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飯野海運 Research Memo(9):2026年3月期の配当性向の基準を40%へ引き上げ
配信日時:2025/07/14 11:09
配信元:FISCO
*11:09JST 飯野海運 Research Memo(9):2026年3月期の配当性向の基準を40%へ引き上げ
■飯野海運<9119>の成長戦略・サステナビリティ経営
3. 株主還元策
同社は2025年5月8日付で配当方針の変更を発表した。株主への利益還元のさらなる強化、資本コストや株価を意識した経営の実現のために、現中期経営計画最終年度2026年3月期の配当性向の基準を従来の30%から40%に引き上げた。これにより、2025年3月期の1株当たり配当金は前期比2.00円増配の年間58.00円(中間25.00円、期末33.00円)、2026年3月期の1株当たり配当金予想は同14.00円減配の年間44.00円(中間22.00円、期末22.00円)とした。配当性向は2025年3月期が33.4%、2026年3月期が40.5%となる。なお新たな配当方針の適用時期は2026年3月期の1年間で、2027年3月期以降の配当方針については次期中期経営計画(2026年5月頃開示予定)策定時に再検討する。また株主優待制度については、毎年3月末日時点で同社株式500株以上保有株主を対象として、保有株式数と継続保有期間に応じて贈呈(カタログギフトから商品、または寄付を選択、イイノホールで開催予定の公演へ抽選で招待など)している。
サステナビリティ経営を強化
4. サステナビリティ経営
サステナビリティ経営に関しては、2021年9月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同してTCFDコンソーシアムに加入した後、2022年10月に飯野海運グループ腐敗防止方針及び飯野海運グループ人権方針を策定、2023年5月に飯野海運グループ調達方針及び飯野海運グループサプライヤー行動規範を策定、同年9月に飯野海運グループ社会貢献方針を策定、2024年2月に飯野海運グループ競争法遵守方針を策定、同年3月に飯野海運グループサステナビリティ基本方針を策定、2025年3月に自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)フォーラムへ参画してTNFD Adopterへ登録するなど、気候変動への対応にとどまらず、人的資本や人権尊重への対応、海事イノベーションの推進などサステナビリティに関する取り組みを強化している。
人的資本の強化では職場・労働環境の整備、多様な人材の確保、人材育成・リスキリングの強化、能力発揮の機会の提供、成果評価・処遇への反映など人材投資とその価値を引き出す戦略を推進し、会社と従業員がともに成長する好循環の確立を目指す。人的資本強化の主要KPIとしては、育児休業取得率(2026年3月期目標100%、2025年3月期実績100%、以下同順)、総合職(管理職候補者)に占める女性比率(20.0%、19.4%)、海外短期研修・海外駐在経験者(75名以上、66名)を設定している。
人権尊重への対応では、人権デューデリジェンス(人権DD)の継続的な実施、調達方針・サプライヤー行動規範に基づく調達活動における人権尊重、サステナビリティ評価機関の認定取得、外部通報窓口の設置、社内人権教育研修の実施などを推進する。さらにサプライチェーンも含めた人権対応体制を確立し、人権尊重への取り組みを強化する方針だ。人権対応に関する主要KPIとしては人権に関する研修の受講率(100%、100%)を設定している。
DXの推進について、2023年6月に設置したDX推進部では専任者が社内外関係先と連携しながらDX推進を行い、船舶・ビル管理の品質向上(安全・安心の提供)、ESG推進サポート、競争力強化のための事業変革を目指している。2023年10月には、シンガポールのテクノロジー・スタートアップのGreywing Pte. Ltd.との協働プロジェクトで開発したAI配乗計画作成プログラムCrew Matrix Planningを導入した。本プログラム導入によって船舶管理部門の業務負担を軽減し、海技者の持つ専門性を、より経済的付加価値の高いプロジェクト等へのリソースに再配分を行っていく。
コーポレート・ガバナンスの強化では、取締役会の独立性・多様性確保への取り組みとして、2023年6月に女性社外取締役を1名増員し、社外取締役比率は50.0%、女性取締役比率は25.0%となった。
