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三和HD Research Memo(9):「三和グローバルビジョン2030」「中期経営計画2027」を推進(2)
配信日時:2025/07/30 11:09
配信元:FISCO
*11:09JST 三和HD Research Memo(9):「三和グローバルビジョン2030」「中期経営計画2027」を推進(2)
■三和ホールディングス<5929>の中長期の成長戦略
2. 成長戦略
(1) 日本・米州・欧州のコア事業の基本戦略
顧客ニーズに的確・迅速に対応し、シャッター事業・ドア事業及びサービス事業を含めたコア事業の強化・拡大を図る。第1に、基幹商品・戦略商品の強化を目指す。日本では基幹商品は大きく伸びていないが、三和シヤッターが2024年3月より発売したガラスパーティション「デュオグラス」は、オフィスで明るく開放的な空間を演出し、高い遮音性も確保できる有望な商品だ。
第2に、サービス事業の拡大を図る。サービス事業(修理、メンテ、保守点検など)は、同社のビジネスにとっては非常に重要な部分であり、日本の利益率が高い理由でもある。これを重点的に伸ばすことで、売上高を2025年3月期の882億円から2028年3月期には1,020億円にまで拡大する。サービスは市場が大きく、市況に影響されずに安定的に伸びるため、人員を増強し、体制を強化する計画だ。また、欧州でもサービス事業が伸びており、フランスやドイツでも強化している。
第3に、M&Aを活用した事業強化と領域拡大を目指す。シャッター、ドア事業、サービス事業などコア事業の強化、建具から周辺事業への展開による新しい領域の拡大を目指し、3年間で約500億円をM&Aに投じる計画だ。欧州でのサービス事業拡大を目的に、2021年11月にはフランスの産業用製品ディーラー、マニュレジオン社の持株会社であるManugestion S.A.S.の全株式を取得した。この戦略的なM&Aは、同社グループが欧州市場でのプレゼンスを強化し、特にフランス市場での事業拡大を目指す一環である。欧州の産業用製品市場では、高品質な製品と迅速なサービスを求める顧客のニーズが高まっており、この流れに乗って市場シェアの拡大を図る。
地域別に見ると、日本では売価転嫁やサービス強化により、営業利益率は2025年3月期には12.3%に改善しているが、顧客戦略の強化、供給体制の強化、間仕切商品の基幹事業化などにより、2028年3月期は12.4%を維持する。米州の営業利益率も、2025年3月期には16.9%に改善しているが、チャネル強化や需要創出施策による拡販、製造改革による収益性向上、ビジネス領域の拡大、ERP導入の完遂などにより、2028年3月期には20.2%を目指す。米州では、売価転嫁や生産性向上の効果が大きい。欧州の営業利益率は、2025年3月期には3.0%に低下したが、市場カバレッジ強化による産業用ドア拡販、サービス事業の強化、デジタル化による製造・業務改革の推進などによって、2028年3月期には5.8%への上昇を計画し、コロナ禍前の水準回復を目指す。欧州では、景気回復に伴いサービス事業、住宅向け、非住宅向けを伸ばす計画だ。
(2) アジア事業の基本戦略
アジア事業では、日米欧に次ぐ第4の柱として、利益を伴う成長を目指す。特に華東(中国の上海を中心に、江蘇省、浙江省地帯を総称した長江デルタ地帯を指す)事業の経営を軌道に乗せ、ベトナム事業の経営改善と既存事業のさらなる成長を図る。そして、市場拡大とアジア各社のシナジー追求により、安定的な黒字化と収益拡大を目指す。2028年3月期には売上高196億円(年平均成長率8.4%)、営業利益12.5億円(同49.6%)を計画する。現状、中国の華東では多くのコストがかかっており、早期に軌道に乗せる必要がある。一方、ベトナムでは、2025年3月期後半から生産性は改善傾向にある。
(3) 防災・環境対応製品とスマート化製品・サービスの基本戦略
気候変動やデジタル化などで変化する社会のニーズに応える防災・環境対応製品の拡充と、製品・サービスのスマート化を推進する。防災・環境対応製品の拡充については、同社が取り扱う製品はもともと防災・環境対応に密接に関連しているが、近年は気候変動がクローズアップされ、災害が頻繁に起きて激甚化していることから、より深く取り組む。防災商品、気候変動適応商品、気候変動緩和商品の売上高を2025年3月期実績2,133億円から2028年3月期目標2,300億円への増加を目指す。また、製品・サービスのスマート化では、IoT・電動化対応製品の拡充、IoTを活用したサービス事業の拡大は、米州と欧州では進んでいるのに対し、国内での実績は十分とは言えないため、グループ全体として取り組むべく様々なラインナップを準備している。防災・環境対応や、スマート化は社会のニーズが大きい分野であり、本業によって社会的課題の解決に取り組む。
