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アイカ工 Research Memo(1):高付加価値商品が伸長し過去最高益
配信日時:2025/07/14 15:01
配信元:FISCO
*15:01JST アイカ工 Research Memo(1):高付加価値商品が伸長し過去最高益
■要約
アイカ工業<4206>は、東京証券取引所(以下、東証)プライム市場及び名古屋証券取引所(以下、名証)プレミア市場に上場する化学・建材メーカーである。1936年の創業以来、化学とデザインの融合により新たな価値を創造し、接着剤や建設樹脂、機能材料などの化成品セグメントと、メラミン化粧板や「セラール」(メラミン不燃化粧板)、住器建材などの建装建材セグメントを展開している。同社は国内トップシェアを持つメラミン化粧板や、塗り壁材「ジョリパット」など、機能性と意匠性を兼ね備えた製品開発に強みを持つ。また、海外展開にも注力しており、アジアやオセアニアを中心に拠点を拡大し、2025年3月期の海外売上高比率は48.0%に上っている。近年は、サステナビリティ経営や人的資本戦略にも注力し、持続可能な社会への貢献を目指している。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の業績は、売上高で前期比5.1%増の248,696百万円、営業利益で同8.4%増の27,408百万円、経常利益で同9.7%増の28,668百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同11.6%増の16,896百万円となった。売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高であり、営業利益と経常利益は4期連続の増益となった。ROEは10.1%となり、前期の9.9%から小幅に改善しているが、中期経営計画で掲げるROE10%目途の目標に達しており、収益性の向上が維持されている。化成品セグメント・建装建材セグメントともに増収増益となっており、堅調に事業成長を遂げている。営業利益において稼ぎ頭である建装建材セグメントについては、国内の高付加価値商品が収益をけん引し、全社収益を大きく押し上げた。一方、化成品セグメントは、国内の塗り床材や機能材料が好調であったが、海外は減価償却費の増加及び一部地域の需要減退から収益性は軟調であった。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.6%増の265,000百万円、営業利益は同5.8%増の29,000百万円、経常利益は同4.6%増の30,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同8.3%増の18,300百万円と、いずれも過去最高を更新する計画である。ROEは目標を10%以上へ引き上げ、経常利益は現 中期経営計画目標値を1年前倒しで達成する見通し。足元堅調な高付加価値化戦略を継続し、化成品セグメント、建装建材セグメントともに過去最高の売上高・営業利益を見込む。株主還元策としては、2026年3月期は前期より10.0円増額の136.0円(配当性向46.6%)となる見込み。また、今回新たに60億円(225万株)を上限とする自己株式取得を決定している。
3. 中期経営計画の進捗状況
現在の中期経営計画「Value Creation 3000&300(2024年3月期〜2027年3月期)」においては、「収益性の改善」「成長事業の創出・育成」「健全な経営基盤の構築」を基本方針に掲げ、主な財務目標は、売上高3,000億円、経常利益300億円、海外売上高比率50%以上、ROE10%以上(2027年3月期)となっている。足元の進捗状況は非常に順調で、経常利益については目標値を1年前倒しで達成する予想である。一方、売上高については、近年は不採算分野の整理などを実施したことから、売上高成長率に対して下押し圧力があったものの、今後、成長投資を着実に実行することで、目標達成の確度は高まるだろう。次の成長ステージに向けては、「海外事業の収益性強化」や「高付加価値商品の展開拡大」に加え、「M&Aや新規市場開拓による持続的な成長」が重要なテーマになると考える。
■Key Points
・化成品と建装建材の二本柱
・国内の建装建材が、「スマートサニタリー」などの高付加価値商品で成長をけん引
・2025年3月期業績は過去最高益。今期経常利益の見通しは中期経営計画目標を1年前倒し
・16期連続の増配、27期連続で減配なし(増配銘柄)
・「海外の収益性強化」「高付加価値化の進展」「M&Aなど成長投資」がアップサイド要素
■会社概要
化学とデザインを融合する化学・建材メーカー。グローバル化と高付加価値化に注力
1. 会社概要
同社は、東証プライム市場及び名証プレミア市場に上場する化学・建材メーカーである。1936年の創業以来、化学とデザインの融合により新たな価値を想像し、接着剤・建設樹脂・機能材料などの化成品事業と、メラミン化粧板・メラミン不燃化粧板「セラール」・住器建材などの建装建材事業を展開している。「挑戦と創造」を社是として、経営理念は、「共生の理念のもと、たえざる革新により新しい価値を創造し、社会に貢献する」としている。経営方針としては、以下の7項目を掲げている。
