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船場 Research Memo(1):2025年12月期中間期はオフィス、余暇施設他が伸び、大幅増収増益
配信日時:2025/09/18 13:01
配信元:FISCO
*13:01JST 船場 Research Memo(1):2025年12月期中間期はオフィス、余暇施設他が伸び、大幅増収増益
■要約
船場<6540>は内装・ディスプレイ業界大手4社の一角である。商業施設の専門性が高く、専門店や大型店・ショッピングセンターなど幅広く展開する。近年ではオフィス、医療・介護施設、学校、空港などのインフラ施設などにも事業領域を拡大している。いずれも商業施設づくりで培った“賑わう場づくりのノウハウ”に特長があり、空間に合わせた仕組みづくりの提案により空間の持つ価値を高め施主のこだわりを実現する“サクセスパートナー”として評価が高い。近年では“Good Ethical Company”を標榜し、人や地球環境・社会・地域に配慮した新しい付加価値を追求している。同社の創業は1947年に遡り、陳列ケースの製造及び販売事業を大阪で開始した。戦後の好景気の時期には店舗の内装工事業に進出、その後のモータリゼーションの発展に伴い郊外ショッピングセンターやチェーン店、大型商業施設などに対象を拡大した。1984年には、日系企業の海外進出に合わせて香港に拠点(現在は閉鎖)を設け、アジア進出を開始した。現在では、台湾、中国(以下、上海)、シンガポール、ベトナム、マレーシアに拠点を持つ。イオングループ(代表プロジェクト:越谷レイクタウン)や森ビル(株)(代表プロジェクト:麻布台ヒルズ)など大手デベロッパーとの取引実績が豊富である。従業員数は539名(2025年中間期末時点)、設計・デザイン系人材が約4割、監理・施工管理系人材が約3割で層が厚い。2016年に東京証券取引所(以下、東証)2部上場、2017年に東証1部へ昇格、2022年に東証スタンダード市場に移行した。2025年に入り、マーサージャパン(株)(オフィス強化)、コクヨ<7984>(オフィス強化)、米国Autodesk ,inc.(以下、Autodesk)(BIM※推進)と業界大手企業と戦略的な提携を行っている。
※ BIM:Building Information Modeling(ビルディング・インフォメーション・モデリング)。
1. 事業概要
同社事業は商環境創造事業のみの単一セグメントであるが、市場分野別に「専門店」「大型店・複合商業施設」「オフィス、余暇施設他」の3分野に分けて管理をしている。売上構成比では、「専門店」が30.4%、「大型店・複合商業施設」が42.2%、「オフィス、余暇施設他」が27.4%である。なお、海外事業の売上構成比は10.9%(いずれも2025年中間期)である。同社は、商業施設づくりで培った“賑わう場づくりのノウハウ”に特長があり、構想力・設計力(デザインワーク)・施工力が強みの源泉である。近年では、業務効率化や生産性向上を目的としてBIMを推進しており、その活用において業界でもトップランナーである。特に3Dビジュアライゼーションの活用が合意形成の迅速化に大きく貢献し、関係者との理解深度化や時間短縮及びそれに伴うクリエイティブ作業の時間増加につながっている。BIM基本技術の習得人材比率は2024年12月期に76%に上っている。
2. 業績動向
2025年12月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比40.6%増の15,727百万円、営業利益が同183.2%増の1,186百万円と大幅な増収増益になった。売上高の増加要因としては、注力して取り組む「オフィス、余暇施設他分野」が1,901百万円増、主力の「大型店・複合商業施設分野」が1,335百万円増、と増収をけん引した。具体的には、国内における大型複合施設や百貨店の改装、戦略的営業活動により受注拡大に取り組むオフィス関連施設や余暇施設(ホテル関連)、昨年から継続して推進していたインフラ施設(空港関連)の案件などが業績に寄与した。売上総利益は、増収及び売上総利益率の向上(19.6%、同0.6ポイント上昇)により同45.1%増となった。高付加価値の提供や継続的な工事原価の低減、DX推進による業務の効率化・改善などが利益率向上の要因である。販管費は、人員増加やベースアップなどによる人件費増等があったものの、同11.3%増と相対的に伸びを抑制した。結果として、営業利益は大幅な増益となった。