(4) デジタル化とものづくり革新の基本戦略
業務プロセスのデジタル化や、生産能力拡大と省力化投資を推進する。デジタル化は待ったなしの課題であり、グローバルに取り組んでいる。生産能力増強と製造ネットワーク最適化による生産性向上や、業務プロセスやERP導入によるデジタル化を推進する。計画期間中に設備投資に400億円、IT/デジタル投資に100億円、合計で500億円と、前中期経営計画から109億円増額する計画だ。
(5) サステナビリティ経営と人的資本経営の基本戦略
サステナビリティとは、世界を持続的な状態にするために、経済活動と環境や社会を保護・保全する活動を両立させながら事業などを行うことである。同社グループでは、「ものづくり」「環境」「人」「グループの経営基盤」をテーマとして、特に「人」への取り組み、すなわち「人的資本経営の推進」に重点を置いている。人材育成、ダイバーシティの推進、安全と健康への取り組みにより、働きやすさとやりがいを追求するほか、「個」の成長と「組織」の成長の循環によって、エンゲージメント(帰属意識)を向上させることで、人的資本の最大化を目指す。現状は人手不足であり、成長のためには人材確保と育成強化が極めて重要である。
また、同社グループは社会から信頼される企業を目指し、従来からESGを推進しているが、近年では年金基金など主要投資家の間でもESGに対する企業の取り組みを重視して銘柄を選別する「ESG投資」が拡大傾向にある。同社グループでは、サステナビリティへのこれまでの取り組みや情報開示の姿勢が評価され、「MSCI日本株 ESGセレクト・リーダーズ指数」「FTSE4Good Index Series」「SOMPOサステナビリティ・インデックス」など、国内外のESGインデックスに組み入れられている。また、「2024年度日経SDGs経営調査★3.5」など、数々の賞も受けている。さらに、2024年11月には、(株)日本格付研究所(JCR)による長期発行体格付が、従来のA+(ポジティブ)からAA-(安定的)に格上げされた。
このように、新たな中期経営計画は多岐にわたり意欲的な計画である。弊社では、今後の進捗に期待し、達成状況を注視したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<HN>
2. 成長戦略
(1) 日本・米州・欧州のコア事業の基本戦略
顧客ニーズに的確・迅速に対応し、シャッター事業・ドア事業及びサービス事業を含めたコア事業の強化・拡大を図る。第1に、基幹商品・戦略商品の強化を目指す。日本では基幹商品は大きく伸びていないが、三和シヤッターが2024年3月より発売したガラスパーティション「デュオグラス」は、オフィスで明るく開放的な空間を演出し、高い遮音性も確保できる有望な商品だ。
第2に、サービス事業の拡大を図る。サービス事業(修理、メンテ、保守点検など)は、同社のビジネスにとっては非常に重要な部分であり、日本の利益率が高い理由でもある。これを重点的に伸ばすことで、売上高を2025年3月期の882億円から2028年3月期には1,020億円にまで拡大する。サービスは市場が大きく、市況に影響されずに安定的に伸びるため、人員を増強し、体制を強化する計画だ。また、欧州でもサービス事業が伸びており、フランスやドイツでも強化している。
第3に、M&Aを活用した事業強化と領域拡大を目指す。シャッター、ドア事業、サービス事業などコア事業の強化、建具から周辺事業への展開による新しい領域の拡大を目指し、3年間で約500億円をM&Aに投じる計画だ。欧州でのサービス事業拡大を目的に、2021年11月にはフランスの産業用製品ディーラー、マニュレジオン社の持株会社であるManugestion S.A.S.の全株式を取得した。この戦略的なM&Aは、同社グループが欧州市場でのプレゼンスを強化し、特にフランス市場での事業拡大を目指す一環である。欧州の産業用製品市場では、高品質な製品と迅速なサービスを求める顧客のニーズが高まっており、この流れに乗って市場シェアの拡大を図る。
