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いい生活 Research Memo(8):中期的に顧客法人数5,000社、月額顧客あたりAPRU10万円を目指す
配信日時:2025/07/17 11:08
配信元:FISCO
*11:08JST いい生活 Research Memo(8):中期的に顧客法人数5,000社、月額顧客あたりAPRU10万円を目指す
■中長期の成長戦略
1. 中長期の成長戦略の概要
いい生活<3796>は中期的な目標として、顧客法人数5,000社、顧客あたりAPRU10万円(月額)を目指しており、売上高にすると年間約60億円に相当する。この目標達成に向け、従来の事業戦略をさらに加速・推進している。成長戦略については、(1) 顧客基盤の拡大、(2) 収益力の強化、(3) 将来への布石の3つの柱を掲げ、サービスの進化及び導入支援顧客サポート体制の充実を図る。
(1) 顧客基盤の拡大
利用法人数が右肩上がりで推移していることから、業務の作業効率の向上・費用対効果は実証済みと考えられるため、サービスに興味を持つ潜在顧客へのアプローチを継続する。導入支援サービスの充実によるエンタープライズ顧客の獲得と、「いい生活Square」の無料顧客への有料顧客化を顧客基盤拡大の主要な柱と位置付けている。
(2) 収益力の強化
マルチプロダクトのワンストップ提供による顧客単価上昇、運用支援サービスレベル向上によるLTV拡大を目指す。不動産管理業はサービスの利用期間が長期にわたるLTVの高い顧客層と言える。同社のサービスはSaaSであり、複数のサービスを一体化して利用できる強みを生かし、高い全体最適性の実現による顧客満足度の向上を目指す。
(3) 将来への布石
不動産プラットフォームへの進化を成長戦略として挙げ、中長期的に持続的かつ安定的な事業成長の確立を図るため、「SaaS×バーティカル×マルチプロダクト」の最大化による高成長を推進する。加えて、豊富なサービス群とソリューションを組み合わせるなど付加価値の高いサービスを提供することで、競合他社との差別化を図る。
2. 将来的な戦略
同社は、中長期の戦略以外にも将来の展望として、(1) 持続可能な顧客獲得サイクル、(2) プロダクトビジョン、(3) 不動産に関するあらゆるデータが集まるプラットフォームという戦略イメージを持っている。
(1) 持続可能な顧客獲得サイクル
見込み顧客へのアプローチから、提案・受注・導入支援・運用・サポートに至るプロセスを経て、既存サービスの利用顧客へ追加サービスの提案とサービス全体の拡販を推進する。既存顧客は、既に同社のサービスを利用することで業務効率が向上し、顧客満足度が高いため、追加サービス購入を通じて顧客単価が高まる傾向にある。既存顧客との信頼関係は強化され、同時に売上拡大に向けた事業基盤も広がる。売上高は、既存顧客向けのアップセル・クロスセルを通じた受注拡大に加え、新たに稼働を開始した新規顧客の売上が上乗せされることで増加する見込みである。不動産管理業を中心としたLTVの高い顧客数の増加させることで、サービス開発などのコストを相殺し、大きな利益を創出する考えである。
(2) プロダクトビジョン
同社は、将来的にはSaaSで各ツールが人の手を介さず、リアルタイムで連携できるシステム構築を行い、会計システム、電子契約、電子決済、Web会議などサードパーティシステムとの連携を通じて、ユーザーのビジネスにおけるさらなる最適化を追求する。加えて、インボイス制度への対応や設備・修繕管理機能、経営分析機能、金融領域など新機能や新領域についても拡充し、不動産におけるあらゆる業務領域をカバーすることを目指す。
同社は新たなプロダクトの投入を通じたサービスの拡張を図っている。「いい生活売買クラウド」では、大規模なUI/UXのリニューアルを実施し、売買仲介業務に特化した機能を強化した。顧客管理から物件管理、進捗管理まで一気通貫で対応可能とし、業務の可視化やコミュニケーションの円滑化を実現する。これにより、従来の賃貸領域だけでなく売買領域にも展開を広げ、マルチプロダクト戦略を一層推進する。「いい生活賃貸管理クラウド」では、点検・清掃・修繕などの管理業務を支援する機能の提供を新たに開始した。スマートフォンによる現地入力や、帳票・日報・写真などの記録管理に対応し、オーナー報告業務の効率化も可能となった。業者への依頼や履歴管理の機能も充実し、建物管理業務全体のデジタル化への支援を強化した。
(3) 不動産に関するあらゆるデータが集まるプラットフォーム
SaaSを媒介として、不動産に関わるあらゆるデータが蓄積されたプラットフォームの構築を進める。蓄積された豊富なデータに基づき、多彩な商品やサービスの取引が展開されるマーケットプレイスとなることを目指しており、「いい生活Square」がそのマーケットプレイスとしての役割を担っていく。これにより、テクノロジーがもたらす付加価値は、エンドユーザー・不動産会社に留まらず、市場のすべてのプレーヤーへ届けられることになる。
