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ナカバヤシ:「収益力の強化」に重点置く、PBR1倍割れかつ配当利回り4%超え
配信日時:2025/07/14 15:23
配信元:FISCO
*15:23JST ナカバヤシ:「収益力の強化」に重点置く、PBR1倍割れかつ配当利回り4%超え
ナカバヤシ<7987>は、製本業を起点に文具・事務用品分野へと展開し、現在はビジネスプロセスソリューション事業(BPS)、コンシューマーコミュニケーション事業(CC)、エネルギー事業、その他(農業関連)の4つのセグメントで構成される総合企業である。売上高の構成比はBPSとCCがそれぞれほぼ半々を占め、主力の2事業で全体をけん引する形となっている。BPSでは、BPOサービス、図書館関連業務、紙器包材やシール・ラベル製品の提供を通じ、企業や自治体に対して高い付加価値を提供している。CCでは、日用紙製品・文具、シュレッダーなどの事務機器、オフィス家具、御朱印帳やぬいぐるみ等の観光商材といった多様なコンシューマー向け製品を展開する。両事業の共通点は、長年にわたる製本・印刷技術を基盤に、川上から川下までのバリューチェーンを垂直統合的に構築している点にある。
競合他社と比較した同社の強みは、多様な業態を横断する柔軟な事業ポートフォリオと、その融合を図るDX推進にある。とりわけBPSにおいては、印刷に強みを持つ同社が、従来外注していたシステム開発を内製化することで、印刷からBPOまでを一気通貫で受託可能な体制を構築。これにより、価格競争に巻き込まれにくい高付加価値領域への進出を実現している。また、図書館領域では祖業の製本技術に加え、書簡移動や資料修復といった専門性の高い業務に対応し、公共・大学図書館などから高い評価を受けている。さらに、アイドルグッズなどエンターテインメント分野向けのシール・ラベル製品では、地道な営業努力によって築いた販路が継続的な受注につながっており、他社にはない営業基盤が強みである。加えて、コンシューマーとBPOという異なる事業領域の顧客層をバランスよく持ち、売上もほぼ半々で構成されている。近年では、eコマース事業から派生したシステム開発の知見をBPS側に活用する形で、DXによるシナジー創出も進んでおり、事業横断的な連携による成長基盤の強化が図られている。CCでは、OEM製造に加え、直販とネット販売を組み合わせた多チャネル展開が強みで、ミヨシ、リーベックス、リーマンとの統合効果も寄与している。
2025年3月期の売上高は62,767百万円(前期比2.8%増)、営業利益は1,787百万円(同286.4%増)と、大幅な増益で過去数年の中では最高水準の利益水準となった。原材料費や物流費の高騰が続く中でも、両セグメントでの収益性改善が奏功した。BPS事業では、採算性の低い案件の見直しとシステム内製化による効率化が進み、図書館関連業務やシール・包材の高単価商材の寄与もあって堅調に推移。CC事業では、OEM受注の拡大に加え、吸収合併したミヨシやリーベックス、リーマンとのシナジー効果が本格化し、証書ファイルや御朱印帳などの高収益製品が業績をけん引した。特に後者は、インバウンド需要やトキ消費といったライフスタイルの変化を的確に捉えた商品提案が功を奏した。
2026年3月期の通期見通しとしては、売上高63,500百万円(前期比1.2%増)、営業利益2,540百万円(同42.1%増)を計画している。原材料費やエネルギーコスト、為替など外部環境の不透明感は残るものの、BPO領域における高収益案件の拡充や、CC事業におけるネット販売とのシナジー創出、御朱印帳やぬいぐるみを軸とした観光商材のさらなる展開が期待されている。また、M&Aを通じた事業領域の拡大と、ナカバヤシファクトリーを起点とした生産拠点の再編・統合によるコスト最適化も中期的な収益性改善に寄与するとみられる。経営資源の最適配分とデジタル投資の強化により、安定成長と収益力の底上げを両立する方針である。
市場環境においては、図書館関連は大学の資料整備や指定管理など専門性の高いニーズが底堅く存在する一方、BPOは大手SIerや専業他社との競争が激しい状況にある。CC部門においてもシュレッダーや家具などの分野では価格競争が存在するが、同社はOEM受注の拡大や商品価格の改定、リピート販売施策などにより堅調な業績を維持している。環境対応型商品である紙器包材やラベル製品も需要が堅調であり、観光復調を背景とした御朱印帳やぬいぐるみといった「めぐりing」商品群も需要を拡大している。
今後の成長牽引事業として注目されるのは、BPOサービスにおける高収益案件の拡大と、CC領域におけるデジタル技術・eコマースとの連携強化であるが、これらを根本的に支えているのが、グループ全体で推進するDXの取り組みである。具体的には、社内システムの内製化や人材育成を通じた開発力の強化により、外部委託を削減しながら経費の圧縮と業務効率化を実現。これにより、印刷とシステム開発を融合した一気通貫の受託体制を構築し、大学図書館の運営受託や試験業務など、ニッチで専門性の高い分野において他社との差別化を図っている。BPO+デジタルを推し進め、開発からパッケージ化してSaaS化も目指し、開発効率を上げて横展開のスピードを上げていく。加えて、CC領域では「めぐりing」関連商材を通じた観光地・インバウンド需要へのアプローチなどが展開されており、製販一体の体制とDXによる迅速なサービス提供が同社の中期的な成長戦略を支えている。
