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飯野海運 Research Memo(1):中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)の進捗は順調
配信日時:2025/07/14 11:01
配信元:FISCO
*11:01JST 飯野海運 Research Memo(1):中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)の進捗は順調
■要約
飯野海運<9119>は1899年に創業し、125年を超える歴史を持つ海運会社である。企業理念(IINO PURPOSE)に「安全の確保を最優先に、人々の想いを繋ぎ、より豊かな未来を築きます」を掲げ、事業ポートフォリオ経営の推進による経済的価値の向上に加え、マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)の克服により社会的価値の創造を図り、同社の掲げる共通価値の創造に向けた取り組みを強化している。
1. 海運業、不動産業とも安定収益源の積み上げに向けた取り組みを推進
同社は資源・エネルギー輸送を主力とする海運業(外航海運業、内航・近海海運業)と、本社の飯野ビルディング(東京都千代田区)を主力とするオフィスビル賃貸の不動産業を両輪として事業展開している。海運業は中東積み極東揚げ航路でトップクラスのシェアを誇るケミカルタンカーや、中長期契約を積み上げる大型ガス船などを特徴・強みとしている。不動産業は飯野ビルディングなど東京都心部の一等地に賃貸オフィスビルを複数所有していることが特徴だ。両事業とも市況変動の影響を軽減すべく安定収益源の積み上げに向けた取り組みを推進しているほか、海運業では地球環境負荷軽減や競争力強化に向けた取り組みとして環境配慮型の最新鋭・次世代燃料船を積極的に投入し、不動産業ではポートフォリオ拡大に向けて海外展開も本格化させている。
2. 2025年3月期は増収も一部市況軟化の影響等で減益
2025年3月期の連結業績は売上高が前期比2.8%増の141,866百万円、営業利益が同10.3%減の17,100百万円、経常利益が同20.3%減の17,368百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.0%減の18,367百万円となった。各利益は減益となったが会社予想(2025年1月31日付の3回目の修正値)は上回った。大型原油タンカーの一部船舶の採算改善、為替の円安影響などプラス要因はあったが、ケミカルタンカーの運航隻数減少、大型ガス船の一部船舶における市況軟化、ドライバルク船におけるコスト増加、不動産業における英国不動産2棟目の初期費用計上などが影響した。全社営業利益の前期比19.6億円減少の内訳は、大型原油タンカーが同4.8億円増、ケミカルタンカーが同12.4億円減、大型ガス船が同15.7億円減、ドライバルク船が同7.6億円減、中小型ガス船が同0.4億円減、不動産業が同0.5億円減、その他(各分野の為替影響を抜き出して集約)が同12.2億円増となった。
3. 2026年3月期は減収減益予想
2026年3月期の連結業績は売上高が前期比5.5%減の134,000百万円、営業利益が同33.3%減の11,400百万円、経常利益が同33.8%減の11,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同37.4%減の11,500百万円を見込んでいる。米国関税政策の影響、米USTR(米国通商代表部)による中国建造船に対する米国の入港税の影響、紅海情勢の影響については織り込まないが、中国を中心とする世界経済の不透明感や円高影響などを考慮して減収減益を予想している。米国関税政策及び入港税の影響については、同社は米国発着貨物の取り扱いが少ないため直接的な影響は軽微であり、紅海情勢については紅海の航行が再開しない前提としている。米国関税政策や紅海情勢によって業績が変動する可能性があるものの、中期経営計画で掲げている安定収益源の積み上げに向けた各種取り組みの着実な進展を期待したい。
4. 中期経営計画の進捗は順調
同社は、中期経営計画「The Adventure to Our Sustainable Future」(2024年3月期~2026年3月期)で掲げた財務数値目標について、1期目の2024年3月期と2期目の2025年3月期は、ほとんどの項目が計画値を上回る着地となった。最終年度の2026年3月期は世界経済の不透明感や円高影響などを考慮して減収減益予想としているが、中期経営計画の進捗はおおむね順調と言えるだろう。また3年間合計で1,000億円の投資(うち環境関連投資に600億円)を計画しており、2025年1月末時点で意思決定済みの投資進捗率は85%程度と順調である。なお株主還元については2026年3月期の配当性向の基準を従来の30%から40%に引き上げた。2027年3月期以降の配当方針については次期中期経営計画(2026年5月頃開示予定)策定時に再検討する。
■Key Points
・歴史ある海運業と不動産業が両輪、安定収益源の積み上げを推進
・2025年3月期は前期比増収も一部市況軟化の影響等で減益
・2026年3月期は減収減益予想
