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明日の株式相場に向けて=米国株ユーフォリアの前方に断崖はあるか

配信日時:2025/08/26 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(26日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比413円安の4万2394円と3日ぶり反落。全体相場は再び調整色を強めてきた。きょうは、トランプ米大統領がFRBのクック理事の解任を発表するなど相変わらず傍若無人ぶりを発揮し、一時650円以上の下落をみせる場面があった。ただ、少々狼狽気味の売りを誘発した印象はあるものの、弱気に傾いているというよりは買いを入れるのを躊躇しているという雰囲気である。なお、売買代金が5兆6000億円台と大きく膨らんだことはやや違和感を覚えるが、これはMSCIリバランスに伴う影響で、活況相場が甦ったということではなさそうだ。  空が悲観一色に染まる瞬間が、実は次なる上昇ステージの黎明だった、ということが相場には往々にしてある。しかし、その逆もまた然(しか)りで、楽観ムードに支配された途端、眼前に断崖絶壁が出現するというケースに出くわすことも過去に何度も繰り返されてきた。時計の針を戻すと、前週明けの18日あたりでは、市場関係者の間で日経平均4万6000円のコールが大盛り上がりであるというのが話のネタとなっていたが、週半ば以降に日経平均は大きくバランスを崩す羽目となった。当然ながら、待ち望んだ押し目買いのチャンスという見方も強かったわけだが、実際はその後に期待するようなリバウンドには恵まれていない。直近では3万9000円のプットが膨らんでいるという話題にすり替わり、強気筋と弱気筋がせわしく右往左往しているような様子がうかがわれる。  エヌビディア<NVDA>の決算発表を目前に控え、半導体関連の主力どころを中心に身動きがとりづらい時間軸にあることは確かだ。例えば、エヌビディアとの取引関係が密接なアドバンテスト<6857.T>の株価推移を見ると、その気迷い感が如実に投影されたような日足チャートを形成している。前週半ば以降は1万円トビ台を横に走る25日移動平均線を絡めた狭いゾーンでの横ばいに終始している。しかし、前日まで陰線連打が目立っており、何となくポジションを軽くしておきたいという思惑の方が強いような値動きとなっている。  エヌビディアの25年5~7月期決算は売上高が460億ドル弱というのがコンセンサス。これは前年同期比で53%増、この規模になってなお1.5倍化を見込んでいるわけで、それ自体凄いことなのだが、約7割の伸びを達成した2~4月期と比較すると若干伸び率という点では減速する。ただし、だからといって、トップラインが5割強の伸びを示して売りの洗礼を浴びるということは考えにくい。マーケットの最たる関心事は、最先端AI半導体の需要見通しがどの程度かという点、そしてエヌビディア製品を国家安保の観点から排除しようとしている中国の思惑が、今後の見通しにどう影響するかという点の2つであろう。エヌビディアの株価は一時サポートラインとなっていた25日線を下回ったが、直近は買い戻され同移動平均線との下方カイ離を解消した。きょうは、半導体関連の集積地である台湾株市場ではエヌビディアと株価連動性の高いテック株には足もと買いが優勢となっている。市場関係者も「こればかりは蓋を開けてみないことには分からない。株価予想についてのコメントはコイントスに等しい」(中堅証券ストラテジスト)とし、巨大なる決算プレーの行方を見守るよりないという体(てい)であった。  一方、このエヌビディア決算を通過した後は次のビッグイベントとして9月5日に発表が予定される8月の米雇用統計ということになるが、その前日(4日)に開示される8月のADP全米雇用レポートの方が注目度が高いという指摘もある。これまでADP雇用リポートは米雇用統計と統計数字に結構なズレが生じ、信憑性に難ありという批判もあった。ところが周知の通り米雇用統計は5月、6月分の目を疑うレベルの下方修正がなされ、トランプ米大統領の逆鱗に触れ労働省の担当局長が解任されるという事態となった。5月、6月のADP雇用リポートはどうだったかというと、5月の雇用者数の伸びが前月比2.9万人増と低水準で、6月は何と2.3万人の減少であった。つまり民間のADPの方が信用に足るというオチとなってしまったようである。  いずれにせよ、パウエルFRB議長がジャクソンホール会議でいみじくも述べた労働市場の縮小均衡の流れがどうなっていくのか。トランプ政権の移民政策の弊害が生じているのかどうか。強引な関税政策とのセットで、景気失速とインフレが共鳴するスタグフレーションへの道筋が浮かび上がることはないのか。これらの懸念材料が、現実味を帯びる可能性が意識された時、今は楽観に支配された米国株市場も青天の霹靂で株価急落の憂き目にあう可能性がゼロではないということになる。米国の20年債や30年債など超長期債利回りの動向などに、不気味な影を指摘する声も出ている。  あすのスケジュールでは、8月の月例経済報告、7月の建機出荷などにマーケットの耳目が集まる。また、東京おもちゃショーが東京ビッグサイトで31日までの日程で開催される。株式市場では、この日は8月の権利付き最終売買日となる。海外では7月の豪消費者物価指数(CPI)、1~7月の中国工業利益などが注目されるほか、米国では5年債入札が行われる。個別企業の決算発表ではエヌビディアの25年5~7月期決算に世界の関心が高い。なお、インド市場は休場となる。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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