1) 化学とデザイン:化学とデザインの力で独創性のある商品をつくり、豊かな社会の実現に貢献する
2) グループシナジー:技術・素材連携やチャネル活用を追求し、グループシナジーを創出する
3) No.1:事業分野や地域におけるNo.1商品を拡充する
4) グローバル:海外における生産・販売拠点と人材の充実を図り、グローバル市場で持続的な成長を目指す
5) 人材と組織:人材を最も重要な経営資源と捉え、相互理解と成長を通じ、活力あふれる人材・組織を形成する
6) コンプライアンス経営:法令や社会秩序を守り、公正で透明性の高いコンプライアンス経営を実践する
7) 安心・安全への約束:ステークホルダーとのコミュニケーションを重視し、「信頼される品質の確保」や「環境に配慮した事業活動」を推進する
2. 沿革
同社は1936年に「愛知化学工業株式会社」として設立し、日本初のユリア樹脂接着剤を製造するなど化学メーカーとして事業を始めている。その後、1950年代にはメラミン樹脂技術を導入し、1960年にはメラミン化粧板「アイカ」を発売し、化粧板分野に進出した。1966年に現社名へ変更し、1975年には意匠性に優れた塗り壁材「ジョリパット」を発売するなど、建材分野に強みを持つ「総合建材メーカー」への転換を進めた。
1984年、業界に先駆けて単色をシステム化した化粧板「アイカカラーシステム105」を発売し、1980年代には化粧板の国内トップメーカーとしての地位を確立した。また、1989年には不燃化粧板「セラール」を発売。1990年代には「セラール」がキッチンパネルとして広く採用され、ブランド力を高めた。
2010年代からはM&Aを活用したグローバル戦略を本格化している。具体的には、2012年12月にはダイネア社のアジア太平洋部門子会社を取得し、アイカ・アジア・パシフィック・ホールディング社を設立。以降、2018年にエバモア・ケミカル・インダストリー社を、2019年にはウィルソナート社のアジア太平洋地域子会社を取得し、アジアでの体制を強化してきた。また、1962年より東証へ上場を果たしているが、2022年には東証プライム市場へ移行し、上場企業としての信頼性も高めている。
足元では、独自性の高い高付加価値商品を軸に収益性の強化を図りつつ、グローバル市場、特に成長著しいアジア地域での拡大を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦 健太郎)
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アイカ工業<4206>は、東京証券取引所(以下、東証)プライム市場及び名古屋証券取引所(以下、名証)プレミア市場に上場する化学・建材メーカーである。1936年の創業以来、化学とデザインの融合により新たな価値を創造し、接着剤や建設樹脂、機能材料などの化成品セグメントと、メラミン化粧板や「セラール」(メラミン不燃化粧板)、住器建材などの建装建材セグメントを展開している。同社は国内トップシェアを持つメラミン化粧板や、塗り壁材「ジョリパット」など、機能性と意匠性を兼ね備えた製品開発に強みを持つ。また、海外展開にも注力しており、アジアやオセアニアを中心に拠点を拡大し、2025年3月期の海外売上高比率は48.0%に上っている。近年は、サステナビリティ経営や人的資本戦略にも注力し、持続可能な社会への貢献を目指している。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の業績は、売上高で前期比5.1%増の248,696百万円、営業利益で同8.4%増の27,408百万円、経常利益で同9.7%増の28,668百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同11.6%増の16,896百万円となった。売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高であり、営業利益と経常利益は4期連続の増益となった。ROEは10.1%となり、前期の9.9%から小幅に改善しているが、中期経営計画で掲げるROE10%目途の目標に達しており、収益性の向上が維持されている。化成品セグメント・建装建材セグメントともに増収増益となっており、堅調に事業成長を遂げている。営業利益において稼ぎ頭である建装建材セグメントについては、国内の高付加価値商品が収益をけん引し、全社収益を大きく押し上げた。一方、化成品セグメントは、国内の塗り床材や機能材料が好調であったが、海外は減価償却費の増加及び一部地域の需要減退から収益性は軟調であった。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.6%増の265,000百万円、営業利益は同5.8%増の29,000百万円、経常利益は同4.6%増の30,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同8.3%増の18,300百万円と、いずれも過去最高を更新する計画である。ROEは目標を10%以上へ引き上げ、経常利益は現 中期経営計画目標値を1年前倒しで達成する見通し。足元堅調な高付加価値化戦略を継続し、化成品セグメント、建装建材セグメントともに過去最高の売上高・営業利益を見込む。株主還元策としては、2026年3月期は前期より10.0円増額の136.0円(配当性向46.6%)となる見込み。また、今回新たに60億円(225万株)を上限とする自己株式取得を決定している。
