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テノックス Research Memo(4):新工法で環境対応と施工効率を両立、需要領域も拡大
配信日時:2025/07/11 14:24
配信元:FISCO
*14:24JST テノックス Research Memo(4):新工法で環境対応と施工効率を両立、需要領域も拡大
■事業概要
(5) 注目の新工法
テノックス<1905>は2025年早々、ともに従来工法と補完性の高いCP-X工法(コンクリートパイル中掘り杭工法)とテノキューブ工法(浅層地盤改良工法)を開発した。CP-X工法は、社会問題化している建設残土の発生を大幅に低減する点や施工効率の点で外掘り杭(プレボーリング)工法より優れ、他社のコンクリートパイル中掘り杭工法と比較しても圧倒的に高い支持力を誇る。また、重要建築構造物を得意とする鋼管杭を用いたTN-X工法に加えて、要求される支持力に対し経済性(材料費、施工費)を考慮した高支持力杭工法を提供できることで、需要が急増しているデータセンターや物流倉庫などへとターゲットを広げることができる。テノキューブ工法は、同社の得意とする深層のテノコラム工法を補完しているため、従来以上に様々な地盤改良工事に対応することができる。もちろん、単独でも利用できる。また、粉体方式に比較して粉塵の飛散がなく、セメントの混じった残土(産業廃棄物)を大幅に低減でき、独自の施工管理システムにより進捗を可視化できるため、テノコラム工法同様に高い信頼性を実現している。同一現場でも支持層深度が異なることが多いため、浅層のテノキューブと深層のテノコラムの2つの地盤改良工法を併せ持つことは、設計業者やゼネコンにとっても利便性が高い工法といえる。両工法とも、熱海市の建設残土による土石流災害や環境問題を背景に注目度が高まっている。
3. 強みとビジネスモデル
同社の強みは、自社開発した豊富な施工ラインナップにある。また、携帯端末などで施工状況をリアルタイムに確認できる施工管理システム「VCCS」、テノコラム工法において材齢1日で28日後の強度を予測する「促進養生システム」、子会社が擁する工事技能者集団や各種機材による安全確実な工事進行と高い施工品質も同社の強みである。なお、「VCCS」については全工法で採用、新基幹システムと連携することで施工計画や現場管理の精度向上につなげる方針である。ところで、建築・土木構造物の建設は、通常ゼネコン(元請け:総合建設業者)が下請けを取り仕切って進めている。基礎工事に関わる事業者もゼネコンから注文を受けるが、基礎工事は最初にして最も重要な工程であるため、ゼネコンによる発注の前に設計業者(設計コンサルタント、設計事務所)から直接引き合いが来ることも多い。その後、設計業者の描いた図面により発注者(施主)がゼネコンに、ゼネコンが専業企業である同社に発注し、工事完了後に同社がゼネコンに引き渡すという流れになる。このように同社は、ビジネスモデル上はゼネコンの下請けだが、バリューチェーンという観点からは設計から施工、引渡まで一貫して関与する体制を構築しており、これも強みとなっている。また、こうしたバリューチェーンのなかで設計業者にいち早く技術アピールや工法提案をすることができるので、同社の技術提案が設計に反映されるケースが多く、その分ゼネコンから注文を受ける機会も増えているようだ。同社はこれを「折り込む力」と呼び、同社ビジネスモデル上の大きな強みとなっている。
4. 事業領域の拡大
同社は近年、M&Aや提携などを通じて事業領域を拡大している。2020年10月に、回転埋設工法であるHIT工法を開発するなど長年関西地区を拠点に杭工事や地盤改良工事、杭引抜き工事などの基礎工事を手掛けてきた広島組と、土木建築用機械や工具の販売、修理、リースなどを行う亀竹産業(2021年2月に広島組と合併)を完全子会社化した。広島組が持つ営業基盤と既存杭引抜き技術の取り込みが目的である。さらに2020年12月に、日本ヒュームと業務及び資本提携契約を締結した。同社が持つ杭工事や地盤改良工事の技術と、日本ヒュームが持つコンクリート杭製造技術や施工技術を持ち寄ることでシナジーを発揮する考えだが、特に同社にとってはコンクリート杭工事の再強化につながる提携といえる。2021年1月には、日本コンクリート工業<5269>と業務及び資本提携契約を締結した。基礎工事分野での協力強化に加え、日本コンクリート工業が持つ二酸化炭素固定化技術を活用することでESG経営を推進することが目的である。2022年4月には、静岡県を地盤に基礎工事を展開する大三島物産を子会社化した。静岡県及び周辺地域のインフラや産業基盤の整備に向けて営業基盤を拡充することが目的である。2015年に進出したベトナムでは、2024年7月にTENOX ASIAがテノックス九州※の現地子会社TENOX KYUSYU VIETNAMの施工事業を買収、2025年中にはコンクリートパイルメーカーも買収する予定で、経済成長が期待されるベトナム市場で一貫したバリューチェーンを構築しているところである。
※ テノックス九州:テノックス九州は2017年1月に持分法適用関連会社より除外している。
このように、同社はM&Aや業務提携を進めることで施工力の強化や新たな技術の取り入れを推進してきた。この結果、2024年3月末時点では、国内拠点11ヶ所、グループ会社国内4社、海外1社の体制となり、技術・工法提案などの面で企業としての厚みが増し、受注確度の向上につながっていると考えられる。特に国内のM&A・提携は、生き残り策や後継者問題などを背景に案件が増えているようだ。シェアや施工力の確保は、将来予想される人口減などによる建設市場規模の縮小への対策にもなっており、引き続きM&Aや提携に積極的に対応する考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<HN>
