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システムズD Research Memo(5):2025年3月期は、本社移転など人的資本投資拡充し増収減益
配信日時:2025/08/13 14:05
配信元:FISCO
*14:05JST システムズD Research Memo(5):2025年3月期は、本社移転など人的資本投資拡充し増収減益
■システムズ・デザイン<3766>の業績動向
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高9,609百万円(前期比1.6%増)、営業利益454百万円(同13.3%減)、経常利益477百万円(同15.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益297百万円(同12.9%減)と増収減益となったが、期初計画に対しては、売上高は3.9%下回ったものの、システム開発事業の利益率改善により営業利益、経常利益、当期純利益はそれぞれ10.1%、13.0%、23.2%上回った。主要顧客のシステムリプレースが収束するなかで、システムリプレース周辺案件の獲得や既存顧客のグループ企業の新規獲得を推進し、同社始まって以来の大規模開発案件も受注した。ローコード開発ツールやSalesforce・SAP・クラウドなどの開発プラットフォームを活用したソリューションビジネスをはじめ、シェアードシステム及びフォーの両子会社業績やアウトソーシング事業が堅調に推移し、加えて受注価格の改善もあり増収を確保した。
損益面においては、開発ツール活用による開発生産性の向上などにより粗利率は22.3%と前期を0.2ポイント上回り、粗利は同2.8%増加した。一方、成長基盤を確保するため、本社移転、従業員の給与水準引き上げや採用増、教育研修の充実など人的資本投資・研究開発投資の拡充を進め、販管費は同8.2%増となった。コスト増を粗利の増加では吸収できず各段階で減益となったが、将来に向けた先行投資による一時的なものである。
セグメント別業績では、システム開発事業が、売上高5,256百万円(前期比1.6%増)、営業利益332百万円(同10.3%減)となった。主要顧客のシステムリプレース後の周辺案件の獲得や既存顧客のグループ企業への営業展開による新規顧客獲得に注力した。また、ローコード開発ツールなどを活用したソリューションビジネスも引き続き順調に伸長した。子会社では、シェアードシステムのパッケージソフト「HaiSurf」「Rundlax」の販売が需要の増加する物流倉庫のハンディターミナル向けに順調に推移し、売上高は前期比5.0%増となった。
アウトソーシング事業については、売上高4,352百万円(同1.5%増)、営業利益122百万円(同20.6%減)となった。定額減税関連の受注が増加したほか、アイカムの業績が堅調に推移し増収となった。2024年8月に業務提携したクラシテとはAIを活用した次世代コールセンター構築に向けた共同開発をスタートさせたが、それを機に、クラシテを含むサンネクスタグループから不動産関連コールセンター業務をアイカムが受託した、また、アウトソーシング事業部が同グループから年末調整業務を受託した。本社を新宿三井ビルディングに移転するに当たり代田橋にあったファシリティセンターを廃止し、他のセンターに統合するなど効率化を進めたが、オンサイトビジネスは顧客の求めるタイミングでのリーダー派遣が調整できずに苦戦を強いられ、ヘルプデスク、キッティングなどの人員確保が課題となっている。また、フォーのIDカード発行システム、発行業務の受託も順調に推移し、売上高は前期比31.4%増となった
一方、いずれのセグメントにおいても、本社移転に伴うコスト増に加えて、昨年実施した正社員の基本給与引き上げや契約・パート社員の個別給与引き上げ、教育研修の充実など、人的資本投資を拡充したことにより減益となった。
同社の収益性については、不採算案件の影響で2020年3月期には売上総利益率が13.5%にまで低下した。ただ、その後はプロジェクト管理の強化などもあり、足元では売上総利益率は20%を超え、従来水準まで戻ってきている。2025年3月期の売上総利益率は22.3%(前期は22.1%)であり、受注単価の見直し、開発ツール活用による開発の生産性向上など原価低減に向けた取り組みが奏功し、前期を上回って推移した。生産性については、従業員数の増加により2025年3月期の1人当たり売上高が1,801万円(前期は1,819万円)と前期を下回ったが、1人当たり売上総利益は403万円(同402万円)と前期を上回った。2023年3月期のシステムリプレースといった大型案件が収束したこと、アウトソーシング事業の比率が高まったことが要因となって水準は下がっているが、いずれも2022年3月期以前の水準を超えており、事業の選択と集中による高付加価値化のトレンドは変わっていないと見てとれる。
2. 財務状況と経営指標
(1) 連結貸借対照表
