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明日の株式相場に向けて=AI相場の上昇一服で見えてくる次の一手

配信日時:2025/10/07 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(7日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比6円高の4万7950円と小幅ながら4日続伸。きょうも高市新総裁誕生のご祝儀相場が継続すると思われたが、後場はさすがに買い疲れ感が出た。きょうのザラ場高値まで、直近4営業日で4000円弱も水準を切り上げており、ここはさすがに一息入れる必要があった。終盤にかけて値を消したのはむしろ健全であったといえる。それでもクロージングオークションの最後の1分で大口買いによってプラス圏に切り返す手品のような着地となった。売買代金もクロージングオークションの時間帯に急増しており、大口クロス的な商いがあったことを推測させるが、何かこれまでとは異質の買い主体が存在するのではないかという気にもさせられる動きであった。    個別では、足もとでAI・半導体関連セクターの動きが鈍くなってきた。きょうは前日に続き売買代金トップの座を占めたアドバンテスト<6857.T>と、同じく商い活況となったソフトバンクグループ<9984.T>の2銘柄で日経平均を担ぎ上げる格好となっていたが、取引終盤に両銘柄とも失速し、それがそのまま日経平均の値動きに投影された形となっている。このほかAIデータセンターという範疇で括ればフジクラ<5803.T>の上げ足の強さが目立っており、指数押し上げにも貢献したが影響力としては限定的であった。AI・半導体関連は空売り筋の買い戻しが一巡した感が強いが、かといって下値では出遅れた向きの持たざるリスク解消を狙った押し目買いが支える状況にあり、足もとで日経平均も頑強な値動きが維持されている。  しかし、持たざるリスクというのは運用パフォーマンスが業務実績として問われる機関投資家の話であって、個人は今買わなくても現実的なデメリットを被るということはない。株式投資において個人目線で機会損失を恐れる必要はないのである。なぜならチャンスは時間軸に関係なくいくらでも転がっているからで、「あの時買っていれば」という思いに惑わされ焦って動き、実損を被るダメージの方がよほど大きい。確信犯としての短期割り切りというケースを除けば、元来ムードに流されて上値に買いつくのはどんなに強い相場でも慎重になるべきで、基本は押し目買いもしくは出遅れている主力以外の銘柄に照準を合わせていくのが、急がば回れの投資術として有効である。  AI関連ほどは空売りを呼び込んでおらず需給面で後回しにされていた防衛関連株だが、AI関連の主力どころのショートポジション解消が進んだことで、資金シフトの対象として光が当たる可能性が出てきた。例えばスポンジチタン大手で航空機関連として見直し機運が台頭している大阪チタニウムテクノロジーズ<5726.T>。同社株は日証金で貸借倍率が0.8倍台と売り長である。また、東邦チタニウム<5727.T>の貸借倍率は0.2倍台と更にタイト感がある。そして両銘柄ともに貸株市場経由の空売りが溜まっていることで、その買い戻し誘導のタイミングを捉えられれば値幅効果が見込める。このほかでは、三菱重工業<7011.T>を実質筆頭株主に置く三菱製鋼<5632.T>も面白い存在だ。こちらはPER8倍台でPBRが0.6倍台、配当利回り4.5%台とバリュエーション面で格安に放置されている。防衛関連という切り口で1700円台近辺の株価は大いに魅力がある。  また、プライム上場銘柄でなければ株高妙味に乏しいというのも幻想といえる。例えば、これまで蚊帳の外にあったグロース市場だが、復権のチャンスはおそらく比較的早い時期に訪れそうだ。目先はリバウンドに転じ、グロース市場指数、グロース市場250指数いずれもいったんは下放れた75日移動平均線に再びサヤ寄せする動きとなっており、たとえ海外投資家の眼中になくても、流動性相場の恩恵は巡って来るはずである。  グロース市場に上場するAI関連ではエクサウィザーズ<4259.T>の値動きをチェックしておく必要がありそうだ。業績は飛躍的な伸びを示しており、AI人材育成などビジネスモデルも時流を捉えている。また、独立系のシステムインテグレーターで、先端半導体工場向けの受託開発で高評価を獲得しているティアンドエスグループ<4055.T>も再評価余地がある。画像認識などAIソリューション分野でも実力を開花させている。25年9月期業績は前期の連結移行に伴う変則決算で単純比較はできないが、12カ月タームで比較した場合、売上高・利益ともに過去最高を記録した23年11月期を大きく上回る見通しだ。  あすのスケジュールでは、8月の毎月勤労統計、8月の国際収支、9月の対外・対内証券売買契約がいずれも朝方取引開始前に発表される。また、午前中に日銀の植田和男総裁がフランスの金融市場振興団体であるパリ・ユーロプラス主催の都内イベントで講演を行う予定。後場取引時間中には9月の景気ウォッチャー調査が発表される。この日はIPOが1社予定されており、東証スタンダード市場にサイプレス・ホールディングス<428A.T>が新規上場する。海外ではタイ中銀、ニュージーランド中銀が政策金利を発表するほか、米国ではFOMC議事要旨(9月16~17日開催分)の内容にマーケットの関心が集まる。このほか、米10年国債の入札が行われ、バーFRB理事の講演も予定されている。なお、中国(上海・深セン)市場、韓国市場は休場となる。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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