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JSH Research Memo(6):2028年3月期に売上高80~85億円、営業利益率10%程度を目指す
配信日時:2025/08/15 12:06
配信元:FISCO
*12:06JST JSH Research Memo(6):2028年3月期に売上高80~85億円、営業利益率10%程度を目指す
■JSH<150A>の今後の見通し
1. 中期事業ターゲット
同社は今後の経営戦略として、短期的な利益増を追うのではなく、積極投資により長期的なキャッシュ・フローの最大化を目指すことを骨子とした中期事業ターゲットを2025年7月に発表した。地方創生事業、在宅医療事業における新規出店や人材採用を積極化し、中期事業計画1年目(2026年3月期)と2年目(2027年3月期)の利益を下振れさせても3年目(2028年3月期)の利益を最大化する方針だ。
今後3年間の業績見通しは、売上高で年率20%台の成長を続け2028年3月期に80~85億円を目指す。営業利益ベースでは2026年3月期に損失に転落、2027年3月期は黒字転換するものの1億円強と低水準にとどまり、2028年3月期に営業利益率で10%程度を目指す。障がい者雇用支援サービスや在宅医療サービスの需要が引き続き拡大する見通しであることに変わりなく、サービスを安定的かつ高品質に提供するための人材を含めたインフラをいかに強化・拡大できるかが目標達成のカギを握ると弊社では見ている。
(1) 地方創生事業
地方創生事業の売上高は2028年3月期で5,647百万円と年率31.1%成長を目指している。農園の新規開設は年5~6農園のペースで進め、前期末の21農園から38園まで拡大する。従来は、九州エリアを中心に地方での開設を進めてきたが、今後は在宅医療事業とのシナジーを創出しやすい大都市圏にも展開する計画である。実際、2025年11月に東京都青梅市、2026年1月に東京都足立区、大阪府八尾市で農園を開設することが決まっている。
障がい者の就労能力に該当する農園の総区画数は前期末の1,753区画から2028年3月期末は3,064区画と、年率20.5%成長となる。売上成長率との乖離は、現在80%台の稼働率を100%近くに引き上げることを前提としているためだ。ただ、各農園の稼動状況次第では需要が見込めるエリアで農園を追加開設する可能性も考えられる。
障がい者雇用にたいする企業側の需要については、依然旺盛な状況が続くと見られる。厚生労働省が毎年発表している障害者雇用状況の調査結果によると、2024年6月時点の民間企業の障がい者雇用率は2.41%と前期比で0.08ポイント上昇したものの、法定雇用率の2.5%に届いておらず、法定効用率達成企業の割合も46.0%と半分にも満たない。さらには2026年7月より法定雇用率が2.7%に引き上げられることも需要面で追い風となる。2.4%の雇用率を2.7%に引き上げるためには、約8万人の障がい者雇用を創出する必要があるためだ。加えて現在、民間企業に就労している障がい者67.7万人のうち、54%は身体障がい者で、そのうち55歳以上の占める比率が半分近くに達しており、今後10年で10万人超の退職が見込まれることも旺盛な需要が続く要因となる。こうしたなか、在宅医療事業で培った訪問看護サービスの知見を生かし、障がい者にとって充実したサポート体制を整備している同社サービスの成長余地は大きいと弊社では見ている。
なお、持続的な成長を図るためには継続収入となるARR(リカーリング売上)の拡大が必要で、その構成要素となる新規利用企業数の拡大とARPA(1社当たりMRR)の向上に取り組む。新規利用企業に関しては、営業体制の拡充や各種マーケティング施策を強化することで獲得していく方針だ。一方、ARPAに関しては、顧客満足度の向上による追加オーダーの獲得に加えて、値上げについても2026年3月期より徐々に実施している。具体的は、新規契約企業に関して月額利用料を約15万円から約16万円に改定したほか、既存顧客に関しても契約更新時に同様の値上げを実施する。また、地代家賃が地方と比べて高い大都市圏の農園に関しては、利益率に影響を与えない程度に月額利用料を設定する予定だ。障がい者の獲得については、地域の福祉施設や就労支援施設からの紹介のほか、在宅医療事業のネットワークも活用する。
2019年3月期以降の顧客獲得時期別ARRは毎年増加しており、顧客満足度の高さがうかがえる。実際、区画を追加した企業は2025年3月末時点で累計利用企業217社のうち84社(予約含む)あり、全体の約4割を占める。
(2) 在宅医療事業
在宅医療事業の売上高は2028年3月期で2,530百万円と年率20.3%成長を目指している。1年目の2026年3月期は3.8%増と微増収にとどまるが、訪問看護ステーション等の拠点数を前期末の22拠点から47拠点と一気に2倍強に拡大する予定で、2027年3月期以降に売上成長が加速する計画である。利益面では、先行投資負担により2027年3月期まで損失を計上するが、2028年3月期以降は黒字基調に転じる見通しだ。
常勤換算看護師数は前期末の126人から2028年3月期末は210人と1.67倍に拡大する。1拠点当たり常勤換算看護師数では前期末の5.7人に対して、2026年3月期末は新拠点の増加により3.5人まで低下するが、2028年3月期末には4.1人まで回復する。訪問件数当たりの売上単価は診療報酬制度(2年に1回改訂)によって決まるため、計画のなかでは横ばいを前提としており、訪問看護師数の増加と稼働率の上昇が2028年3月期の収益改善要因となる。ただ、売上単価は国の医療政策によって決められるため、自助努力による収益性の改善余地は限定的と見られる。このため、同社は在宅医療事業については、成長ドライバーである障がい者雇用支援サービスをより強化し、成長を促進させる役割を果たす事業と位置付けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 中期事業ターゲット