2025年3月期末における資産の残高は6,394百万円となり前期末比66百万円の増加となった。流動資産は38百万円の減少となったが、これは主に現金及び預金の減少289百万円、大規模開発案件の受注に伴う受取手形及び売掛金等の増加167百万円、短期貸付金の増加100百万円(長期貸付金から短期貸付金に振替したもの)によるものである。固定資産は105百万円の増加となったが、これは投資有価証券の増加31百万円、保険積立金161百万円の増加、長期貸付金の減少100百万円によるものである。負債の残高は1,778百万円となり、同90百万円の減少となった。流動負債は123百万円の減少となったが、これは主に未払法人税等の減少29百万円、本社移転費用引当金の減少25百万円、その他に含まれる預り金の減少42百万円、未払消費税の減少50百万円によるものである。固定負債は32百万円の増加となったが、これは主にリース債務の増加12百万円、役員株式報酬引当金の増加8百万円、退職給付にかかる負債の増加12百万円によるものである。純資産合計は4,616百万円となり、同157百万円の増加となった。これは主に利益剰余金の増加161百万円によるものである。財政状況に関しては、自己資本比率は72.2%と前期末を1.7ポイント上回り、健全な財政状況を維持している。また、流動比率においても397.6%と前期末を33.7ポイント上回り、高い水準を維持している。
(2) 連結キャッシュ・フロー計算書
営業活動によるキャッシュ・フローは122百万円の収入(前期は859百万円の収入)となった。これは主に税金など調整前当期純利益454百万円、のれん償却74百万円の収入、売上債権及び契約資産の増加167百万円、預り金の減少42百万円、未払消費税の減少50百万円、法人税等の支払182百万円による支出によるものである。投資活動によるキャッシュ・フローは271百万円の支出(前期は396百万円の支出)となった。これは主に保険積立金の積立161百万円、新オフィスの付属設備など有形固定資産の取得129百万円、投資有価証券の取得49百万円による支出、不稼働資産となっていた保養所の売却22百万円、前本社ビルの敷金・保証金の回収48百万円による収入によるものである。財務活動によるキャッシュ・フローは141百万円の支出(前期は84百万円の支出)となったが、これは主に配当金の支払136百万円によるものである。その結果、現金及び現金及び現金同等物は289百万円減少したが、引き続き無借金で手元資金は成長投資の余力を十分に残している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本 章弘)
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1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高9,609百万円(前期比1.6%増)、営業利益454百万円(同13.3%減)、経常利益477百万円(同15.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益297百万円(同12.9%減)と増収減益となったが、期初計画に対しては、売上高は3.9%下回ったものの、システム開発事業の利益率改善により営業利益、経常利益、当期純利益はそれぞれ10.1%、13.0%、23.2%上回った。主要顧客のシステムリプレースが収束するなかで、システムリプレース周辺案件の獲得や既存顧客のグループ企業の新規獲得を推進し、同社始まって以来の大規模開発案件も受注した。ローコード開発ツールやSalesforce・SAP・クラウドなどの開発プラットフォームを活用したソリューションビジネスをはじめ、シェアードシステム及びフォーの両子会社業績やアウトソーシング事業が堅調に推移し、加えて受注価格の改善もあり増収を確保した。
損益面においては、開発ツール活用による開発生産性の向上などにより粗利率は22.3%と前期を0.2ポイント上回り、粗利は同2.8%増加した。一方、成長基盤を確保するため、本社移転、従業員の給与水準引き上げや採用増、教育研修の充実など人的資本投資・研究開発投資の拡充を進め、販管費は同8.2%増となった。コスト増を粗利の増加では吸収できず各段階で減益となったが、将来に向けた先行投資による一時的なものである。
セグメント別業績では、システム開発事業が、売上高5,256百万円(前期比1.6%増)、営業利益332百万円(同10.3%減)となった。主要顧客のシステムリプレース後の周辺案件の獲得や既存顧客のグループ企業への営業展開による新規顧客獲得に注力した。また、ローコード開発ツールなどを活用したソリューションビジネスも引き続き順調に伸長した。子会社では、シェアードシステムのパッケージソフト「HaiSurf」「Rundlax」の販売が需要の増加する物流倉庫のハンディターミナル向けに順調に推移し、売上高は前期比5.0%増となった。
