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ソフト99 Research Memo(2):ファインケミカル事業とポーラスマテリアル事業で収益の大半を占める(1)
配信日時:2025/07/14 12:02
配信元:FISCO
*12:02JST ソフト99 Research Memo(2):ファインケミカル事業とポーラスマテリアル事業で収益の大半を占める(1)
■ソフト99コーポレーション<4464>の事業概要
同社は1954年(昭和29年)創業の自動車用、家庭用ケミカル用品の製造販売会社で、M&Aも活用しながら事業領域を拡大してきた。現在、グループの連結子会社数は9社で、2025年3月末時点の従業員数は827名となっている。事業セグメントとしては、ファインケミカル事業、ポーラスマテリアル事業、サービス事業、不動産関連事業の4つで区分している。
直近5期の事業セグメント別構成比を見ると、売上高はファインケミカル事業とポーラスマテリアル事業で全体の7割強を占め、ここ数年はファインケミカル事業の構成比が緩やかに低下し、ポーラスマテリアル事業の構成比が上昇傾向にある。また、セグメント利益の構成比では、ファインケミカル事業とポーラスマテリアル事業で8割強を占めており、構成比は売上高と同様の傾向で、2025年3月期はファインケミカル事業の45.7%に対してポーラスマテリアル事業が41.7%と肉薄する状況となっている。半導体市場の成長に伴いシリコンウエハーの回路形成プロセスの一部である洗浄工程で用いられる精密洗浄材が伸びていることによる。なお、サービス事業や不動産関連事業などそのほかの事業についても安定して収益を得ており、バランスのとれた事業ポートフォリオになっている。市場別売上構成比では、自動車分野向けが5割強(2025年3月期)を占める主力市場となっている。
1. ファインケミカル事業
ファインケミカル事業は大きく分けて、一般消費者向けに販売されるカー用品(ボディケア製品、ガラスケア製品、リペアグッズ等)や家庭用品(メガネケア製品、クリーナー等)、自動車ディーラーや自動車美装業者、あるいはその他業界向けに販売される業務用製品(コーティング剤等)のほか、海外事業(主にカー用品)、タイヤ空気圧監視装置(以下、TPMS)の企画・開発・販売、電子機器・ソフトウェア開発、その他(輸入販売・樹脂容器販売含む)の7つに区分される。2025年3月期の売上構成比は、一般消費者向けカー用品が全体の61.6%を占め、次いで業務用製品が15.8%、海外事業が11.3%、家庭用品等が5.8%などとなっている。
一般消費者向けカー用品の市場シェアを見ると、カーワックスを中心としたボディケア分野で3~4割となっている。競合大手は(株)プロスタッフや(株)ウイルソン、シュアラスター(株)などで、同社を含めて4~5社で競っている。また、ガラスケア分野は、撥水剤において8割弱の市場シェアを持ち、雨天でも視界を確保するガラスコーティング剤「ガラコ」シリーズが高い支持を集めている。競合は(株)錦之堂やシーシーアイ(株)などがある。リペアグッズ(補修材)は約6割の市場シェアを持ち、市場は同社と武蔵ホルト(株)の2社で寡占市場となっている。ここ数年はホームセンターなどでPB商品が増えているが、トップシェアを握る同社には影響がほとんどなく、2位以下のメーカーとPB商品が競合する格好となっているようだ。
海外事業では主に中国や東アジア、東南アジア向けに、現地代理店経由で一般消費者向けカー用品や業務用製品の販売を展開し、ここ数年は欧州各国やインド、ブラジル等の新市場の開拓にも注力している。
業務用製品は、主にコーティング剤を自社ブランドにより自動車美装業者向けに販売しているほか、自動車メーカーやディーラー向けにOEM製品としても販売している。また、飲料用自動販売機や船舶、鉄道車両など、自動車業界以外にも販売しており、1割弱の比率を占める。同社製品は、耐久性能や品質面での評価が高く、外車専門ディーラー向けで多く採用されている。業務用コーティング剤の競合としては、自動車メーカー・ディーラー向けで中央自動車工業<8117>のシェアが高い。また、2回目以降のコーティング費用を低価格で済ませたいユーザー向けには、KeePer技研<6036>がガソリンスタンド等を通じて販売している。
