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ヤマノHD Research Memo(2):果敢なM&Aと顧客ネットワークにより、ヤマノブランドの事業を構築
配信日時:2025/07/31 13:02
配信元:FISCO
*13:02JST ヤマノHD Research Memo(2):果敢なM&Aと顧客ネットワークにより、ヤマノブランドの事業を構築
■会社概要
1. 会社概要
ヤマノホールディングス<7571>は、ヤマノグループの創始者山野愛子氏が提唱した美道五原則「髪・顔・装い・精神美・健康美」を企業理念として掲げ、美容事業、和装宝飾事業、DSM事業、教育事業、リユース事業、フォト事業などを展開する。
同社は、M&Aで事業領域を拡大する戦略を取りながら現在の事業基盤を構築してきた。美容事業は(株)ヤマノプラスが美容室及びネイルサロンを運営する(2025年10月にヤマノプラスは同社に吸収合併する予定)。売上高の約7割を占める和装宝飾事業においては、同社の和装関連部門及び(株)すずのきが呉服和装品専門店を全国に展開し、和装品など(振袖、留袖、訪問着、七五三祝着、和装小物など)の販売を行っている。また、同社宝飾関連部門が関東を中心に宝飾品専門店チェーンを展開し、ジュエリーなど(ダイヤモンドリング、ファッションリング、ネックレス、時計など)の販売を行っている。ライフプラス事業(旧 DSM事業)においては、同社の訪問販売・催事販売関連部門が各種家電、洋装品、宝飾品、健康関連商品などの販売を行っている。教育事業においては、(株)マンツーマンアカデミー、東京ガイダンス(株)並びに灯学舎が学習塾の経営を行っている。リユース事業においては、OLD FLIPと2025年6月に買収したNYJが古着の買取及び販売を行っている。フォト事業は、2025年4月に買収したYSが写真スタジオを展開する。そのほか、(株)ヤマノセイビングが前払式特定取引業を行っており、また、(一社)日本技術技能教育協会が着物の着付に関する普及、検定などを行っている。多くのM&Aを通じて成長を遂げた企業とはいえ、その根幹には、日本の美容の歴史に多大な貢献をした先駆者“山野愛子”という人物の精神があり、事業を推進するうえでもそのブランド力とブランドへの信頼をベースに蓄積してきた顧客ネットワークが最大の資産価値となっている。また、M&Aを通じて多様な人財を受け入れ、個々を活かす風土が醸成されている点も見えざる資産の1つだ。
2. 沿革
同社の歴史は、果敢なM&Aによる事業展開の連続である。ミネベア(株)(現 ミネベアミツミ<6479>)から訪問販売事業を担う子会社の「かねもり(株)」(旧 かねもり(株))を、1994年2月に買収したのが同社の実質的な発足だ。1997年11月には日本証券業協会に店頭登録し上場した。1998年7月にはセゾングループの(株)きもの京都より和装専門店チェーンの事業を譲り受け「きもの京都事業部」を新設するなど、M&Aによる事業領域拡大に乗り出した。
その後2000年3月に(株)丸正(和装・宝飾・アパレルの卸)を買収、2001年5月には同業の(株)錦を買収した。同年10月には、旧 かねもりを純粋持株会社化すると同時に、社名を(株)ヤマノホールディングコーポレーションに変更した。そして、事業部門は新設したかねもり(株)が継承した。その後も多数の企業を子会社化し、事業別に統合して事業領域を拡大していった。その間2004年12月には新たにジャスダック証券取引所に上場し、2006年8月には社名を現在のヤマノホールディングスに変更した。
~第2創業1st Stageに~
