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船場 Research Memo(3):“賑わう場づくりのノウハウ”で顧客満足の向上を実現(1)

配信日時:2025/09/18 13:03 配信元:FISCO
*13:03JST 船場 Research Memo(3):“賑わう場づくりのノウハウ”で顧客満足の向上を実現(1) ■船場<6540>の事業概要

1. 業務領域と強み
同社は商業施設を中心に、内装における業務プロセスを一気通貫で受託できる企業である。設計と監理、施工が基本となるが、それ以前にマーケティング調査・分析、企画・コンセプト策定、基本構想・マスタープランなどを行う。また施工後には運営支援や修繕なども行う。同社は、商業施設づくりで培った“賑わう場づくりのノウハウ”に特長があり、構想力、設計力(デザインワーク)、施工力が強みの源泉である。

2. ディスプレイ市場の動向
ディスプレイ市場はイベント・展示会等分野と建築内装等分野で構成される。同社はこのうち、建築内装等分野を主なフィールドとしている。成長ドライバーとしては、ホテルや海外ブランド店舗などのブランド価値や集客力を向上させるための新改装、「働きやすい環境づくり」に向けたオフィス改装の取り組み、直近では関西万博などのイベント開催、などがある。

3. BIMの推進による生産性の向上
近年では、業務効率化や生産性向上を目的としてBIMを推進しており、その活用において業界でもトップランナーである。特に3Dビジュアライゼーションの活用が合意形成の迅速化に大きく寄与し、関係者との理解深度化や時間短縮及びそれに伴うクリエイティブ作業の時間増加につながっている。BIM基本技術の習得人材比率は2024年12月期に76%に上った。2025年8月、同社は、BIM分野グローバルリーダーであるAutodeskと、戦略的提携に関する覚書(MOU)を締結し、同社のCDE(共通データ環境)構築と教育コンテンツの展開を通じて、内装業界のDX推進とBIMの普及に貢献する取り組みを開始する。

4. 専門店分野
専門店分野は、物販専門店・飲食店・サービス専門店等を対象としており、主にチェーン店が顧客となるが案件規模は小さい。歴史のある分野であり、当初はアパレルなどの小売り店舗が中心であったが、現在ではサービス業・飲食業なども多くなっている。プロジェクト期間は3ヶ月程度である。業績はコロナ禍で低下したものの、その後、緩やかな回復傾向にある。しかし他の分野と比較すると、上昇カーブはやや鈍い。直近の事例として、「カフェ+チョコレート+ローズ」のコラボレーション店舗である「TULLY’S COFFEE & TEA虎ノ門ヒルズ店」があり、同社は共通環境デザイン、内装デザイン・設計、制作・施工を担当した。

5. 大型店・複合商業施設分野
大型店・複合商業施設分野は、百貨店・量販店・商業ビル・ショッピングセンター等を対象にしており、同社売上高構成比率が最も高い分野である。コロナ禍で業績は落ち込んだものの、2022年12月期からV字回復しており直近でも大型化の流れのなかで大幅な増収傾向である。この分野では、イオングループとの取引が大きく、売上高で6,213百万円(2024年12月)に上っている。大型案件においてはプロジェクト期間が半年から1年となる。近年の事例として、グランハマー(東京都港区の新橋SL広場前に開業した注目の施設)があり、同社は実施設計及び施工を担当した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

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