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「事実無根の拡散にNO」(2)---クシムが旧経営陣にも名誉毀損で提訴される
配信日時:2025/09/05 10:15
配信元:FISCO
*10:15JST 「事実無根の拡散にNO」(2)---クシムが旧経営陣にも名誉毀損で提訴される
クシム<2345>を巡る経営権紛争で、新たな動きがあった。
中川氏を含む旧経営陣3名が8月27日、クシム代表取締役の田原弘貴氏および同社を相手取り、インターネット上での発信が虚偽で名誉を毀損しているとして、その削除を求める仮処分命令を東京地裁に申立てたことが分かった。申立人側は、田原氏やクシムがSNS・特設サイト・動画配信を通じて行った発信は虚偽であり、社会的評価を著しく損なうものだと主張している。
同日に公表されたクシムの調査者(神垣清水氏)による中間報告書には、旧経営陣が誠実に説明していた重要な事実が反映されていないと旧経営陣は指摘している。
当時、クシム本体および関係事業会社はすべて赤字決算にあり、この厳しい経営状況を旧経営陣は隠すことなく明らかにしていた。
子会社4社の成長戦略においても、カイカ・フィスコなどの資本提携先との業務提携が不可欠であったが、提携関係の破綻により、子会社4社の事業計画が暗礁に乗り上げていた。にもかかわらず、中間報告書ではこの点に一切触れず、旧経営陣の責任を一方的に強調する構成となっている。
さらに、クシムが依拠する中間報告書や関連資料の信頼性についても、旧経営陣は疑問を指摘している。
神垣氏の中間報告書はランチ会の録音のみを精査し、その後に行われた録音を取り上げておらず、整合性を欠くとしている。ランチ会後のやり取りにはクシムや田原氏に不利な発言が多く含まれていたため、意図的に省かれたのではないかとの指摘だ。旧経営陣である中川氏はフィスコ社による損賠賠償請求裁判で訴訟告知を受けており、録音データや反訳書の内容を精査した上で、これらの問題点を具体的に指摘している。
加えて、当初8月中に提出予定だった調査報告書は、8月29日に「中間報告書」として公表され、最終版は2026年1月末の定時株主総会に持ち越された。この最終盤の提出期限の延期の経緯は不自然であり、クシム並びに田原氏を被告とする損害賠償請求訴訟を前に、報告書の内容が調整されたのでないかと旧経営陣は指摘している。
旧経営陣は「事実無根の拡散にNOを突きつける」との姿勢を鮮明にしており、法廷での攻防は今後さらに注目を集めそうだ。
なお、今回の訴訟は前回報じた株式会社High Voltage Capital(HVC)による名誉毀損訴訟と構図を同じくする。HVCに続き旧経営陣までもが司法の場に訴えたことで、問題の深刻さは一段と鮮明になった。今後の焦点は、田原氏側の発信に真実性や真実相当性があったか、また発信の手法が社会的に相当と認められるかに絞られる。不正の有無を断定するような情報がSNSや動画といった強力な可視化手段で一方的に拡散されれば、実際に不正が存在するかのような印象を与えかねない。その危険性に加え、今回はHVCだけでなく旧経営陣自身も被害を訴えており、発信行為が単なる「株主の意見表明」の域を超え、企業統治を根底から揺るがす事態へ発展している点は重い。
「不正を既成事実化するかのような発信」が行われ、それが田原氏によるクシム経営権争いの「大義名分」として用いられ、結果的に田原氏らは経営権の掌握に成功した。今回、HVCに続き旧経営陣も法的手段に訴えたことで、クシムを巡る対立は単なる経営権争奪戦にとどまらず、企業統治と情報発信の在り方そのものを問う社会的争点へと広がりつつある。
過去にも類似の事例がある。2022年に三ッ星<5820>で発生した経営権争いでは、買収者側による違法な「ウルフパック」的手法が問題視された。証券取引等監視委員会(SESC)からは課徴金処分を受けている。しかし処分は乗っ取り成立から2年後で、結果的に買収者側は比較的軽い課徴金で経営権を手中に収めている。三ッ星事件で法的助言を担ったのはOMM法律事務所であり、田原氏の代理人も同事務所である。