地域別に見ると、日本では売価転嫁やサービス強化により、営業利益率は2025年3月期には12.3%に改善しているが、顧客戦略の強化、供給体制の強化、間仕切商品の基幹事業化などにより、2028年3月期は12.4%を維持する。米州の営業利益率も、2025年3月期には16.9%に改善しているが、チャネル強化や需要創出施策による拡販、製造改革による収益性向上、ビジネス領域の拡大、ERP導入の完遂などにより、2028年3月期には20.2%を目指す。米州では、売価転嫁や生産性向上の効果が大きい。欧州の営業利益率は、2025年3月期には3.0%に低下したが、市場カバレッジ強化による産業用ドア拡販、サービス事業の強化、デジタル化による製造・業務改革の推進などによって、2028年3月期には5.8%への上昇を計画し、コロナ禍前の水準回復を目指す。欧州では、景気回復に伴いサービス事業、住宅向け、非住宅向けを伸ばす計画だ。
(2) アジア事業の基本戦略
アジア事業では、日米欧に次ぐ第4の柱として、利益を伴う成長を目指す。特に華東(中国の上海を中心に、江蘇省、浙江省地帯を総称した長江デルタ地帯を指す)事業の経営を軌道に乗せ、ベトナム事業の経営改善と既存事業のさらなる成長を図る。そして、市場拡大とアジア各社のシナジー追求により、安定的な黒字化と収益拡大を目指す。2028年3月期には売上高196億円(年平均成長率8.4%)、営業利益12.5億円(同49.6%)を計画する。現状、中国の華東では多くのコストがかかっており、早期に軌道に乗せる必要がある。一方、ベトナムでは、2025年3月期後半から生産性は改善傾向にある。
(3) 防災・環境対応製品とスマート化製品・サービスの基本戦略
気候変動やデジタル化などで変化する社会のニーズに応える防災・環境対応製品の拡充と、製品・サービスのスマート化を推進する。防災・環境対応製品の拡充については、同社が取り扱う製品はもともと防災・環境対応に密接に関連しているが、近年は気候変動がクローズアップされ、災害が頻繁に起きて激甚化していることから、より深く取り組む。防災商品、気候変動適応商品、気候変動緩和商品の売上高を2025年3月期実績2,133億円から2028年3月期目標2,300億円への増加を目指す。また、製品・サービスのスマート化では、IoT・電動化対応製品の拡充、IoTを活用したサービス事業の拡大は、米州と欧州では進んでいるのに対し、国内での実績は十分とは言えないため、グループ全体として取り組むべく様々なラインナップを準備している。防災・環境対応や、スマート化は社会のニーズが大きい分野であり、本業によって社会的課題の解決に取り組む。
(4) デジタル化とものづくり革新の基本戦略
業務プロセスのデジタル化や、生産能力拡大と省力化投資を推進する。デジタル化は待ったなしの課題であり、グローバルに取り組んでいる。生産能力増強と製造ネットワーク最適化による生産性向上や、業務プロセスやERP導入によるデジタル化を推進する。計画期間中に設備投資に400億円、IT/デジタル投資に100億円、合計で500億円と、前中期経営計画から109億円増額する計画だ。
(5) サステナビリティ経営と人的資本経営の基本戦略
サステナビリティとは、世界を持続的な状態にするために、経済活動と環境や社会を保護・保全する活動を両立させながら事業などを行うことである。同社グループでは、「ものづくり」「環境」「人」「グループの経営基盤」をテーマとして、特に「人」への取り組み、すなわち「人的資本経営の推進」に重点を置いている。人材育成、ダイバーシティの推進、安全と健康への取り組みにより、働きやすさとやりがいを追求するほか、「個」の成長と「組織」の成長の循環によって、エンゲージメント(帰属意識)を向上させることで、人的資本の最大化を目指す。現状は人手不足であり、成長のためには人材確保と育成強化が極めて重要である。
また、同社グループは社会から信頼される企業を目指し、従来からESGを推進しているが、近年では年金基金など主要投資家の間でもESGに対する企業の取り組みを重視して銘柄を選別する「ESG投資」が拡大傾向にある。同社グループでは、サステナビリティへのこれまでの取り組みや情報開示の姿勢が評価され、「MSCI日本株 ESGセレクト・リーダーズ指数」「FTSE4Good Index Series」「SOMPOサステナビリティ・インデックス」など、国内外のESGインデックスに組み入れられている。また、「2024年度日経SDGs経営調査★3.5」など、数々の賞も受けている。さらに、2024年11月には、(株)日本格付研究所(JCR)による長期発行体格付が、従来のA+(ポジティブ)からAA-(安定的)に格上げされた。
このように、新たな中期経営計画は多岐にわたり意欲的な計画である。弊社では、今後の進捗に期待し、達成状況を注視したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<HN>
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