2010年3月期より第2創業と位置付け、事業の方向性・コンセプトの見直し、業務効率化、損益改善による財務の健全化、経営基盤の整備・強化を進めた。2009年10月には各事業別に統合・整理した8つのグループ会社((株)ヤマノリテーリングス、(株)きのはな、(株)ヤマノスポーツシステムズ、(株)スポーツマンクラブ、(株)ヤマノプラザ、(株)ヤマノ1909プラザ、(株)ヤマノクレジットサービス、ヤマノインベストメント(株))を同社が吸収合併し、持株会社体制から事業本部体制に移行したうえで、不採算事業の廃止、事業の効率化を進めた。2012年10月には(株)ヤマノジュエリーシステムズも吸収合併した。その結果、2014年3月期までに利益体質が改善し、5期連続で営業増益となり、7期ぶりに復配を実現した。そこで、2014年3月期をもって第2創業の1st Stageを完了し、本格的な事業再編にとりかかる2nd Stageに入った。
~第2創業2nd Stageに~
事業再編として、子会社だった堀田丸正(丸正と堀田産業が2007年4月に合併)のアパレル店舗小売部門を同社の和装関連部門に吸収したうえで、2017年5月に堀田丸正の株式を売却した。和装宝飾事業においては、2013年4月に新たに子会社化した(株)ら・たんす山野(和装専門店チェーン)を、同年10月に同社に吸収合併したほか、2015年11月には新たにすずのき(和装・毛皮品などの専門店、現子会社)を子会社化し、事業を強化した。また、スポーツ事業を2017年5月にRIZAP(株)に事業譲渡した。美容事業においては、2017年10月に(株)マイスタイルを同社に吸収合併した。事業再編に伴い卸売事業とスポーツ事業から撤退し売上規模は149億円と小さくなったが、財務体質は改善し経営基盤は強化された。そのため、2018年3月期で2nd Stageを完了し、既存事業のM&Aを継続するとともに、M&Aによる新しい事業領域の拡大を目指す3rd Stageに入った。
~第2創業3rd Stageに~
既存事業である美容事業においては、2018年7月に(有)みうら(ネイルサロン運営、買収後(株)みうらに社名変更)、2019年10月に(株)L.B.Gを子会社化した。その後2022年10月には、マイスタイルを吸収していた同社の美容事業及びみうらの営業部門をL.B.Gに事業譲渡し、美容事業の営業を集約した。これに伴い、L.B.Gの商号をヤマノプラスに変更した。和装宝飾事業においては、2019年11月に(株)かのこの事業の一部(和装事業)を譲受した。
新規事業としては、2020年3月にマンツーマンアカデミー(学習塾運営)を子会社化し教育業界に参入した。その後、2022年5月にマンツーマンアカデミーと同じ(株)やる気スイッチグループ「スクールIE」のFC加盟店事業である東京ガイダンス(学習塾運営)を、2023年12月には同じく「スクールIE」のFC加盟店事業の灯学舎(学習塾運営)を続けて子会社化した。そのほか、2022年6月にOLD FLIP(古着の買取・販売)を子会社化した。2022年4月にはJASDAQスタンダードから東京証券取引所スタンダード市場に移行した。3rd Stageに入って事業展開は順調に進むかに思われたが、コロナ禍もあり多店舗で営業展開する同社の事業は大きな影響を受けた。売上高は2021年3月期に12,701百万円まで落ち込んだが、2022年3月期より回復。親会社株主に帰属する当期純利益は、2021年3月期にコロナ禍の収束期が不透明であったため店舗営業資産の減損、子会社化したばかりのL.G.B、みうらののれんの減損で324百万円の損失となった。そのため2期連続で無配としたが、2022年3月期、2023年3月期は業績が回復したため復配した。2024年3月期はコロナ禍明けの消費者マインドの変化、賃料の上昇などによるOLD FLIPの業績悪化から特別損失が膨らみ、再び親会社株主に帰属する当期純損失を計上し無配となった。しかし、2025年3月期からスタートした中期経営計画の重点取り組みとして「既存事業の収益安定化」を掲げ、収益構造改革と徹底したコスト最適化により全セグメントでの収益性改善により復配を実現している。2025年4月にYS(フォトスタジオ)、同年6月にNYJ(リユース事業)を買収し、新規事業を開拓しながら2026年3月期より新たな成長モードに入っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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1. 会社概要