(5) 注目の新工法
テノックス<1905>は2025年早々、ともに従来工法と補完性の高いCP-X工法(コンクリートパイル中掘り杭工法)とテノキューブ工法(浅層地盤改良工法)を開発した。CP-X工法は、社会問題化している建設残土の発生を大幅に低減する点や施工効率の点で外掘り杭(プレボーリング)工法より優れ、他社のコンクリートパイル中掘り杭工法と比較しても圧倒的に高い支持力を誇る。また、重要建築構造物を得意とする鋼管杭を用いたTN-X工法に加えて、要求される支持力に対し経済性(材料費、施工費)を考慮した高支持力杭工法を提供できることで、需要が急増しているデータセンターや物流倉庫などへとターゲットを広げることができる。テノキューブ工法は、同社の得意とする深層のテノコラム工法を補完しているため、従来以上に様々な地盤改良工事に対応することができる。もちろん、単独でも利用できる。また、粉体方式に比較して粉塵の飛散がなく、セメントの混じった残土(産業廃棄物)を大幅に低減でき、独自の施工管理システムにより進捗を可視化できるため、テノコラム工法同様に高い信頼性を実現している。同一現場でも支持層深度が異なることが多いため、浅層のテノキューブと深層のテノコラムの2つの地盤改良工法を併せ持つことは、設計業者やゼネコンにとっても利便性が高い工法といえる。両工法とも、熱海市の建設残土による土石流災害や環境問題を背景に注目度が高まっている。
3. 強みとビジネスモデル
同社の強みは、自社開発した豊富な施工ラインナップにある。また、携帯端末などで施工状況をリアルタイムに確認できる施工管理システム「VCCS」、テノコラム工法において材齢1日で28日後の強度を予測する「促進養生システム」、子会社が擁する工事技能者集団や各種機材による安全確実な工事進行と高い施工品質も同社の強みである。なお、「VCCS」については全工法で採用、新基幹システムと連携することで施工計画や現場管理の精度向上につなげる方針である。ところで、建築・土木構造物の建設は、通常ゼネコン(元請け:総合建設業者)が下請けを取り仕切って進めている。基礎工事に関わる事業者もゼネコンから注文を受けるが、基礎工事は最初にして最も重要な工程であるため、ゼネコンによる発注の前に設計業者(設計コンサルタント、設計事務所)から直接引き合いが来ることも多い。その後、設計業者の描いた図面により発注者(施主)がゼネコンに、ゼネコンが専業企業である同社に発注し、工事完了後に同社がゼネコンに引き渡すという流れになる。このように同社は、ビジネスモデル上はゼネコンの下請けだが、バリューチェーンという観点からは設計から施工、引渡まで一貫して関与する体制を構築しており、これも強みとなっている。また、こうしたバリューチェーンのなかで設計業者にいち早く技術アピールや工法提案をすることができるので、同社の技術提案が設計に反映されるケースが多く、その分ゼネコンから注文を受ける機会も増えているようだ。同社はこれを「折り込む力」と呼び、同社ビジネスモデル上の大きな強みとなっている。
4. 事業領域の拡大
同社は近年、M&Aや提携などを通じて事業領域を拡大している。2020年10月に、回転埋設工法であるHIT工法を開発するなど長年関西地区を拠点に杭工事や地盤改良工事、杭引抜き工事などの基礎工事を手掛けてきた広島組と、土木建築用機械や工具の販売、修理、リースなどを行う亀竹産業(2021年2月に広島組と合併)を完全子会社化した。広島組が持つ営業基盤と既存杭引抜き技術の取り込みが目的である。さらに2020年12月に、日本ヒュームと業務及び資本提携契約を締結した。同社が持つ杭工事や地盤改良工事の技術と、日本ヒュームが持つコンクリート杭製造技術や施工技術を持ち寄ることでシナジーを発揮する考えだが、特に同社にとってはコンクリート杭工事の再強化につながる提携といえる。2021年1月には、日本コンクリート工業<5269>と業務及び資本提携契約を締結した。基礎工事分野での協力強化に加え、日本コンクリート工業が持つ二酸化炭素固定化技術を活用することでESG経営を推進することが目的である。2022年4月には、静岡県を地盤に基礎工事を展開する大三島物産を子会社化した。静岡県及び周辺地域のインフラや産業基盤の整備に向けて営業基盤を拡充することが目的である。2015年に進出したベトナムでは、2024年7月にTENOX ASIAがテノックス九州※の現地子会社TENOX KYUSYU VIETNAMの施工事業を買収、2025年中にはコンクリートパイルメーカーも買収する予定で、経済成長が期待されるベトナム市場で一貫したバリューチェーンを構築しているところである。
※ テノックス九州:テノックス九州は2017年1月に持分法適用関連会社より除外している。
このように、同社はM&Aや業務提携を進めることで施工力の強化や新たな技術の取り入れを推進してきた。この結果、2024年3月末時点では、国内拠点11ヶ所、グループ会社国内4社、海外1社の体制となり、技術・工法提案などの面で企業としての厚みが増し、受注確度の向上につながっていると考えられる。特に国内のM&A・提携は、生き残り策や後継者問題などを背景に案件が増えているようだ。シェアや施工力の確保は、将来予想される人口減などによる建設市場規模の縮小への対策にもなっており、引き続きM&Aや提携に積極的に対応する考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<HN>
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