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昭栄薬品 Research Memo(2):植物由来のオレオケミカルに特化した化学品商社。情報力が最大の強み
配信日時:2025/07/18 11:02
配信元:FISCO
*11:02JST 昭栄薬品 Research Memo(2):植物由来のオレオケミカルに特化した化学品商社。情報力が最大の強み
■会社概要
1. 沿革
昭栄薬品<3537>は、1937年に化学品卸売業を目的に「鐵野商店」として創業した。当初は無機化学薬品などの取り扱いからスタートし、1951年4月に花王石鹸(株)(現 花王<4452>)の脂肪酸及び脂肪酸誘導体の販売を開始して、オレオケミカルの専門商社としての第1歩を踏み出した。1960年3月に組織を株式会社へ改組し、商号も現社名へと変更した。同6月には子会社化した新日本油化(株)を鐵野油化(株)へと改称し、脂肪酸・脂肪酸エステル、界面活性剤等の化学品の生産を開始した。
生産を担っていた大阪工場(鐵野油化が経営合理化の一環で2008年に同社本体に吸収され、大阪工場とされる)は老朽化が進行していたため、同社は2013年から順次生産を縮小し、2014年いっぱいで大阪工場を閉鎖し、すべての生産活動から撤退した(その後大阪工場敷地を売却)。
株式については、2016年3月に東京証券取引所(以下、東証)JASDAQスタンダードに上場し、2022年4月の東証市場再編に伴い、スタンダード市場へ移行した。
2. 事業の概要
同社の事業は、「化学品事業」「日用品事業」「土木建設資材事業」の3つのセグメントで開示されている。各セグメント別の売上高比率(2025年3月期実績)は、化学品事業が91.4%、日用品事業が3.2%、土木建設資材事業が5.4%となった。
(1) 化学品事業
同社が主に取り扱う化学品はオレオケミカルと称されるもので、植物由来の天然油脂を原材料としている化学製品及びその合成品である。
この分野において同社は、メーカーではなく商社として機能する。オレオケミカル製品を主として花王から仕入れ、それを主に界面活性剤メーカーへ販売する。界面活性剤は石鹸・洗剤以外にも食品や化粧品、医薬品、繊維製品、染料・顔料・塗料などに幅広く使用されている。また、同社は上記界面活性剤メーカーから界面活性剤を仕入れ、化粧品や食品、医薬品などの最終製品メーカーへの販売も行っている。こうして界面活性剤メーカーを軸に、原料(オレオケミカル製品)の供給と、製品(界面活性剤)の販売の両方を行う形で事業を展開している。
(2) 日用品事業
日用品事業には1987年に家庭用洗剤を商品化して参入した。当時はグループ内に生産子会社を有していたが、2014年にすべての生産活動から撤退したため、現在は化学品事業との連携等で外部の協力工場に生産を委託し、企画・立案に力を入れたファブレスメーカーとして活動している。
OEM供給先を含めたベースでの販路別内訳(2025年3月期)は、生協が56.5%、量販店が28.3%、メーカーが8.0%、ネット・販売が3.6%、その他(業務用、ドラッグストア、その他)が3.6%となっている。
(3) 土木建設資材事業
土木建設資材事業は、大きく分けて「地盤改良」「コンクリート構造物の補修・補強」「汚染土壌の改良」の3つの領域に分かれており、それぞれの領域で使用される薬剤類を供給している。同社では、これらのうち「地盤改良」「コンクリート構造物の補修・補強」を土木建設資材関連、「汚染土壌の改良」を環境関連として分けて表示している。2025年3月期実績では土木建設資材関連の売上高が70.0%、環境関連の売上高が30.0%という構成となった。
3. 同社の強み
(1) 専門商社としての情報力と広範な取引先
同社の最大の強みは、高度な専門性と情報力にある。オレオケミカルを中心に製造・仕入れ・販売を展開する同社は、業界リーダーの地位にある花王の主要代理店であり、同時に仕入先で400社超、販売先で700社超という多数の取引先を持ち、専門性を高め情報収集をしやすい環境にある。
(2) グローバルでの調達力
同社のもう1つの強みは、海外子会社2社(中国、タイ)と連携したグローバルな調達力にある。得意領域のオレオケミカル及び界面活性剤にフォーカスして事業を展開し、海外からの調達・輸入による国内工場への供給だけでなく、現地調達による日系現地企業への供給も行う。海外に拠点を持ち、アジア・中国地域の新たな企業や製品に関するローカル情報を把握している点は、顧客からの信用獲得にも大きく寄与していると見られる。
(3) 環境への高い意識
同社は環境に対して高い意識を持って経営を行っている。SDGsやESGの存在感が増す現在の社会環境において、同社の環境意識の高さは強みとなり得る。主力事業で取り扱うオレオケミカルは、主に植物由来の天然油脂を原料とする化学原料である。安心・安全への期待から、ペトロケミカル(石油化学)を一部代替して成長・発展を遂げてきた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