こうしたサステナビリティ経営への積極的な取り組みや財務状況改善への取り組みが評価され、2024年2月にはCDP(本部:英国ロンドン)より2023年気候変動質問書においてリーダーシップレベルの「Aマイナス」評価を獲得、同年7月にはFTSE Blossom Japan Index及びFTSE Blossom Japan Sector Relative Indexの構成銘柄に3年連続で選定、MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数の構成銘柄に選定、同年8月にはJPX日経インデックス400の構成銘柄に選定、JPX日経中小型株指数の構成銘柄に2年連続で選定、2025年5月にはEcoVadis(本社:フランス)のサステナビリティ評価においてシルバー評価(上位15%以内)を取得した。また格付けに関しても2024年4月にJCRによる格付けが「BBB+(ポジティブ)」から「A-(安定的)」に格上げされ、(株)格付投資情報センター(R&I)による格付けが「BBB(ポジティブ)」から「BBB+(安定的)」に格上げされた。
5. 弊社の視点
同社は従来から市況変動の影響を軽減すべく安定収益源の積み上げを推進しているほか、海運業では環境負荷軽減や競争力強化に向けた取り組みとして環境配慮型の最新鋭・次世代燃料船を積極投入し、不動産業ではポートフォリオ拡大に向けて海外展開も本格化させている。中期経営計画で掲げた財務数値目標について、1期目の2024年3月期と2期目の2025年3月期に計画値を上回る形で着地したのは、単に市況や為替が追い風となっただけでなく、こうした取り組みの成果と弊社では評価している。また2026年3月期の配当性向の基準を引き上げたことも評価できる。同社の代表取締役社長・社長執行役員である大谷祐介(おおたに ゆうすけ)氏は「不透明感の強い状況だが、人的資本を含めた積極的な投資を継続し、安定収益の底上げに注力することにより、株主還元の強化や企業価値の向上につなげたい」と熱く語っている。したがって次期中期経営計画(2026年5月頃開示予定)で示される成長戦略や株主還元の一層の強化に注目したいと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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3. 株主還元策
同社は2025年5月8日付で配当方針の変更を発表した。株主への利益還元のさらなる強化、資本コストや株価を意識した経営の実現のために、現中期経営計画最終年度2026年3月期の配当性向の基準を従来の30%から40%に引き上げた。これにより、2025年3月期の1株当たり配当金は前期比2.00円増配の年間58.00円(中間25.00円、期末33.00円)、2026年3月期の1株当たり配当金予想は同14.00円減配の年間44.00円(中間22.00円、期末22.00円)とした。配当性向は2025年3月期が33.4%、2026年3月期が40.5%となる。なお新たな配当方針の適用時期は2026年3月期の1年間で、2027年3月期以降の配当方針については次期中期経営計画(2026年5月頃開示予定)策定時に再検討する。また株主優待制度については、毎年3月末日時点で同社株式500株以上保有株主を対象として、保有株式数と継続保有期間に応じて贈呈(カタログギフトから商品、または寄付を選択、イイノホールで開催予定の公演へ抽選で招待など)している。
サステナビリティ経営を強化
4. サステナビリティ経営
サステナビリティ経営に関しては、2021年9月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同してTCFDコンソーシアムに加入した後、2022年10月に飯野海運グループ腐敗防止方針及び飯野海運グループ人権方針を策定、2023年5月に飯野海運グループ調達方針及び飯野海運グループサプライヤー行動規範を策定、同年9月に飯野海運グループ社会貢献方針を策定、2024年2月に飯野海運グループ競争法遵守方針を策定、同年3月に飯野海運グループサステナビリティ基本方針を策定、2025年3月に自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)フォーラムへ参画してTNFD Adopterへ登録するなど、気候変動への対応にとどまらず、人的資本や人権尊重への対応、海事イノベーションの推進などサステナビリティに関する取り組みを強化している。
