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フィード・ワン Research Memo(1):飼料業界のリーディングカンパニー。投資額約130億円の新工場建設に着手
配信日時:2025/07/31 11:01
配信元:FISCO
*11:01JST フィード・ワン Research Memo(1):飼料業界のリーディングカンパニー。投資額約130億円の新工場建設に着手
■要約
フィード・ワン<2060>は、肉や魚、卵、牛乳といった畜水産物の生産において欠かせない配合飼料の製造・販売を行う企業であり、畜産飼料の販売数量では全国農業協同組合連合会(以下、JA全農)に次ぐシェア15%、民間では業界No.1の規模である。2015年に、当時、民間で業界4位と5位であった協同飼料(株)と日本配合飼料(株)及び2014年に両社により設立したフィード・ワンホールディングス(株)が統合して生まれた会社である。協同飼料は養豚用飼料と養牛用飼料、日本配合飼料は養鶏用飼料と水産飼料にそれぞれ強みがあったため、統合によって配合飼料の販売構成に偏りがなくなり、バランスの良い事業ポートフォリオとなっていることが特長である。事業セグメントは、畜産飼料事業、水産飼料事業、食品事業の3つである。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.7%減の296,045百万円、営業利益が同18.1%減の6,343百万円、経常利益が同12.3%減の6,789百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.0%増の5,387百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高益を記録した。主力の畜産飼料事業は、畜産飼料の平均販売価格が前期を下回ったことで減収となった。畜産飼料は四半期ごとに原料価格の変動に応じた販売価格の改定があるため、売上高は業績の指標にならない(詳細後述)。一方で、畜産飼料の販売数量は同0.2%増加とわずかながら前期を上回っており、事業が堅調であることがわかる。畜産飼料事業の売上原価は、配合飼料の原料となるとうもろこし等の相場が軟調に推移したことを主因に低下し、粗利が増加した。販管費は、配合飼料価格安定制度の積立金の負担増(同1,528百万円増)などにより増加したため、畜産飼料事業のセグメント利益は6.3%減の8,533百万円となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が増加した要因は、関係会社清算による貸倒損失や、賃上税制等による法人税の特別控除から税負担が減少したためである。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.1%増の311,000百万円、営業利益が同7.2%増の6,800百万円、経常利益が同3.1%増の7,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.5%減の5,200百万円と、増収・経常増益を見込んでいる。主力の畜産飼料事業は売差増や販売数量増により増収増益、水産飼料事業は販売数量増により増収増益、食品事業は鳥インフルエンザの影響による鶏卵相場の高値推移を見込み、増収減益を予想している。
3. トピック
世界の漁業生産量は伸び続けており、その50%以上を養殖業による生産が占めている。一方で国内の漁業生産量は頭打ちになっており、養殖業の生産量は比率を伸ばしているものの、世界と比較すると低位にある。将来的には、天然資源の枯渇、気候変動による漁場の変化、生物多様性問題など様々な課題がある中で、国内においても安定的に生産できる養殖業への注目度が高まると想定される。同社は2025年5月に、愛知県での水産新工場建設に向けた計画を発表し、土地の取得を行った。この投資は、中期経営計画(10年間で約800億円、最初の6年間で約600億円)の一環として行われる。新工場建設により競争力の強化を図るとともに、先進的技術の研究開発を進める。新設する豊川工場(仮称)は、敷地面積約27千m2、製造能力は知多工場(水産飼料)の2倍、燃料費率15%削減、労務費率50%削減を見込む(知多工場対比)。また、最新製造設備により多様化するニーズに応えた製品の製造が実現できる研究開発型工場となる。立地は養殖適地の変化(海水温の上昇に伴う四国・九州エリアからの北上)にも対応した、全国の養殖地をカバーしやすい立地でもある。竣工は2028年4月を予定しており、竣工から10年後には市場シェア5ポイント向上、EBITDAで2倍を見込んでいる。なお、新工場竣工後、水産飼料の製造を知多工場より順次移管するが、知多工場における畜産飼料の製造は継続する。
4. 株主還元策
2026年3月期より配当方針を変更し、長期的発展の礎となる財務体質強化のための内部留保の充実と累進配当を基本として、連結株主資本配当率(DOE)3%を目標とする。これまでも実質的な累進配当を行ってきたが、配当方針に明記することで、今後の累進配当の継続を明確化した。また、一時的な業績変動の影響を受けやすい連結配当性向(25%以上を目標)に代えて連結株主資本配当率(DOE)を採用することで、安定的な株主還元を図りつつ、中長期的な充実化に努める。2025年3月期は1株当たり年間配当35.5円(中間14.5円、期末21.0円、連結配当性向25.2%)を実施した。2026年3月期は前期比6.5円増の1株当たり年間配当42.0円(中間普通16.0円、中間記念:5.0円、期末21.0円、DOE2.9%)を予定している。完全統合10周年を迎えるため、記念配当5.0円を中間期に実施する。今後は安定配当とともに配当水準の向上が期待できる。
■Key Points
・主力の畜産飼料事業では、原料調達・製造・開発・営業の各機能を強化。市場シェア15%を獲得
・2025年3月期は畜産飼料の売上総利益は増加するも積立金の負担増などにより経常減益。税負担減少により最終利益は最高益更新
・2026年3月期は経常利益7,000百万円(前期比3.1%増)を見込む
・中期経営計画の生産体制の刷新・増強計画の一環として、水産新工場計画(総投資額約130億円)に着手