2025年12月期の連結業績は、売上高が前期比10.5%増の32,000百万円、営業利益が同9.5%増の2,100百万円と、売上高は堅調な需要を背景に増収を見込む。受注残高(2025年中間期末)は8,111百万円であり、目安となる下期売上計画の40%を大きく上回る積み上げができている。営業利益は増益、営業利益率で6.6%(前期も6.6%)と好調だった前期と同等の収益率を維持する計画である。通期の営業利益計画に対する中間期進捗率は、56.5%(前年同期は21.8%)となっており、上期下期でバランス良く進捗しそうだ。弊社では、ディスプレイ業界が活況であること、過去の実績などによりリピート顧客(ファン)が増えていること、足元の受注・進捗率が順当であること、やや保守的な売上・利益計画であることなどから、業績の上振れも期待できると考えている。
3. 成長戦略・トピック
同社はオフィス分野・海外分野を成長戦略に掲げており、その戦略に沿った大型の提携が実施されている。2025年7月、同社とコクヨは、国内ならびにグローバル成長戦略の空間創造事業パートナーとして業務提携を締結した。本提携により、高度化、多様化するオフィス空間のニーズに迅速かつ柔軟に対応する。また両社のグローバルなネットワークとノウハウを相互に生かし、家具(コクヨ)と工事(船場)をワンストップで提供し、アジア諸国を中心にサービス拡大を目指す。海外市場において、「家具と工事」のクロスセルによる拡販強化、国内市場において、両社の強みである「コア事業」を生かした連携強化などが期待できる。2025年5月、世界最大級の組織・人事コンサルティングファームであるマーサージャパンと連携し、グローバルトップ企業に求められる空間づくりと人づくりの視点から企業変革を支援するサービスを開始する。マーサージャパンは、世界153ヶ国、12,000社以上から収集した5,300万人以上の社員データをもとに設計されたサーベイを通じて、リーダーシップ、組織風土、コミュニケーション、働く環境といった視点から、エンゲージメントの現状を分析し、組織・人材マネジメントのコンサルティングを行う。同社は、サーベイ結果と経営目標を踏まえた深い企業理解により、ワークスペースを企画・設計・施工まで一気通貫で提供する。
■Key Points
・商業施設づくりで培った“賑わう場づくりのノウハウ”で高い顧客満足を実現。構想力、設計力、施工力、デジタル技術の活用に強み
・2025年12月期中間期は、戦略的営業活動を推進するオフィス、余暇施設他が伸び、大幅増収増益
・2025年12月期は、売上高320億円、営業利益21億円と増収増益予想。順調な受注動向、進捗率から業績上振れも期待できる
・オフィス分野強化、海外強化、BIM活用推進などの戦略の下、マーサージャパン、コクヨ、米国Autodeskと大型提携
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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船場<6540>は内装・ディスプレイ業界大手4社の一角である。商業施設の専門性が高く、専門店や大型店・ショッピングセンターなど幅広く展開する。近年ではオフィス、医療・介護施設、学校、空港などのインフラ施設などにも事業領域を拡大している。いずれも商業施設づくりで培った“賑わう場づくりのノウハウ”に特長があり、空間に合わせた仕組みづくりの提案により空間の持つ価値を高め施主のこだわりを実現する“サクセスパートナー”として評価が高い。近年では“Good Ethical Company”を標榜し、人や地球環境・社会・地域に配慮した新しい付加価値を追求している。同社の創業は1947年に遡り、陳列ケースの製造及び販売事業を大阪で開始した。戦後の好景気の時期には店舗の内装工事業に進出、その後のモータリゼーションの発展に伴い郊外ショッピングセンターやチェーン店、大型商業施設などに対象を拡大した。1984年には、日系企業の海外進出に合わせて香港に拠点(現在は閉鎖)を設け、アジア進出を開始した。現在では、台湾、中国(以下、上海)、シンガポール、ベトナム、マレーシアに拠点を持つ。イオングループ(代表プロジェクト:越谷レイクタウン)や森ビル(株)(代表プロジェクト:麻布台ヒルズ)など大手デベロッパーとの取引実績が豊富である。従業員数は539名(2025年中間期末時点)、設計・デザイン系人材が約4割、監理・施工管理系人材が約3割で層が厚い。2016年に東京証券取引所(以下、東証)2部上場、2017年に東証1部へ昇格、2022年に東証スタンダード市場に移行した。2025年に入り、マーサージャパン(株)(オフィス強化)、コクヨ<7984>(オフィス強化)、米国Autodesk ,inc.(以下、Autodesk)(BIM※推進)と業界大手企業と戦略的な提携を行っている。
※ BIM:Building Information Modeling(ビルディング・インフォメーション・モデリング)。
1. 事業概要