同社は今後の経営戦略として、短期的な利益増を追うのではなく、積極投資により長期的なキャッシュ・フローの最大化を目指すことを骨子とした中期事業ターゲットを2025年7月に発表した。地方創生事業、在宅医療事業における新規出店や人材採用を積極化し、中期事業計画1年目(2026年3月期)と2年目(2027年3月期)の利益を下振れさせても3年目(2028年3月期)の利益を最大化する方針だ。
今後3年間の業績見通しは、売上高で年率20%台の成長を続け2028年3月期に80~85億円を目指す。営業利益ベースでは2026年3月期に損失に転落、2027年3月期は黒字転換するものの1億円強と低水準にとどまり、2028年3月期に営業利益率で10%程度を目指す。障がい者雇用支援サービスや在宅医療サービスの需要が引き続き拡大する見通しであることに変わりなく、サービスを安定的かつ高品質に提供するための人材を含めたインフラをいかに強化・拡大できるかが目標達成のカギを握ると弊社では見ている。
(1) 地方創生事業
地方創生事業の売上高は2028年3月期で5,647百万円と年率31.1%成長を目指している。農園の新規開設は年5~6農園のペースで進め、前期末の21農園から38園まで拡大する。従来は、九州エリアを中心に地方での開設を進めてきたが、今後は在宅医療事業とのシナジーを創出しやすい大都市圏にも展開する計画である。実際、2025年11月に東京都青梅市、2026年1月に東京都足立区、大阪府八尾市で農園を開設することが決まっている。
障がい者の就労能力に該当する農園の総区画数は前期末の1,753区画から2028年3月期末は3,064区画と、年率20.5%成長となる。売上成長率との乖離は、現在80%台の稼働率を100%近くに引き上げることを前提としているためだ。ただ、各農園の稼動状況次第では需要が見込めるエリアで農園を追加開設する可能性も考えられる。
障がい者雇用にたいする企業側の需要については、依然旺盛な状況が続くと見られる。厚生労働省が毎年発表している障害者雇用状況の調査結果によると、2024年6月時点の民間企業の障がい者雇用率は2.41%と前期比で0.08ポイント上昇したものの、法定雇用率の2.5%に届いておらず、法定効用率達成企業の割合も46.0%と半分にも満たない。さらには2026年7月より法定雇用率が2.7%に引き上げられることも需要面で追い風となる。2.4%の雇用率を2.7%に引き上げるためには、約8万人の障がい者雇用を創出する必要があるためだ。加えて現在、民間企業に就労している障がい者67.7万人のうち、54%は身体障がい者で、そのうち55歳以上の占める比率が半分近くに達しており、今後10年で10万人超の退職が見込まれることも旺盛な需要が続く要因となる。こうしたなか、在宅医療事業で培った訪問看護サービスの知見を生かし、障がい者にとって充実したサポート体制を整備している同社サービスの成長余地は大きいと弊社では見ている。
なお、持続的な成長を図るためには継続収入となるARR(リカーリング売上)の拡大が必要で、その構成要素となる新規利用企業数の拡大とARPA(1社当たりMRR)の向上に取り組む。新規利用企業に関しては、営業体制の拡充や各種マーケティング施策を強化することで獲得していく方針だ。一方、ARPAに関しては、顧客満足度の向上による追加オーダーの獲得に加えて、値上げについても2026年3月期より徐々に実施している。具体的は、新規契約企業に関して月額利用料を約15万円から約16万円に改定したほか、既存顧客に関しても契約更新時に同様の値上げを実施する。また、地代家賃が地方と比べて高い大都市圏の農園に関しては、利益率に影響を与えない程度に月額利用料を設定する予定だ。障がい者の獲得については、地域の福祉施設や就労支援施設からの紹介のほか、在宅医療事業のネットワークも活用する。
2019年3月期以降の顧客獲得時期別ARRは毎年増加しており、顧客満足度の高さがうかがえる。実際、区画を追加した企業は2025年3月末時点で累計利用企業217社のうち84社(予約含む)あり、全体の約4割を占める。
(2) 在宅医療事業
在宅医療事業の売上高は2028年3月期で2,530百万円と年率20.3%成長を目指している。1年目の2026年3月期は3.8%増と微増収にとどまるが、訪問看護ステーション等の拠点数を前期末の22拠点から47拠点と一気に2倍強に拡大する予定で、2027年3月期以降に売上成長が加速する計画である。利益面では、先行投資負担により2027年3月期まで損失を計上するが、2028年3月期以降は黒字基調に転じる見通しだ。
常勤換算看護師数は前期末の126人から2028年3月期末は210人と1.67倍に拡大する。1拠点当たり常勤換算看護師数では前期末の5.7人に対して、2026年3月期末は新拠点の増加により3.5人まで低下するが、2028年3月期末には4.1人まで回復する。訪問件数当たりの売上単価は診療報酬制度(2年に1回改訂)によって決まるため、計画のなかでは横ばいを前提としており、訪問看護師数の増加と稼働率の上昇が2028年3月期の収益改善要因となる。ただ、売上単価は国の医療政策によって決められるため、自助努力による収益性の改善余地は限定的と見られる。このため、同社は在宅医療事業については、成長ドライバーである障がい者雇用支援サービスをより強化し、成長を促進させる役割を果たす事業と位置付けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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