・新配当方針は累進配当とDOE3%目標。2026年3月期は記念配当を含めて前期比6.5円増の42.0円配当を予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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フィード・ワン<2060>は、肉や魚、卵、牛乳といった畜水産物の生産において欠かせない配合飼料の製造・販売を行う企業であり、畜産飼料の販売数量では全国農業協同組合連合会(以下、JA全農)に次ぐシェア15%、民間では業界No.1の規模である。2015年に、当時、民間で業界4位と5位であった協同飼料(株)と日本配合飼料(株)及び2014年に両社により設立したフィード・ワンホールディングス(株)が統合して生まれた会社である。協同飼料は養豚用飼料と養牛用飼料、日本配合飼料は養鶏用飼料と水産飼料にそれぞれ強みがあったため、統合によって配合飼料の販売構成に偏りがなくなり、バランスの良い事業ポートフォリオとなっていることが特長である。事業セグメントは、畜産飼料事業、水産飼料事業、食品事業の3つである。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.7%減の296,045百万円、営業利益が同18.1%減の6,343百万円、経常利益が同12.3%減の6,789百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.0%増の5,387百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高益を記録した。主力の畜産飼料事業は、畜産飼料の平均販売価格が前期を下回ったことで減収となった。畜産飼料は四半期ごとに原料価格の変動に応じた販売価格の改定があるため、売上高は業績の指標にならない(詳細後述)。一方で、畜産飼料の販売数量は同0.2%増加とわずかながら前期を上回っており、事業が堅調であることがわかる。畜産飼料事業の売上原価は、配合飼料の原料となるとうもろこし等の相場が軟調に推移したことを主因に低下し、粗利が増加した。販管費は、配合飼料価格安定制度の積立金の負担増(同1,528百万円増)などにより増加したため、畜産飼料事業のセグメント利益は6.3%減の8,533百万円となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が増加した要因は、関係会社清算による貸倒損失や、賃上税制等による法人税の特別控除から税負担が減少したためである。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.1%増の311,000百万円、営業利益が同7.2%増の6,800百万円、経常利益が同3.1%増の7,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.5%減の5,200百万円と、増収・経常増益を見込んでいる。主力の畜産飼料事業は売差増や販売数量増により増収増益、水産飼料事業は販売数量増により増収増益、食品事業は鳥インフルエンザの影響による鶏卵相場の高値推移を見込み、増収減益を予想している。
3. トピック
世界の漁業生産量は伸び続けており、その50%以上を養殖業による生産が占めている。一方で国内の漁業生産量は頭打ちになっており、養殖業の生産量は比率を伸ばしているものの、世界と比較すると低位にある。将来的には、天然資源の枯渇、気候変動による漁場の変化、生物多様性問題など様々な課題がある中で、国内においても安定的に生産できる養殖業への注目度が高まると想定される。同社は2025年5月に、愛知県での水産新工場建設に向けた計画を発表し、土地の取得を行った。この投資は、中期経営計画(10年間で約800億円、最初の6年間で約600億円)の一環として行われる。新工場建設により競争力の強化を図るとともに、先進的技術の研究開発を進める。新設する豊川工場(仮称)は、敷地面積約27千m2、製造能力は知多工場(水産飼料)の2倍、燃料費率15%削減、労務費率50%削減を見込む(知多工場対比)。また、最新製造設備により多様化するニーズに応えた製品の製造が実現できる研究開発型工場となる。立地は養殖適地の変化(海水温の上昇に伴う四国・九州エリアからの北上)にも対応した、全国の養殖地をカバーしやすい立地でもある。竣工は2028年4月を予定しており、竣工から10年後には市場シェア5ポイント向上、EBITDAで2倍を見込んでいる。なお、新工場竣工後、水産飼料の製造を知多工場より順次移管するが、知多工場における畜産飼料の製造は継続する。
4. 株主還元策
2026年3月期より配当方針を変更し、長期的発展の礎となる財務体質強化のための内部留保の充実と累進配当を基本として、連結株主資本配当率(DOE)3%を目標とする。これまでも実質的な累進配当を行ってきたが、配当方針に明記することで、今後の累進配当の継続を明確化した。また、一時的な業績変動の影響を受けやすい連結配当性向(25%以上を目標)に代えて連結株主資本配当率(DOE)を採用することで、安定的な株主還元を図りつつ、中長期的な充実化に努める。2025年3月期は1株当たり年間配当35.5円(中間14.5円、期末21.0円、連結配当性向25.2%)を実施した。2026年3月期は前期比6.5円増の1株当たり年間配当42.0円(中間普通16.0円、中間記念:5.0円、期末21.0円、DOE2.9%)を予定している。完全統合10周年を迎えるため、記念配当5.0円を中間期に実施する。今後は安定配当とともに配当水準の向上が期待できる。
■Key Points
・主力の畜産飼料事業では、原料調達・製造・開発・営業の各機能を強化。市場シェア15%を獲得
・2025年3月期は畜産飼料の売上総利益は増加するも積立金の負担増などにより経常減益。税負担減少により最終利益は最高益更新
・2026年3月期は経常利益7,000百万円(前期比3.1%増)を見込む
・中期経営計画の生産体制の刷新・増強計画の一環として、水産新工場計画(総投資額約130億円)に着手
・新配当方針は累進配当とDOE3%目標。2026年3月期は記念配当を含めて前期比6.5円増の42.0円配当を予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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