家庭用製品ではメガネケア製品で業界トップシェアを確立しているほか、各種衛生管理用品の製造販売を行っている。TPMSの企画・開発・販売では、国内の運送事業者向け(トラック・バス)を中心に開発販売している。乗用車向けOEM製品も手掛けているが、国内で搭載している車種はほとんどなく同社の売上構成比も9割がトラックなどの運送事業者向けで占められている。TPMSとは、タイヤ内の空気圧や温度をセンサーで常時監視し、異常が発生した場合に運転者に通知するシステムで、エアバルブと一体化したセンサー付き発信機をホイールに組み付け、運転席に設置した受信機に無線で信号を送信、モニタに数値データ等の情報を表示する。トラック運送事業者などは、車体の不具合に起因する交通事故を未然に防止するため、運行前点検の厳格化が指導されており、タイヤ空気圧も点検項目となっている。TPMSを搭載すれば点検作業が省力化でき、走行中の「安心・安全」にもつながる。このため、ここ2~3年で主に長距離トラックやトレーラーの運送業者向けに普及が進んでいる。運送会社ではドライバー確保のため安全な環境整備に取り組んでおり、TPMSもそのツールとして導入されている。
電子機器・ソフトウェア開発では、主に工場の受変電設備や道路・河川の状況を計測・制御するための遠隔監視システム、コインパーキングの緊急電話システムなどを制御するための組込みソフトウェアの開発・販売を行っている。なお、2024年11月に同社初のスマホ完結型キャッシュレス決済システムを導入した洗車場「ALAUDAY」1号店を東大阪市にオープンしたが、場内管理システムやスマートフォンアプリは(株)ハネロンで開発したものとなっている。
ファインケミカル事業の直近5年間の営業利益率は、10%台で安定して推移している。一般消費者向け市場で高いシェアを獲得していること、利益率の高い業務用製品の販売が着実に伸びていることが要因と見られる。海外事業の収益性に関しては他社製品の仲介取引が含まれていることもあり低水準だったが、2025年3月期で仲介取引から撤退しており、今後は利益率も改善するものと見られる。また、TPMSの企画・開発・販売や電子機器・ソフトウェア開発の損益への影響は軽微となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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同社は1954年(昭和29年)創業の自動車用、家庭用ケミカル用品の製造販売会社で、M&Aも活用しながら事業領域を拡大してきた。現在、グループの連結子会社数は9社で、2025年3月末時点の従業員数は827名となっている。事業セグメントとしては、ファインケミカル事業、ポーラスマテリアル事業、サービス事業、不動産関連事業の4つで区分している。
直近5期の事業セグメント別構成比を見ると、売上高はファインケミカル事業とポーラスマテリアル事業で全体の7割強を占め、ここ数年はファインケミカル事業の構成比が緩やかに低下し、ポーラスマテリアル事業の構成比が上昇傾向にある。また、セグメント利益の構成比では、ファインケミカル事業とポーラスマテリアル事業で8割強を占めており、構成比は売上高と同様の傾向で、2025年3月期はファインケミカル事業の45.7%に対してポーラスマテリアル事業が41.7%と肉薄する状況となっている。半導体市場の成長に伴いシリコンウエハーの回路形成プロセスの一部である洗浄工程で用いられる精密洗浄材が伸びていることによる。なお、サービス事業や不動産関連事業などそのほかの事業についても安定して収益を得ており、バランスのとれた事業ポートフォリオになっている。市場別売上構成比では、自動車分野向けが5割強(2025年3月期)を占める主力市場となっている。
1. ファインケミカル事業
ファインケミカル事業は大きく分けて、一般消費者向けに販売されるカー用品(ボディケア製品、ガラスケア製品、リペアグッズ等)や家庭用品(メガネケア製品、クリーナー等)、自動車ディーラーや自動車美装業者、あるいはその他業界向けに販売される業務用製品(コーティング剤等)のほか、海外事業(主にカー用品)、タイヤ空気圧監視装置(以下、TPMS)の企画・開発・販売、電子機器・ソフトウェア開発、その他(輸入販売・樹脂容器販売含む)の7つに区分される。2025年3月期の売上構成比は、一般消費者向けカー用品が全体の61.6%を占め、次いで業務用製品が15.8%、海外事業が11.3%、家庭用品等が5.8%などとなっている。