アウトソーシング事業については、売上高4,352百万円(同1.5%増)、営業利益122百万円(同20.6%減)となった。定額減税関連の受注が増加したほか、アイカムの業績が堅調に推移し増収となった。2024年8月に業務提携したクラシテとはAIを活用した次世代コールセンター構築に向けた共同開発をスタートさせたが、それを機に、クラシテを含むサンネクスタグループから不動産関連コールセンター業務をアイカムが受託した、また、アウトソーシング事業部が同グループから年末調整業務を受託した。本社を新宿三井ビルディングに移転するに当たり代田橋にあったファシリティセンターを廃止し、他のセンターに統合するなど効率化を進めたが、オンサイトビジネスは顧客の求めるタイミングでのリーダー派遣が調整できずに苦戦を強いられ、ヘルプデスク、キッティングなどの人員確保が課題となっている。また、フォーのIDカード発行システム、発行業務の受託も順調に推移し、売上高は前期比31.4%増となった
一方、いずれのセグメントにおいても、本社移転に伴うコスト増に加えて、昨年実施した正社員の基本給与引き上げや契約・パート社員の個別給与引き上げ、教育研修の充実など、人的資本投資を拡充したことにより減益となった。
同社の収益性については、不採算案件の影響で2020年3月期には売上総利益率が13.5%にまで低下した。ただ、その後はプロジェクト管理の強化などもあり、足元では売上総利益率は20%を超え、従来水準まで戻ってきている。2025年3月期の売上総利益率は22.3%(前期は22.1%)であり、受注単価の見直し、開発ツール活用による開発の生産性向上など原価低減に向けた取り組みが奏功し、前期を上回って推移した。生産性については、従業員数の増加により2025年3月期の1人当たり売上高が1,801万円(前期は1,819万円)と前期を下回ったが、1人当たり売上総利益は403万円(同402万円)と前期を上回った。2023年3月期のシステムリプレースといった大型案件が収束したこと、アウトソーシング事業の比率が高まったことが要因となって水準は下がっているが、いずれも2022年3月期以前の水準を超えており、事業の選択と集中による高付加価値化のトレンドは変わっていないと見てとれる。
2. 財務状況と経営指標
(1) 連結貸借対照表
2025年3月期末における資産の残高は6,394百万円となり前期末比66百万円の増加となった。流動資産は38百万円の減少となったが、これは主に現金及び預金の減少289百万円、大規模開発案件の受注に伴う受取手形及び売掛金等の増加167百万円、短期貸付金の増加100百万円(長期貸付金から短期貸付金に振替したもの)によるものである。固定資産は105百万円の増加となったが、これは投資有価証券の増加31百万円、保険積立金161百万円の増加、長期貸付金の減少100百万円によるものである。負債の残高は1,778百万円となり、同90百万円の減少となった。流動負債は123百万円の減少となったが、これは主に未払法人税等の減少29百万円、本社移転費用引当金の減少25百万円、その他に含まれる預り金の減少42百万円、未払消費税の減少50百万円によるものである。固定負債は32百万円の増加となったが、これは主にリース債務の増加12百万円、役員株式報酬引当金の増加8百万円、退職給付にかかる負債の増加12百万円によるものである。純資産合計は4,616百万円となり、同157百万円の増加となった。これは主に利益剰余金の増加161百万円によるものである。財政状況に関しては、自己資本比率は72.2%と前期末を1.7ポイント上回り、健全な財政状況を維持している。また、流動比率においても397.6%と前期末を33.7ポイント上回り、高い水準を維持している。
(2) 連結キャッシュ・フロー計算書
営業活動によるキャッシュ・フローは122百万円の収入(前期は859百万円の収入)となった。これは主に税金など調整前当期純利益454百万円、のれん償却74百万円の収入、売上債権及び契約資産の増加167百万円、預り金の減少42百万円、未払消費税の減少50百万円、法人税等の支払182百万円による支出によるものである。投資活動によるキャッシュ・フローは271百万円の支出(前期は396百万円の支出)となった。これは主に保険積立金の積立161百万円、新オフィスの付属設備など有形固定資産の取得129百万円、投資有価証券の取得49百万円による支出、不稼働資産となっていた保養所の売却22百万円、前本社ビルの敷金・保証金の回収48百万円による収入によるものである。財務活動によるキャッシュ・フローは141百万円の支出(前期は84百万円の支出)となったが、これは主に配当金の支払136百万円によるものである。その結果、現金及び現金及び現金同等物は289百万円減少したが、引き続き無借金で手元資金は成長投資の余力を十分に残している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本 章弘)
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