ヤマノホールディングス<7571>は、ヤマノグループの創始者山野愛子氏が提唱した美道五原則「髪・顔・装い・精神美・健康美」を企業理念として掲げ、美容事業、和装宝飾事業、DSM事業、教育事業、リユース事業、フォト事業などを展開する。
同社は、M&Aで事業領域を拡大する戦略を取りながら現在の事業基盤を構築してきた。美容事業は(株)ヤマノプラスが美容室及びネイルサロンを運営する(2025年10月にヤマノプラスは同社に吸収合併する予定)。売上高の約7割を占める和装宝飾事業においては、同社の和装関連部門及び(株)すずのきが呉服和装品専門店を全国に展開し、和装品など(振袖、留袖、訪問着、七五三祝着、和装小物など)の販売を行っている。また、同社宝飾関連部門が関東を中心に宝飾品専門店チェーンを展開し、ジュエリーなど(ダイヤモンドリング、ファッションリング、ネックレス、時計など)の販売を行っている。ライフプラス事業(旧 DSM事業)においては、同社の訪問販売・催事販売関連部門が各種家電、洋装品、宝飾品、健康関連商品などの販売を行っている。教育事業においては、(株)マンツーマンアカデミー、東京ガイダンス(株)並びに灯学舎が学習塾の経営を行っている。リユース事業においては、OLD FLIPと2025年6月に買収したNYJが古着の買取及び販売を行っている。フォト事業は、2025年4月に買収したYSが写真スタジオを展開する。そのほか、(株)ヤマノセイビングが前払式特定取引業を行っており、また、(一社)日本技術技能教育協会が着物の着付に関する普及、検定などを行っている。多くのM&Aを通じて成長を遂げた企業とはいえ、その根幹には、日本の美容の歴史に多大な貢献をした先駆者“山野愛子”という人物の精神があり、事業を推進するうえでもそのブランド力とブランドへの信頼をベースに蓄積してきた顧客ネットワークが最大の資産価値となっている。また、M&Aを通じて多様な人財を受け入れ、個々を活かす風土が醸成されている点も見えざる資産の1つだ。
2. 沿革
同社の歴史は、果敢なM&Aによる事業展開の連続である。ミネベア(株)(現 ミネベアミツミ<6479>)から訪問販売事業を担う子会社の「かねもり(株)」(旧 かねもり(株))を、1994年2月に買収したのが同社の実質的な発足だ。1997年11月には日本証券業協会に店頭登録し上場した。1998年7月にはセゾングループの(株)きもの京都より和装専門店チェーンの事業を譲り受け「きもの京都事業部」を新設するなど、M&Aによる事業領域拡大に乗り出した。
その後2000年3月に(株)丸正(和装・宝飾・アパレルの卸)を買収、2001年5月には同業の(株)錦を買収した。同年10月には、旧 かねもりを純粋持株会社化すると同時に、社名を(株)ヤマノホールディングコーポレーションに変更した。そして、事業部門は新設したかねもり(株)が継承した。その後も多数の企業を子会社化し、事業別に統合して事業領域を拡大していった。その間2004年12月には新たにジャスダック証券取引所に上場し、2006年8月には社名を現在のヤマノホールディングスに変更した。
~第2創業1st Stageに~
2010年3月期より第2創業と位置付け、事業の方向性・コンセプトの見直し、業務効率化、損益改善による財務の健全化、経営基盤の整備・強化を進めた。2009年10月には各事業別に統合・整理した8つのグループ会社((株)ヤマノリテーリングス、(株)きのはな、(株)ヤマノスポーツシステムズ、(株)スポーツマンクラブ、(株)ヤマノプラザ、(株)ヤマノ1909プラザ、(株)ヤマノクレジットサービス、ヤマノインベストメント(株))を同社が吸収合併し、持株会社体制から事業本部体制に移行したうえで、不採算事業の廃止、事業の効率化を進めた。2012年10月には(株)ヤマノジュエリーシステムズも吸収合併した。その結果、2014年3月期までに利益体質が改善し、5期連続で営業増益となり、7期ぶりに復配を実現した。そこで、2014年3月期をもって第2創業の1st Stageを完了し、本格的な事業再編にとりかかる2nd Stageに入った。
