米サプライマネジメント協会(ISM)発表の製造景況指数、中国製造業購買担当者景気指数(PMI)のモメンタム鈍化、日本株と連動性の高い米長期金利の低下などが挙げられてきた。ただ、日経平均が2月の30714.52円から8月の26954.81円まで半年以上かけて調整した値幅を考慮すると、指標のモメンタム鈍化などは一旦十分に織り込まれたといえそうだ。
衆院選は、9月29日に予定されている自民党総裁選の投開票日以降になるだろうが、それまではアノマリーを意識した動きや政策期待などで株高基調が支えられそうだ。
■国策銘柄、大型株が優位
自民党総裁選が近づくなか候補者による政策論議が深まりそうだ。ただ、誰が総裁になるにしろ、脱炭素やDX、子育てといった辺りは政策の柱となってきそうで、こうしたテーマ銘柄が改めて注目される可能性がある。また、海外勢の買いが強まってきているなか、指数が大きく上昇するような局面では主力大型株に資金が向かいやすい。テーマや時価総額を意識して選別することでパフォーマンスに差が出そうだ。
■7月景気ウォッチャー調査、ベージュブック、米8月PPIなど
来週は7日に7月家計調査、7月景気動向指数、中国8月貿易収支、独9月ZEW景況感指数、8日に4-6月期GDP確報値、8月景気ウォッチャー調査、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、9日に8月工作機械受注、中国8月生産者物価指数、中国8月消費者物価指数、ECB定例理事会、10日にメジャーSQ、米8月生産者物価指数(PPI)などが予定されている。
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