不動産市場の周辺領域は広大であり、公共サービスとの連携、引っ越しに伴うeコマース領域、決済等、周辺領域にエコシステムを拡大する大きな機会が広がっていると同社では認識している。
3. 人的資本拡大
2023年4月、「人的資本拡大に関する基本方針」を制定した。この方針は、社会と会社、会社と従業員の双方にとって有益な関係構築に焦点を当て、同社のミッションとビジョンを明確化し、組織の存在意義と目指すべき未来像を具体的に示している。加えて、企業が重視する価値観と個々人が目指すべき行動指針を6つのバリューとして要約した。
同社の6つのバリューは、以下のとおりである。「新たなスタンダードを定着し続けよう」は、新しい基準を定め、学びながら常に既成概念を疑い、経験を形式知として定着させることを目指す。また、好奇心を持って未知の探求を楽しむことで、新たな知識を組織に取り入れ、拡張していく。「明日の距離感で前進しよう」では、適切な距離感を保ちながら、誰も置き去りにせず、停滞なく前進することを重視する。「優しさと易しさに芯をとおそう」では、優しさと易しさを大切にし、明快なコミュニケーションとシステムで信頼される存在となることを目指す。「多様な仲間との化学結合を起こそう」は、多様な人々との相互作用を通じて成長を促進することを示す。そして、「信頼を積み重ね歴史をはぐくもう」「挑戦と失敗をまるごと愛そう」は、信頼を構築し、歴史を育むこと、そして挑戦と失敗を包容し、互いに支え合うことが文化の継承と発展に重要であると位置付けている。
「人的資本拡大に関する基本方針」では、さらに「自発的な価値創造」「目標設定や達成の支援を通じた積極的な対話」「個々人の能力の顕在化とウェルビーイングの追求」「人間性の尊重」そして優れた「タレントの獲得」を促進するため、社内環境整備に関する具体的な施策を掲げている。
同社では、プロダクトごとに独立したスモールチームへの権限移譲により、APIプラットフォームを中核に各プロダクトチームが連携し、生産性の高い開発環境を形成している。このアプローチを進めるため、自律的なチーム運営を重視し、スクラムを基本としたアジャイル体制を採用している。その結果、同社は、開発生産性が優れたエンジニア組織を表彰する「Findy Team + Award 2023」で、ユーザーへの価値提供のサイクル改善において、開発生産性が高く評価され、組織別部門で受賞した。これらの取り組みによる開発者体験の向上、個人の能力が十分に発揮されるとともに、チーム全体の学びが促進される環境の整備が、結果として人的資本の充実に直結したものと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山 博詞)
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1. 中長期の成長戦略の概要
いい生活<3796>は中期的な目標として、顧客法人数5,000社、顧客あたりAPRU10万円(月額)を目指しており、売上高にすると年間約60億円に相当する。この目標達成に向け、従来の事業戦略をさらに加速・推進している。成長戦略については、(1) 顧客基盤の拡大、(2) 収益力の強化、(3) 将来への布石の3つの柱を掲げ、サービスの進化及び導入支援顧客サポート体制の充実を図る。
(1) 顧客基盤の拡大
利用法人数が右肩上がりで推移していることから、業務の作業効率の向上・費用対効果は実証済みと考えられるため、サービスに興味を持つ潜在顧客へのアプローチを継続する。導入支援サービスの充実によるエンタープライズ顧客の獲得と、「いい生活Square」の無料顧客への有料顧客化を顧客基盤拡大の主要な柱と位置付けている。
(2) 収益力の強化
マルチプロダクトのワンストップ提供による顧客単価上昇、運用支援サービスレベル向上によるLTV拡大を目指す。不動産管理業はサービスの利用期間が長期にわたるLTVの高い顧客層と言える。同社のサービスはSaaSであり、複数のサービスを一体化して利用できる強みを生かし、高い全体最適性の実現による顧客満足度の向上を目指す。
(3) 将来への布石
不動産プラットフォームへの進化を成長戦略として挙げ、中長期的に持続的かつ安定的な事業成長の確立を図るため、「SaaS×バーティカル×マルチプロダクト」の最大化による高成長を推進する。加えて、豊富なサービス群とソリューションを組み合わせるなど付加価値の高いサービスを提供することで、競合他社との差別化を図る。
2. 将来的な戦略
同社は、中長期の戦略以外にも将来の展望として、(1) 持続可能な顧客獲得サイクル、(2) プロダクトビジョン、(3) 不動産に関するあらゆるデータが集まるプラットフォームという戦略イメージを持っている。
(1) 持続可能な顧客獲得サイクル