・中期経営計画の進捗は順調、株主還元も強化
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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飯野海運<9119>は1899年に創業し、125年を超える歴史を持つ海運会社である。企業理念(IINO PURPOSE)に「安全の確保を最優先に、人々の想いを繋ぎ、より豊かな未来を築きます」を掲げ、事業ポートフォリオ経営の推進による経済的価値の向上に加え、マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)の克服により社会的価値の創造を図り、同社の掲げる共通価値の創造に向けた取り組みを強化している。
1. 海運業、不動産業とも安定収益源の積み上げに向けた取り組みを推進
同社は資源・エネルギー輸送を主力とする海運業(外航海運業、内航・近海海運業)と、本社の飯野ビルディング(東京都千代田区)を主力とするオフィスビル賃貸の不動産業を両輪として事業展開している。海運業は中東積み極東揚げ航路でトップクラスのシェアを誇るケミカルタンカーや、中長期契約を積み上げる大型ガス船などを特徴・強みとしている。不動産業は飯野ビルディングなど東京都心部の一等地に賃貸オフィスビルを複数所有していることが特徴だ。両事業とも市況変動の影響を軽減すべく安定収益源の積み上げに向けた取り組みを推進しているほか、海運業では地球環境負荷軽減や競争力強化に向けた取り組みとして環境配慮型の最新鋭・次世代燃料船を積極的に投入し、不動産業ではポートフォリオ拡大に向けて海外展開も本格化させている。
2. 2025年3月期は増収も一部市況軟化の影響等で減益
2025年3月期の連結業績は売上高が前期比2.8%増の141,866百万円、営業利益が同10.3%減の17,100百万円、経常利益が同20.3%減の17,368百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.0%減の18,367百万円となった。各利益は減益となったが会社予想(2025年1月31日付の3回目の修正値)は上回った。大型原油タンカーの一部船舶の採算改善、為替の円安影響などプラス要因はあったが、ケミカルタンカーの運航隻数減少、大型ガス船の一部船舶における市況軟化、ドライバルク船におけるコスト増加、不動産業における英国不動産2棟目の初期費用計上などが影響した。全社営業利益の前期比19.6億円減少の内訳は、大型原油タンカーが同4.8億円増、ケミカルタンカーが同12.4億円減、大型ガス船が同15.7億円減、ドライバルク船が同7.6億円減、中小型ガス船が同0.4億円減、不動産業が同0.5億円減、その他(各分野の為替影響を抜き出して集約)が同12.2億円増となった。
3. 2026年3月期は減収減益予想
2026年3月期の連結業績は売上高が前期比5.5%減の134,000百万円、営業利益が同33.3%減の11,400百万円、経常利益が同33.8%減の11,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同37.4%減の11,500百万円を見込んでいる。米国関税政策の影響、米USTR(米国通商代表部)による中国建造船に対する米国の入港税の影響、紅海情勢の影響については織り込まないが、中国を中心とする世界経済の不透明感や円高影響などを考慮して減収減益を予想している。米国関税政策及び入港税の影響については、同社は米国発着貨物の取り扱いが少ないため直接的な影響は軽微であり、紅海情勢については紅海の航行が再開しない前提としている。米国関税政策や紅海情勢によって業績が変動する可能性があるものの、中期経営計画で掲げている安定収益源の積み上げに向けた各種取り組みの着実な進展を期待したい。
4. 中期経営計画の進捗は順調
同社は、中期経営計画「The Adventure to Our Sustainable Future」(2024年3月期~2026年3月期)で掲げた財務数値目標について、1期目の2024年3月期と2期目の2025年3月期は、ほとんどの項目が計画値を上回る着地となった。最終年度の2026年3月期は世界経済の不透明感や円高影響などを考慮して減収減益予想としているが、中期経営計画の進捗はおおむね順調と言えるだろう。また3年間合計で1,000億円の投資(うち環境関連投資に600億円)を計画しており、2025年1月末時点で意思決定済みの投資進捗率は85%程度と順調である。なお株主還元については2026年3月期の配当性向の基準を従来の30%から40%に引き上げた。2027年3月期以降の配当方針については次期中期経営計画(2026年5月頃開示予定)策定時に再検討する。
■Key Points
・歴史ある海運業と不動産業が両輪、安定収益源の積み上げを推進
・2025年3月期は前期比増収も一部市況軟化の影響等で減益
・2026年3月期は減収減益予想
・中期経営計画の進捗は順調、株主還元も強化
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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