数値目標では、2027年3月期の売上高66,000百万円、営業利益3,300百万円を掲げている。また、株主還元については配当性向30~40%台の堅持を方針と掲げており、直近の配当利回りは4%を超えるほか、PBR1倍(現状0.5倍台)回復をKPIに掲げている。引き続き、IR戦略や対話方針を強化することで、今後の企業価値向上と市場評価の改善が期待されそうだ。
<HM>
競合他社と比較した同社の強みは、多様な業態を横断する柔軟な事業ポートフォリオと、その融合を図るDX推進にある。とりわけBPSにおいては、印刷に強みを持つ同社が、従来外注していたシステム開発を内製化することで、印刷からBPOまでを一気通貫で受託可能な体制を構築。これにより、価格競争に巻き込まれにくい高付加価値領域への進出を実現している。また、図書館領域では祖業の製本技術に加え、書簡移動や資料修復といった専門性の高い業務に対応し、公共・大学図書館などから高い評価を受けている。さらに、アイドルグッズなどエンターテインメント分野向けのシール・ラベル製品では、地道な営業努力によって築いた販路が継続的な受注につながっており、他社にはない営業基盤が強みである。加えて、コンシューマーとBPOという異なる事業領域の顧客層をバランスよく持ち、売上もほぼ半々で構成されている。近年では、eコマース事業から派生したシステム開発の知見をBPS側に活用する形で、DXによるシナジー創出も進んでおり、事業横断的な連携による成長基盤の強化が図られている。CCでは、OEM製造に加え、直販とネット販売を組み合わせた多チャネル展開が強みで、ミヨシ、リーベックス、リーマンとの統合効果も寄与している。
2025年3月期の売上高は62,767百万円(前期比2.8%増)、営業利益は1,787百万円(同286.4%増)と、大幅な増益で過去数年の中では最高水準の利益水準となった。原材料費や物流費の高騰が続く中でも、両セグメントでの収益性改善が奏功した。BPS事業では、採算性の低い案件の見直しとシステム内製化による効率化が進み、図書館関連業務やシール・包材の高単価商材の寄与もあって堅調に推移。CC事業では、OEM受注の拡大に加え、吸収合併したミヨシやリーベックス、リーマンとのシナジー効果が本格化し、証書ファイルや御朱印帳などの高収益製品が業績をけん引した。特に後者は、インバウンド需要やトキ消費といったライフスタイルの変化を的確に捉えた商品提案が功を奏した。
2026年3月期の通期見通しとしては、売上高63,500百万円(前期比1.2%増)、営業利益2,540百万円(同42.1%増)を計画している。原材料費やエネルギーコスト、為替など外部環境の不透明感は残るものの、BPO領域における高収益案件の拡充や、CC事業におけるネット販売とのシナジー創出、御朱印帳やぬいぐるみを軸とした観光商材のさらなる展開が期待されている。また、M&Aを通じた事業領域の拡大と、ナカバヤシファクトリーを起点とした生産拠点の再編・統合によるコスト最適化も中期的な収益性改善に寄与するとみられる。経営資源の最適配分とデジタル投資の強化により、安定成長と収益力の底上げを両立する方針である。
市場環境においては、図書館関連は大学の資料整備や指定管理など専門性の高いニーズが底堅く存在する一方、BPOは大手SIerや専業他社との競争が激しい状況にある。CC部門においてもシュレッダーや家具などの分野では価格競争が存在するが、同社はOEM受注の拡大や商品価格の改定、リピート販売施策などにより堅調な業績を維持している。環境対応型商品である紙器包材やラベル製品も需要が堅調であり、観光復調を背景とした御朱印帳やぬいぐるみといった「めぐりing」商品群も需要を拡大している。
今後の成長牽引事業として注目されるのは、BPOサービスにおける高収益案件の拡大と、CC領域におけるデジタル技術・eコマースとの連携強化であるが、これらを根本的に支えているのが、グループ全体で推進するDXの取り組みである。具体的には、社内システムの内製化や人材育成を通じた開発力の強化により、外部委託を削減しながら経費の圧縮と業務効率化を実現。これにより、印刷とシステム開発を融合した一気通貫の受託体制を構築し、大学図書館の運営受託や試験業務など、ニッチで専門性の高い分野において他社との差別化を図っている。BPO+デジタルを推し進め、開発からパッケージ化してSaaS化も目指し、開発効率を上げて横展開のスピードを上げていく。加えて、CC領域では「めぐりing」関連商材を通じた観光地・インバウンド需要へのアプローチなどが展開されており、製販一体の体制とDXによる迅速なサービス提供が同社の中期的な成長戦略を支えている。
数値目標では、2027年3月期の売上高66,000百万円、営業利益3,300百万円を掲げている。また、株主還元については配当性向30~40%台の堅持を方針と掲げており、直近の配当利回りは4%を超えるほか、PBR1倍(現状0.5倍台)回復をKPIに掲げている。引き続き、IR戦略や対話方針を強化することで、今後の企業価値向上と市場評価の改善が期待されそうだ。
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