<NH>
中川氏を含む旧経営陣3名が8月27日、クシム代表取締役の田原弘貴氏および同社を相手取り、インターネット上での発信が虚偽で名誉を毀損しているとして、その削除を求める仮処分命令を東京地裁に申立てたことが分かった。申立人側は、田原氏やクシムがSNS・特設サイト・動画配信を通じて行った発信は虚偽であり、社会的評価を著しく損なうものだと主張している。
同日に公表されたクシムの調査者(神垣清水氏)による中間報告書には、旧経営陣が誠実に説明していた重要な事実が反映されていないと旧経営陣は指摘している。
当時、クシム本体および関係事業会社はすべて赤字決算にあり、この厳しい経営状況を旧経営陣は隠すことなく明らかにしていた。
子会社4社の成長戦略においても、カイカ・フィスコなどの資本提携先との業務提携が不可欠であったが、提携関係の破綻により、子会社4社の事業計画が暗礁に乗り上げていた。にもかかわらず、中間報告書ではこの点に一切触れず、旧経営陣の責任を一方的に強調する構成となっている。
さらに、クシムが依拠する中間報告書や関連資料の信頼性についても、旧経営陣は疑問を指摘している。
神垣氏の中間報告書はランチ会の録音のみを精査し、その後に行われた録音を取り上げておらず、整合性を欠くとしている。ランチ会後のやり取りにはクシムや田原氏に不利な発言が多く含まれていたため、意図的に省かれたのではないかとの指摘だ。旧経営陣である中川氏はフィスコ社による損賠賠償請求裁判で訴訟告知を受けており、録音データや反訳書の内容を精査した上で、これらの問題点を具体的に指摘している。
加えて、当初8月中に提出予定だった調査報告書は、8月29日に「中間報告書」として公表され、最終版は2026年1月末の定時株主総会に持ち越された。この最終盤の提出期限の延期の経緯は不自然であり、クシム並びに田原氏を被告とする損害賠償請求訴訟を前に、報告書の内容が調整されたのでないかと旧経営陣は指摘している。
旧経営陣は「事実無根の拡散にNOを突きつける」との姿勢を鮮明にしており、法廷での攻防は今後さらに注目を集めそうだ。
なお、今回の訴訟は前回報じた株式会社High Voltage Capital(HVC)による名誉毀損訴訟と構図を同じくする。HVCに続き旧経営陣までもが司法の場に訴えたことで、問題の深刻さは一段と鮮明になった。今後の焦点は、田原氏側の発信に真実性や真実相当性があったか、また発信の手法が社会的に相当と認められるかに絞られる。不正の有無を断定するような情報がSNSや動画といった強力な可視化手段で一方的に拡散されれば、実際に不正が存在するかのような印象を与えかねない。その危険性に加え、今回はHVCだけでなく旧経営陣自身も被害を訴えており、発信行為が単なる「株主の意見表明」の域を超え、企業統治を根底から揺るがす事態へ発展している点は重い。
「不正を既成事実化するかのような発信」が行われ、それが田原氏によるクシム経営権争いの「大義名分」として用いられ、結果的に田原氏らは経営権の掌握に成功した。今回、HVCに続き旧経営陣も法的手段に訴えたことで、クシムを巡る対立は単なる経営権争奪戦にとどまらず、企業統治と情報発信の在り方そのものを問う社会的争点へと広がりつつある。
過去にも類似の事例がある。2022年に三ッ星<5820>で発生した経営権争いでは、買収者側による違法な「ウルフパック」的手法が問題視された。証券取引等監視委員会(SESC)からは課徴金処分を受けている。しかし処分は乗っ取り成立から2年後で、結果的に買収者側は比較的軽い課徴金で経営権を手中に収めている。三ッ星事件で法的助言を担ったのはOMM法律事務所であり、田原氏の代理人も同事務所である。
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