~第2創業2nd Stageに~
事業再編として、子会社だった堀田丸正(丸正と堀田産業が2007年4月に合併)のアパレル店舗小売部門を同社の和装関連部門に吸収したうえで、2017年5月に堀田丸正の株式を売却した。和装宝飾事業においては、2013年4月に新たに子会社化した(株)ら・たんす山野(和装専門店チェーン)を、同年10月に同社に吸収合併したほか、2015年11月には新たにすずのき(和装・毛皮品などの専門店、現子会社)を子会社化し、事業を強化した。また、スポーツ事業を2017年5月にRIZAP(株)に事業譲渡した。美容事業においては、2017年10月に(株)マイスタイルを同社に吸収合併した。事業再編に伴い卸売事業とスポーツ事業から撤退し売上規模は149億円と小さくなったが、財務体質は改善し経営基盤は強化された。そのため、2018年3月期で2nd Stageを完了し、既存事業のM&Aを継続するとともに、M&Aによる新しい事業領域の拡大を目指す3rd Stageに入った。
~第2創業3rd Stageに~
既存事業である美容事業においては、2018年7月に(有)みうら(ネイルサロン運営、買収後(株)みうらに社名変更)、2019年10月に(株)L.B.Gを子会社化した。その後2022年10月には、マイスタイルを吸収していた同社の美容事業及びみうらの営業部門をL.B.Gに事業譲渡し、美容事業の営業を集約した。これに伴い、L.B.Gの商号をヤマノプラスに変更した。和装宝飾事業においては、2019年11月に(株)かのこの事業の一部(和装事業)を譲受した。
新規事業としては、2020年3月にマンツーマンアカデミー(学習塾運営)を子会社化し教育業界に参入した。その後、2022年5月にマンツーマンアカデミーと同じ(株)やる気スイッチグループ「スクールIE」のFC加盟店事業である東京ガイダンス(学習塾運営)を、2023年12月には同じく「スクールIE」のFC加盟店事業の灯学舎(学習塾運営)を続けて子会社化した。そのほか、2022年6月にOLD FLIP(古着の買取・販売)を子会社化した。2022年4月にはJASDAQスタンダードから東京証券取引所スタンダード市場に移行した。3rd Stageに入って事業展開は順調に進むかに思われたが、コロナ禍もあり多店舗で営業展開する同社の事業は大きな影響を受けた。売上高は2021年3月期に12,701百万円まで落ち込んだが、2022年3月期より回復。親会社株主に帰属する当期純利益は、2021年3月期にコロナ禍の収束期が不透明であったため店舗営業資産の減損、子会社化したばかりのL.G.B、みうらののれんの減損で324百万円の損失となった。そのため2期連続で無配としたが、2022年3月期、2023年3月期は業績が回復したため復配した。2024年3月期はコロナ禍明けの消費者マインドの変化、賃料の上昇などによるOLD FLIPの業績悪化から特別損失が膨らみ、再び親会社株主に帰属する当期純損失を計上し無配となった。しかし、2025年3月期からスタートした中期経営計画の重点取り組みとして「既存事業の収益安定化」を掲げ、収益構造改革と徹底したコスト最適化により全セグメントでの収益性改善により復配を実現している。2025年4月にYS(フォトスタジオ)、同年6月にNYJ(リユース事業)を買収し、新規事業を開拓しながら2026年3月期より新たな成長モードに入っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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