一般消費者向けカー用品の市場シェアを見ると、カーワックスを中心としたボディケア分野で3~4割となっている。競合大手は(株)プロスタッフや(株)ウイルソン、シュアラスター(株)などで、同社を含めて4~5社で競っている。また、ガラスケア分野は、撥水剤において8割弱の市場シェアを持ち、雨天でも視界を確保するガラスコーティング剤「ガラコ」シリーズが高い支持を集めている。競合は(株)錦之堂やシーシーアイ(株)などがある。リペアグッズ(補修材)は約6割の市場シェアを持ち、市場は同社と武蔵ホルト(株)の2社で寡占市場となっている。ここ数年はホームセンターなどでPB商品が増えているが、トップシェアを握る同社には影響がほとんどなく、2位以下のメーカーとPB商品が競合する格好となっているようだ。
海外事業では主に中国や東アジア、東南アジア向けに、現地代理店経由で一般消費者向けカー用品や業務用製品の販売を展開し、ここ数年は欧州各国やインド、ブラジル等の新市場の開拓にも注力している。
業務用製品は、主にコーティング剤を自社ブランドにより自動車美装業者向けに販売しているほか、自動車メーカーやディーラー向けにOEM製品としても販売している。また、飲料用自動販売機や船舶、鉄道車両など、自動車業界以外にも販売しており、1割弱の比率を占める。同社製品は、耐久性能や品質面での評価が高く、外車専門ディーラー向けで多く採用されている。業務用コーティング剤の競合としては、自動車メーカー・ディーラー向けで中央自動車工業<8117>のシェアが高い。また、2回目以降のコーティング費用を低価格で済ませたいユーザー向けには、KeePer技研<6036>がガソリンスタンド等を通じて販売している。
家庭用製品ではメガネケア製品で業界トップシェアを確立しているほか、各種衛生管理用品の製造販売を行っている。TPMSの企画・開発・販売では、国内の運送事業者向け(トラック・バス)を中心に開発販売している。乗用車向けOEM製品も手掛けているが、国内で搭載している車種はほとんどなく同社の売上構成比も9割がトラックなどの運送事業者向けで占められている。TPMSとは、タイヤ内の空気圧や温度をセンサーで常時監視し、異常が発生した場合に運転者に通知するシステムで、エアバルブと一体化したセンサー付き発信機をホイールに組み付け、運転席に設置した受信機に無線で信号を送信、モニタに数値データ等の情報を表示する。トラック運送事業者などは、車体の不具合に起因する交通事故を未然に防止するため、運行前点検の厳格化が指導されており、タイヤ空気圧も点検項目となっている。TPMSを搭載すれば点検作業が省力化でき、走行中の「安心・安全」にもつながる。このため、ここ2~3年で主に長距離トラックやトレーラーの運送業者向けに普及が進んでいる。運送会社ではドライバー確保のため安全な環境整備に取り組んでおり、TPMSもそのツールとして導入されている。
電子機器・ソフトウェア開発では、主に工場の受変電設備や道路・河川の状況を計測・制御するための遠隔監視システム、コインパーキングの緊急電話システムなどを制御するための組込みソフトウェアの開発・販売を行っている。なお、2024年11月に同社初のスマホ完結型キャッシュレス決済システムを導入した洗車場「ALAUDAY」1号店を東大阪市にオープンしたが、場内管理システムやスマートフォンアプリは(株)ハネロンで開発したものとなっている。
ファインケミカル事業の直近5年間の営業利益率は、10%台で安定して推移している。一般消費者向け市場で高いシェアを獲得していること、利益率の高い業務用製品の販売が着実に伸びていることが要因と見られる。海外事業の収益性に関しては他社製品の仲介取引が含まれていることもあり低水準だったが、2025年3月期で仲介取引から撤退しており、今後は利益率も改善するものと見られる。また、TPMSの企画・開発・販売や電子機器・ソフトウェア開発の損益への影響は軽微となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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