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三和HD Research Memo(7):2026年3月期の業績予想は横ばいながら、上回る可能性が高い

配信日時:2025/07/30 11:07 配信元:FISCO
*11:07JST 三和HD Research Memo(7):2026年3月期の業績予想は横ばいながら、上回る可能性が高い ■三和ホールディングス<5929>の今後の見通し

● 2026年3月期の業績見通し
今後の世界経済は、米国の関税政策による貿易摩擦の激化や政治・経済状況の不確実性が増し、先行き更に不透明な状況が続くものと想定される。こうした環境下において、同社グループは、2026年3月期より「三和グローバルビジョン2030 中期経営計画2027」をスタートした。後述する基本戦略の実行により、気候変動やデジタル化で変化する社会のニーズに応える高機能開口部ソリューションのグローバルリーダーへ向けた基盤を強化・拡充する。

2026年3月期の業績は、売上高654,000百万円(前期比1.3%減)、営業利益81,000百万円(同0.6%増)、経常利益82,700百万円(同1.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益58,000百万円(同0.8%増)と、おおむね横ばいの業績を予想する。売上高では、各地域とも数量増、売価転嫁を見込むが、円高の影響により円ベースで減収を予想する。また、営業利益では、各地域での売価転嫁、米州ではコスト削減を推進し、円高予想においても小幅な増益を見込んでいる。この結果、営業利益率は12.4%(同0.2ポイント上昇)の見込みである。ただ、同社グループによる期初の業績予想は保守的な傾向にあることから、最終的には予想を上回る可能性が高いと弊社では見ている。

セグメント別の業績予想は以下のとおりである。

(1) 日本
グループの中心である三和シヤッター工業と国内子会社の業績は、売上高2,891億円(前期比0.5%増)、営業利益359.4億円(同1.4%増)を予想している。売上高は、数量増及び売価転嫁で増収を見込む。営業利益では、コストアップを見込むが、数量増と売価転嫁浸透により増益を予想している。インフレによる外注費、搬入費、人件費などのコスト上昇を織り込むが、納期対応等の供給力が取引先に評価されており、売価への転嫁は順調に進んでいる。営業利益率は12.4%(同0.1ポイント上昇)と、おおむね前期並みの水準を維持する見通しだ。

(2) 米州(ODC)
米州のODCの業績は、売上高2,335億円(前期比4.9%減)、営業利益403.9億円(同2.7%減)と、減収減益を見込んでいる。ただ、売上高は、数量増とコスト増分の売価転嫁により、現地通貨ベースでは増収を見込む。営業利益も、コスト増を補う売価転嫁と生産性の改善により、現地通貨ベースでは増益の予想だ。生産性の改善は、工場の統廃合等によるものである。営業利益率は17.3%(同0.4ポイント上昇)になる予想だ。米国の関税の影響については、中国から輸入のプレス部品などが関税対象となるが、メキシコで生産している開閉機と自動ドアは関税対象外であり、鋼材は米国調達であり関税影響は受けないものの価格上昇が見込まれる。ODCでは、5%程度の売価転嫁及び調達先の変更等を実施しており、コスト上昇を吸収する計画である。

(3) 欧州(NF)
欧州のNFの業績は、売上高1,170億円(前期比2.3%増)、営業利益41.0億円(同20.5%増)を見込んでいる。数量増と売価転嫁により増収増益を予想する。市況回復に伴い2025年後半から数量増を見込んでおり、インフレに伴うコスト増を売価に転嫁する計画だ。営業利益率は3.5%(同0.5ポイント上昇)になる予想である。

(4) アジア
アジア事業の業績は、売上高156億円(前期比1.9%増)、営業利益5.1億円(同35.2%増)を見込んでいる。売上高は、経営改善の効果もあり増収を予想する。また、営業利益は、香港の好調維持と経営改善効果により増益を予想する。香港3社の製造や管理を1社に統一することで、生産性の改善を見込む。営業利益率は3.2%(同0.8ポイント上昇)になる見通しだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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