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明日の株式相場に向けて=参院選後の激変シナリオを読む

配信日時:2025/07/16 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(16日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比14円安の3万9663円と小反落。一時は240円あまり上昇し3万9900円台をつけ、もうひと踏ん張りすれば4万円大台も視界に捉えるところであった。ところが、値上がり銘柄数は全体の35%に過ぎず、値下がり銘柄数を400以上も下回った。  引けにかけ軟化したとはいえ、全体相場は頑強な値動きを維持しているように見える。しかし、相変わらず日経平均とTOPIXは遊離した値動きとなっている。プライム上場1700銘柄弱を対象とした時価総額加重型のTOPIXは、極めて狭いゾーンでの小浮動に終始したが、225銘柄対象の日経平均は一部の指数寄与度の高い値がさ株の上昇によって浮揚力が働いた。具体的には半導体セクターの主力銘柄が高ければ日経平均もこれに連動する仕組みとなっている。きょうは、東京エレクトロン<8035.T>とアドバンテスト<6857.T>の2頭立て馬車で全体を牽引する形となっており、逆の見方をすれば、この2銘柄が音無しであれば日経平均の上げ幅は消滅する。実際、きょうは取引終盤にオランダの半導体製造装置大手ASML<ASML>の決算発表を受け材料出尽くし感から、この2銘柄を含む半導体株全般が上げ幅を縮小すると、日経平均も急失速した。この間にTOPIXにはほとんど動きがなかった。つまり、きょうの相場は実質的にはTOPIXが映し出している景色が現実に近く、東京市場は前日終値近辺の狭いゾーンを延々と彷徨し続けたことになる。  米国での半導体株の動向が日経平均に大きな影響を及ぼすのは今に始まったことではないが、もっと踏み込んだ言い方をすれば、今は米国株市場で最高値街道を走るエヌビディア<NVDA>が海を跨いで日経平均を支える最大の功労者となっている。ただし、これはある意味危うさもあり、この構図に狂いが生じた時点で、投資マネーが東京市場から離散していく引き金ともなる。日経平均が底堅いという状況は、エヌビディアに買い疲れ感が出てくれば、途端に流れが変わる可能性があり、足もとは盤石のようでも実際はガラスの階段を踏みしめているような局面かもしれず、過度な楽観は禁物である。  国内では20日に投開票が行われる参院選の結果にマーケットの関心が高い。過去を振り返って、参院選は株式市場にとってビッグイベントかと問われればそうとは言えず、むしろ影響は軽微というのが妥当な見方だ。しかし、今回のように与党が大敗を喫する可能性が取り沙汰される政局絡みの場面ではネガティブに作用しやすい。「過去、与党が明らかな敗北(議席数の過半数割れ)をしたケースではその後に株価は例外なく軟化している」(ネット証券アナリスト)とされ、その点では強力なアノマリーとなっている。  参議院の定数は248議席であるから、過半数を確保するためには125議席が必要となる。現在は自民・公明両党で非改選が75議席あり、残り50議席の確保が必要となるが、現状はこれを大幅に下回る可能性があるとみられている。「自公で過半数」を勝敗ラインとして掲げる石破首相は、半数の議席を若干下回る程度であれば退陣せず、立憲民主党もしくは国民民主党との連立を模索する方向が予想されるが、もし大幅に過半数を下回った場合はさすがに首相の座を辞すよりない。  しかしその場合、次の首相は文字通り火中の栗を拾うことになるため、名乗りを上げるには困難を覚悟する必要がある。したがってタイミング的には傷を負う可能性があるが、年齢的に、もう一回りしてトップの座を狙える猶予があるという点で有利なのは小泉進次郎農水相だ。仮に、小泉氏が次期首相に浮上した場合は、あくまで仮定の話として進めるが、連立の相手は玉木代表率いる国民民主党が有力視される。他方、石破首相が参院選後も続投した場合は、野田代表率いる立憲民主党との連立がイメージされる。国民目線では財務省支配から逃れフレッシュなイメージの伴う小泉―玉木ラインの方が好まれそうだが、日本売りとも言われる今の長期金利急上昇に歯止めをかけるのであれば、財務省の傀儡というイメージはあっても財政規律に一家言を持つ石破―野田ラインという選択肢になる。どちらを株式市場が好むかは未知数だが、日本の場合、海外投資家は新しい風を好む傾向がある。  あすのスケジュールでは、6月の貿易統計、週間の対外・対内証券売買契約、7月の主要銀行貸出動向アンケート調査がいずれも朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に1カ月物国庫短期証券の入札が行われる。午後取引時間中には6月の首都圏マンション販売、実質輸出入の動向が発表される。なお、この日は国内ではディスコ<6146.T>、海外ではTSMC<TSM>の決算発表が予定されマーケットの関心が高い。海外ではG20財務相・中央銀行総裁会議が18日までの日程で開催されるほか、6月の英失業率、6月の米小売売上高、6月の米輸出入物価指数、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、週間の米新規失業保険申請件数、7月の全米建設業協会(NAHB)住宅市場指数、5月の米企業在庫、5月の対米証券投資などが発表される。また、クグラーFRB理事、クックFRB理事、ウォラーFRB理事がそれぞれ講演予定にあり耳目を集めそうだ。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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