1. 沿革
昭栄薬品<3537>は、1937年に化学品卸売業を目的に「鐵野商店」として創業した。当初は無機化学薬品などの取り扱いからスタートし、1951年4月に花王石鹸(株)(現 花王<4452>)の脂肪酸及び脂肪酸誘導体の販売を開始して、オレオケミカルの専門商社としての第1歩を踏み出した。1960年3月に組織を株式会社へ改組し、商号も現社名へと変更した。同6月には子会社化した新日本油化(株)を鐵野油化(株)へと改称し、脂肪酸・脂肪酸エステル、界面活性剤等の化学品の生産を開始した。
生産を担っていた大阪工場(鐵野油化が経営合理化の一環で2008年に同社本体に吸収され、大阪工場とされる)は老朽化が進行していたため、同社は2013年から順次生産を縮小し、2014年いっぱいで大阪工場を閉鎖し、すべての生産活動から撤退した(その後大阪工場敷地を売却)。
株式については、2016年3月に東京証券取引所(以下、東証)JASDAQスタンダードに上場し、2022年4月の東証市場再編に伴い、スタンダード市場へ移行した。
2. 事業の概要
同社の事業は、「化学品事業」「日用品事業」「土木建設資材事業」の3つのセグメントで開示されている。各セグメント別の売上高比率(2025年3月期実績)は、化学品事業が91.4%、日用品事業が3.2%、土木建設資材事業が5.4%となった。
(1) 化学品事業
同社が主に取り扱う化学品はオレオケミカルと称されるもので、植物由来の天然油脂を原材料としている化学製品及びその合成品である。
この分野において同社は、メーカーではなく商社として機能する。オレオケミカル製品を主として花王から仕入れ、それを主に界面活性剤メーカーへ販売する。界面活性剤は石鹸・洗剤以外にも食品や化粧品、医薬品、繊維製品、染料・顔料・塗料などに幅広く使用されている。また、同社は上記界面活性剤メーカーから界面活性剤を仕入れ、化粧品や食品、医薬品などの最終製品メーカーへの販売も行っている。こうして界面活性剤メーカーを軸に、原料(オレオケミカル製品)の供給と、製品(界面活性剤)の販売の両方を行う形で事業を展開している。
(2) 日用品事業
日用品事業には1987年に家庭用洗剤を商品化して参入した。当時はグループ内に生産子会社を有していたが、2014年にすべての生産活動から撤退したため、現在は化学品事業との連携等で外部の協力工場に生産を委託し、企画・立案に力を入れたファブレスメーカーとして活動している。
OEM供給先を含めたベースでの販路別内訳(2025年3月期)は、生協が56.5%、量販店が28.3%、メーカーが8.0%、ネット・販売が3.6%、その他(業務用、ドラッグストア、その他)が3.6%となっている。
(3) 土木建設資材事業
土木建設資材事業は、大きく分けて「地盤改良」「コンクリート構造物の補修・補強」「汚染土壌の改良」の3つの領域に分かれており、それぞれの領域で使用される薬剤類を供給している。同社では、これらのうち「地盤改良」「コンクリート構造物の補修・補強」を土木建設資材関連、「汚染土壌の改良」を環境関連として分けて表示している。2025年3月期実績では土木建設資材関連の売上高が70.0%、環境関連の売上高が30.0%という構成となった。
3. 同社の強み
(1) 専門商社としての情報力と広範な取引先
同社の最大の強みは、高度な専門性と情報力にある。オレオケミカルを中心に製造・仕入れ・販売を展開する同社は、業界リーダーの地位にある花王の主要代理店であり、同時に仕入先で400社超、販売先で700社超という多数の取引先を持ち、専門性を高め情報収集をしやすい環境にある。
(2) グローバルでの調達力
同社のもう1つの強みは、海外子会社2社(中国、タイ)と連携したグローバルな調達力にある。得意領域のオレオケミカル及び界面活性剤にフォーカスして事業を展開し、海外からの調達・輸入による国内工場への供給だけでなく、現地調達による日系現地企業への供給も行う。海外に拠点を持ち、アジア・中国地域の新たな企業や製品に関するローカル情報を把握している点は、顧客からの信用獲得にも大きく寄与していると見られる。
(3) 環境への高い意識
同社は環境に対して高い意識を持って経営を行っている。SDGsやESGの存在感が増す現在の社会環境において、同社の環境意識の高さは強みとなり得る。主力事業で取り扱うオレオケミカルは、主に植物由来の天然油脂を原料とする化学原料である。安心・安全への期待から、ペトロケミカル(石油化学)を一部代替して成長・発展を遂げてきた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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