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三光合成:今期過去最高売上高・利益更新見通し、年初来高値更新もいまだPBR1倍割れ
配信日時:2025/09/02 11:43
配信元:FISCO
*11:43JST 三光合成:今期過去最高売上高・利益更新見通し、年初来高値更新もいまだPBR1倍割れ
三光合成<7888>は、合成樹脂の精密成形を核に、製品設計・CAE解析、金型設計・製作、成形・塗装・組立、さらには省力化機器までを内包する「一気通貫」のプラスチックエンジニアリング企業である。主要顧客は自動車、情報通信、家電企業。国内工場と欧州・アジア・北米の拠点を結ぶグローバル供給網を持ち、現地調達・現地生産を徹底することで品質・納期・コストの安定性を確保している。2025年5月期は売上構成が成形品83%、金型17%、地域は海外比率が66.8%と高い。事業部門別では車両が69.6%、情報・通信機器7.2%、家電その他6.7%、金型16.5%となっている。
同社の競争優位は(1)製品設計-金型-量産までの一貫内製による「立上げ品質」の高さ、(2)グローバル拠点とモジュール設計で実現する短納期・安定供給、(3)自動化・省人化と価格精緻化を組み合わせた収益改善の仕組み化、に整理できる。完成車メーカーの大量生産体制を支える不可欠な存在であり、他社では製造できない特殊商品を製造している。とりわけ金型内製は、試作段階で量産性・歩留まりを織り込めるため立上げ損失を抑制し、量産後の不具合即応にも資する。加えて系列色が薄く、監査通過後は幅広い完成車メーカーと取引可能というフラットな立場が新規案件獲得の裾野を広げている。経営指標は売上高営業利益率の持続的引き上げを重視している。
2025年5月期の売上高は91,101億円(前期比2.9%減)、営業利益は5,656百万円(同36.9%増)で最高益を更新した。高付加価値製品の受注と生産体制の整備を強化し、原価低減活動を積極的に推進。事業別では主力の自動車(車両・機能)が一服する一方、家電・その他が大幅伸長し、情報通信も回復基調。地域別では日本・北米が堅調、欧州・アジアも減収ながら増益と、価格転嫁定着と生産性向上が広範に効いた。2026年5月期は売上高が94,000百万円(同3.2%増)、営業利益が6,100百万円(同7.8%増)を計画。前提は、引き続き高付加価値製品、金型の受注活動を積極化するとともに、安定した収益構造の確保と経営体質の強化を図る。売上高、利益で過去最高を更新して増収増益を目指すようだ。
事業環境については、自動車の電動化は地域差が大きく、米国は政策・関税動向に左右されやすい。欧州は環境規制を背景に樹脂部材の軽量化需要が継続する一方、モデルサイクルの遅延はリスクとなる。アジアは内需回復と設備投資テンポの鈍化が併存する局面で、価格競争の強まりに留意が必要。共通課題は賃金・電力コストの上昇であり、同社は自動化比率引き上げと金型段階での生産安定化設計で対応している。成長投資は北米とインドに重点配分。北米では100億円規模の投資を段階実行し、米インディアナ州の増築・増設を通じてHEV/BEVの新規案件に備える。インドではグジャラートで塗装設備を導入し、ハリアナ州ジャジャールに倉庫機能を新設。製品設計人員の増強と併せ、家電・二輪・四輪で裾野を広げる。これらは上流参画比率(設計段階からの関与)を高め、価格と原価の同時最適化を促す布石である。
中長期では、社内目標として「トリプル10(売上1,000億円・営業利益100億円・営業利益率10%)」の到達を掲げている。従来製品と付加価値部品の割合を50%:50%を予定し、付加価値部品は生産ノウハウをベースにした製品設計力と業界横断のグローバルでのトレンド情報、新製品をテコに顧客に提案営業を推進する。付加価値製品は、金型や非オート、メカトロ装置、自動車ユニット・モジュール部品など9個の製品候補となる。また、引き続き特定拠点に集中せず、グローバルで稼ぐビジネスモデルを展開し、日本で確立した生産性向上の施策(生産性2倍活動)をグローバルに展開していく。資本効率ではPBR1倍超を明確目標とし、収益性とコミュニケーションの両面で市場評価の引き上げを目指す。