見込み顧客へのアプローチから、提案・受注・導入支援・運用・サポートに至るプロセスを経て、既存サービスの利用顧客へ追加サービスの提案とサービス全体の拡販を推進する。既存顧客は、既に同社のサービスを利用することで業務効率が向上し、顧客満足度が高いため、追加サービス購入を通じて顧客単価が高まる傾向にある。既存顧客との信頼関係は強化され、同時に売上拡大に向けた事業基盤も広がる。売上高は、既存顧客向けのアップセル・クロスセルを通じた受注拡大に加え、新たに稼働を開始した新規顧客の売上が上乗せされることで増加する見込みである。不動産管理業を中心としたLTVの高い顧客数の増加させることで、サービス開発などのコストを相殺し、大きな利益を創出する考えである。
(2) プロダクトビジョン
同社は、将来的にはSaaSで各ツールが人の手を介さず、リアルタイムで連携できるシステム構築を行い、会計システム、電子契約、電子決済、Web会議などサードパーティシステムとの連携を通じて、ユーザーのビジネスにおけるさらなる最適化を追求する。加えて、インボイス制度への対応や設備・修繕管理機能、経営分析機能、金融領域など新機能や新領域についても拡充し、不動産におけるあらゆる業務領域をカバーすることを目指す。
同社は新たなプロダクトの投入を通じたサービスの拡張を図っている。「いい生活売買クラウド」では、大規模なUI/UXのリニューアルを実施し、売買仲介業務に特化した機能を強化した。顧客管理から物件管理、進捗管理まで一気通貫で対応可能とし、業務の可視化やコミュニケーションの円滑化を実現する。これにより、従来の賃貸領域だけでなく売買領域にも展開を広げ、マルチプロダクト戦略を一層推進する。「いい生活賃貸管理クラウド」では、点検・清掃・修繕などの管理業務を支援する機能の提供を新たに開始した。スマートフォンによる現地入力や、帳票・日報・写真などの記録管理に対応し、オーナー報告業務の効率化も可能となった。業者への依頼や履歴管理の機能も充実し、建物管理業務全体のデジタル化への支援を強化した。
(3) 不動産に関するあらゆるデータが集まるプラットフォーム
SaaSを媒介として、不動産に関わるあらゆるデータが蓄積されたプラットフォームの構築を進める。蓄積された豊富なデータに基づき、多彩な商品やサービスの取引が展開されるマーケットプレイスとなることを目指しており、「いい生活Square」がそのマーケットプレイスとしての役割を担っていく。これにより、テクノロジーがもたらす付加価値は、エンドユーザー・不動産会社に留まらず、市場のすべてのプレーヤーへ届けられることになる。
不動産市場の周辺領域は広大であり、公共サービスとの連携、引っ越しに伴うeコマース領域、決済等、周辺領域にエコシステムを拡大する大きな機会が広がっていると同社では認識している。
3. 人的資本拡大
2023年4月、「人的資本拡大に関する基本方針」を制定した。この方針は、社会と会社、会社と従業員の双方にとって有益な関係構築に焦点を当て、同社のミッションとビジョンを明確化し、組織の存在意義と目指すべき未来像を具体的に示している。加えて、企業が重視する価値観と個々人が目指すべき行動指針を6つのバリューとして要約した。
同社の6つのバリューは、以下のとおりである。「新たなスタンダードを定着し続けよう」は、新しい基準を定め、学びながら常に既成概念を疑い、経験を形式知として定着させることを目指す。また、好奇心を持って未知の探求を楽しむことで、新たな知識を組織に取り入れ、拡張していく。「明日の距離感で前進しよう」では、適切な距離感を保ちながら、誰も置き去りにせず、停滞なく前進することを重視する。「優しさと易しさに芯をとおそう」では、優しさと易しさを大切にし、明快なコミュニケーションとシステムで信頼される存在となることを目指す。「多様な仲間との化学結合を起こそう」は、多様な人々との相互作用を通じて成長を促進することを示す。そして、「信頼を積み重ね歴史をはぐくもう」「挑戦と失敗をまるごと愛そう」は、信頼を構築し、歴史を育むこと、そして挑戦と失敗を包容し、互いに支え合うことが文化の継承と発展に重要であると位置付けている。
「人的資本拡大に関する基本方針」では、さらに「自発的な価値創造」「目標設定や達成の支援を通じた積極的な対話」「個々人の能力の顕在化とウェルビーイングの追求」「人間性の尊重」そして優れた「タレントの獲得」を促進するため、社内環境整備に関する具体的な施策を掲げている。
同社では、プロダクトごとに独立したスモールチームへの権限移譲により、APIプラットフォームを中核に各プロダクトチームが連携し、生産性の高い開発環境を形成している。このアプローチを進めるため、自律的なチーム運営を重視し、スクラムを基本としたアジャイル体制を採用している。その結果、同社は、開発生産性が優れたエンジニア組織を表彰する「Findy Team + Award 2023」で、ユーザーへの価値提供のサイクル改善において、開発生産性が高く評価され、組織別部門で受賞した。これらの取り組みによる開発者体験の向上、個人の能力が十分に発揮されるとともに、チーム全体の学びが促進される環境の整備が、結果として人的資本の充実に直結したものと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山 博詞)
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