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フィード・ワン Research Memo(6):2025年3月期は経常減益も、税負担減少により最終利益は最高益更新

配信日時:2025/07/31 11:06 配信元:FISCO
*11:06JST フィード・ワン Research Memo(6):2025年3月期は経常減益も、税負担減少により最終利益は最高益更新 ■フィード・ワン<2060>の業績動向

1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.7%減の296,045百万円、営業利益が同18.1%減の6,343百万円、経常利益が同12.3%減の6,789百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.0%増の5,387百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高益を記録した。

主力の畜産飼料事業においては、畜産飼料の平均販売価格が前期を下回ったことで減収となった。売上高は四半期ごとの価格改定の影響を大きく受けるため業績の指標にならない。一方で、販売数量は同0.2%増加とわずかながら前期を上回っており、事業が堅調であることがわかる。畜産飼料事業の売上原価は、配合飼料の原料となるとうもろこし等の相場が軟調に推移したことを主因に低下し、粗利が増加した。販管費に関しては、配合飼料価格安定制度の積立金の負担増(同1,528百万円増)などにより増加したため、畜産飼料事業のセグメント利益は6.3%減の8,533百万円となった。水産飼料事業は、海水温の上昇による養殖魚の生産性低下等による販売数量の減少により売上高で同4.3%減の25,640百万円となったものの、平均販売価格が前期を上回ったことなどで収益環境の改善が進みセグメント利益は同34.8%%増の1,164百万円となった。食品事業は、売上高で同4.7%減の38,131百万円、利益は豚枝肉相場の高騰などにより、同58.1%減の284百万円となった。

全社の業績には、主力の畜産飼料事業の業績が色濃く反映するため、減収及び営業・経常減益となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が増加した要因は、関係会社清算による貸倒損失や賃上税制等による法人税の特別控除等からによる税負担がの減少したためである。


将来的に6年間で約600億円の設備投資を可能とする健全な財務基盤を堅持

2. 財務状況と経営指標
2025年3月期末の総資産は前期末比6,866百万円減の124,172百万円となった。そのうち流動資産は8,119百万円減であり、受取手形及び売掛金の8,617百万円減少が主な要因である。固定資産は子会社であるマジックパール(株)の新工場建設等により1,252百万円増となった。

負債合計は前期末比11,356百万円減の68,825百万円となった。そのうち流動負債は4,953百万円減であり、短期借入金が2,298百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が5,253百万円減少したことが主な要因である。固定負債は6,404百万円減であり、長期借入金の6,777百万円減少が主な要因である。有利子負債(短期借入金、長期借入金の合計)の残高は4,479百万円減少して27,278百万円となった。純資産合計は4,490百万円増の55,347百万円であり、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が増加したことが要因である。

2025年3月期の経営指標では、流動比率が159.6%(前期末は160.0%)、自己資本比率が44.0%(同38.4%)となっており、かつコミットメントラインも締結しているため、財務基盤は健全かつ安定している。中期経営計画の投資(6年間で約600億円)を行うための強固な財務基盤を堅持する、業界でも稀有な企業と言えるだろう。また、ROE(自己資本当期純利益率)は10.3%と中期経営計画の目標値である8%以上(株主資本コスト8%)を上回っており、経営効率が良好であることがわかる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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