株主還元については、2025年5月期に年間配当24円を実施し、2026年5月期は年間28円への増配を計画。方針は「安定・継続」を基軸に、成長投資との両立を重視する。2025年5月期の営業キャッシュフローは増加基調で、北米・インド向けの設備投資をこなしつつ財務健全性を維持している。今後は金型受注の底堅さと大型・機能部品シフト(成形品ミックスの高度化)がキャッシュ創出を押し上げ、配当の持続性を支える。直近株価は上場来高値を更新しているが、いまだPBR1倍割れと上値余地が残る。資本効率の改善を目標に、自己株式の機動的活用を含む総還元の選択肢拡大も検討余地があろう。北米・インド投資の稼働確度、非自動車の伸長など合わせて、トリプル10に向けた成長の持続性に注目しておきたい。
<FA>
同社の競争優位は(1)製品設計-金型-量産までの一貫内製による「立上げ品質」の高さ、(2)グローバル拠点とモジュール設計で実現する短納期・安定供給、(3)自動化・省人化と価格精緻化を組み合わせた収益改善の仕組み化、に整理できる。完成車メーカーの大量生産体制を支える不可欠な存在であり、他社では製造できない特殊商品を製造している。とりわけ金型内製は、試作段階で量産性・歩留まりを織り込めるため立上げ損失を抑制し、量産後の不具合即応にも資する。加えて系列色が薄く、監査通過後は幅広い完成車メーカーと取引可能というフラットな立場が新規案件獲得の裾野を広げている。経営指標は売上高営業利益率の持続的引き上げを重視している。
2025年5月期の売上高は91,101億円(前期比2.9%減)、営業利益は5,656百万円(同36.9%増)で最高益を更新した。高付加価値製品の受注と生産体制の整備を強化し、原価低減活動を積極的に推進。事業別では主力の自動車(車両・機能)が一服する一方、家電・その他が大幅伸長し、情報通信も回復基調。地域別では日本・北米が堅調、欧州・アジアも減収ながら増益と、価格転嫁定着と生産性向上が広範に効いた。2026年5月期は売上高が94,000百万円(同3.2%増)、営業利益が6,100百万円(同7.8%増)を計画。前提は、引き続き高付加価値製品、金型の受注活動を積極化するとともに、安定した収益構造の確保と経営体質の強化を図る。売上高、利益で過去最高を更新して増収増益を目指すようだ。
事業環境については、自動車の電動化は地域差が大きく、米国は政策・関税動向に左右されやすい。欧州は環境規制を背景に樹脂部材の軽量化需要が継続する一方、モデルサイクルの遅延はリスクとなる。アジアは内需回復と設備投資テンポの鈍化が併存する局面で、価格競争の強まりに留意が必要。共通課題は賃金・電力コストの上昇であり、同社は自動化比率引き上げと金型段階での生産安定化設計で対応している。成長投資は北米とインドに重点配分。北米では100億円規模の投資を段階実行し、米インディアナ州の増築・増設を通じてHEV/BEVの新規案件に備える。インドではグジャラートで塗装設備を導入し、ハリアナ州ジャジャールに倉庫機能を新設。製品設計人員の増強と併せ、家電・二輪・四輪で裾野を広げる。これらは上流参画比率(設計段階からの関与)を高め、価格と原価の同時最適化を促す布石である。
中長期では、社内目標として「トリプル10(売上1,000億円・営業利益100億円・営業利益率10%)」の到達を掲げている。従来製品と付加価値部品の割合を50%:50%を予定し、付加価値部品は生産ノウハウをベースにした製品設計力と業界横断のグローバルでのトレンド情報、新製品をテコに顧客に提案営業を推進する。付加価値製品は、金型や非オート、メカトロ装置、自動車ユニット・モジュール部品など9個の製品候補となる。また、引き続き特定拠点に集中せず、グローバルで稼ぐビジネスモデルを展開し、日本で確立した生産性向上の施策(生産性2倍活動)をグローバルに展開していく。資本効率ではPBR1倍超を明確目標とし、収益性とコミュニケーションの両面で市場評価の引き上げを目指す。
株主還元については、2025年5月期に年間配当24円を実施し、2026年5月期は年間28円への増配を計画。方針は「安定・継続」を基軸に、成長投資との両立を重視する。2025年5月期の営業キャッシュフローは増加基調で、北米・インド向けの設備投資をこなしつつ財務健全性を維持している。今後は金型受注の底堅さと大型・機能部品シフト(成形品ミックスの高度化)がキャッシュ創出を押し上げ、配当の持続性を支える。直近株価は上場来高値を更新しているが、いまだPBR1倍割れと上値余地が残る。資本効率の改善を目標に、自己株式の機動的活用を含む総還元の選択肢拡大も検討余地があろう。北米・インド投資の稼働確度、非自動車の伸長など合わせて、トリプル10に向けた成長の持続性に注目しておきたい。
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