3. 中期経営計画の進捗状況
現在の中期経営計画「Value Creation 3000&300(2024年3月期〜2027年3月期)」においては、「収益性の改善」「成長事業の創出・育成」「健全な経営基盤の構築」を基本方針に掲げ、主な財務目標は、売上高3,000億円、経常利益300億円、海外売上高比率50%以上、ROE10%以上(2027年3月期)となっている。足元の進捗状況は非常に順調で、経常利益については目標値を1年前倒しで達成する予想である。一方、売上高については、近年は不採算分野の整理などを実施したことから、売上高成長率に対して下押し圧力があったものの、今後、成長投資を着実に実行することで、目標達成の確度は高まるだろう。次の成長ステージに向けては、「海外事業の収益性強化」や「高付加価値商品の展開拡大」に加え、「M&Aや新規市場開拓による持続的な成長」が重要なテーマになると考える。
■Key Points
・化成品と建装建材の二本柱
・国内の建装建材が、「スマートサニタリー」などの高付加価値商品で成長をけん引
・2025年3月期業績は過去最高益。今期経常利益の見通しは中期経営計画目標を1年前倒し
・16期連続の増配、27期連続で減配なし(増配銘柄)
・「海外の収益性強化」「高付加価値化の進展」「M&Aなど成長投資」がアップサイド要素
■会社概要
化学とデザインを融合する化学・建材メーカー。グローバル化と高付加価値化に注力
1. 会社概要
同社は、東証プライム市場及び名証プレミア市場に上場する化学・建材メーカーである。1936年の創業以来、化学とデザインの融合により新たな価値を想像し、接着剤・建設樹脂・機能材料などの化成品事業と、メラミン化粧板・メラミン不燃化粧板「セラール」・住器建材などの建装建材事業を展開している。「挑戦と創造」を社是として、経営理念は、「共生の理念のもと、たえざる革新により新しい価値を創造し、社会に貢献する」としている。経営方針としては、以下の7項目を掲げている。
1) 化学とデザイン:化学とデザインの力で独創性のある商品をつくり、豊かな社会の実現に貢献する
2) グループシナジー:技術・素材連携やチャネル活用を追求し、グループシナジーを創出する
3) No.1:事業分野や地域におけるNo.1商品を拡充する
4) グローバル:海外における生産・販売拠点と人材の充実を図り、グローバル市場で持続的な成長を目指す
5) 人材と組織:人材を最も重要な経営資源と捉え、相互理解と成長を通じ、活力あふれる人材・組織を形成する
6) コンプライアンス経営:法令や社会秩序を守り、公正で透明性の高いコンプライアンス経営を実践する
7) 安心・安全への約束:ステークホルダーとのコミュニケーションを重視し、「信頼される品質の確保」や「環境に配慮した事業活動」を推進する
2. 沿革
同社は1936年に「愛知化学工業株式会社」として設立し、日本初のユリア樹脂接着剤を製造するなど化学メーカーとして事業を始めている。その後、1950年代にはメラミン樹脂技術を導入し、1960年にはメラミン化粧板「アイカ」を発売し、化粧板分野に進出した。1966年に現社名へ変更し、1975年には意匠性に優れた塗り壁材「ジョリパット」を発売するなど、建材分野に強みを持つ「総合建材メーカー」への転換を進めた。
1984年、業界に先駆けて単色をシステム化した化粧板「アイカカラーシステム105」を発売し、1980年代には化粧板の国内トップメーカーとしての地位を確立した。また、1989年には不燃化粧板「セラール」を発売。1990年代には「セラール」がキッチンパネルとして広く採用され、ブランド力を高めた。
2010年代からはM&Aを活用したグローバル戦略を本格化している。具体的には、2012年12月にはダイネア社のアジア太平洋部門子会社を取得し、アイカ・アジア・パシフィック・ホールディング社を設立。以降、2018年にエバモア・ケミカル・インダストリー社を、2019年にはウィルソナート社のアジア太平洋地域子会社を取得し、アジアでの体制を強化してきた。また、1962年より東証へ上場を果たしているが、2022年には東証プライム市場へ移行し、上場企業としての信頼性も高めている。
足元では、独自性の高い高付加価値商品を軸に収益性の強化を図りつつ、グローバル市場、特に成長著しいアジア地域での拡大を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦 健太郎)
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