同社事業は商環境創造事業のみの単一セグメントであるが、市場分野別に「専門店」「大型店・複合商業施設」「オフィス、余暇施設他」の3分野に分けて管理をしている。売上構成比では、「専門店」が30.4%、「大型店・複合商業施設」が42.2%、「オフィス、余暇施設他」が27.4%である。なお、海外事業の売上構成比は10.9%(いずれも2025年中間期)である。同社は、商業施設づくりで培った“賑わう場づくりのノウハウ”に特長があり、構想力・設計力(デザインワーク)・施工力が強みの源泉である。近年では、業務効率化や生産性向上を目的としてBIMを推進しており、その活用において業界でもトップランナーである。特に3Dビジュアライゼーションの活用が合意形成の迅速化に大きく貢献し、関係者との理解深度化や時間短縮及びそれに伴うクリエイティブ作業の時間増加につながっている。BIM基本技術の習得人材比率は2024年12月期に76%に上っている。
2. 業績動向
2025年12月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比40.6%増の15,727百万円、営業利益が同183.2%増の1,186百万円と大幅な増収増益になった。売上高の増加要因としては、注力して取り組む「オフィス、余暇施設他分野」が1,901百万円増、主力の「大型店・複合商業施設分野」が1,335百万円増、と増収をけん引した。具体的には、国内における大型複合施設や百貨店の改装、戦略的営業活動により受注拡大に取り組むオフィス関連施設や余暇施設(ホテル関連)、昨年から継続して推進していたインフラ施設(空港関連)の案件などが業績に寄与した。売上総利益は、増収及び売上総利益率の向上(19.6%、同0.6ポイント上昇)により同45.1%増となった。高付加価値の提供や継続的な工事原価の低減、DX推進による業務の効率化・改善などが利益率向上の要因である。販管費は、人員増加やベースアップなどによる人件費増等があったものの、同11.3%増と相対的に伸びを抑制した。結果として、営業利益は大幅な増益となった。
2025年12月期の連結業績は、売上高が前期比10.5%増の32,000百万円、営業利益が同9.5%増の2,100百万円と、売上高は堅調な需要を背景に増収を見込む。受注残高(2025年中間期末)は8,111百万円であり、目安となる下期売上計画の40%を大きく上回る積み上げができている。営業利益は増益、営業利益率で6.6%(前期も6.6%)と好調だった前期と同等の収益率を維持する計画である。通期の営業利益計画に対する中間期進捗率は、56.5%(前年同期は21.8%)となっており、上期下期でバランス良く進捗しそうだ。弊社では、ディスプレイ業界が活況であること、過去の実績などによりリピート顧客(ファン)が増えていること、足元の受注・進捗率が順当であること、やや保守的な売上・利益計画であることなどから、業績の上振れも期待できると考えている。
3. 成長戦略・トピック
同社はオフィス分野・海外分野を成長戦略に掲げており、その戦略に沿った大型の提携が実施されている。2025年7月、同社とコクヨは、国内ならびにグローバル成長戦略の空間創造事業パートナーとして業務提携を締結した。本提携により、高度化、多様化するオフィス空間のニーズに迅速かつ柔軟に対応する。また両社のグローバルなネットワークとノウハウを相互に生かし、家具(コクヨ)と工事(船場)をワンストップで提供し、アジア諸国を中心にサービス拡大を目指す。海外市場において、「家具と工事」のクロスセルによる拡販強化、国内市場において、両社の強みである「コア事業」を生かした連携強化などが期待できる。2025年5月、世界最大級の組織・人事コンサルティングファームであるマーサージャパンと連携し、グローバルトップ企業に求められる空間づくりと人づくりの視点から企業変革を支援するサービスを開始する。マーサージャパンは、世界153ヶ国、12,000社以上から収集した5,300万人以上の社員データをもとに設計されたサーベイを通じて、リーダーシップ、組織風土、コミュニケーション、働く環境といった視点から、エンゲージメントの現状を分析し、組織・人材マネジメントのコンサルティングを行う。同社は、サーベイ結果と経営目標を踏まえた深い企業理解により、ワークスペースを企画・設計・施工まで一気通貫で提供する。
■Key Points
・商業施設づくりで培った“賑わう場づくりのノウハウ”で高い顧客満足を実現。構想力、設計力、施工力、デジタル技術の活用に強み
・2025年12月期中間期は、戦略的営業活動を推進するオフィス、余暇施設他が伸び、大幅増収増益
・2025年12月期は、売上高320億円、営業利益21億円と増収増益予想。順調な受注動向、進捗率から業績上振れも期待できる
・オフィス分野強化、海外強化、BIM活用推進などの戦略の下、マーサージャパン、コクヨ、米国Autodeskと大型提携
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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