人的資本の強化では職場・労働環境の整備、多様な人材の確保、人材育成・リスキリングの強化、能力発揮の機会の提供、成果評価・処遇への反映など人材投資とその価値を引き出す戦略を推進し、会社と従業員がともに成長する好循環の確立を目指す。人的資本強化の主要KPIとしては、育児休業取得率(2026年3月期目標100%、2025年3月期実績100%、以下同順)、総合職(管理職候補者)に占める女性比率(20.0%、19.4%)、海外短期研修・海外駐在経験者(75名以上、66名)を設定している。
人権尊重への対応では、人権デューデリジェンス(人権DD)の継続的な実施、調達方針・サプライヤー行動規範に基づく調達活動における人権尊重、サステナビリティ評価機関の認定取得、外部通報窓口の設置、社内人権教育研修の実施などを推進する。さらにサプライチェーンも含めた人権対応体制を確立し、人権尊重への取り組みを強化する方針だ。人権対応に関する主要KPIとしては人権に関する研修の受講率(100%、100%)を設定している。
DXの推進について、2023年6月に設置したDX推進部では専任者が社内外関係先と連携しながらDX推進を行い、船舶・ビル管理の品質向上(安全・安心の提供)、ESG推進サポート、競争力強化のための事業変革を目指している。2023年10月には、シンガポールのテクノロジー・スタートアップのGreywing Pte. Ltd.との協働プロジェクトで開発したAI配乗計画作成プログラムCrew Matrix Planningを導入した。本プログラム導入によって船舶管理部門の業務負担を軽減し、海技者の持つ専門性を、より経済的付加価値の高いプロジェクト等へのリソースに再配分を行っていく。
コーポレート・ガバナンスの強化では、取締役会の独立性・多様性確保への取り組みとして、2023年6月に女性社外取締役を1名増員し、社外取締役比率は50.0%、女性取締役比率は25.0%となった。
こうしたサステナビリティ経営への積極的な取り組みや財務状況改善への取り組みが評価され、2024年2月にはCDP(本部:英国ロンドン)より2023年気候変動質問書においてリーダーシップレベルの「Aマイナス」評価を獲得、同年7月にはFTSE Blossom Japan Index及びFTSE Blossom Japan Sector Relative Indexの構成銘柄に3年連続で選定、MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数の構成銘柄に選定、同年8月にはJPX日経インデックス400の構成銘柄に選定、JPX日経中小型株指数の構成銘柄に2年連続で選定、2025年5月にはEcoVadis(本社:フランス)のサステナビリティ評価においてシルバー評価(上位15%以内)を取得した。また格付けに関しても2024年4月にJCRによる格付けが「BBB+(ポジティブ)」から「A-(安定的)」に格上げされ、(株)格付投資情報センター(R&I)による格付けが「BBB(ポジティブ)」から「BBB+(安定的)」に格上げされた。
5. 弊社の視点
同社は従来から市況変動の影響を軽減すべく安定収益源の積み上げを推進しているほか、海運業では環境負荷軽減や競争力強化に向けた取り組みとして環境配慮型の最新鋭・次世代燃料船を積極投入し、不動産業ではポートフォリオ拡大に向けて海外展開も本格化させている。中期経営計画で掲げた財務数値目標について、1期目の2024年3月期と2期目の2025年3月期に計画値を上回る形で着地したのは、単に市況や為替が追い風となっただけでなく、こうした取り組みの成果と弊社では評価している。また2026年3月期の配当性向の基準を引き上げたことも評価できる。同社の代表取締役社長・社長執行役員である大谷祐介(おおたに ゆうすけ)氏は「不透明感の強い状況だが、人的資本を含めた積極的な投資を継続し、安定収益の底上げに注力することにより、株主還元の強化や企業価値の向上につなげたい」と熱く語っている。したがって次期中期経営計画(2026年5月頃開示予定)で示される成長戦略や株主還元の一層の強化に注目したいと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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